古代ローマで使われた薔薇製品は、シシリーのローズワックス※1、ローズオイル※2、ローズワイン※3が殆どで、生の薔薇はR. canina の花びらに限られています。
アピキウスの中には生の薔薇の花を使ったレシピが例外的にありますが、そのほとんどは薔薇の香りを生かした加工品です。アピキウスから2例引用しておきます。
※3ローズワイン https://www.gettyimages.co.jp/detail/写真/rose-wine-alfresco-ロイヤリティフリーイメージ/157619922
ROSE WINE [1] ROSATUM
『ローズワインを作るには、薔薇の花びら、下の方の白い部分は取り除き、亜麻袋に入れてワインの中に7日間浸す。古い袋を取り出し、新しい花びらの入った袋を入れて7日間漬す。7日経つと古い袋を取り出し新しい花びらの入った袋を入れる。7日後にもう一度古い袋を取り出し新しい花びらの入った袋を入れる。ワインを漉し器で漉す。提供する前に蜂蜜を加え、味を調える。露の付いていないきれいな花びらだけを使う事に気を配る。』
[1] 『下剤として、薔薇のワインとバイオレットの花びらのワインを混ぜたものはよく効いた。』 と JOSEPH DOMMERS VEHLING 訳によるアピキウスには注意書きがありますが、これは花びらに含まれるソルビトールの作用によるものです。
現在ローズワインを作るには2種類の方法があります。一つは上のようにワインの中に薔薇の花びらを入れる方法。二つ目は薔薇の花びら自身をアルコール発酵させる方法です。