真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

田中文相が大臣不適格である理由

2012-11-13 16:07:16 | Weblog
「混乱を招いた」
という、今回の大学認可問題。

詳細はすでに報道されている通りだが、
では、田中文相のどこが問題だったのか?

2点ある。

1つは、ルールの無視。

決まっている手順を踏んで、認可されるはずだったものを、
その手順を無視して不認可にする。

野球のゲームに例えよう。
王貞治がA球場でホームランを打った。
王がホームベースを踏んで1点が入った。
ところが。
コミッショナーが出てきて、
「A球場は他の球場より狭いから、ホームランとは認めない」
と言いだした。
こんな無茶が通じるわけがない。

球場の問題は、公式試合が始まる前に改善させるべき問題で、
他の選手がこれまでその球場で打ったホームランも無効にしなければ、
理窟が通らない。

要は、滅茶苦茶なのである。

2つ目の問題は、
想像力の欠如。

不認可にした場合、どんな影響が出るのか、よく考えない。
誰がどんなふうに困るのか、思い至らない。
不認可にした場合、どうすれば彼らを救えるのか、興味もない。

他人のことを思いやれないというのは、
他人の痛みに無関心だからである。
弱者の味方だと口では言っても、結局のところ、自分が下した影響についてなんの考慮もできない。
「正義の人」を装っているだけなのであろうか。

厳しすぎるかもしれないが、しかし、民主党政権の政治家たちには、鳩山元首相を持ち出すまでもなく、この手の、想像力が欠如した政治家が多すぎる。

自分が下した判断、自分が参加した集会、自分が発言した内容、こういうことに、きちんと責任のとれる、もう少し「まとも」な政治家を、次の選挙では選びたい。

講演のお知らせ

2012-07-01 20:42:01 | Weblog

二子玉川にある、玉川高島屋の「玉川テラス」で、
「瀧澤中の歴史座談シリーズ第3回」を行います。
7月8日(日)午後2時~3時30分
http://www.tamagawa-sc.com/terrace/

今回は、
~幕末志士の政治力・坂本龍馬や新選組を解剖する~
と題して、幕末維新を、政治力の観点から眺めていきます。
(拙著『幕末志士の政治力』祥伝社新書がベースです)。

たとえば。
坂本龍馬暗殺の黒幕。意外と知られていない事実を積み重ねると、興味深い結論が…。
龍馬は、寺田屋で捕縛されそうになった際、数名の役人をピストルで撃って殺しています。
いわば、「警官殺し犯」。
また、暗殺犯とされる見廻組の佐々木只三郎は、会津藩重役の実弟。
そして、ケネディ暗殺や日本の2,26事件などにも見られる、
暗殺後のある共通の現象。
そこから導き出される、暗殺の黒幕とは!?

新選組は、「組織の理想形」と言われています。当時京都で圧倒的​な強さを誇ったその秘密と、最強でありながら政権交代の主力にならなかった、その理由とは?

西郷隆盛の意外な人物像や、ソ連崩壊と酷似している徳川幕府崩壊など、
エピソード満載で、幕末維新をお話しします。
きっと、幕末モノの本を読みたくなりますよ。

日曜日の午後、お買い物、お食事のおついでに、ふらりとお寄り下​さい。
(一応予約が必要です)。詳細は以下まで。お待ちしております。
http://www.tamagawa-sc.com/terrace/

講演のお知らせ

2012-05-09 21:09:13 | Weblog
みなさま、大変ご無沙汰申し上げております。
えー、久しぶりの更新なのに、講演のお知らせで恐縮しております。
どうか御寛恕のほど。

二子玉川にある、玉川高島屋の「玉川テラス」。
「瀧澤中の歴史座談シリーズ第2回」を行います。
5月20日(日)午後2時~3時30分
http://www.tamagawa-sc.com/terrace/?id=38

今回は、
~痛快!明治の人材・日露戦争裏面史~
と題して、普通の日露戦史にはなかなか出てこない、
日本を支えたユニークな人々を、エピソード満載でご紹介。

たとえば。
日本海海戦で活躍した戦艦三笠のお値段、御存知ですか?
結構高いのです。
いくらしたかは座談でお話ししますが、明治政府はとにかくお金のない政府でしたから、
これをねん出するのは並大抵ではありません。
いったい誰が、どんな手段でお金をつくったのか?

また、現在の東北大学教授のイスを蹴って、予算ゼロの海軍の研究所に入った人物がいました。この人物、実はお父さんが勝海舟と深い関係のある武家の次男坊。

また、旅順要塞攻略の隠れた功労者は、「砲兵会議議長」という要職に就きながら、一度も会議を開かなかった天才技術軍人でした。彼は何をして要塞攻略に貢献したのでしょうか。また、造幣局に勤めていたインクの専門家が、歴史を変える火薬を発明したその背景など、エピソード満載でお愉しみ戴きます。

お休みの日ですが、お買い物、お食事のおついでに、ふらりとお寄り下さい(あ、一応予約が必要です)。詳細は、以下まで。
http://www.tamagawa-sc.com/terrace/?id=38

堅苦しくない、気軽な話に致しますので、お気軽にお越しください。


座談お知らせ(追加)

2012-02-01 14:44:22 | Weblog
2月4日(土)開催の座談ですが、
「どのページを見ればよいのか?」
というお問い合わせを戴きました。

http://www.tamagawa-sc.com/class/activity.html

をご覧戴き、会員登録して戴くと、「会員専用ページ」に参ります。
(玉川高島屋関連なので、安心してご登録ください)。

その中の、ページ右下の方に

「玉川テラス」アクティビティ

という項目がございます。
そこを開いて戴くと、瀧澤の講座があり、お申込みができます。

2月2日正午締切りです。
ご興味おありでしたら、ぜひ御参加下さい。






座談会お知らせ

2012-01-31 13:46:17 | Weblog
昨日、松本に講演の仕事で行ってきました。
一昨日から泊りがけだったのですが、
夜は-10℃と、冷え込みました。

二宮尊徳さんの話で、300人ほどの方がお集りになりました。

「後の世のために樹を植えるのが、人の道である」
「貧者は昨日のために働き、富者は明日のために働く」
「道徳のない経済は罪である。経済のない道徳は寝言である」 

尊徳さんは、単純な道徳至上主義でもなんでもなくて、
人間の良い面や悪い面を理解した上で、現実的な復興の処方箋を示し、実行しました。
現代でも学べる点がたくさんあります。
ご興味のある方は、拙著『日本で一番不況に強い男』(中経出版)を
ご覧ください。
http://www.chukei.co.jp/general/detail.php?id=9784806134053

松本に伺ったついでに、久しぶりに松本城を見学しましたが、
小学生の時に、城内の階段が急で難儀したのを思い出しました。
今回は別な(運動不足?)理由で、息が切れました(笑)。

現在の天守閣は、石川数正・康長親子によってつくられたと考えられていますが、
諸説あるようです。
石川数正は家康幼少時からの側近で、その信頼も厚かったにも関わらず、
家康の元を離れて、豊臣秀吉の傘下に入りました。

数正は、松平信康(家康長男)の後見人であったことから、
信康が切腹させられたのち、権力の移動によって出奔したという説が、
瀧澤的には一番しっくりきます。

さて。前回もお知らせしましたが、
講演や勉強会のような堅苦しいものではなくて、
ざっくばらんに歴史のおしゃべりをする座談を、下記の要領で行います。

参加締め切りは2月2日正午です。

2月4日(土)、午後4時~5時30分、
玉川高島屋の「玉川テラス」で、
「瀧澤中の歴史座談シリーズ~明智光秀はなぜ謀反を起こしたのか?」
と題して、おしゃべりを致します。
http://www.tamagawa-sc.com/class/activity.html

土曜の夕方、お買い物ついでに、いらしてください。
お待ちしております。


最新刊のお知らせと、座談会のご案内

2012-01-17 17:36:19 | Weblog
2月4日(土)、午後4時~5時30分、
玉川高島屋の「玉川テラス」で、
「瀧澤中の歴史座談シリーズ~明智光秀はなぜ謀反を起こしたのか?」
と題して、おしゃべりを致します。
http://www.tamagawa-sc.com/class/activity.html

たいへんご好評戴いている拙著、『戦国武将の政治力』をベースに、
1回目は本能寺の変を中心にしながらお話しを致します。

肩の凝らない歴史の話を、土曜の午後にお聴きください。

最新刊『手に取るようにわかる太平洋戦争』
(日本文芸社)

『政治のニュースが面白いほどわかる本』以来、ずっとお仕事をご一緒しているイラストレーターのよこいともみさん。今回は、大東亜戦争(太平洋戦争)について、わかりやすくて読みやすい渾身の一冊を、よこいさんのカラ―イラスト満載で書きました。

本書は、「あの戦争は負けてよかった。負けていなければ、今のように自由で豊かな日本にはなっていなかった」という某評論家の言葉に、強い違和感を覚えたことがきっかけでした。

負けてよい戦争なんて、あるわけがない。
失ってよい命など存在しないのだから。

こんな当たり前のことも理解できずに彼が評論家として評価されているのは、私たち自身が戦争に、歴史に、鈍感になっているからではないのか、と思ったのです。

中学生にも理解できるような表現に努めましたが、内容は突っ込んだものになっています。
大東亜戦争(太平洋戦争)のわかりやすい通史として、お読み戴ければ幸いです。

野田総理の言葉はどれか?

2011-09-14 04:38:12 | Weblog
野田総理の、所信表明演説。

デジャヴを見ているのか、と思った。
話している内容が、震災2か月後、今年5月の状況ならしっくりくる。
しかし、すでに半年たっている。

『「復興基本方針」に基づき、一つひとつの具体策を、着実に、確実に実行していくことです』

やっていないのか?

『まずは、歳出の削減、国有財産の売却、公務員人件費の見直しなどで財源を捻出する努力を行います』

2年前の政権交代時、マニフェストに書いていたことを、まだやっていないのか?

『「国家の信用」が厳しく問われる今、「雪だるま」のように、債務が債務を呼ぶ財政運営をいつまでも続けることはできません』

2年間、ずっとそうしてきたのか?
史上最悪の借金まみれの国家予算を組んだのは、どこの政党だ?

『昨年策定された「新成長戦略」の実現を加速する』

加速する前に、そもそも実績が上がったとはとても言い難い。
「国を開く」と大見えを切っている「新成長戦略実現2011」では、自由貿易促進を謳っているが、あれほど吼えていた、関税を撤廃するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)はどこに行ったのか?
やるのか、やらないのか?
所信表明というのは、そういう具体的なことを言う場ではないのか?

『経済成長を担うのは、中小企業を始めとする民間企業の活力です』

野田政権が狙っている法人税の増税と、「民間企業の活力」は、
誰がどう見ても矛盾がある。
「冷房をつけて、熱射病にならないようにしましょう。あ、電気代は滅茶苦茶上げますけどネ」
では、わけがわからない。

『地球温暖化問題の解決にもつながる環境エネルギー分野、長寿社会で求められる医療関連の分野を中心に、新たな産業と雇用が次々と生み出されていく環境を整備します』

これも、たしか2年前、鳩山政権時代から民主党は言い続けているが、「新たな産業と雇用が次々と生み出されて」いるとは到底思えない。2年間、何してたの?

『福島に生まれて、福島で育って、福島で働く。福島で結婚して、福島で子どもを産んで、福島で子どもを育てる。福島で孫を見て、福島でひ孫を見て、福島で最期を過ごす。それが私の夢なのです』

ここは正直、ぐっときた。
しかし、これは高校生の演劇でのセリフで、考えたのも喋ったのも、野田政権関係者ではない。
結局、震災で犠牲になった役所の職員の話、
台風でご家族を亡くされ、それでも陣頭指揮に立つ町長、
そして高校生の演劇のセリフ以外に、感じた場所はどこにも無かった。

野田総理の言葉は、無いのか?

なぜ、この所信表明が虚しく聞こえたのか。
心がこもっている、とか、いない、とかは、本人ではないのでわからない。
しかし、評論家や物書きなら情緒に訴えるだけでもいいが、
政治家は何をするか、何をしたか、で評価される。

所信表明で喋っていたのは、これまで民主党が言い続けてきて、
しかも言ってるだけで実現していない話ばかり。
あえて言えば、増税に言及したくらいか。

さらに。以下の言葉を読んで戴きたい。

二年から三年以内に不良債権の最終処理を目指します」
五年以内に世界最先端のIT国家を実現するという野心的目標を設定しています」
「平成十四年度予算では、財政健全化の第一歩として、国債発行を三十兆円以下に抑えることを目標とします」
「地球温暖化問題については、二〇〇二年までの京都議定書発効を目指して、最大限努力します」

小泉純一郎総理、最初の所信表明演説。

これと対比しようと、野田総理の所信表明演説を熟読した。

ない。

数値で示した目標が、何も、ない。

ちなみに小泉総理時代の所信表明は、施政方針を含め、回を重ねるごとに数値で示した実績と、数値で示した目標が増え、演説の中で国民に示している。

数字を示せば、守れない時にやっかいだから出せない。

そして国会を、わずか4日しか開かない。
ドアに鍵をかけながら、「さあ、どうぞ遠慮なくお入り下さい」
と、人を招き入れる仕種だけしている、不愉快な内閣。

信用しろ、という方が、むずかしいのではないか。

講演会のことなど

2011-09-11 23:55:17 | Weblog
震災直後、研修会や講演会での仕事が止まって、
それが最近、またご依頼を戴くようになった。

先日は、某県の農業関係団体におじゃまをした。

講演内容は、二宮尊徳について。
歴史と経済が混合した話で、しかも尊徳が実践した内容は今でも応用できるため、
聴衆のみなさんも、あまり退屈せずにお聴きいただけたのではなかろうか。

二宮尊徳は、飢餓などに苦しむおよそ600の村々を復興した、
農村経営のコンサルタントであった。

彼は徹底した現場主義で、
依頼された村に行くと、まず村人の家々に行き、台所や便所などを見て回った。
そうして、報告では上がって来ない、村の「現実」を把握していった。

真面目に働く、というイメージの強い尊徳だが、
彼は人間の弱さや性質をよく知っていて、どうすれば人々がやる気を起こすのか、
そのことを考えて仕事をさせた。

彼は、
「人間はサボりたい、という気持ちもあれば、真面目に働きたい、という気持ちもある。
自分だけ良ければいい、という気持ちもあるが、人の為に何かしたい、と思う心もある。
人間が持つ『良い方』を引き出せれば、物事は必ず成功する」
という考え方を持っていた。

会社経営でも、成功している社長や企業は、
従業員の「良い方の心」を引き出すことに成功している。

どうすれば、人々の「良い方の心」を引き出せるのか。
二宮尊徳は、色々な方法を使うのだが、詳しくは拙著で、
と書くと、何だか詐欺のようで気が引ける。

そこで一つだけ。

尊徳は、村で何かを決める時、今で言う投票を行った。
道を整備する時などにリーダーを決めるのだが、
そういう時も村民の中で、投票によってリーダーを選出した。

なんと。

江戸時代真っただ中の文化・文政時代である。
普通に「投票を行う」だけでも驚きだが、
男尊女卑どころか、一般にも身分のやかましかった時代に、
ただでさえ保守的な農村で、
女性まで参加をさせて、投票を行っている。

遠山景元、つまり「遠山の金さん」が北町奉行になるよりも前の時代、である。

尊徳は、参加意識こそが責任意識につながる、と考えた。
自分たちで決めたことだから、きちんとやり抜こう、と、人は思う。
そこを刺激すればいい、というのが、尊徳の「作戦」だった。

これ以外にも、欲望を刺激する方法、「自分を認めてほしい」という意欲を刺激する方法等々、
尊徳の知恵と実践の工夫には、凄まじい人間洞察力が感じられる。

ほかにも、たった三つのことを守れば、必ず復興できる原則や、
それを元にした、復興のためのシステムなど、
面白くてためになることがたくさんある。

ご興味を持たれた方は、拙著『日本で1番不況に強い男』(中経出版)
http://t-linden.co.jp/book/urabanashi/fukyo_man.htmlをご覧ください。
講演ご依頼の方は、以下までお問い合わせください。
http://t-linden.co.jp/book/osirase/index.html

雄弁は人格

2011-09-10 23:56:23 | Weblog
憲政の神様、尾崎行雄は、ただ者ではなかった。
なにしろ、自分の演説会に木戸銭(入場料)を取ったのである。
それでも会場は毎回満員で、立錐の余地もなかった。

その尾崎が、

「雄弁は人格」

という言葉を残している。

「綸言汗のごとし」(君主が一度口にした言葉は、訂正できないほど重いもの)、
とニュアンスは似ていて、
政治家の言葉は、すなわち政治家の人格そのもの、
軽々しくあってはならない、といういましめである。

野田内閣の経済産業大臣が、最初の国会が始まる前に、辞任した。
「放射能をうつしてやる」と軽口を叩きながら、防災服の袖を
記者にすりつける仕種をしたらしい。

いま、中国は沖縄近海で、日中中間線を越えて日本側にわざと侵入し、威嚇をはじめている。
近年、フィリピンやベトナム相手に、中国が島を侵略していく前段階と、同じ動きである。

かと思えば、ロシアの爆撃機が日本列島を一周し、
宗谷海峡には20隻もの軍艦をそろえ、すでに4隻が海峡を通過した。
宗谷海峡は、稚内の目と鼻の先である。

一昨日も書いたが、覚悟も勉強も見識も足りない、二流の政治屋大臣など、
どうでもよい。
しかし、そういうくだらない大臣の件で、
限られた新聞の紙面や、テレビのニュース時間が割かれる。

というよりも、こんな内閣に果たして、中露の野望を防止する施策がとれるのか?
なにせ、防衛大臣は自他共に認める「素人」なのだから。

政治家の言葉は本来重いもので、だから明治の頃の政治家は言葉を大切にした。
そういう政治家の言葉を聴きに、人々は木戸銭まで払って、演説会を見に行ったのである。

しかし、今や民主党のおかげで、日本の政治家の言葉は信頼を失っている。

もう一度、尾崎行雄の言葉を記し、野田新総理に贈る。

「雄弁は人格」。

増税の話の前に

2011-09-09 23:46:59 | Weblog
増税は、既得権者、民主党を支持する団体に、
大きな不利益をもたらすことなく、
当面の課題を解決できる。

逆から考えてみよう。
増税をせずに、お金をねん出する方法はあるのか。

たとえば。

民主党の選挙公約通り、公務員を削減し、公務員給与を下げ、
本格的な行政改革を断行する。

民主党は「徹底的に無駄を省けば、20兆円は出てくる」、と
はっきり口にしていた(藤井元・財務大臣)。

あの大騒ぎした政治ショー、「事業仕分け」も、
仕分けた通り、ちゃんと実施すればいい。

しかし。
公務員改革、行政改革は自民党時代よりもおざなりで、
無駄を省いて出てくるはずの20兆円は、まったく出てこない。

事業仕分けは、あんなに派手にパフォーマンスをやって、仕分けしておきながら、
実施していない項目も多い。

公務員改革を本気でやれば、民主党の支援団体である公務員の労働組合から、反発を受ける。
行政改革で公務員を減らしたら、民主党を支持してくれる人(票)を減らす。
事業仕分けをまともに実施したら、既得権を持つ人々と戦わなければならない。

しかし、彼らとは戦いたくない。
というより、戦う力も知恵もない。

そういう政権が選択する最も安易な道は、
「増税」
である。

増税してお金が、一時的でも入ってくれば、
一瞬、うまくいったように見える。
増税すれば、公務員改革や行財政改革など、
公務員の組合から睨まれるような改革をしなくて済む。

こうして、勇気も知恵も力も無い政権は、増税を選ぶのである。

私は、増税がすべてダメだと言っているのではない。
税制はメリハリであり、税を増やした分でどんな経済成長をもたらそうとするのか、
その青写真のないうちから、増税を認めるべきではない、と言っているのだ。

そして、「増税増税」と念仏を唱える前に、
痛くて、辛くて、一部の人から憎まれるかもしれない、
選挙で応援してくれる団体から嫌われるかもしれない、
けれども、やらねばならないことがあるのではないか、
と考える。

それが、支持基盤をも含めた、大胆な痛みを伴う改革である。

国民に増税を求めるならば、その前に、政府としてケジメをつけてもらいたい。
政治家の歳費を削る、などという、小さな自虐的行為ではなしに、
もっと国家的見地から大ナタをふるってもらいたい。