給食当番の時のことです。当番は五人一組で、それぞれ一人一つずつ、お盆・食器・
パン・おかず・牛乳と受け持ちます。そのなかで、皆が受け持つのをいやがるものが
ありました。「おかず」です。子どもたち一人一人の器に、おかずを均等に入れるのが
難しかったからです。もちろん、夢も例外ではありません。なるべくなら、受け持ちたく
ありませんでした。しかし、先着順で遅れをとり、結果的におかずの受け持ちの日が
多くなりました。ジャンケンで決めることにしても、勝った人から好きなものを取って
いくので、負けることが多かった夢は、結局、おかずの受け持ちとなって
しまうのでした。夢は、おかずの受け持ちになった時、何とかみんな同じ量に
なるように必死になって、器におかずを入れていきました。それでも、多少の違いは
でてしまいます。そんな時、何人かの子が、「おかずの具が偏って入ってる。」「量が
前の子より少ない。」などと、いろいろ文句を言ってきました。ある時、一人の子が
先生に、「先生、夢のおかずの入れ方が、其の時によって全然違うよ。公平じゃ
ないよ。」と言いつけました。それを聞いた先生は、「だめじゃないの!なんで同じに
入れないの。自分がそうされたらどうするの。」と、『本当にだめな子ね。』とでも
いうように、きつく夢に言いました。みんなの器に均等におかずを入れるのに、夢が
どんなに気をくばっているか、その場の状況を見ないで、一方的に夢が悪いと
決めつけた言い方でした。夢は泣きたくなりました。クラスの子たちだけでなく、
担任の先生も、自分を疎ましく思っていることがわかったからです。