就職先は、水屋家具が人気の家具工場でした。
特徴はその塗装。
新品なのに、まるでアンティーク。
重厚感があり、「メンテナンスを繰り返しながら丁寧に使い込みました」感が満載。
ブランド名「久遠」
社長から、「昼間はここで仕事をして、夜は会社の機械を使っていいからいろいろ作って勉強しなさい。」と言っていただき、働かせてもらうことになりました。
入社後、私の最初の仕事は、会社の隠れた人気商品「コースター」作りでした。
大物の家具を作る際にでる端材を利用するのです。
丸い部分にお茶、四角い部分にお菓子を乗せて使う、「端折り」がアクセントの人気コースター。
これ一枚を作るにも、ハンド、プレナー、横切り盤、昇降盤、ルーター、ベルトサンダー etc、いろいろな機械を使うので、「まずはこれで基本的な機械の扱いを覚えなさい」ということでした。
転職組で訓練校をでているベテラン職人さんが、私の指導をしてくれました。
メンターですね。
安全面も技術面も論理的に説明してくれるのでわかりやすく、この職人さんのおかげで私の腕は少しずつ上達していきました。
・・・いや、上達、と自分では思っていましたが、社長にはよく注意されてました^^。
このころよく注意されたのは、「時間がかかりすぎる」。
お菓子を乗せる部分を振動型の彫刻刀で掘るのですが、手が疲れるし、枚数が多いので飽きるし^^、そのうち首や腰まで痛くなる。
それが終わると今度はアンティーク感を出すために、研磨機でひたすら研磨。
磨くというより削る感じ。
研磨機を使いこなすには握力が必要でした。
とにかく手が疲れる。疲れる。疲れる。
こんなに小さなものを作るだけで、こんなにも体力がいるのか、と先行き不安になるのでした・・・。