引き続き下出先生の書籍より一部引用させていただきました。
(page109~110)特発性側弯症の悪化のパターン
特発性側弯症は体の成長とともに変形が進行し、成長が完了すると変形の進行も完了するという特徴をもっています。体が成長する時期というのは骨が成長し、背が伸びる時期のことです。(中略)個人差はありますが、男性では中学生から高校生のころ、女性では小学校高学年から中学生のころに急激に背が伸びます。この時期に背骨の側彎変形が進行します。(中略) 年齢が違うと、予測される成人になったときの側彎変形の程度は大きく違ってきます。例えば、小学校低学年の30度と、高校生の30度では重症度はまったく異なってきます。(中略) 身長の伸びとともに変形も悪化し、身長の伸びが止まると変形の悪化も止まるという傾向は、特発性側弯症以外の脊柱変形にも共通しています。(中略) 背の伸びが止まり骨の成長が完了すると、側弯変形の悪化も起こらなくなると述べましたが、これにも限度があります。高度な側弯変形の場合には骨格ができあがってからも徐々に変形は悪化します。骨の成長が完了したあとも、一生のあいだ少しづつ側弯変形が悪化していくのです。(中略) 角度が60度以上になると骨格の成長が終了したあとも側弯変形が悪化しつづける可能性が非常に高くなります。(中略) そのスピードは年間1~2度ぐらいで、これは毎年レントゲン写真でチェックしていても気がつかない程度の悪化速度ですが、10年ほど経過するとはっきりとわかります。(中略) 必要以上の心配は無用のものですが、根拠のない楽観的な見通しも正しい治療には有害無益のものであるということはを知っておくことが大切です。
(page118~120)定期的なチェックが重要
定期的な経過観察は、脊柱変形に対する積極的な治療ではありませんが、変形が悪化する可能性のある場合に必須のもので、治療の第一段階と考えてよいでしょう。(中略) 定期的にレントゲン写真を撮り前回のものと比較して悪化が起こっているかどうかを判定することがもっとも現状は確実な方法です。(中略) 定期的なチェックを受けず、気がついてみるとかなり高度な変形になっていたということも少なくありません。マッサージや牽引、そのほかいろいろな民間療法の治療を受け続けているような場合にこのようなことがおこりがちです。
☞comment by august03
大人になっても進行する側弯症については、カテゴリー[大人の側弯症進行]に26件のトピックスを記載してありますので、参考にして下さい。
☞comment by august03
その昔、側弯症がビジネスとしておいしいと気づいた整体が、患者さんに病院に行ってレントゲン写真を撮ってもらい、そのレントゲン写真のコピーを病院からもらってその整体に言われるままに渡していた。ということがありました。(その整体のホームページには、堂々と、患者さんには定期的にレントゲン写真を持参してもらい、その写真を見て施術をするので“安心してください”と宣伝されていたのです) これは医療行為として、医師法違反になるはずですが.....
ブログ内の関連記事
「医行為および医師法17条について」
「医業類似行為の規制 - 誇大広告に対する規制」
☞august03は、メディカルドクターではありません。治療、治療方針等に関しまして、必ず主治医の先生とご相談してください。
医学文献の拙訳を提示しておりますが、詳細においてはミスが存在することも否定できません。もしこれらの内容で気になったことを主治医の先生に話された場合、先生からミスを指摘される可能性があることを前提として、先生とお話しされてください。
☞原因が特定できていない病気の場合、その治療法を巡っては「まったく矛盾」するような医学データや「相反する意見」が存在します。また病気は患者さん個々人の経験として、奇跡に近い事柄が起こりえることも事実として存在します。このブログの目指したいことは、奇跡を述べることではなく、一般的傾向がどこにあるか、ということを探しています。
☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
august03
(page109~110)特発性側弯症の悪化のパターン
特発性側弯症は体の成長とともに変形が進行し、成長が完了すると変形の進行も完了するという特徴をもっています。体が成長する時期というのは骨が成長し、背が伸びる時期のことです。(中略)個人差はありますが、男性では中学生から高校生のころ、女性では小学校高学年から中学生のころに急激に背が伸びます。この時期に背骨の側彎変形が進行します。(中略) 年齢が違うと、予測される成人になったときの側彎変形の程度は大きく違ってきます。例えば、小学校低学年の30度と、高校生の30度では重症度はまったく異なってきます。(中略) 身長の伸びとともに変形も悪化し、身長の伸びが止まると変形の悪化も止まるという傾向は、特発性側弯症以外の脊柱変形にも共通しています。(中略) 背の伸びが止まり骨の成長が完了すると、側弯変形の悪化も起こらなくなると述べましたが、これにも限度があります。高度な側弯変形の場合には骨格ができあがってからも徐々に変形は悪化します。骨の成長が完了したあとも、一生のあいだ少しづつ側弯変形が悪化していくのです。(中略) 角度が60度以上になると骨格の成長が終了したあとも側弯変形が悪化しつづける可能性が非常に高くなります。(中略) そのスピードは年間1~2度ぐらいで、これは毎年レントゲン写真でチェックしていても気がつかない程度の悪化速度ですが、10年ほど経過するとはっきりとわかります。(中略) 必要以上の心配は無用のものですが、根拠のない楽観的な見通しも正しい治療には有害無益のものであるということはを知っておくことが大切です。
(page118~120)定期的なチェックが重要
定期的な経過観察は、脊柱変形に対する積極的な治療ではありませんが、変形が悪化する可能性のある場合に必須のもので、治療の第一段階と考えてよいでしょう。(中略) 定期的にレントゲン写真を撮り前回のものと比較して悪化が起こっているかどうかを判定することがもっとも現状は確実な方法です。(中略) 定期的なチェックを受けず、気がついてみるとかなり高度な変形になっていたということも少なくありません。マッサージや牽引、そのほかいろいろな民間療法の治療を受け続けているような場合にこのようなことがおこりがちです。
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その昔、側弯症がビジネスとしておいしいと気づいた整体が、患者さんに病院に行ってレントゲン写真を撮ってもらい、そのレントゲン写真のコピーを病院からもらってその整体に言われるままに渡していた。ということがありました。(その整体のホームページには、堂々と、患者さんには定期的にレントゲン写真を持参してもらい、その写真を見て施術をするので“安心してください”と宣伝されていたのです) これは医療行為として、医師法違反になるはずですが.....
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☞原因不明の思春期特発性側弯症、「子どもの病気」に民間療法者が関与することは「危険」、治療はチームで対応する医療機関で実施されるべき。整体は自分で状況判断できる大人をビジネス対象とすることで良いのではありませんか?
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