「時間ならくさるほどあったと言ったであろう。名付けて、反転ミラージュ!」
サマンザと入れ替わりに、包帯が解けた眠眠は天女のような服をまとった美少女に変身していた。芋虫がサナギを経て美しい蝶になっていくように闘いを通じて眠眠は進化した。
「我が孫ながらなんと美しい」
「今日は助けてもらった御礼に女装してあげる」
「さあ、夢魔スレイヤーを使うのじゃ!」
「言われなくたって、眠眠そのつもり」
眠眠が再び気合いを込める。闇の世界に黄金色の光が満ちる。
切り下ろすとサマンザの身体を切り裂き、ドリームカリバーに吸い込まれ、魔剣が勝利の雄叫びを上げた。秘剣夢魔スレーヤーだった。
一匹屠る度、エネルギーを取り込んでより力が強くなる。
「沈めた夢魔は一匹だけじゃ。呪いを解くには、まだ四匹残っているぞ」
「眠眠も血筋を引いてるんだから、『一匹』とか動物みたいな数え方止めてよ」
「すまん。すまん。お前はやさしい娘じゃ」
青龍は青い龍、眠眠は赤い龍に変身して、無意識の底から夢の上層部へ向かって泳ぎだした。

チャックの夢に潜り込んだ二人に、ヒビキムはすぐ気づいた。
ご老人と孫がやってきたってことは、サマンザが倒されたってことね。
管理能力を買われてリーダーやっていただけだから、しかたないか。ここは、私の戦闘能力を発揮と行きましょう。
かわいい顔に似合わないセクシーボイスでヒビキムが囁く。「チャック、青い龍と赤い龍が近づいてくる。コワいわ」
いいカッコをしようと、チャックが答える。「心配するな。龍の一匹や二匹、俺がやっつけてやる」
夢の世界は夢魔の天下。二人は、夢の中では目を血走らせ口から火を吐きながら襲ってくる悪龍にされていた。彼は、天界の光の軍団長「光り輝くもの」シリウス時代の銀狼の姿に戻って、二人を待ち構えた。
宙に浮かんだまま、青龍が眠眠に話しかけた。
「これは険呑。銀狼が待ち構えておる」
「大丈夫。チャックのレインボースクラッチなら防ぐ自信がある」
「おそらくドリームカリバーは通用せぬぞ」
「眠眠、考えがある」
「ほう、ではやってみるがよい」
ランキングに参加中です。はげみになりますのでクリックして応援よろしくお願いします!

