値頃感によるFXのトレードは最も避けるべきことの一つとされている。主要通貨に限ってのことだが、もし或る通貨ペアが10年来の高値圏や安値圏に位置している場合はどうであろうか。
前にもちょっと触れたが、Linear Regression(以下LR)というインディケータがあって、このツールは現在の価格が過去10年間の相場の中で、どの位置にあるかを教えてくれる。
添付画像はAUDUSDのチャートにLRを表示させたものである。よく見るとLRは全体として右肩上がりのチャネル内にはあるが、5月5日現在の価格はチャネルの底から14.18%のところまで下落している。画像には出していないが、USDCADは88.5%とこちらはチャネルの天井に近いところまで上げている。昨年の6月に125.85を付けたUSDJPYは、チャネルのほぼ天井100%(125.85)にあって、その後下げに転じ、本年1月にはチャネルの中心50%(98.90)で底を打った。
月ベースで5年間も勝ち続けている友人は、昨年の円安局面ではこの時を見逃さなかった。LRが相場の天井に近いことを教えてくれていたからである。相場が122.50に達したころから逆指値によるUSDJPY売りのトラップトレードを開始。天井の125.50を最上位トラップとしてロット$2,000、トラップ幅は25銭ということであった。そして115.00で全ロットを決済したということである。(下図)
その際の仕掛けをMetaGenicFXで紹介しているEA、TrapTradeSystemで再現してみよう。このEAは主としてトラリピとして利用されるが、逆指値によるトラップ取引にも対応している。既存のトラリピEAで逆指値対応型であれば、それを使っていただいて差支えない。
ダイアログボックスの中身を簡単に説明すると:
Lots:0.02 // 各$2000の逆指値オーダー
Positions:50 //トラップの数
BuyTrapはfalse、SellTrapはtrue、LimitAndStopOrderはfalse、逆指値のみのオーダーであるからStopOrderOnlyをtrueにする
OpenPrice:125.50 //売りトラップの最上位となる価格
TrapIntvl:25 //トラップ幅は25ピップス(25銭)
TakeprofitPips:0 // トラリピではないからゼロとする
StopLossPips:0 // 逆指値で含み損は持ちにくいので、原則入れない
StopTriggerPips:25 // ここでは現値があるトラップまで上げた場合、その一つ下のトラップ(25pips下のトラップの価格)に売りの逆指値オーダー
OrderRangePips:200:// 現値から乖離した差し当たり必要のないオーダーを出さないため、現値から200pips以内のオーダーのみを発注させる機能、デフォルトでは300
MAGIC:1000 // マジックナンバー、同一通貨ペアで複数のEAを稼働させるときは、マジックナンバーは100番程度離した数字を使う
UseTrailingStop:false // トレイリングストップを使う場合はこれをtrueにするが、ここでは使わないのでfalseのままでよい。また半自動(VPSを使わない)の場合は、そもそもトレイリングストップを使わないTrapTradeSystem版を選択される方がよい。
現値が122.50手前でEAを稼働させたとすると、現値が同価格を付けた瞬間、122.25の逆指値売り注文が発注される。自分のパソコンで運用する場合、パソコンのスイッチを入れた際には、相場が123.00を付けていたとしても、EAが欠落している122.25等の売り注文を発見して、自動的にその注文を発する仕組みである。
通常ではこのように将来価格に基づいた待機注文は出せないが、MT4ではこれが可能となるのである。逆指値待機注文の優れたところは「トラリピは逆指値がお得」で詳しく述べた。上記の例で、たとえ、相場が127.00になったとしても逆指値の売り注文が残るだけで、ポジションはなくしたがって含み損もほとんど発生しないのが原則だ。
USDCADとAUDUSDは各々天井と底に近い。私も虎視眈々と市場参入のチャンスを待っている。
(注)LRのインジが見つからない場合は、metagenicFXのお問い合わせ欄からメールしていただければ、お送りします。