財部剣人の館『マーメイド クロニクルズ』「第一部」幻冬舎より出版中!「第二部」朝日出版社より刊行!

(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

マーメイド クロニクルズ 第二部 第11章−5 第二の部屋(再編集版)

2021-04-19 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

 全員が、虹のうずまく部屋に入った。
 あまりの光の流れのすさまじさに、何が目の前にあるのかわからない。これもアストロラーベの作戦で、光の渦でほとんど輪郭しかわからない状態であれば、蛇姫ライムの魔眼によって自陣営が石に変えられてしまう心配もない。
 もともと盲目のマクミラは心眼ですべてを見切っていたが、どうにもアポロノミカンの予言が気になっていた。

   すべてを燃やし尽くす蒼き炎が
   すべてを覆い尽くす氷に変わり
   猛々しき白骨が愛に包まれて石に変わり
   冥界の神官が一人の人間の女に変わる時
   巨大な合わせ鏡が割れて
   太古の蛇がよみがえり
   新たなる終わりが始まりを告げて
   すべての神々のゲームのルールが変わる

 ここまでは、予言通り。
 さすが天才軍師だけあってアストロラーベの読みによって、最悪と思われた氷天使メギリヌとマーメイドのナオミの勝負は、こちらの勝利に終わった。だが、「猛々しき白骨が愛に包まれて石に変わり」が現実になるなら、スカルラーベは精神世界で石の彫刻となる運命ではないか?

 しかし、一振りで千の魔物の首をはねとばす大鎌を背負って、はげ頭に筋骨隆々とした体躯をドクロでできた鎧につつむスカルラーベは、ひさびさに闘えると張り切っている。相手を待ちきれずに、中央に進み出る。
 蛇姫ライムは、あやしげな微笑みを浮かべながら、中央に進み出る。
「まだパフォーマンス・フェスティヴァルは、終わっていなかった。第五幕は、月の光に映える灰銀色の海は、無慈悲な月の女神アルテミスの涙の刻だったな。太陽の化身たちを救うために、冥界から助っ人がやってくる。それでも、魔女陣営と太陽の化身陣営の力は甲乙つけがたく決着がつかない。フフフ、蛇の舞にて、続きをお見せしてしんぜよう」
 ライムは、「遠くへ飛ぶ女」の母エウリュアレ譲りの青銅の腕と黄金の翼によって誰よりも速く飛ぶことができる。高く飛び上がると、空中で踊りを始めた。ベリーダンスでいうところのスネークアームが始まった。正面のスカルラーベ以外にはぼんやりとしか見えなかったが、狂おしいほど魅惑的な踊りだった。最初は、両手の二本のはずが、四本、八本、十六本、三十二本とアームの数が増えていった。
 そんなバカな・・・・・・俺の目か、それとも頭がおかしくなったのか?
 スカルラーベの目や頭が、おかしくなったのではなかった。蛇姫ライムが、自分の髪の毛をまるで分身のように左右に踊らせていたのだった。
「さあ、こちらから行かせてもらおう」




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