真夜中のカップらーめん

作家・政治史研究家、瀧澤中の雑感、新刊情報など。

民主党代表選挙に思う

2010-09-04 00:24:59 | Weblog
昭和50年(1975)から51年(1976)にかけて、アメリカ大統領選挙は、実に面白い現象を見せていた。

まず、ジミー・カーター。

この、民主党の中でも完全に泡沫だった無名候補は、やがて大旋風を巻き起こすが、それはあちこちに書かれているので、今回は触れない。

私が注目したいのは、共和党の大統領候補。
ジェラルド・フォード。当時、現職大統領だった。

「私はフォードですが、リンカーンのように働きます」(どちらもアメリカの自動車の名前)。

こんなウィットに富んだスピーチをするわりに、フォードはあまり人気がなく、共和党の大統領候補としての指名が危うかった。

スタッフは奇策を編み出す。
本人は選挙期間中、選挙戦をせず、大統領としての公務に励む、というのである。

奇策は当たって、共和党の大統領候補指名争いに勝った。
理由は簡単。

テレビは公共放送の義務として、大統領の政務について常に報道しなければならない。
「真面目に働くフォード」、が、毎日テレビに映る。
そんなフォードの姿は、選挙のお願いで絶叫するよりも、党員に好感を与えた。

さて。

菅総理はしきりに公務に励んでいる。誰かの入れ知恵だろうが、悪くない作戦だ。
利益団体や国会議員を訪ねて歩く小沢氏よりも、好感は間違いなくアップする。
が、参考までに書いておくと、大統領本選挙では、フォードはカーターに敗れている。

小沢氏と菅氏、どちらが勝った方が日本に良いのか。
いま、首相官邸のホームページに行くと、「新成長戦略」を読むことができる。

これは今年の6月に閣議決定しているから、菅氏も小沢氏も二人ともかかわっている。

で、中身だが、5頁モノの「ポイント」と、92頁からなる本文があって、実にうまくできている。

1点だけ。

私は旧来から、日本の法人税が異常に高いことに危機感を持っていた。

この「新成長戦略」、5頁モノの「ポイント」で、「税率の主要国並みへの段階的引き下げ」が書かれている。

しかし。

92頁ある「本文」の中では、「法人実効税率を主要国並みに引き下げる」の後に、

「課税ベースの拡大を含め財源確保に留意」

と、文章が続く。

何のことはない、
「税率を下げた分、課税ベースの拡大で、取ってやるぞ!」
と言っているのだ。

「20兆円はムダをあぶりだす!」
と言っていた民主党政権だが、無理だとわかって今度は増税路線へ。
これが、小沢・菅両氏を含めた、民主党の経済政策の根幹部分である。

長くなるからこの辺にしておくが、それでも「子ども手当満額支給」とか言っている小沢氏に、あきれている国民は少なくない。

どちらが勝っても、民主党政権自体は続くのだろう。

「欲しいものを何でも与えるのに十分な大きさの政府とは、持っているものを全て取り上げてしまうのに十分な大きさの政府でもある」
ジェラルド・フォード。