(どうじゃ。いっそのこと、ゲームで決めてみては?)意を決したネプチュヌスが伝えた。
(ゲーム?)
ユピテルとプルートゥが、同時に振り向いた。
(プルートゥが言うとおり、このままいけば人間たちは自らが作り出した「科学」という名の魔術にしっぺ返しを受けることは必定。しかし、あやつらの歴史のところどころに現れる者はまんざら捨てたものではない。そうした者たちを助けてガイアを救う試みをさせるのじゃ。それに失敗してからでもユピテルの言うやり直しは遅くない)
(人間たちが驕りによって滅ぶのなら自業自得じゃが、自らの努力でガイアを救おうとするならばそれを助けるも一興)
プルートゥはネプチュヌスの案が気に入ったようだった。しかし、何かをたくらんでいるようなあやしい光が眼に宿る。
(ガイアを救うとかんたんに言うがどうやって? いまさら人間たちに愛を慈しむことを教えるのか。適任者がおると言うのか?)ユピテルが思念を送った。
(おる)ネプチュヌスが静かに、しかし力強く答えた。
(それは誰じゃ?)ユピテルが問う。
(我が親衛隊長シンガパウム公爵の第六女ナオミじゃ)
天界と冥界の最高神が、なるほど、シンガパウムの末娘がおったか、とうなずく。
(だが、人間たちを救おうとするだけでは不公平というものではないか。マーメイドが救う側に加担するなら、破滅させる側にも手を貸さなければおかしいと思うが)タイミングを計っていたプルートゥが思念を発した。
今の今まで不干渉を提案していたプルートゥが考えを変えたからといって驚くにはあたらない。プルートゥは「裁くもの」で、公正さが彼にとっての最優先事項。見栄にこだわり最初の立場に固執したりなどはしない。しかし、それも人間たちには、神々の気まぐれにしか見えないかもしれないが。
(不公平か・・・・・・たしかに)
ここにいたってユピテルも提案に引き込まれ始めている。
(そこでじゃ。ガイアを救おうとするマーメイドはネプチュヌスの支援を得る。そして、ガイアを滅ぼそうとする人間たちは、儂の支援を得るのではどうじゃ)プルートゥが思念を送った。
(待て、儂はどうなる? ただの傍観者か?)仲間はずれにされそうになった子供のように、あわててユピテルが思念を送る。
(お主はマーメイドの小娘を助けるがよいわ。すでに人間たちは圧倒的に不利な状況にある。それでこそ、ふさわしいハンディではないか?)プルートゥが思念を発した。
(よかろう。人間たちの運命はあやつら自身に決めさせることとする。ゲームセットはガイアの生死がはっきりするまで。ガイアが意識を取り戻してこの惑星に未来が取り戻されるのならマーメイドの勝ち、ガイアが崩御されればマーメイドの負けじゃ。その時、すべてはカオスに戻る)ユピテルが宣言する。
さすが最高神たちの中でも最も高位の神だけあって一度決めればユピテルの切り替えは早い。
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