色即是空 ~ 行く川の流れは絶えずして ~ 3

北の大地での生活

All things in the universe

<03.Mar 2011 Thu>

2011-03-03 | 北の大地での生活

小学生の頃、
やたらとライバル心をむき出しにしてくる女の子がいました。
気にもとめていなかった女の子ですが、
珍しく、幼いながら彼女に負けたくないという気持ちが芽生え、
一緒に通っていた珠算教室や勉強などで、
先生から、家で出してもいない宿題をしなくてもいいから、
と注意されるほど、張り合いました。

それからすぐだったか、彼女が引っ越すことになりました。
特別、仲が良いわけでもなく、かといって悪いわけでもなく、
ただ、ふーん、としか思いませんでした。


しばらくして、道端で彼女とすれ違いました。
あれ?と思って振り返ると、彼女も振り返っていて
とびっきりの笑顔でとても大人びた感じで手を振ってくれました。

私はなんで彼女がいるのかな?引っ越したのに?他人?
とか、いろいろと複雑な気持ちで、多分、手も振り返さなかったと思います。

今から思えば悪いことしたかな、傷つけちゃったかもしれないと思うのですが、
その時はわけがわかりませんでした。


それからまた、かなりしてから、
私は人と張り合ったり、競争したりするのが苦手で、
人の顔色を伺って気が進まないのに人に合わせたりするよりは1人で過ごす方が良い、
勝つべき相手は自分自身の中にあると考えていて、
どちらかといえば争いはまず避ける方で
彼女のような存在が、自分のそんな弱い部分を補い、成長させてくれるのに、
とても大切なものだったのかもしれないと気付きました。


以前、オフライダーで、プロ資格はあるけどあまり強くなく、補欠だったのですが、
「どうしたら強くなれるのかな?」
と、その弟に聞かれた事がありました。
その時は答えられなかったのですが、後でその彼に足りないのは
何が何でもこいつには負けたくない、負けられない、と思えるような
良きライバルと出会うこと、強くなりたいという情熱だったかもしれない、と思いました。

でも、良きライバルとして名乗りをあげてくれるような人なんてそうそういません。
彼女が引っ越さずに、もしあのまま一緒に成長していたら、今の私ではなかったかもしれません。
ほっとするような、でも何だかとても残念なのです。

別れたのは小学生の時で、笑顔も小学生の女の子のもののはずなのですが、
私の記憶の中では彼女は大人の女性のようにすり替わっています。


笑顔でさよならが言えなくてごめんね。
あなたのような女の子と、ずっと長く過ごしたかったな。
多分、彼女は私のことを友達として好きでいてくれたんじゃないかな、と思います。

名前すら思い出せない彼女、二度と会う事もないでしょうが、
とびっきりの笑顔とスマートなさよならが、何故か忘れられないのです。
コメント
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