装具の効果を疑う声や発表があるのも事実です。
と、同時に、装具治療により効果があった。という発表も存在しています。
下記の順天堂大学の例でも約8割の装具患者が治療効果あり、という結論が得られています。
哀しいことかもしれませんが、確かに 100%の患者に装具が有効なわけではありません。でも、60~80%の患者さんには効果があることが、様々な文献や発表内容から明らかになっています。
これは、なになに装具という装具の種類というよりも、装具治療を継続することで約8割ほどの患者さんに効果が得られる、という形で捉えていいのではないかと思います。
☞装具療法を有効であらせるためには、初診時のコブ角・年齢・リッサーサインが大きく影響します。この点については、ブログ内の他記事を参照ください。
(側弯症学会抄録より引用)
特発性側弯症の装具療法の治療成績の検討:
思春期側弯症治療におけるTW法の応用(第5報)
順天堂大学 医学部 整形外科学教室
【目的】当外来における,特発性側弯症の装具療法の成績と経過Tanner-Whitehouse
2(TW2)法を併用し検討した.
【対象と方法】調査対象は,装具処方時のCobb角が25度以上かつRisser3以下の思春
期特発性側彎症の女子.主に装具は順天堂式Underarm 装具(UB)が用いられた.
骨成熟度の評価と装具終了の判断に, TW2法による骨年齢(骨成熟)を用いている.
早期に装具を中断した症例は除いた.装具解除直後はCobb角の一時的な増大傾向が
あり,治療効果の評価時点として,終了時または中断時から約1 年後の経過が調査
可能な54 例を対象とした.
【結果】装具処方時と効果評価時のCobb角の差が10度未満の非進行群は44 例
(81.5%)で,Cobb角の進行が10 度以上の進行群は10 例(18.5%)であった.非
進行群の処方時の骨年齢の平均は12.7 BA, Cobb角の平均は34.4°で,処方時と評価
時の差は平均+1.6°であった.対して進行群は,処方時に平均12.0BA,Cobb 角
の平均は30.7°であり,評価時に平均+ 16.6°進行していた.ここで,処方時の骨年
齢で2群に分け直し,評価時の角度差を再検討すると,12.4BA以上(35 例)と未満
(19 例)の場合に各々平均が+ 1.9°と+ 8.9°であった.
【考察】身長座高の年間統計より成長のピークは小6~中1であり, 12.4BA以降はそ
れが一段落する時期のため,装具の治療効果が安定すると考えられる.既報告では
Risser1 の出現は平均12.5BA,初潮は平均12.6BAであり,これらの指標以前にピー
クは存在し,装具処方時には注意を要する.当外来のUBはMBと同様に,パッドで肋
骨隆起部に,逆回旋方向の3 次元的な矯正力を加える設計になっている.
【結論】当外来の装具療法の有効率は81.5%と,諸家の報告と比べても良好であっ
た.装具処方時に成長のピークか後か(骨年齢が12.4BA前後)で,装具治療の効果
には差があり注意を要する.
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「PGAと特発性側湾症のカーブ進行の関係」
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