ケネスが続けた。「話を戻そう。俺は、奴らのカンザス攻撃の目的は三つ目の可能性が高いと思ってる」
「それは?」
「シミュレーションだ」
「シミュレーション?」
「味方の戦闘能力のチェックと相手の戦闘能力の情報収集が目的だ。様子見とシミュレーションの違いは、データ収集のためならいかなる犠牲もいとわない。負けっぷりのよさだっていい情報提供になる。戦士は戦死するための消耗品だ」消耗品の部分で、ケネスが苦々しい口調で言った。
「おそらくシミュレーションに間違いないだろう。マクミラが、お前や孔明とかいう奴を『目覚めさせる』とか言っていたというのは余裕というかなんというか・・・・・・」
「あるいは、何かのゲーム・・・・・・」
「人間の命をもてあそぶゲームか?」
「ふとそんなイメージが浮かんだの。単なる闘いというよりも、もっとスケールの大きなゲーム」
「たしかにゲームはシミュレーションとは切り離せないな」
「ねえ、一つ聞いていい?」
「なんだ?」
「オン・ザ・ジョブ・トレーニングの可能性は?」
「ほう、そこに思い当たるとは、だてに大学には通ってないか」
「ちゃかさないで」
「すまん。質問の答えは、イエス・アンド・ノーだ。イエスの理由は、たしかに一とゼロの差は限りなく大きい。一度でも戦場にでたことがある奴は、百のシミュレーションを体験しただけの奴よりもはるかに使えるし生き残れる可能性も高い。だから、オン・ザ・ジョブは不可欠だ・・・・・・」
「どうしたの?」
「この世の中に最悪のものがある。戦場のオン・ザ・ジョブ・トレーニングの教官になることだ。必ず何人かが死ぬとわかってる訓練の教官なんて、まともな奴ならたえられない。だから、相手を一人残らず殲滅するために自分が全力をあげて手助けしたいと思う。だが、そんなことをしたらオン・ザ・ジョブの意味はなくなる」
「本当に最悪ね」
「それが、お前の質問に対する答えがノーの理由だ。オン・ザ・ジョブには必ず教官が同行するものだ。闘いの最中にマクミラとかいう女はいったいどうしてた?」
「私たちの闘いをながめていた。目が見えないらしいからながめていたというのは正確じゃないかもしれないけど、状況把握は完璧だった」
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