あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

愛に潜む罠。

2010-08-11 23:20:18 | 本(ホラー・サスペンス)

ペット・セマタリー〈上〉 (文春文庫) ペット・セマタリー〈上〉 (文春文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:1989-08
この本は半年ほど前に、ネットの古本屋さんで買いました。

昔のスティーヴン・キングの未読作品が読みたくなって。

けれど春に18歳だった猫を見送ってから、しばらくこの作品を読むのは無理かもしれない、と放置していました。

けれど最近、そろそろ大丈夫かもしれない、と手に取ってみたのです。

もちろん、やはりつらい作品でした。大切な存在を失って、なんとか帰ってきてくれないだろうか、と思う時期には、本当に身にしみて切ないです。

けれど一方で、予想したほどの迫力は無い気もしました。

もちろん、映画化作品をすでに観てしまっていて、結末がわかっている、ということもあったのですが。

前半部が饒舌すぎるように感じたのです。もちろん、この部分が細部まで書きこまれているからこそ、クライマックスのせつなさ、怖ろしさが際立つのかな、とも思ったのですが。

最終的なクライマックスシーンは、あっけなく感じました。でも、まったく物語がどこに落ち着くか分からない状態で読んだら、これで良いと思ったのかな?やはり、内容を知ってから読むのは驚きは半減しますね。反省。

それにしても、スティーヴン・キングは、人が触れてほしくないところ(あるいは見たくないものを)を赤裸々に描く作家だと思うのですが、これは愛によって人は愚かなことも、怖ろしいこともする、ということを描いているのが、刺さったままの棘のように、しばらく心にひっかかっていました。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小さきものにときめく。 | トップ | 不謹慎にもつづきが気になる。 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
この映画の主人公が好きな俳優だったので(ミーハ... (ねねこ)
2010-08-15 10:39:04
この映画の主人公が好きな俳優だったので(ミーハー…)観たかったのですが、猫が死んで~という内容に挫折しました[E:shock]
ホラーとか猫が登場するかどうかチェックしないと見られません…本とかも猫の追悼とか絶対ダメな心の弱い私。犬とかなら全然平気なのに(酷い[E:sad])
返信する
私も、動物ものには比較的弱いです。 (雨ふり猫@管理人)
2010-08-15 23:08:51
私も、動物ものには比較的弱いです。
あるミステリで馬が死ぬシーンが出てきたとき、とても嫌でした[E:despair]
もちろん猫はもっと嫌なのですが、でも私は比較的、フィクションとして受け入れられる方です。
(そんな私でもこれはダメだ~[E:shock]というものもありますが)
この本は、かなり覚悟して読んだので思ったほどのショックはありませんでした。
けど、ねねこさんにはおすすめできません[E:coldsweats02]
映画も同様です~[E:sad]
返信する
ご無沙汰しております[E:confident] (エラティト・シン)
2010-08-19 11:58:25
ご無沙汰しております[E:confident]

もう随分前に、この映画が公開された後に知人とした会話を思い出しました。
知人は、既に小説も読んでいて、基本設定を説明してくれたのです。
で、ワタシが…[E:coldsweats01]
「でも、埋められた死者が、以前と全く変わりない状態で帰ってくる、ってのも怖いですよね。…いや、以前より“良い人”になって帰って来る方がもっと怖いか…[E:coldsweats01]」などと、茶化してしまいました[E:coldsweats01]

今に至るまで、小説も読んでなければ、映画も観てませんが[E:coldsweats01]

切ない思いがベースになっている(んです、よね?)物語に、えらい不謹慎な事を言ったかも[E:coldsweats01]、とちょっと反省…[E:coldsweats01]
返信する
シンさん、ご無沙汰しました。 (雨ふり猫@管理人)
2010-08-20 00:02:24
シンさん、ご無沙汰しました。
切ない思い、というか、愛のなかにも狂気があるんだ、と、ニーチェみたいなことを呟いてしまいそうなテーマだと思っています。
この物語の話を母にしたら、ホラーはすべからく苦手な彼女が、「気持ち、ちょっとわかる」と言ったのは、やはり愛猫を失って間もないからでしょう。
そういうときには、身につまされる悲しい恐怖小説。
でも、シンさんの発想も面白いと思いました。
フツーに帰ってきても、良い人になっても、なんだか奇妙に怖い気がしますね[E:shock]
返信する
随分昔に、ある友人がビデオを観せてくれた、アメ... (エラティト・シン)
2010-08-24 15:10:57
随分昔に、ある友人がビデオを観せてくれた、アメリカ映画「コクーン」に、こんな件りがありました…

老人ホームの隣にあった廃屋のプールに、昔宇宙人が墜落し、繭形に自分を変形させて、仲間を待っていました。
その繭には、地球人の老化を止める、もしくは若返らせるパワーがあり、老人達はそのパワーの恩恵に与かります。
しかし、老人達の仲間のある男性は、それを信じなかったのでした。
一緒に入所していた妻が死んだ時、彼は初めて宇宙人に、妻を生き返らせてくれ、とすがるのです。
宇宙人は悲し気に黙っているだけ…

宇宙人達が地球を去る日、老人ホームの人々は共に地球を去る事にします。
ただ一人、前述の老人を除いて…

「君の奥さんは、もういないんだぞ?(だから、私達と一緒に行こう)」
そう言葉をかける仲間に、私は…

「分かってないな~[E:coldsweats02]奥さんがいないから、何処へ行っても同じだから、ここに残るんじゃないか[E:weep]」と…
愛する存在がいなければ、長命を、もしくは永遠の生命を約束されても、当人にとっては地獄でしかない…
愛も生命も、また人間の記憶も永遠でないから、救われる部分もあるかもしれませんね…
返信する
私自身は、『コクーン』を観ていません。 (雨ふり猫@管理人)
2010-08-24 23:37:36
私自身は、『コクーン』を観ていません。
でも、公開当時この映画を友人が絶賛していたのを、懐かしく思い出しました。
その頃私たちはまだ“女の子”と言っていい年齢だったけど、今から思うとシブい趣味ですね。
彼女とこの映画についてちょっと話したくなりました[E:confident]
返信する

コメントを投稿

本(ホラー・サスペンス)」カテゴリの最新記事