















我が家の子供たちは結婚してからも、実家の元自室を物置代わりにしていた。
娘は39歳まで家にいたから、置いてある物の量ときたら半端じゃない。
お陰で私は、自分の断捨離以外にも処分しなければならない物があるのだ。
だいぶん整理したのだが、まだまだ・・・。
このことはさておき、本の話に戻ろう。
娘の読書の好みは母親の私に似ていた。
私が読んで面白いと思う本を彼女に回すと、大概は面白かったと感想が返ってきた。
娘が逝ってから、部屋を整理していたら椎名誠氏の著書がたくさん出てきた。
中にはサイン入りの本や椎名氏を囲んで娘の友人たちと撮った写真まであった。
可成りの椎名誠ファンだったようだ。
娘に、こんなミーハーな部分があったとは驚きであった。
それなりに人生を楽しんでいたようで嬉しくも思う。
『菜の花物語』 は、題名に惹かれて読んでみようと思ったのだ。
今日、パラパラとページを捲ると、ピンクの名刺大のカードが挟んであった。
よく見ると、ロンドンの地下鉄のチケットのようである。
1993年10月19日 木曜日のチケット。
遡ること、21年前、娘が27歳の時だ。
当時、確かに娘はロンドンに行っていた。
ロンドンに留学していた友人を訪ねて行ったように記憶する。
イギリス好きの娘、大学時代から入れて何回目かのロンドン行きだった。
娘はこの本 『菜の花物語』 を旅のお供に持って行ったのであろう。
奇しくもきょう、娘の足跡に出会ったのだった。
まだ、娘が生きていて、何処かを旅しているように思えてならない。
