陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

夕凪の街 桜の国

2007-09-03 08:06:41 | 映画(DVD)
佐々部清監督の映画は
お金と縁のなさそうな人がしみじみ描かれていて
損得勘定と関係がない人ところでドラマが展開してゆくところが好きで
作品を楽しみに待っている。

夕凪の街 桜の国の館内には
カーテンコールで流れていた曲と同じかと思わせる
ゆるやかにセピアな雰囲気ともぴったりしんみりといい感じで
ハーブの曲が幕明けを期待させて流されていた。


職業柄、戦争体験の話を聞く機会は多い。
爆弾が降ってきた大空襲で生きのびた人たちも
南方からかろうじての帰還兵も
死んだ仲間や身内を悼む言葉とともに
自分は運が良かったと必ず言われる。

なぜ原爆だけは
自分が生きている事への責めを感じるのか?

『いきとってはいけんのじゃ』は
ずっと解けないなぞだった。

たった1個の無差別大量殺人兵器の光と熱は
その時、その人が生きている事を全否定した。
受けた人でないと分からない恐怖
ケロイドとして見える傷でなく
心にも『殺された』
存在否定のケロイドを焼き付けたのかと
映画を観終わってストンと腑に落ちた。

原爆毒と言うらしい。
後遺症はその人で終わらず
子から孫へ受け継がれる不気味と不安と
無意識に巣作る差別と話は現在へと続いていった。

結婚と言う形態をとる時に
その人の持つ差別観は哀しいかな如実になる。

私の娘に
『兄の障害にクレームがつくような人とは上手くいかない』
とよく話す。
結婚は一つの心の踏み絵であるような。

 いきとってくれて ありがとう

何かを成す自分ではなくて
そこに居るだけで
だれかにそう言われたら
だれかにそう思われたら
存在肯定は
それだけでもう充分な気持ちになれるのだ。

昭和33年の広島の絵には
食べることに汲々しているバラックの生活のにおいと
原爆ドームの向こうに
ちゃんと広島球場の夜間照明が立っていた。
人間の持つ底力を見せつけているような構図に思えた。

軽い明るいタッチで映像は流れてゆくのに
最初から最後まで、涙が止まらなかった。
素材は確かに重くてとことん根っこは深い。


パッチギ!LOVE&PEACE

2007-06-25 05:14:28 | 映画(DVD)

パッチギの二作目がずっと気になって
まだかなぁと
一作目のあった映画館のスケジュールチェックを
していたけど、いつまで経ってもない。
どうやら上映しないらしい。
しかたがないので、
上映中でそろそろ終演の少々遠い場所まで出かけた。

探して辿り着いた映画館はう~~んボロイ。
小学生の頃、ゴジラを観た映画館のような。
お菓子の入ったガラスのケース越しに受付の人が居る。
券売機がスイングドアの向こうにあると案内してもらう。
お金が吸い込まれたらコトンと
昔の駅のキップみたいなのが出てきた。
さっきの案内してくれた人に半分モギッてもらって館内へ。

一瞬、場所を間違えたかと思った。
ガランと無人。目が慣れたらカップルが居た。
開演前の予告途中でドアが開く音が聞こえたから、
200席は越える場所で観客は私を入れて4人。
確か日曜日の午後。もうちょっと賑わっても…

映画の方も映画館と同じ雰囲気の1974年。
場所は京都から東京へ移って
登場人物もちょっと大人の設定になっていた。

最初から
井筒和幸監督お得意の血みどろの乱闘シーンだけど
死ぬほどのダメージを与えないと言う
ケンカの暗黙のルールが一作目で感じられたから
バイオレンスは苦手だけど安心して観ていられた。

一方、
朝鮮で日本軍への徴兵を逃げたお父さんの回想では
ガバガバ人が死ぬむごたらしいシーンが続いた。
まるで藤田嗣治の戦争画の映像版のようだった。

しぶとく生き抜こうと
きたないことにも手を染めても
肝心な人として許せないことには
湧き起こった大きな怒りが
体当たりで吐き出され
痛快な思いが胸を降りた。

差別と反戦のメッセージが一作目より色濃く感じられた。
男たちの山○とか某右寄り都知事の特攻隊映画が
いたるところで上映されて観客動員しているのに比べて
ちょっとさみしい。
カンヌで賞をとった映画だって
モーツアルトとくじらだって田舎では観られない。

金や太鼓で作った
商業ベースに乗る映画ばかり上映しているようで
映画館へ足が向かなくなりそう。




アルゼンチンババア

2007-04-13 06:15:18 | 映画(DVD)
予告で妻の死から逃げた
なさけない父親役を役所広司
なぞの老婆アルゼンチンババアを鈴木京香
と言う配役を知って観たいなぁと思っていた。

役所広司はさすがと言う演技だったけれど、
鈴木京香の厚化粧はきれい過ぎて、不気味さがでていない。
服も異様な風体と言うよりサマになってしまっていた。
アルゼンチンババアは『あの歳で!』と言う驚きを持ったれて
妊娠、出産をするのだけれど、
髪がパサパサの薄汚い黒毛まじりの白髪の長髪という以外
肌は艶やかで、色っぽくて
そういうことがあっても問題ない範疇の女性に見えたのは
失敗じゃなかろうか?

母の臨終間際に『もう死んで』と願った娘の後悔や
妻が本当に死んだことになるから、
頼まれたけど墓石が彫れない父親の気持は
私も通った。

夫の臨終前夜、『もう苦しまなくていいよ。楽になって』と
一晩中願った。
通夜の席では家の布団に寝かせた夫の顔に白い布を置くことを拒否した。
『死んだ人みたいだから』と。

死ぬ人が生きることの意味を教えてくれて逝ったように
価値観の大逆転が自分の中で起こったような
何かもやもやが晴れたような
死にゆく人が残したプレゼントみたいな
『しっかり生きよ』と導いてくれたような
うまく書けないけれど、
そのあたりの心情が映画のラストにあって、
映画館を出た足で原作を買いに走った。

アルゼンチンババア

ロッキングオン

このアイテムの詳細を見る


よしもとばななさんの本ははじめて。
書き出しでガ~ンと頭を打たれた。

*********************************************************

  母が死んだ時、私の平凡だった世界は消えた。
  そして今までカーテンの向こうにあったものすごいものが突然姿を現した。

**********************************************************

内容はまるっきり映画と違っていた。
センセーショナルでお笑い過剰に表現すれば映画のシナリオ展開となるのだろう。
それにしてもアルゼンチンババアは実は50歳で
わし鼻、毛羽立ちやほつれのある古ぼけたワンピースとあるから
やっぱり鈴木京香はミスキャットだし、あの衣装はきれい過ぎ。
ものすごいアイシャドウとも感じなかった。

原作はほわほわと
異端のアルゼンチンババアを受けいれ
母の死後アルゼンチンババアと暮らす父も受け入れている。
この力みのなさはなんなんだろう?
好きな小説家がひとり増えた。



マリー・アントワネット

2007-01-22 08:11:30 | 映画(DVD)
ヴェルサイユ宮殿と衣装の豪華さと音楽と
うっとりと過ぎて
最後はマリー・アントワネットが宮殿から捕われて出て行くシーンで終った。
王妃の孤独も放蕩したい心理もよく出ていたけれど、それだけ。
引っ立てられて処刑されるまでの汚れシーンの割愛が妙に気にかかった。
綺麗、綺麗と堪能して終ればいいのに、ワタシがへそ曲がりなんだろう。

帰宅して確か読んだ記憶があった遠藤周作の文庫本を探した。
王妃マリー・アントワネット (上巻)

新潮社

このアイテムの詳細を見る

王妃マリー・アントワネット (下巻)

新潮社

このアイテムの詳細を見る


オーストリアからフランスへお輿入れの時、
下着まで捨ててフランスの用意したものに着替えさせられるシーン。
国王の愛人ディ・バリー夫人に周りの圧力でしかたなく
たったひとこと声をかけるシーンなど、
映像で観たものとダブらせて読み返した。
その辺りどちらも史実に基づいているらしい。

小説の方にはマリー・アントワネットに瓜二つで
心底憎んでいる娼婦が出て来たり、
あのサド公爵や詐欺師カリオストロと登場人物が豊富で
ゴージャスしか見せなかった映画の物足らなさを埋めてくれる。

映画の方は音楽もなかなかいい感じだった。
今の曲がとたんに流れてきて、王妃がいきなり時代を超えて
今のワタシたちと同じ愛憎感情を持って生きる人間にみせてくれた。

読みかけの小説の方はふたりめに待望のお世継ぎを産んで
スェーデンの貴族フィルセンと恋に落ちそうなところまできた。

公式サイトにはロケは本物のヴェルサイユ宮殿で行われたとあった。
どこまでが映画のセットでどこまでが本物だったのか?
小説のシーンが観てきた映像で焼きなおされる。
映画の方のルイ16世は
もうちょっと不細工でもよかったんじゃないかしらん?とか、
勝手な感想を持ちながら、当分はマリー・アントワネットで楽しめそう。

武士の一文

2006-12-02 07:35:04 | 映画(DVD)

ものすごく久しぶりに映画を観る気になった。

「笑っていいとも」で
キムタクが『武士の一文』のポスターを紹介していた。

ここ数日
大きなポカ(考えても解決対処は月曜までできない)と
ムラムラと湧く怒りと
ココロ落ち着かない出来事が次から次。
ちょっと煮詰まっている

息子とアスペチック会話をしている内に、
今夜は落ち着いているみたいだし
気分転換に出かける気になった。

上映時間をネット検索していたら、本日1日はファーストデイ。
1000円で観られる日があるのに、
通常チケット代1800円はどうも気にいらない。

今から出て、ちょうどいい時間に『武士の一文』がある。
「笑っていいとも」刷り込み現象の頭にピンポ~ンと電球点灯。
観ることに決定。

藤沢周平の隠し剣秋風抄 のなかにある
『盲目谺剣返し』?(なんて読むの?)が原作らしい。

武士の一文ってなぁに?
譲られないプライドみたいなもの? 

一文あり。ルールあり。
バックボーンや制度、身の括りが細部までちゃんとした時代なので
なんでもありの今の世より、単純に筋が通せる。
息子がもし江戸時代に居たなら、
もっとスカッと生きられたかもしれない。

でもでも、
身分制度などない、女は人間以下のような
その昔でなく
今に在ってよかったと思うことを相反する思いも大きい。

どうなんだろう?

藩主のお毒見役30石の武士の貧乏ぶりが舞台。
ちゃんと箱膳が出てきたり時代考証にも拘って作ってある気がした。

照れたり軽口を叩くシーンは素のキムタクに見えた。
病気やつれのメイクが上手いなぁ~とおもったり
ジャニーズ系は踊って歌うだけでなく多才。
どうやって珠をみつけるのだろう?
磨き方かしらん?
映画を観ながらあらぬ方向で感心をしていた。

桃井かおりの老け役も、かっこいい年齢不詳から
すっかり年齢通りに見えた。

下種な話好きで押し付け親切が過ぎる
悪意がないと自分だけが思っている
悪意に満ちたこんなオバサンは
ワタシの回りにもイル、イル

下品なウワサを耳打ちする超本人自体の
心根の貧しさ、みにくさを追求されて怒るシーン。
日常にこうスカッと口に出して怒れたら…

まぁ~まぁ~
桃井さんのおせっかいおばさんが居なければ
妻の不貞を暴いて、果し合いを決行したり
妻の存在の大きさに気がつくという
ストーリー展開にならなかった訳で~

キムタクに釣られてふらふら観たけれど

考えたらこの手の剣豪小説、映画は夫好みだった。
私は剣さばきに見とれてストレス発散タイプでなかったっけ。

ちゃんと最後の離縁した妻との再会シーンでは

目鼻水がツーたらり

音、映像のトーンが落としてあって
全体がしっとりとして
四季の移ろいが綺麗だった。

と評論家っぽく言ってみたものの
最後のタロップには全国に渡っているロケ地におどろき

映画って作るの大変なのねと
館内を出て現実に戻ったら

次は『プラダを着た悪魔』観ようかな?と
目線はもう
まったく系統の違う映画の上映時間チェックをしていた。

 


出口のない海

2006-09-18 17:03:09 | 映画(DVD)

佐々部清監督の映画は4日間の奇蹟、半落ち等外れがなかったから
期待して封切を待っていた。

出口のない海』とはいったん乗り込んだら、
自分からは出てこれない回天の中から見た海だろう。

ちょうど夏の甲子園が終って、
今年のヒーローはハンカチ王子とか。

回天は大津島の記念館で本物を見たことがある。
窓もなく、
細くて長い鉄の弾丸の様。まさに鉄の棺桶。
誰がこんな残虐な兵器を考えたんだろう。
まっすぐに発進して敵にぶつかり爆破する機能以外に何も付いていない。

やたらに故障が出てきたし、
操縦も素人の寄せ集めの隊員には無理があったのは
事実の忠実な再現なのだろう。
実際に敵に到達して亡くなった人は少なかったと聞いた。

9.11の自爆テロは自分の意思であったろうか?
洗脳だろうか?
大空よりも暗くて冷たい海の底で
発射したらまっすぐにしか進まない、
中から外へ出るハッチもない
乗っただけで発狂しそうな人間魚雷は
空の特攻隊よりさらに悲惨で残酷に感じられた。

少し市川海老蔵さんがキレイすぎて
会話がリベラル過ぎて
そこに野球が介入する必然性もよく分からなかった。
原作ではどうなんだろう?

実際にあの時代に
回天に乗る事を拒否できたり
周りに人が居るのに「戦争に負ける」などと
口にできたのだろうか?

残念ながら
ところどころで作り物の感じがしてしまって
映画に酔えなかった。

実際に記念館に展示されていた
死んでいった人たちの手紙を読んだ時の方が衝撃が大きかった。

今週金曜日が夫の命日になる。
映画の後で墓参りにいった。
弔いの形は残された者の気持の置き所として必要なのかもしれない。

回天を風化させない事もまたしかりか・・・

 


UDON

2006-09-01 00:34:32 | 映画(DVD)
UDON - goo 映画
帰省した時に娘がおすすめと言い置いた映画。
キャストにユースケ・サンタマリアやトータス松本。
『踊る大捜査線』の本宏克行監督ときたら
レイトショーでも寝ないで観れそうな気がしたし、
今日は疲れてない気もしたし、
息子の機嫌もそう悪くない雰囲気だし
ちょこっと近くだし
リフレッシュ、リフレッシュと
20時から上映に間に合うように家を出た。

なんで、ひらがなで『うどん』でないんだろう?
などと思っていたらいきなりニューヨークから始まった。
ドタバタの定石を踏んだ笑いにしっかりはまりながら
ストーリーに引き込まれていく。
ちょっとしんみりシーンになったとたん
中盤、ちょっと寝てしまった惜しい
やっぱ・・・トホホ・・・
なにせ映画館の暗闇に反応して夜はまぶたが自然に重くなるらしい。

破天荒な展開、何があっても悪いようには転ばない話は安堵感と元気が湧く。
うどんがおいしそうだった。
さぬきうどんはシンプルに生醤油をかけて食べるらしい。
乾麺のさぬきうどんが我が家にストックされている。
こんどやってみようかな?
打ちたてでないとだめかしらん?

映画館を出る人が『うどんを食べたくなった』と
話しているのが聞こえた。
おもわず同じ思いの人がいると笑ってしまった。

ベタな話と言えばベタな話。
気分が軽くなり、うどんが食べたくなる術にかかる。
しあわせ気分になれたから
リフレッシュ大成功
観て良かったと思える映画かも?

お金のかかった映画ふたつ

2006-07-27 06:34:07 | 映画(DVD)

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

1作目がめちゃくちゃおもしろかったので、相当期待して行った。
海賊ジョニー・デップにまた会いたい気持も強かった。
しかし、なんで続く…で終っちゃうの

すっきりしない。
続きも観せて収益上げようって考えかしらん?
この手の娯楽映画は
会場が明るくなって、あぁ~スッとしたと思えなくては
入場料返してと言いたくなる。
続き絶対に観るけどね。

日本沈没

古い映画とは比較してみたくて、観に行った。
小松左京の原作も読んだ記憶がある。
現在にアレンジが効いていた。
女性が消防レインジャーだったり、首相代行だったり
安直に女の時代と言いたげで、
現実はまだまだの壱だから逆に引いてしまった。

2000年だったか2002年製造だったかの
深海潜水艇はもう古いと言う
設定にどきっ。
今使っているPCは2000年製造。
確かに相当古い感じ。買い替え時期。

潜水艇の名前が「わだつみ」で
まるで人間魚雷的人柱が日本の沈没を救うと言う設定は
戦艦大和だったり最近戦争励賛ムードが多い気がして
どうも気持が悪い。

全体に人のやさしみが溢れているだけに
なんだかなぁ~気分。
日本丸本体が右舵な昨今だけに
防衛庁の刷り込み現象ねらいかと深読みしたりして。

日本沈没は
地球温暖化、最近の異常気象と30年前と変らず先に危惧を感じる。

もう一回、原作を読み返している。
30年前と違って気力と集中力がないからか、途中で頓挫しているけど

お金をかけた映画は前評判の方がデカイし、
マスコミも煽る。
まぁ~ついつい乗せられて観てしまう訳だけど。


かもめ食堂

2006-07-02 23:50:55 | 映画(DVD)
かもめ食堂

幻冬舎

このアイテムの詳細を見る

↑原作は群ようこ。

キャストは小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ。
原作者もキャストもみんなみんな大好きな人たち。
予告を見てから、ずっと公開日を待っていた。

力まないで、自分を見失わない3人の個性が頼もしかった。

 やりたい事をしているのではなくて
 やりたくない事をしないだけ

そう言ってみたいし、そう生きてみたいけど、
そうもいかず、
せめて流されない自分でいようかなっと。

洋服や小物使いもさりげなくおしゃれ。
家具や家もカラフルな色使いに惹かれた。
フィンランドは森のイメージで
寒くて暗いイメージがあったけど、
自然に赤や黄色や空色が挿し色になって映えるのかな?
主人公の空色のスニーカーは軽やかでとっても彼女に似合っていた。
靴は黒と茶しか持っていない私も
1足は欲しくなった。

そうそう、
プールで泳ぐシーンでいきなりまったくメジャーでない
井上陽水の『白いカーネーション』の鼻歌が出てきてびっくり。
とあるコンサート会場で陽水が即興で作ったとかって
友だち数人でドライブ中、誰かが歌いだして
簡単な歌詞なので、覚えてしまったていた。
もう30年も前の記憶で、あれから聞いた事もなかった歌だった。
エンディングで陽水の曲が流れて、なんとなくスコンと落ち着いた。

思わず久しく行っていないプールへ行きたくなった。
なんでも簡単に影響を受けてしまう…

主人公が合気道を身につけているのも、
合気道歴6ヶ月の息子がいつも言う

 『無理のない自然な動き』

と彼女の生き方とオーバーラップした。

食堂のメインのおにぎり。
感化を受け易い私。
さっそく帰って息子に映画の話をしながら
おむすびを作ってやる。
息子の好みは『塩昆布』と『からし明太子』
結びを作る手のうごきは敵をさばく動きに似ているとか?
仕事の宅配受け取りで、お客さんからお金を受け取って、
領収とつりを渡す手つきもそうだと
実演して笑わせる。

コーヒーも人に煎れてもらうと一段と美味しいそうだ。
おむすびも作りたてを
ぱくぱくおやつ替わりに、息子は3個も食べた。

かもめ食堂には平凡な日常の幸せも置いてあるような

 誰かのために料理をする幸せ

普通の主婦感覚を失いそうな日常。
イカン、イカン


原作を求めて図書館に行ったら、貸し出し中。
本屋にもなかった。
ネット注文しようか?
図書館待とうか?

買って傍に置きたい本かもしれないし…
自然体で考えて決めようっと。

フィンランドが舞台でもちゃんと群ようこワールドだった。
猫の姿もちゃんとちょろちょろ。
猫を預かったからと言う理由で、日本へ帰らないと決断がついたり。
群ようこさんは同じ年。同じ猫好き。
ますますファンになった。


佐賀のがばいばぁちゃん

2006-06-10 17:42:05 | 映画(DVD)
原作は『もみじまんじゅう』のギャクで人気があった漫才コンビ…あれ?もう名前が出てこない
島田洋七の実話と聞いていたから、きっと抱腹絶倒なのかと期待していたら、最初からずっと泣きっぱなし。

原爆で亡くなった父親の身代わりに広島で生を受け、母ひとりの手で育てられていたが、小学4年の夏休み、母方の祖母のところへだまし打ちで里子に出される。お母さんっ子でまわりが言い出せなっかった。SLの車内でずっと泣いている。貧しくなければ…子の気持ちも、判断せざるを得なかった母親の辛い気持ちも胸に迫って、最初から、暗闇でバックの中のティッシュを探す。なんで目からだけでなく、鼻水まで垂れるんだろう

昭和30年の佐賀の風景はみんな貧しいけれど、人との関わりが濃い古き良き時代に見えた。私が生まれた頃になる。どんどん一億総中流を目指して、暮らしが豊かになるちょっと前。亡夫は昭和21年生まれ、団塊の世代だった。彼がよく語ってくれた風景を彷彿とさせた。死の一ヶ月前にたまたまテレビで『少年時代』を一緒に見た。井上陽水の曲とともに流れる映像を夫はとても懐かしいと言っていた。あれと同じ時代だ。

ががいばぁちゃんは磁石をいつも引きずって、鉄クズを集めて売る。夫も鉄クズを拾って小遣い稼ぎをしていたと言っていた。鉄クズを買い取る業者も珍しい存在ではなかったのだ。手押しポンプで何倍も水を汲んで運んで、風呂に水を溜めるシーン。あれも何度も聞いた話と同じ。だからだろうか?湯船からザァーっと湯をこぼすことが出来ない人だった(遠い目になる…)

ががいばぁちゃん語録がよかった。
以下、うろ覚えだけど…

『ケチはいかん。節約は大事。』
『暗い話は夜はしないで、昼の明るい時にする。』
『暗い貧乏はいかんが明るい貧乏は良い。』
『良いことはこっそりと相手に負担をかけないように。』
『いつもは買わないけれど買う時は一番高い良い物を買う。』

また、学校の先生や関わる回りの人たちがみんなあったかでまた涙をさそった。
ばぁちゃんの様な無骨なやさしさを最近、見ないような気がする。
子にべたべたの親とか、モノを与えてご機嫌取りのばぁちゃんじいちゃんとか、
我が身かわいさが先にあって、本当の親になりきらない親とか…

最後に流れた歌の歌詞

 テレビもラジオもなかったから よく話した~♪

物が豊かにになって、食べることより他にお金がかかるようになって、貧しさの質も変ってきたらしい。下流階級の本をぱらぱら立ち読みしたら、『下流階級はあまりお金のかからない娯楽を楽しむ』とあった。

それは、映画、コンサート、インターネット…
まるで私の生活のような

お金のある人々は、会員制のスポーツクラブ、海外旅行…
無縁です

ががいばぁちゃんちも洋七少年が中学生になった頃には水道が引かれ、水道代の集金を待ってもらうシーンがあったっけ。

うんと貧しい事情のある転校生がいじめに合わなかった時代と言うだけでも、夢ものがたりのような。洋七さん自身もが、がばぁちゃんのよい影響もあり、流れている血もあったかで、まわりまであたたかにしてくれるキャラだったかもしれない。また、いいことだけチョイスして記憶する術の使える人なのかもしれない。

そうそう、ちょい役の緒方拳。存在感がありました。あの豆腐売りは私の記憶にもある。いつの間に石油で作ったパックごとスーパーで買うようになったんだろう?

涙と鼻水で余分な化粧がすっかりハゲたので、無駄使いに繋がるウインドウショッピングもしないで、さっさと帰宅。無駄のない生活ダイエット、考えてみようかな?


明日の記憶

2006-05-20 08:22:28 | 映画(DVD)

出勤前に新聞で明日の記憶の映画評発見。
思わず我が身は大丈夫か?心配になった。

『博士の愛した数式』『折り梅』などの映画も浮かんだが、
何より、若年性アルツハイマーは私と同年齢で発症する。

数日前、これまた出勤前のせわしない時間で、半分しか観ていないが、
NHKの『生活ほっとモーニング』に当事者が出演されていた。

若年性アルツハイマーの恐ろしさは、
加齢の範囲だろうけれど、物忘れ、ど忘れ、記憶落ちの自覚があるから
もっとひどい状態進行が容易に想像できてしまう所にある。

ケアマネの仕事に翌月のケアプランを自宅に持って行って説明して、
印鑑をもらうのがある。
昨日、最後の訪問宅で、前月もだったけれど、

 印鑑はどこだ!?

どうも前月よりも認知症が進行されている。

 バカに成って

と、自分自身をなじられる。
物が分からなくなる自分はしっかりと分かるのだ。

レイトショーに間に合う時間に夕食が済んだ。
相変わらず食べたくない息子も気になるが、
明日は休みだと思うと、フットワークよく観に行く気になった。
せっかくのOFFに
どうしてこう仕事に直結しそうな映画を選ぶのかとも
思ったけど…

新聞の評を書いた人も
長谷川式の認知症テストのシーンでは
思わず自分もやってしまったそうだが、

ハイ!私もしっかりやりました^^;

100-7=93 それから7を引くと…
利用者ファイルに閉じこんである
お馴染みのテストだけれど、
私自身が受けた事はない。
う~む・・・認知症すれすれではないかと思われる。

『もの忘れ外来』は近辺にあったかな?
行った方がいいかしらん?
帰宅した私に映画好きな息子(自宅ビデオ専門)が

『どうだった?』

思わず、『コワかった。あっホラーじゃないよ。』と
答えてしまった。

映画の内容で、ひとつ予想に反したのは

『ずっとあなたのそばに居る』と言った妻が、
退職を余儀なくされた夫の代わりに働きに出て、
日中、病気の進行する夫を家に一人で置いておく辺り。

当然のごとく、妻には妻の世界が外に出来る。
今まで専業主婦で、家族の世話が仕事。
家の事が第一だった人間が、
退職前からお金が要ると行動に出るのは
元専業主婦の感覚からすると首を傾げたくなる。

働けないかもしれない発達障害の息子との自分の暮らしを思う時、
ガンの末期宣告された夫の看病の日々を思い返す時、

お金の事は後回し、ギリギリあれば良い、
なにより、一番に

 家族を見守る時間確保を考えた。

息子との暮らしが始まった時も、
まずはパート就労以外は考えられなかった。
昼に家へ帰る事が出来るから、登録ホームヘルパーを選択した。

仕事を辞めて、家にひとりぽつねんと居るアルツハイマーの渡辺謙の演技。
だんだんと精神荒廃がすすむ感じがよく出ていた。
退職の日に会社を振り返る頭の薄さ。
確か二枚目の役者さんだったと、
もう一度思い返したくらい役にハマッていた。

遅く仕事疲れて帰宅する妻との諍い。
働ける妻、養ってくれている妻、
疲れさせているのは自分だと思うのか?
また、
ふがいない自分が責められるのか?

我が家で繰り返される息子と母のシーンのも似ていたなぁ~

家に居てすることがない。
社会との接点が少ない。
ひとりぼっち…

夫だったら、私はこうやってフルタイムでは働いていないだろう。
記憶がなくなるまで、とことん二人の時間を持つと思う。

息子の場合、成人した息子の場合、
逆に、私の手厚い保護はマイナスかとも思う。
一人の道を生きていってもらうためにも私は専業主婦を降りた。

私自身は、夫の死が訪れてから後になるまで、
学業途中の子供が2人も残される事が分かっていても
実際、お金の心配は頭を占めることが出来なかった。

だんだんと死に向かう、一気に老いてゆく
夫の傍を離れる事すら考えられなかった。
彼にさびしい思いは絶対にさせたくなかった。
病院の行き届かないところは私がカバーしなければと、
それしか思わなかった。

映画のストーリーでは
ちゃんとした企業を退職して、退職金もある。
子供は巣立ってお金も掛らない。

夫が働けなくなるからと、在職中から
すぐに経済状況の方へ、思いが至る妻に共感ができなかった。

夫は夫で降格、窓際になって退職金減額になっても、
娘の結婚式までは会社人間、職のある父親で居たいと言う。
娘のため?
世間体のため?
自分自身のケジメだったのかな?

残された時間が少ないと分かったら、
もっと自分のために貪欲に使えば良いのにもどかしかった。

最後の25年連れ添った妻を忘れてしまうシーン。
回避できなかったのは、
公言した『ずっとあなたのそばに居る』
を守らなかった所為ではなかったか?

友だちでずっと独身の職場のオーナーが認知症専用の施設パンフを渡す時に言う

『自分の時間を持ちなさいよ。』

コレを後回しにするのが、専業主婦感覚かもしれない。
一旦、激しく拒否してから、やっぱり受け取ってしまう逡巡。
妻役の彼女を責められはしないけれども、
働く時間を持つと、自分を取り返す時間が欲しくなる。
これは私自身にも今、湧き出てくる思いで
ふ~む・・・そうなるのか?と我が身を観察中。


『専業主婦なんて、理屈ばっかり言って高校生より使えない。』

就職依頼のシーンで、きっぱりと言われていたが、
家族のためだけに心砕く生活で培われた感性は、
残念ながら、社会人としては邪魔らしい。
まるで、私に言われている様で、
しかも確信を突いていてズキンときた。

50余年生きて来て、
20年ぶりの専業主婦から社会人の世界への転換は
正直、カルチャーショック。

視野が狭いと言われようが、常識欠如と言われようが、
愛する人々へ寄り添う事、
自分より家族を優先して生きてきた時間をむだとは思わない。

仕事一筋からアルツハイマーで仕事ができなくなった時、
この人の生命は終ったわけではない。

ほんとうに寄り添って
夫婦で、それからの人生を模索する
もう一つの物語展開が考えられなかったか?

あの及川○○(記憶が危うい)が医師役と言うのも異表を突かれたが
このセリフはキマッてた。

 人の体は滅びに向かっている

アルツハイマーもまた死へのプロセスのひとつ。
特別なことではないのかもしれない。

老いから死へ。遅かれ早かれ誰だって避けられないコトなのだ。
50代で末期ガンで逝ってしまった夫。
痛いとこだらけの不自由な体が長く続く私の利用者さんたち。

いつだれがどうなるのか誰にも予測がつかない。
生まれ落ちた時から、死に向かっている事だけは確実。

せっかくだから笑って、
いい日一日を重ねたい…と
思うことは思う…
尻つぼみ…




 


 


チェケラッチョ!!

2006-05-08 06:53:49 | 映画(DVD)

当分、休みがないから映画でも?
何を観ようかな?
うんと気持があかるくなるような?

ちょっと下調べするとウオーターボーイに出てた配役で、
舞台が沖縄で、高校生がバンドに挑戦。
ウオーターボーイもスイングガールも似ているかも。
笑っているうちに前向き気分にさせてもらえそう。
よし!コレに決めた。

 おー観客が若い。

開演前の聞こえてくるおしゃべり口調が、

マジ!マジ!等々

常日頃、周りで聞かないノリ。
中高の教室が移動してきたみたい。
ポップコーンのかおりもいつもよりキツイ。
なんでも食べれる元気な世代が集結している。

チェケラッチョ!!

Check It Out Yo のことだそう。
陣内孝則扮する父親が調べたら

 自分は自分でいい

みたいな意味だと言ってように思うが…
観客の親世代にあたる所為もあるのか
親たちやガレッジセールなど脇役キャストに目がいった。

ORANGERANGEのラップ。
かなり歌詞は前向きで言ってしまえば説教くさい。
こう言うノリでこんな歌詞に酔う若い世代なら未来は明るいかも。

気持はハレバレ。予想は裏切らなかった。

高校生から見ると25歳は充分大人なんだなぁ~
親世代は化石と言われてもしかたないか。
当人たちは無関係と思っている
超高齢者をこれから支える世代でもあるなぁ~
と無関係な感想も頭をよぎった。

おばさんはどこまでも若い観客とは違う目線な気が…

ナビィーの恋にしても、沖縄が舞台の映画は予想を裏切らない。
ふたりで行く予定が果たされなかった沖縄へ。
夫没後、ひとり旅に踏み切れたのは
あたたかく迎えてくれる友人が待っていてくれたからと
あの時の景色も気持よみがえった。

また、沖縄へ行ってみたいなぁ~

 

しかし、映画館にちょっとぶつくさ言いたい。
シニア割り引きや障害者割りは分かるよ。

 夫婦割りって!

こう言う割引に該当しない寡婦はものすごく腹が立つ。
離婚してひとりで子連れがんばっている人もいる。
そう言う人たちには
働きたくても臨時やパート職しか見つけられない人もいる。
つまらない差別割引をしても採算がとれるのなら、

 一律に値段を下げろ!

海外旅行にもゴルフにも金銭的に無縁で、
ひとりでちょいと楽しめるのが映画なんです。

 どうぞ、よしなに

 



 

 

 

 


ナルニア国物語

2006-04-08 00:28:25 | 映画(DVD)
仕事から疲れて帰えると、
あいかわらず息子は部屋にこもったきり動いた雰囲気がない。
夕食に誘っても『後で。今、いい』と予想通りの返事。
ひとりで、もそもそ食べて、
何となく仕事の失敗など頭に浮かぶ。
息子にも何か言いたくなる。
イカン、イカン。

う~んと、アタマを切り替えたいと、映画のレイトショーに出かけた。
チケット売り場で、どれを観ようか悩んでいると、
ちょうど『ナルニア国物語』の時間が近かった。
字幕が良かったけど、吹き替えの時間がすぐ。
子供だましかしらん?
と、ちらっと思ったけれど、
何にも考えたくない気分転換にはいいかもとチケット購入。

どうして、どうして、
いきなりイギリスの空襲シーンから始まった。
一瞬、上映の部屋を間違えたかと思った。
イギリスにも防空壕や疎開があったのを知らなかった。
疎開は大きなお城のようなお屋敷であるところが日本の悲惨さとは違うけれども。

原作があるのだろう。
ストーリーがしっかりしていた。
悪も裏切りも死も。子供だましではなかった。
魔法の国には魔法の国のルールがあるあたり、
時間泥棒のモモの話をちょっと思い出した。

戦闘シーンも大迫力。
特撮も自然で良かった。
冬の魔女のイジワル気な迫力に見入るあたりは大人の目かも。
絶対に良い人が勝つ安心感もあり、充分にリフレッシュ効果があった。
レイトショーなのに寝なかったから☆5つ。
続きが早く観たい。

子ぎつねヘレン

2006-03-21 00:24:12 | 映画(DVD)
子ぎつねヘレン - goo 映画

相当古い映画でキタキツネ物語 THE FOX IN THE QUEST OF THE NORTHERN SUN - goo 映画を思い出して封切を待っていた。子ギツネが夏毛になるまでふわふわでころころで北海道の大草原で無邪気に遊ぶシーンにゴダイゴの歌がとても合っていて、当時レコードでサントラ版まで買っていた。

目も見えず耳も聞こえない子キツネと言うことで、病気の話は映画で観るのは堪忍してと思う方なのだけれど、昔の映画を思い出しキタキツネの子供の可愛さ観たさが足を運ばせた。少しお子様向けな演出が気になったけれど、中途半端でない愛情を上手く感じさせてくれた。鳴けないはずの子キツネがお母さんと認識した太一少年を恋うて呼ぶ声を発する。動物にちゃんと伝わる愛情はペットを飼っている人なら良く分かる。飼う責任が動物の殺生、幸不幸、一切に関わる。本当のところ、人間界には子育てより自分大事の動物的本能を忘れた母親が増えている様な気がするけれど。欠損家庭同士の再婚。親子と言うより友達感覚の親子。人間界の愛はややこしい。映画が終って鼻水を噛んだティッシュをゴミ箱へ捨てている人、何人か見っけ。キタキツネの子はやっぱり予想を裏切らず可愛かった。

県庁の星

2006-03-20 23:49:03 | 映画(DVD)
県庁の星 - goo 映画

予告を見てたくつしなさそうなドタバタが期待されて観る気になった。水戸黄門よろしく題名とスーパー派遣の予告シーンだけで、ストーリーが想像出来てしまった。織田裕二の県庁マンは実にはまり役。私自身三流スーパー「満天堂」に近い所で半年働いた経験があるけれど、原作が漫画と言うこともあって、ちょっと現実離れし過ぎか。でもこのぐらい賑々しい展開が話をおもしろくしていたのだろう。公務員のこき下ろしは民間人の好むところであるけれど、営利目的で働いた事のない人は確かに頭が高いまま高齢を迎えられる。ヘルパー派遣で最も嫌われるのが、元女教師。現役県庁マンさんはコレを観てどんな感想を持たれただろうか?予想を裏切らず笑えた。県民のみなさまの税金で賄われていたおいしそうな職員用コーヒーがラストでは100円自腹と言うささやかな改革が、上意下達、前例主義のお役所改革らしくって、なかなか現実味があった。