~step by step~[ 側弯症ライブラリー]患者の皆さんへ

側弯症(側わん症/側湾症/そくわん)治療に関する資料と情報を発信するためのブログです

藁にすがる思いと、冷徹な観察と、選択は皆さんの自由ですが.......

2009-03-14 02:57:42 | 特発性側弯症治療方針
私 august03は、このStep by stepを書き出してからこの2年間に渡り同じことを
繰り返し申し述べてきました。しかし、その言葉の裏にある自信、確信のような思い
は、年月をへるほどに強くなってきています。

私は側弯症患者ではありません。患者の親でもありません。いわば第三者として
この病気に関与し、この病気のことを勉強し続けてきているものです。

親御さんが我が子をなんとか助けたいという思いにあることはとても美しい気持ち
だと思います。その思いのゆえに、皆さんが側弯整体を選択することもありえると
思います。
そこに通ったことで「治った」という感覚を得た人もいるかもしれません。
そういう方々は幸いだと思います。そういう方々の思いと行為を否定はいたしません。
しかし、私がこの二年間で学んだことは、そういう方々は、たとえ側わん整体になど
いかなくとも「治った」方々なのです。

......誤解されると困りますので、「治った」という言い方はやめることにします
「進行が止まった」「進行を抑えられた」という言い方が適切です。

特発性側弯症の患者さんは大きくふたつに分類されます。
ひとつのグループは、ある程度のカーブまでは進行するが、それ以上の進行を抑え
られるタイプ。もうひとつのグループは、どんなに装具で硬めても進行を抑えられ
ないタイプです。
このふたつのタイプを分けている要因は不明です。ある科学者は遺伝子が関与して
いると考えている人たちがいます。ある学者は、環境要因が関与していると考えて
いる人たちがいます。ある医学者はホルモンのバランスが関与していると考えて
いる人たちがいます。

残念ながら、いまだになぜある患者は進行が抑えられ、ある患者は抑えられないか
その原因は解明されていません。

つまり、側湾整体にいったから「進行が抑えられた」わけでもなければ、その病院
の装具が悪いから「進行が進んだ」わけでもないのです。

いま現在の治療方法の代表が装具ですから、どうしても私たちは、装具の善し悪し
に目がいきがちです。しかし、医学的事実は、100人の患者がいた場合、何の治療
をしなくても、半分の50人はそれ以上の大きな進行が発生しないタイプです。
そういう確率の問題になります。

どんなに腕の良い装具士が作成した装具であっても、そしてきっちりと定期的調整
を行ったとしても、約20人~30人の患者さんは手術を必要とすることになります。
確率として、そういうデータが歴然と存在しています。

データは全ての患者さんに合致するわけではありません。しかし、データは多くの
場合、信頼にたるものです。
たとえば、平均寿命を考えてみた場合、日本人女性は約85歳です。この数値が全て
の人たちに当てはまるわけではありませんが、現実として多くの女性が約85歳と
いう人生を生きて生活していることは皆さんの感覚としても認められることだと
思います。

医学的データというものは、100%の信頼性を持つものではありませんが、過去から
の多くの研究によって積み重ねられ、検証され、そして現在も研究が続けられて
いるという意味で、信頼に足るものです。

測わん整体にいくのもひとつの選択です。皆さんが皆さんご自身のお金をどのよう
に使用するかは皆さんの自由であり、誰もそれを止める権利はありません。

ただ、冷静に見つめてください。壁にどんなに「私は治りました」と書いてあった
としても、そのような手紙が100通あろうと、1000通あろうと、その整体に通った
全ての患者さんが「治った」などという事実はありえないのです。

喩えとしては不謹慎な言い方ですが、これは宝くじの心理と同じです。
よく当たると評判の宝くじ売り場には、「私も当たりました」的な宣伝が掲げられ
ています。それを見て、人は自分も当たるのではないかと想像します。当たりたい
という欲求/期待は、「当たるかもしれない」という思い込みに変化します。
人は自分の気持ちに正直に行動します。「治りたい」「治したい」という気持ちは
「治るかもしれない」という期待に変化し、まして、そこに「私は治りました」的
な手紙が掲げられていたら、自分も治るかもしれない。と思うのは人として当然の
心理です。

でも、全ての人に宝くじが当たるわけではありません。でも、その事実を客観的に
考えることもできないのが、病気というものの持つ悩ましさです。

医学的事実は、装具療法をしても約20~30%の患者さんは手術をせざるえないまでに
進行する。ということです。残念ですが全ての患者さんが「治る」わけではないのです

私august03は側弯整体を否定しています。なぜならば、そこには医学的事実が皆無
だからです。それどころか、似非医学を語り、患者さんを、患者さんのお母さん方
を騙し続けているからです。

雰囲気がいいから、お友達になれるから、いろんな情報を交換できるから、そして
治るかもしれないから....通われる方々には通われる方々の理由と期待があると
思います。そういう方々の意思は誰にも止められるものではありません。
しかし、そのような「感情」と「医学」とはまったく別の次元のことです。

私は、私自身も医学を学び、医学を通じて患者さんがたに貢献できる道がないかと
考えるものです。私は医学を信じ、そして日々患者さんの治療に励んでおられる
先生がたを信じるものです。先生方の努力に感謝し、先生方に何かサポートできな
いかと考えるものです。

多くの患者さんが、多くの先生がたの昼夜をたがわない努力で健康を取り戻して
います。その事実をどうか忘れないでください。


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