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(旧:アヴァンの物語の館)ギリシア神話的世界観で人魚ナオミとヴァンパイアのマクミラが魔性たちと戦うファンタジー的SF小説

第三部闘龍孔明篇 第9章—6 コールド・デー・イン・ヘル

2018-12-31 00:00:00 | 私が作家・芸術家・芸人

(他人よりも自分のことを心配しろ。チャンスは一度切りだ。バレンタインデーのニューヨーク中の冷気を集めるから、ミックスト・ブレッシングをかましてくれ)
(簡単に言ってくれるな。まあいい、マクミラを救うためだ。異存はない)
(頼んだぞ! 将軍殿の本体はガイコツだから問題ないが、マクミラはあまり長い時間冷気に耐えられない)
(了解だ! かますタイミングはどうする?)
(フッ)アストロラーベが不敵に微笑んだ。(さかさまジョージが凍り付いたところで頼む)アストロラーベは、よたりながらかろうじて呪文を唱える用意を整えた。
 まったく軍師ともあろうものが、この姿。とうてい部下達には見せられんな。このままでは、我も呪文さえ唱えられなくなるまで長いことはない。フフフ、そんなことになったらアフロンディーヌに笑われるわ。

 地上の精霊たちよ
 我が呼びかけの刻は来たり
 とらわれの身のスカルラーベとマクミラを救う手助けをするがよい
 さすれば必ずや冥主のご加護を賜るであろう
 獲物を求める青き炎の3つ首ドラゴンよ
 我が呼びかけに答える刻は来たり
 燃える2つの首を輪廻の大蛇の首に絡みつかせるがよい
 バレンタイン・ナイトの冷気が獲物の血潮の熱を奪う刻
 残った首は輪廻の蛇の輪廻を断ち切るがよい
 ウロボロスは新たな輪廻の蛇となるがよい
 そしてコールド・デー・イン・ヘルが訪れる

 アストロラーベの呪文を聞いて、さかさまジョージ中で取り込まれたはずの青き炎の3首ドラゴンがスカルラーベから分離して叫び声を上げた。前もってかけておいた魔術なら、ヒエラポリス神殿の前でも効果を発揮できるのだ。
 獅子身中の虫ならぬ大蛇身中の虫となった3首ドラゴンは、さかさまジョージの腹を食い破り外に飛び出した。2つの首は、輪廻の蛇の各々の首に絡みついた。たちまち輪廻の蛇2匹の血潮が沸き立った。体内の血潮が蒸発し始め、気化熱が発生した。気化熱は液体が気体になる時に周囲から吸収する熱であり、液体が接しているものから熱を奪う。
「ケッケッケッ、これで攻撃したつもり? まったく効いてないんだけど」だが、この攻撃は注意をそぐためのものだった。3番目のドラゴンの首が隙をついてさかさまジョージの腹を切り裂くと、中からマクミラ、スカルラーベ、そしてアストロラーベが飛び出してきた。

     


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