夢へのいじめは、まだあります。夢のクラスでは、毎朝先生が教室に来るまでの
時間、班ごとにまとまり、各人がお互いに忘れ物していないかなど、いろいろ
チェックしあい、チェックの結果、一つでも評価の悪かった人は、罰として校庭を
走って三周しなければならない、という決まりがありました。各班には、先生から
班ノートが渡されていて、班長が、各人の評価を記入したノートを、毎日先生に
見せることになっていました。先生は各班のノートを見て、子どもたちの様子を
判断していたようです。夢は、必ずといっていいほど悪く評価され、毎日のように
校庭を走っていたから大変です。先生は、夢の班のノートを見て、更に、夢のことを
よく思わなくなったのでした。夢の母親に、「夢はわがままで、みんなとの協調性が
ない。性格もきつい。家庭で、もう少しきちっと教育・躾してほしい云々。」という
手紙を出しました。しかし、手紙に書かれた夢の性格は、事実とは違って
いたのです。夢の母親はすぐに、手紙に書かれていることは事実とは違う、と手紙で
先生に反論しました。それ以降、先生は夢に何も言わなくなりました。が、やはり、
夢のことはよく思っていませんでした。夢は校庭を走ることはなくなりましたが、
仲間はずれにされる日々は続きました。班替えの時はどこの班も入れてくれず、
一人所在なくぼーっと立っていました。やがて、夢が一人ぼーっと立っていることに
気づいた先生が、「あら、まだ班が決まってない子がいるじゃないの。
仕方ないわね。あなたたち、かわいそうだから入れてあげなさい。」と、一つの班に
言いました。名指しされた班の子たちは、先生に言われたので、ほんとは
いやなのに、「は~い。」と返事して、しぶしぶ夢を入れたのでした。校外学習の
社会科見学の時も、夢はお昼を一人で食べました。夢は、本当に一人ぼっち
だったのです。