「だめだよ、浮くだけじゃ。やっぱり二十五メートル泳げなくちゃ。夢ちゃん、一所懸命
練習した?」
六小は、夢の反応におかまいなしに、話し続けます。
「ね、ちゃんと練習して、卒業までには二十五メートル泳げるようになって、わたしに
見せてよ。」
夢は、その言葉に、
「勝手に決めないでよ。二十五メートルって結構大変なんだから。」
と、ますますご機嫌ななめになってしまいました。しかし、そんな夢の気持ちに
気づいていない六小が、
「だから、一所懸命練習して・・・・・」
と言いかけると、夢は、その言葉を途中でさえぎって、
「うん、もう、うるさい!だいたい六小さん、この前わたしに何て言った?一所懸命
練習してもできないものはしようがない、って言ったじゃない。練習しても
できないんだもの。もう、いいでしょ。」
と言い、プイと横を向いて完全に怒ってしまいました。六小は、夢の激しい言い方を
聞くと、ペロッと舌をだして、
「あ~あ、夢ちゃん怒らせちゃったかなあ。まずかったかな。でも、わたし、これでも
がんばって励ましているつもりなんだけど・・・・・・」
などと独り言を言って、きまりわるそうにしていました。