真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

秋山兄弟のこと

2010-02-15 21:15:48 | Weblog
秋山兄弟について、本を書きました。
(『秋山兄弟 好古と真之』朝日新書)

副題に、

「明治の人材はいかにして生まれたか」

とあるように、なぜ秋山兄弟のような人たちが日本に現れたのか、家庭環境や彼らが受けた江戸時代の漢学、陸士・陸大や海兵・海大での教え等々をたぐりながら書き進めました。

類書とは違う切り口に、様々な書評を頂き、感謝に堪えません。

また、本を書くとたくさんの新たな出会いがあって、とてもわくわく致します。

今回も、秋山真之のお孫さんや、海軍兵学校の関係者など、素晴らしい出会いがありました。

秋山真之について、お孫さんは、

「『真之は戦争で神経をすり減らして、宗教にすがった』というのは俗説。真之に子供ができたのは日露戦争のあとだった。神経がすり減った人間が次々に子づくりをするわけがない」

たしかに。
私も調べていて、どうもステレオ・タイプな「真之憔悴論」には疑問がありました。少なくとも宗教に本格的な救いを求めたのは最晩年ではなかったか。

ただし、たとえばシーメンス事件の処理など、徐々に精神的な痛みが増していくような事が起きていたのも事実で、今後も考察を続けたいと思います。

海軍兵学校出身者の真之に対する思いは、特別のようでした。
本の中にも書きましたが、ある海兵出身者が、
「秋山先輩というのは」、と、秋山を「先輩」と呼ばれていたことが大変印象深かったです。

これを聞いた時思ったのほ、
「歴史とは現在にまで続く道程だ」
ということです。

先輩の、あるいは祖先の生きざまの結果、私たちがいる。
だからこそ歴史を学ぶことは、現在を知り、未来を知ることになるのですね。

私とは思想・信条の全く違うベテランのある編集者が、
「文章はとても読みやすい」と評してくれました。

ご興味のある方はぜひ、御手に取ってご覧下さい。

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