前回の記事で、江戸時代の登場人物がどうして猫の、そして他の動物の水の飲み方の違いを知っていたのかな、と書きましたけれど、でも半分は、意外ではない気持ちもあります。
それは、ドガのエピソードのせい。
今、まだ横浜の美術館で《ドガ展》開催中かと思いますが、そこでの目玉は『エトワール』。バレリーナの一瞬の跳躍を描いた一枚ですよね。
でも、彼にはたしか、疾走する馬を描いた一枚もあったと思います。
そして、こんなエピソードがあるのです。
競馬場行きの電車の中で、ドガは数人の男のグループと話をした。
賭けに興味がない、という彼に、男たちは不思議がったり呆れたりして、「じゃあ、競馬場に行って何をするんだい」と聞いた。
するとドガは含みのある笑い方をし、「私が何をしに行くかはわからないだろうな」と謎めいたことを言う。
さては警察の旦那かと、後ろめたいことのある男たちは途中で汽車を降りてしまった。
でも実際は、ドガは馬の疾走する脚を描きに行ったのです。
何たる動体視力!まさに高速カメラなみです。
世界史こぼれ話 1 (角川文庫) 価格:¥ 275(税込) 発売日:1973 |
このエピソードに出会ったのはこの本。(の、1~4巻のいずれか)
絵描きの眼ってすごいんだなぁ、と思った逸話でした。