あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

来世で言ってみたい。

2009-12-13 23:49:48 | 本(エッセイ・ノンフィクション他)

巴里の空はあかね雲 (新潮文庫) 巴里の空はあかね雲 (新潮文庫)
価格:¥ 460(税込)
発売日:1987-03
昨日スマステーションを観ていたら、岸恵子さんが出演していました。

“へぇ~、バラエティーにも出るんだ”と思いましたが、映画の宣伝だったのですね。

岸恵子さんは憧れの女性の一人ですが、美しさ、生き方以外に、すごく羨ましいな、と思ったことがあります。

それが、この『巴里の空はあかね雲』に出てくる、岸さんの言った言葉なのです。

この本は岸恵子さんの自伝的エッセイなのですが、彼女がイブ・シャンピ氏と結婚してフランスに住んでいた頃のある夜、別の男性から軽く口説かれるんですね。

月を眺めながら、若いシナリオライターだったかな、その青年が“月が美しい。そして、あなたも”みたいな、いかにもフランス男らしい(注:私の偏見)台詞を言います。

すると、岸さんは鋭く切り返すんですね。

“あんたに言われなくったって、自分が美しいことは知ってるわ”

読んだときは、“格好いい!ほんとの美人しか言えないセリフだ。私の人生には残念ながら縁がないな”と思いました。

もちろん、人妻の自分を口説く図々しい男に対する切り返しですから、岸さんがどこまで本気で言ったかは分かりませんが、でもやっぱり美女でなければ格好のつかない言葉。

今までもそしてこれからも、それどころか前世でもたぶん私は言ったことのないセリフなので、なんだか羨ましかった。

しかしこのあと、岸恵子さんにはほろ苦く辛い、人生の一大事が起こります。

それでも、凛と輝くひとつ星みたいな彼女に、やはり憧れてしまいます。

この本の中のエピソードの、大半は少し、ほろ苦い。裏切りも別れも、切ない時の流れもあります。

けれど、美しいひとの勇気ある生き方は、ほんのりと胸に響いてくるのです。

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4 コメント

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岸恵子さんというと、山田太一さん脚本のドラマを2... (エラティト・シン)
2009-12-14 21:48:00
岸恵子さんというと、山田太一さん脚本のドラマを2本思い出します[E:confident]

1本目が、『沿線地図』
若い男女が、親に黙って同棲を始めた事から始まる、2組の家族の対立、交流を描いたもので、児玉清さん・河内桃子さんの、銀行支店次長の一家に対し、岸さんは下町の電機店のおかみさん(夫は河原崎長一郎さん)でした。
「お客さんに言われて、しょうがなく、屋根に登ってアンテナ直しましたよ!」なんて台詞もありました…途中、児玉清さんと、こっそりデートみたいな事をするシーンもあって、やっぱりさすがに、いい雰囲気出してましたね[E:confident]

もう1本は『夕暮れまで』夫が仕事の為に単身生活を始めた事から、岸さん扮する専業主婦の生活に、あるロマンスが生まれそうになる、というもので…
夫は佐藤慶さん、舅が笠智衆さん、息子が佐藤浩市さん、そしてロマンスのお相手が、米倉正斉年さん…
クライマックスは、岸さんを巡って、佐藤さんと米倉さんの殴り合い[E:sign03]
「あんまり、かっこいい殴り合いじゃなかったなぁ…[E:coldsweats01]」と言う岸さんに、「贅沢言うなよ[E:think]」と返す(勝者の)佐藤さん…[E:happy01]
フランス男の口説きには全くもってかないませんが、こういうやり取りの方が、しっくり来ますね、私は[E:coldsweats01]
返信する
そういえば、私は岸さんの昔のドラマをあんまり知... (雨ふり猫@管理人)
2009-12-14 22:29:59
そういえば、私は岸さんの昔のドラマをあんまり知らないのでした[E:coldsweats01]
でも、日本男子はあんまりこじゃれたセリフを言わない方がかえって素敵ですよね[E:confident]
以前NHK教育のフランス語講座を見ていたら、スキットに恋愛映画が使われていました。
夫がありながら若い恋人を持ち、だけど一線は越えない女性がヒロイン。
ところが恋人に突然旅行に行こう、と言い、恋人の方は、急な進展に喜んだり戸惑ったり。
するとヒロインが言うんですね。
「だからといって、貴方に何もかも許すわけじゃないのよ」
私は思わず画面に向かって言いました。
「フランス語が分からない以前に、フランス女の気持ちが分からんわ[E:angry]」
アムールの国の住人には敵いませんわ[E:catface]
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そ、そりゃ本当に理解出来ない思考回路ですね[E:co... (エラティト・シン)
2009-12-15 20:06:36
そ、そりゃ本当に理解出来ない思考回路ですね[E:coldsweats01]

もう10年以上前になりますか…シャネルの男性用香水の“エゴイスト”の発売CMって覚えておられますか?
窓の沢山ある石造りの建物があって…その窓がランダムに開き、それぞれ雰囲気の違う女性達が窓から身を乗り出して、口々に「エゴイースト!」「エゴイースト!」と叫ぶCM…

同じ頃に買った、香水特集をしていた雑誌に、このCMについて書いていたコラムがありました。

『…奔放なようで、実は一途なフランス女性は、男のわがままにいつも泣かされている…このCMは、そういうフランス女性の気持ちを代弁している…』んだそうで…ホントか[E:sign02]って気もしますが…

しかし、人間には幾つもの顔がある[E:confident]
考えてみると、テキストに使われた恋愛映画のヒロインも、夫の事を考えているからこそ、ホイホイ一線を越えない訳ですもんね…[E:confident]でも、結局、若い恋人と、一線越えちゃったんでしょうかね、そのヒロインは?
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フランス語講座を見るのは三日坊主で終わっちゃっ... (雨ふり猫@管理人)
2009-12-15 22:02:31
フランス語講座を見るのは三日坊主で終わっちゃったので、どうなったかは知らないのです[E:coldsweats01]
いいかげんですみません[E:bearing]
エゴイストのCMは覚えています。そいう言う意味があったのか……[E:coldsweats02]
CMはわりと好きで、お洒落なものや面白いものは印象に残ります[E:confident]
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