北の窓から(芦田っち)

PC関連と私的雑感のブログ。
2015年7月10日、カッコ内に名前を加えました。昔の友だちに気付いてほしくて・・・

読むべし,二十世紀 -1-

2008-03-02 07:02:28 | 書評・映画評など
はい,柄にもないタイトルをつけました.
「読むべし」,つまり命令形に近いものです.

だいたいがタイトルとか書名などというものは,
扇情的であったり,えっ?と不思議・違和感をさそうものであったり,
あるいは内容にそぐわず高尚な文言がついていたりするものです.

なので,以下に書くこともその一種だと思われてもしかたありません.
しかたないのですが書きたいという思いが昂じて,
寝床で上・下2冊のうち上を読んでいる途中で起きだして本稿を書くことにしました.

その本とは
二十世紀
(橋本 治,ちくま文庫,2004年10月),(上)と(下)の2冊です.

この筆者の本は癖があるというか,分かりにくいというか,
論理が直線的でないというか,視点が特有なので
最初の数十ページが読めないと読みとおすことができないことが多いのではないでしょうか.
好き嫌いがはっきりと分かれる作家だと思います.

で,この「二十世紀」.
相変わらず独自視点の冴えは光っていながら,
橋本治さんの中では論理すっきり,読みやすい本です.
まだ上巻の 160ページ程度しか読んでいませんが,
読後にもこの感想は変わらないでしょう.

この「二十世紀」.
構成が(例によってというべきか)変わっています.
最初に 54ページの「総論」がきています.
総論の題は「二十世紀とはなんだったのか」.
総論の後には,「1900」,「1901」,「1902」・・・と
1年単位で編年体の記述が続きます.

各年の内容は戦争・侵略に関するものが中心です.

もちろん多様な切り口が売り(?)の橋本さんのことですから,
文芸・言葉,生活・風俗などもちりばめられています.
また,戦争・侵略の構図が本家と分家の仲たがいや
都会の子・田舎の子の確執に例えられたりして笑いを誘います.

読む楽しみはありながら,これは立派な歴史書というべきでしょう.

# 「XXでありながら○○である」は
. . 「通常,○○はXXではない」ことを示しています.
. . オヤヂの偏見かも知れませんが,
. . 歴史が書かれた本は,通常,面白くない楽しくないのです.

. . 例外的にすごいなぁと感服しつつ面白く感じたのは
. . エリック・ホブズボーム「極端な時代 20世紀の歴史」(上・下)でした.

さて,戦争・侵略の記述が中心のこの歴史書では,
二十世紀は戦争・侵略が良くないことだと認識された時代となっています.
十八・十九世紀はその認識がなかった時代とされています.

【訂正: 2008-03-03】
. . 二十世紀も十八・十九世紀的思考が続き,
. . 第一次・第二次の両大戦を経験して
. . ようやく戦争・侵略が良くないことだと認識され始めた,
. . とのことです.

1年単位の編年記述を通奏低音のように流れるテーマがあります.
「総論」に書いてあることです.

それは「ほどほどにしようよ」ということです.

なにをほどほどにするかと言えば,
要らないものまで作るのはやめようよ,
要らないものまで作って売るのはやめようよ,です.
足るを知ろうよということだと思います.

それがどうして戦争や侵略につながるのか・・・
まぁ,読んでみて下さい.
いえ,読むべし!です.


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