脊柱側弯検診について、付記しておいたほうがよいことをひとつ思い出しました。
この検診のタイトルは正確に表記すれば、「小中学生における特発性側弯症のための検診」ですね。
この時期以外で発症する特発性側弯症もあります。
赤ちゃんが生まれた時点で異常を伴っていれば「先天性側弯症」。
それ以降で発症すれば、
乳幼児期の特発性側弯症、
小児期の特発性側弯症、
思春期の特発性側弯症、
青年期の特発性側弯症、
発症時期に応じて、このような分類になると思います。
治療方法等は、基本的に同一と考えてよいと思います。
なぜこのように発症時期によって分類しているかというと、
文献や資料を読みますと、どうも、その発症時期によって、
脊柱変形の進行具合が異なるようなのです。
ただし、いずれの時期にせよ、進行が止まらない / 気づくのが遅れて
変形が進んでいた、という例がありえ、そのような変形が進み続ける場合は、
手術によって対処しないと、悪化させるばかり。ということになるようですので、注意が必要です。
調べていて悩ましいのは、「自然治癒」というものがあるのかどうか ?
という点です。孫請け引用した発表がひとり歩きして、いつのまにか「自然治癒」というものがありえる、
という誤解あるいは幻想を生んでいるのではないか ?
と思えます。
あるいは、例のパーセンテージで説明する場合の悩ましさもあります。
Hide's familyというホームページから実際の例を引用させていただきます。
(http://jns.ixla.jp/users/takaharu947/myweb14_013.htm )
生後6ヶ月の乳児定期検診において、かかりつけの小児科で診断され、
地元のT市民病院へ紹介される。当時(cobb角)40度。
その後、側わん専門医のいるC大整形を紹介される。
診断は「乳幼児期特発性脊柱側わん症」
この症例は90%の確率で自然治癒するという報告がある為と、
遠方の為(千葉ー富山)3ヶ月に1度の定期X線検診は地元で行うことに
なる。MRI等も撮り、神経等の異常が無いことを確認。
約1年後。C大での定期検診時・・・不穏な空気が診察室を流れる。
「70度まで進んでいます。今すぐ装具を作りましょう。
これでは止まらないと思うので、来年手術を行います」
先日の地元の検診では40度。短期間で30度も進むはずはない。
確実な地元担当医師の測定ミスである。
測定方法はとても難しい。医師により微妙に線の引き方が違う為、
3度から5度までの誤差は必ず出ることがある。
(5度以内の進みは気にすることは無いと思いますよ)
が、前述のとおり30度の進みは、経過観察から一気に
要手術まで治療方法が進んでしまうのだ。
なぜ・・・?
地元医師を信用していた自分が、悔やまれてならない・・・
---------------------------------------------------------------
後付の解釈の失礼をあえてさせていただくこと、お許しいただきたいのですが、
幾つかの不幸な要因が重なってしまったのですね。
1. 90%で自然治癒する。という説明
2. cobb角の測定方法に誤謬があった
3. 地元に側弯症専門医師がいなかった (?)
4. 地元からそう遠くないところの側弯症専門医師 (あるいは大学)を
紹介してもらえなかった
ここでは 1の 「自然治癒 90%」について考えてみました。
.....残り10%のリスクを回避するために3ヶ月定期検査を実施していたにも
関わらず、cobb角測定ミスから発見が遅れた。というのは本当に残念です。
情報というものは便利であると同時に怖いものだと思います。
この「自然治癒90%」という言葉だけに注目する方がいると、
「なあんだ、側弯症は自然治癒するんだ」
「だったら、病院に行くのはやめとこう」
「自然治癒することもあるんだったら、もうブレース装着するのやめよう」
というような、誤解を生んでしまうのではないかと、思えてしまうのです。
人間が皆同じではないように、側弯症の進行状況も、患者さんひとりひとり
によって違うようです。
確率ではなく、的確な検査と診断が大切だと思います。
決して、「自然治癒」という言葉に幻想は抱いてはいけない、と思います。
備考: 孫請け引用 - こういう言葉があるかわかりませんが、オリジナルの調査や研究ではなく、昔の論文や発表なりを「引用」しているのに、その「原典」が何であるかについて説明していない説明、という意味で、この言葉を使いました -
この検診のタイトルは正確に表記すれば、「小中学生における特発性側弯症のための検診」ですね。
この時期以外で発症する特発性側弯症もあります。
赤ちゃんが生まれた時点で異常を伴っていれば「先天性側弯症」。
それ以降で発症すれば、
乳幼児期の特発性側弯症、
小児期の特発性側弯症、
思春期の特発性側弯症、
青年期の特発性側弯症、
発症時期に応じて、このような分類になると思います。
治療方法等は、基本的に同一と考えてよいと思います。
なぜこのように発症時期によって分類しているかというと、
文献や資料を読みますと、どうも、その発症時期によって、
脊柱変形の進行具合が異なるようなのです。
ただし、いずれの時期にせよ、進行が止まらない / 気づくのが遅れて
変形が進んでいた、という例がありえ、そのような変形が進み続ける場合は、
手術によって対処しないと、悪化させるばかり。ということになるようですので、注意が必要です。
調べていて悩ましいのは、「自然治癒」というものがあるのかどうか ?
という点です。孫請け引用した発表がひとり歩きして、いつのまにか「自然治癒」というものがありえる、
という誤解あるいは幻想を生んでいるのではないか ?
と思えます。
あるいは、例のパーセンテージで説明する場合の悩ましさもあります。
Hide's familyというホームページから実際の例を引用させていただきます。
(http://jns.ixla.jp/users/takaharu947/myweb14_013.htm )
生後6ヶ月の乳児定期検診において、かかりつけの小児科で診断され、
地元のT市民病院へ紹介される。当時(cobb角)40度。
その後、側わん専門医のいるC大整形を紹介される。
診断は「乳幼児期特発性脊柱側わん症」
この症例は90%の確率で自然治癒するという報告がある為と、
遠方の為(千葉ー富山)3ヶ月に1度の定期X線検診は地元で行うことに
なる。MRI等も撮り、神経等の異常が無いことを確認。
約1年後。C大での定期検診時・・・不穏な空気が診察室を流れる。
「70度まで進んでいます。今すぐ装具を作りましょう。
これでは止まらないと思うので、来年手術を行います」
先日の地元の検診では40度。短期間で30度も進むはずはない。
確実な地元担当医師の測定ミスである。
測定方法はとても難しい。医師により微妙に線の引き方が違う為、
3度から5度までの誤差は必ず出ることがある。
(5度以内の進みは気にすることは無いと思いますよ)
が、前述のとおり30度の進みは、経過観察から一気に
要手術まで治療方法が進んでしまうのだ。
なぜ・・・?
地元医師を信用していた自分が、悔やまれてならない・・・
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後付の解釈の失礼をあえてさせていただくこと、お許しいただきたいのですが、
幾つかの不幸な要因が重なってしまったのですね。
1. 90%で自然治癒する。という説明
2. cobb角の測定方法に誤謬があった
3. 地元に側弯症専門医師がいなかった (?)
4. 地元からそう遠くないところの側弯症専門医師 (あるいは大学)を
紹介してもらえなかった
ここでは 1の 「自然治癒 90%」について考えてみました。
.....残り10%のリスクを回避するために3ヶ月定期検査を実施していたにも
関わらず、cobb角測定ミスから発見が遅れた。というのは本当に残念です。
情報というものは便利であると同時に怖いものだと思います。
この「自然治癒90%」という言葉だけに注目する方がいると、
「なあんだ、側弯症は自然治癒するんだ」
「だったら、病院に行くのはやめとこう」
「自然治癒することもあるんだったら、もうブレース装着するのやめよう」
というような、誤解を生んでしまうのではないかと、思えてしまうのです。
人間が皆同じではないように、側弯症の進行状況も、患者さんひとりひとり
によって違うようです。
確率ではなく、的確な検査と診断が大切だと思います。
決して、「自然治癒」という言葉に幻想は抱いてはいけない、と思います。
備考: 孫請け引用 - こういう言葉があるかわかりませんが、オリジナルの調査や研究ではなく、昔の論文や発表なりを「引用」しているのに、その「原典」が何であるかについて説明していない説明、という意味で、この言葉を使いました -