シリア騒乱と修羅の世界情勢

第三次世界大戦を阻止するブログです。

議会議長の顧問、イランとイラクの戦略的関係、テロ防止キャンペーンにおける重要な役割を歓迎

2019年04月16日 | シリア
2019年4月15日6時38分
 
議会議長の顧問、イランとイラクの戦略的関係、テロ防止キャンペーンにおける重要な役割を歓迎
 
テヘラン(FNA) - イラン議会議長のHossein Amir Abdollahianは、テヘランとバグダッドの戦略的関係を強調し、テロとの闘いにおける彼らの重要な役割を賞賛した。

「テヘランとバグダッドの関係は戦略的であり、両国はテロリズムとの戦い、および地域の平和と安定の実現において重要な役割を果たしており、現在、両国の発展、持続可能な安全保障および福祉に沿って動いている」 Abdollahianは月曜日にテヘランでイランSa'ad Qandilに新しいイラク大使との会合で述べた。

彼はまた、二国間の関係を深めるためのイラン議会の準備に留意しながら、両国間の合意の実施の必要性を強調した。

Qandilは、自身の立場から、両国間の関係の重要性を強調し、さまざまな社会的、政治的および経済的分野での関係のさらなる拡大を求めた。

今月初めに行われた最近の関連する進展において、イランの国会議長であるAli Larijani氏とイラク・モハマド・アル・Halbousi議員会議の議長は、カタールでの第140回議会連合議会の傍観者会議で次のように強調した。すべての分野で二国間関係を強化することを決意した。

カタールの首都ドーハでの会議中に、Larijaniとal-Halbousiは関連分野での相互協力の拡大と強化を強調した。

会議では、ラリヤニ首相は近隣のイラクをその地域の重要かつ有力な国と呼び、「イランイスラム共和国とイラクとの間の相互関係および立場の関係」と述べ、イラクのアディル・アブドゥル=マフディ首相の訪問を指摘した。とても建設的です。」

彼はイランとイラクの共通点を指摘し、「イランはイラク政府との関係を非常に重視している」と述べた。

アルハルボウシ首相は、最近のルーハニ大統領のイラク訪問に言及し、次のように述べている。「私たちは、近隣諸国の議会演説者の出席のもと、近い将来、議会を開くつもりです。イランは、この集会が非常に重要であり、それが地域および国際協力の発展につながる可能性があると述べています。


 世界が、またひとつ戦争に向かって、大きく進んでいる。

2019年04月16日 | シリア

もう日本は貧乏国だ。 それと 世界の最新の重大な動き。ロシアのシリア空爆が世界戦争に繋(つな)がるだろう。
投稿者:副島隆彦
投稿日:2015-10-08 12:23:31

副島隆彦です。 今日は、2015年10月8日です。

 世界が、またひとつ戦争に向かって、大きく進んでいる。

 オバマとバイデンは、来年(2016年)中まで(正確には、2017年2月22日まで。次の大統領の就任式)あと 1年4ヶ月の任期があるから、“大きな戦争” large war ラージ・ウォー の開始の署名はしない。

 だが、そのあとは、もう分からない。 おそらく大きな戦争=第三次世界大戦(WW3) が始まるだろう。2017年からは、私たちが生きている極東(東アジア)でも、戦争が起きる。いや、特定の極悪人の、戦争しかけ集団が引き起こす。そのように着々と、事態は進行している。このように、考えないと、真に知性と思考力のある 人間だとは考えられない。

 今の日本人のほとんどは、脳(頭)をアメリカと、日本の右翼国家機関にヤラれている(侵されている)から、正常な判断力を持っていない。 中国と 北朝鮮を、コワイ、コワイ、気持ちの悪い国だ、と 厭(いや)がり恐怖することを中心に、洗脳(せんのう、ブレイン・ウォッシング=マインド・コントロール)されている。 だから高い知性と教養のある人間が、ドンドン減っている。

 私は、右翼と 保守は違うと考えている。右翼は、生来の犯罪者体質である。近寄ること自体が危険だ。 それに対して、本当の本来の保守(ほしゅ、コンサーヴァティヴス)は、立派な人達で、常に温厚で、何があっても、我慢強く、思慮深く対応する。

 私は、今も残っているこの本物の保守の人々に、期待している。彼らに希望を抱いている。彼らが、自営業者だったり、自分の従業員たちを、なんとか大事にして雇って給料を出して食べさせている。日本で今、この人達が、痛めつけられて減少、激減しつつある。このことを私は深く心配している。 

 あとは、たいして知能も、思慮もない、始めからずっと会社員=労働者をやるしか脳のない人たちだ。彼らの思考力は、残念ながらたいしたことはない。愛すべき国民大衆ではあるが、いざというときに闘えない。

 日本は、どんどん貧乏な国になっている。恐るべきことだ。普通の国民までが貧困化しつつある。多くの中小企業経営者は、廃業=清算(せいさん)、破綻、破産、して、大きな負債=借金を抱えた者たちは、夜逃げしつつある。 日本の ビンボー国への転落は、目も当てられないぐらいに、ヒドいものである。 

 このことを、皆で正直に語り合う、ということをしない。皆、自分は貧乏ではないと、まだ見栄(みえ)を張って気取っている。みっともない襤褸(ぼろ)を隠して、必死に取り繕(つくろ)っている。まわりから恥を掻(か)きたくないのだ。本気で、自分がどれぐらい貧乏になっているかを、言い合えば、大きな真実が見えてくる。

 下流老人(かりゅうろうじん)、老人破産 とかのコトバで、お茶を濁している。 東京の江東区(こうとうく)、荒川区、北区などの 最下層の極貧層(ごくひんそう)の人たちの困窮ぶりが、だんだん表面化してきた。 

 私、副島隆彦は、日本に3千ぐらいあるだろう職業、業種、産業のうちの、出版業界(しゅっぱんぎょうかい、本を作って本屋で売る、という仕事)に属する。この出版業界が、本当に追い詰められてヒドいことになっている。私はここに所属する。だから自分のこととして深刻に悩み苦しんでいる。 他の、3千の職業の人々も、本当に、業界、職業の、存亡(そんぼう)の危機に立たされていることが自分の肌身で分かる。 
 
 日本は急激に、とんでもない国になりつつある。ところが、 全員が知恵遅れで、低能(ていのう)で極悪人の 集団である 安倍晋三政権は、こういう国民の苦しみを理解しない。自分たちは権力者だから、自分たちには最後に悲劇が来る、それまでは大丈夫だ、と思い込んでいる。そのうち、彼らを天罰(てんばつ)が襲うだろう。
 
 この者たちは、幼児の頃から、十分に、ワルであり、冷酷な人間であり、他人の苦労が分からない人間たちだ。 ヒトを食って生きてきたのだ。「国民が、どうなろうと構わない。国民をどれだけでも追い詰めて、税金で奪い取ればいい。自分たち国家=政府さえ存続できればそれでいいんだ。世の中は、もともとそのように残酷に出来ている。権力者で勝ち組である自分たちだけが、生き残ればいいのだ」と、腹の底から考えている。そしてその子分たち、とうのが、いる。

 そして、 官僚=上級公務員ども、という、もう一種の、ワルい人間たちと、共同戦線を張っている。というか、本当は、以下の田中宇(たなかさかい)氏の文にもあるとおり、「日本の官僚が、アメリカに従属することで、自分たちの特権を温存する」のである。 低能の安倍たちなど、こいつらは大臣たちだから面従腹背(めんじゅうふくはい)で、いいように扱えばいい、と分かっている。

 この他に、日本には、今も500万人ぐらいの、チンコロ右翼の 反共(はんきょう)経営者、自営業者たち(この者たちの商売もうまく行っていない。貧困層に転落しつつある)だけが、産経新聞(さんけいしんぶん)右翼を中心に、安倍晋三を支えている。この者たちの、飢えた本性(ほんしょう)は、今や、半ば本気で中国との戦争の開始を求めている。

 自分たちの ちっともうまく行かない現実を、外側、外国に捌(は)け口(ぐち)を求めて、「戦争をするしか、もう、日本が生き延びる道はない」 と考えつつある。 大きな意味で、世界的な、戦争への扇動(せんどう)がある。震源地は、やはりアメリカの軍事凶暴派(タカ派、軍産複合体、ネオコン、ムーニーMoonie =統一教会=世界勝共運動、ヒラリ―派)である。

 この 9月30日に、ロシアが開始した シリア各都市への空爆と巡航ミサイルによる攻撃は、決定的に重要だ。 ロシアはついに外国への直接軍事行動に出た。これで、IS(アイエス)は、本当に、半分ぐらいを殲滅(せんめつ)されるだろう。今日(10月8日)で、もう3週間がたった。 ロシアのこの動きに、世界の各国の指導者たちが真剣に考え込んでいる。どうやら緒戦(しょせん)では、ロシアの勝ちのようだ。

 アメリカのアシュトン・“アッシュ”・カーター国防長官は、昨日(7日)の記者会見の声明で、「ロシアは、シリアの反政府勢力(自由シリア軍、FSA)に攻撃を掛けており、間違っている。これは、ISへの国際軍事協同行動ではない。アメリカは反対する」と語った。

 しかし、その口調は弱々しい。 アッシュ・カーターは、真面目な国務省官僚あがりで、決して軍事凶暴派ではない。いまのところはオバマに忠実だ。オバマ政権としては、ロシアが本気で、アルヌスラ戦線(ウラで、イスラエルとくっついている)とIS を 叩き潰そうとしていることに、反対できない。オバマの本心は、プーチンに賛成である。

(転載貼り付け始め)

◯「 ロシア、シリアに巡航ミサイル発射 米と亀裂拡大 」

 2015/10/8 日経新聞

 ロシアがシリアへの軍事介入の度合いを強めている。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討の名目でシリアのアサド政権を支援するロシアは7日、これまでの空爆に加えて巡航ミサイルによる攻撃に踏み切った。アサド政権の退陣を求める米国の批判をよそに、ロシアは強硬策に拍車をかけている。米ロの亀裂が一段と深まってきた。

 ロシア国防省によるとミサイルは約1500キロメートル離れたカスピ海に展開している4隻の巡洋艦から計26発発射。11カ所の標的をすべて破壊した。ロシア軍は7日もシリア北部や中部での空爆を継続。9月30日の空爆開始からの8日間で112カ所の軍事関連施設を破壊したと発表した。

 プーチン大統領は7日、ショイグ国防相にISの掃討に向けて米国やサウジアラビア、トルコなど関係国と協力するよう指示。アサド政権が率いるシリア政府軍との連携を深めるよう求めた。

 プーチン氏はフランスのオランド大統領から反政府勢力の自由シリア軍とシリア政府軍が共同で反ISの軍事作戦に当たる案を提案されたとも表明。「興味深いアイデアであり、(両者が)力を合わせることができるなら(シリアの)政治的正常化のための好条件がつくられる」と評価した。

 ロシアからの協力呼び掛けに対し、カーター米国防長官は7日、訪問先のローマでの記者会見で「ロシアが何を言おうと、我々はロシアと協力することには合意していない」と強調。IS掃討をうたいながら、実際は親ロシアのアサド政権を支援するため、反体制派を標的にしているロシアの戦略には「悲惨な欠陥」があると指摘した。カーター氏はシリアでの空爆時に軍用機の衝突を避ける安全面での調整については議論を続ける考えを明らかにした。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。ロシアのシリア爆撃の概要は、以上の新聞記事の通りだ。

 IS 「イスラム国」を、作って育てたのは、(去年、2014年6月10日に、モスル制圧で突如出現した)、アメリカの軍事凶暴派と イスラエルと、サウジアラビア(サウド王家という中東全体からの嫌われ者のワルたちが支配している。ワッハーブ派という凶暴な宗派を持ち、アメリカによる石油買い、で支援されてきた王家。だから、サウド・アラビアとは、サウド(家が乗っ取っている)アラビアなのだ)だ。 

 ところが、今、アメリカと、イスラエルと、サウジアラビアの、 このワルの三カ国 の話が合わなくなっている。 分裂が起きている。ISが、自分たちの思うとおりに動かずに、モンスター化している。このことに苛立っている。 この分裂線を、今回、プーチンが、鋭く突いた。だから緒戦(始まりの戦い)ではプーチンの勝ちだ。

 ロシアは、 イランとイラク政府の、許可と承認を得て、上空を通って、戦闘爆撃機スホイ34 による空爆(エアレイド)と、巡航ミサイル「カリブル」(全長6メートル)を使って、1500キロ離れたカスピ海から攻撃している。 極めて正確に敵の 弾薬庫(アーセナル)とかに命中させている。

 ロシア空軍は、シリアの反体制組織のひとつの アルヌスラ戦線 と IS(「イスラム国」)に対して空爆(くうばく)を掛け、大きな打撃を与えている。 ロシアは本気だ。プーチンは、この計画を実行するために十分な根回しをしてきた。 

 私は、9月中旬に、プーチンがイスラエルのネタニヤフ首相と会談したことに、アレ、何かする気だな、と気づいていた。  プーチンは、「私は、IS(アイエス)の本拠、ラッカを空爆するからな。反対しないでくれ」 と あのとき言い切ったのだと分かった。「分かった」とネタニヤフは言ったようだ。

 事前に、ロシアのラブロフ外相がジョン・ケリー国務長官との数度の電話会談で、「ロシアは、ISを撃滅するための軍事行動に出る」と伝えている。だから、シリアは、イラクの北部のISの支配地域の上空での、アメリカ軍機と、ロシア軍機の軍事衝突(撃ち合い)が起きないように、事前に、互いの戦闘機の位置を知らせ合う信号送信の仕組みを作っている。ということは、オバマ政権としては、ロシアのIS爆撃を消極的に容認している、ということだ。

 オバマは、プーチンと十分に根回しして、アメリカとロシアが直接ぶつかることを上手に回避している。オバマとしては、イラクあるいはシリアに、米軍の地上部隊(グラウンド・インファントリー)を投入することを絶対にしたくない。 せっかく 2012年末に、イラクから最後のストライカー師団を撤退させたのに、また中東に、米軍を投入することは絶対にしない。少なくとも自分の任期中はしない。米軍自身がいやがってる。「もう、あんなところには行きたくない」と。

 プーチンは、いよいよとなったら、ISとアルヌスラ戦線を殲滅(せんめつ)するために、ロシアの地上軍まで投入すると決めているようだ。 このことが、再来年からの起きると危惧される「大きな戦争」の引き金となる。

 オバマが、ものすごく偉かった、賢かったのは、2年前の2103年の4月、と8月21日に、シリアで仕掛けられた罠(わな)に、乗らなかったことだ。あの時の、オバマの英断は、後世に語り継がれ、政治学者たちから高い評価を受けるだろう。

 それは、2013年の4月に、シリアの首都ダマスカスの郊外で、サリンガスが撒かれた、という事件だ。それで、シリアのバシャール・アサド政権に、濡れ衣を着せて、「アサドの政府軍が、化学兵器のサリン爆弾を使った」という国際報道キャンペーンを張った。 そして、オバマに、アサド政権を打倒するために、ダマスカス爆撃させようと仕組んだ。仕組んだのは、イスラエルと、アメリカの軍事凶暴派、とそれからサウジアラビアである。

 アサド政権は、何も悪いことはしていない。反政府軍という、おかしな、プロ pro の殺し屋の、傭兵部隊と戦っているだけだ。 さらに、同年、8月21日に、くりかえして、サリン爆弾を爆発させて、シリアの住民たち、子供を含めて、1400人を殺す、という事件が起きた。悶(もだ)え苦しんで死んでゆく人々の映像を、世界中に盛んに流した。すぐあとの9月に、国連の人権委員会と戦争犯罪(ウォー・クリミナル)の調査団が現地に入った。そして、オバマは、真実を知った。サリン爆弾≒化学兵器をヨルダン経由で、サウジから持ち込んで、破裂させたのは、イスラエルとサウジが、米軍の特殊部隊の協力で、自分たちの子分である、反政府軍のならず者たちを使ってやらせたのだ。

 オバマは、正しく判断して、ダマスカス爆撃をしなかった。このことで、日本の安倍政権を含めて、危険な世界の凶暴派のネットワークに入っているゴロツキたちが、心底、がっかりした。 アサドを潰して、シリアを泥沼にすれば、これで、いよいよ 中東全体を戦争に持ち込める、と 策略を仕掛けた者たちの負けだ。

 バシャール・アサドは立派な指導者だ。父親は独裁者だったが、彼は、今も冷静に世界のメディアに出てきて、自分たちの立場を話している。当然に、世界メディアは、バシャールの本当に言いたいことを伝えない。ヨーロッパの優れた知識人層は、皆、「バシャールはかわいそうだ」と擁護している。

 オバマは、シリアの反政府軍の中の、おかしな連中(アルヌスラ戦線、アハラール・アルシャームなど)には、重火器の援助をしなかった。 自由シリア軍(フリー・シリア・アーミー)というスンニー派の穏健な反政府軍にだけ武器援助をした。 それで今のように、まだ、中東発の世界戦争にならないで、おさまっているのだ。 

 オバマの優れた決断を引っ張りだしたのは、国連の戦争犯罪人検事局( 国際刑事司法裁判所 ICCJ )と人権委員会にいる、カルラ・デル・ポンテという女性だ。彼女は、真実を調査する国際検察官だ。 このデル・ポンテ女史が、「サリンを撒いたのは、反政府軍だ」と国連の現地調査団としての 真実の発言をスイスでした。
それで、ヨーロッパ人たちは動揺した。 凶暴な、右翼、戦争キチガイ人間たち以外なら、この大きな真実に気づいた。それでも、世界権力者たちは、この真実を覆い隠して、今も、国連の調査団の報告書を隠してしまって公表しない。ウクライナの上空での マレーシア機の撃墜の真実も発表しない。これが、今の世界だ。

 日本では、このカルラ・デル・ポンテ女史の活動は、何も知らされていない。
私、副島隆彦が去年、出版した。『副島隆彦の政治映画評論 4』(ビジネス社刊)の中で、このデルポンテ女史を扱った ドキュメンタリー映画を、取り上げた。日本の知識人とか、有識者、政治学者なんか、サル並みのアホばっかりだ。私は、彼らが私の目の前に現われて、少しでもえらそうな事を言ったら、つかみかかって殴り倒すだろう。「おまえは、本当に、大きな世界の真実を知っているのか」 と。  

 プーチンは、やがてロシア地上軍の投入までをする。シリアと、北イラクの IS(たかだか、10万人ぐらいの狂った傭兵部隊)を完全に、掃討(そうとう)するには、どうしても 地上軍を投入しなければいけない。そのためには、イラク政府の許可をもらい、イラン政府と十分に根回しして、イランの革命防衛隊(レヴォリューション・ガード)と共同作戦を取る必要がある。

 イランの革命防衛隊(これはイランの政府ではない義勇兵の、民兵組織の形だ 。私は、今年の4月に、テヘランで彼らの尋問を受けて、勉強になった )の将軍(司令官)が、7月末に、ロシアに行っている。 ということは、この時から、今度のロシアの軍事行動計画は始まっていたということだ。

 だから、このままゆけば、アメリカの軍事凶暴派が、ロシアの動きを黙って見ているわけにはゆかないから、ロシアへの制裁、と称して、やがてロシア軍と正面からぶつかることになるだろう。それは大きな戦争につながる。
そうなると、中国が、ゆくゆくは(今は、黙って知らん顔をしているが)、ロシアを支援することになる。中国が、ロシアにとっての ”大後方(だいこうほう、グレイト・バック)”になる。中国の支援がロシアを支える。

 そうなると、中国とロシアの、ユーラシアの同盟ができて、これに消極的に、ヨーロッパの「アメリカよ、もういい加減にせよ。世界支配のやり過ぎだ」と分かっている勢力が、この中ロを後押しするだろう。 いよいよ、ユーラシアの時代である。 アメリカ合衆国は孤立してゆく。

 このとき、アメリカの軍事凶暴派=反共右翼=イスラエル一点張りの 連中は、自分たち、先進国の 高度な技術と、金融大国の理屈で、勝ち続けることが出来ると思っているのか。 大きく、大きく考えると、アメリカは孤立しているのだ。 最後の味方は、カナダと日本だけ、ということになるだろう。

 そして、この日本にも、私、副島隆彦や以下に載せる田中宇(たなかさかい)氏のような言論人と、それから真に優れた人間たちが、極(ごく)少数だが存在する。そして、洗脳されきって、脅しあげられている日本国民に、真実を伝え続ける。この苦しい努力も続く。 最後は、アメリカの敗北だろう。 

 その前に、米ドルを、文字通り、紙切れにして、「外国から借りたカネは、一切、返さない」と宣言するだろう。そして、アメリカが世界を支配した、この120年間が終わってゆく。 ロックフェラー家が石油と共に勃興した、アメリカの時代が終わる。 その前に、世界戦争に打って出て、数年間の間に、数千万人の人間が、死ぬことになるだろう。

 日本もその例外にはならない。数百万人が次の戦争で殺されるだろう。私は、そのように冷酷に、未来予測(フューチャー・テリング)をしている。今の日本の貧困化は、その前兆である。

 今のヨーロッパ諸国は、シリアと、リビア( カダフィを、ヒラリーが殺したからだ。)の難民が流入することで、もう往生している。だから、ロシアが、ISやらを本気で叩いて、これ以上の中東難民の流入を阻止してくれることに賛成している。 自分たちでは、大したことは何も出来ないのだ。

 フランスの虎の子の原子力空母のシャルル・ドゴール号による、レバノン沖からの、IS爆撃とか言ったって、何の成果もあげていない。イギリスの爆撃も同じだ。 アメリカの顔色を伺(うかが)いながらの、西側同盟としての、最低限度の協同軍事行動という体裁だけだ。

 第一、アメリカの軍事凶暴派自体が、ISを作って育てたのだから、米軍が、本気で、ラッカのISの本拠を攻撃する、ということをしない。ドローンを使って爆撃のようなことをやっている。その実、「誤って」ISの支配地域に支援物資を投下した、ということまでやっている。 オバマと、チャック・ヘーゲル前国防長官は、このことで、怒っていた。「自分たち最高司令官の命令を、なぜ、軍は聞かないのか。どうしてISへの爆撃を強化しないのか。本当に、お前たちはやる気があるのか」と、オバマは怒っていた。しかし、何ごとも我慢だから、米軍内の 凶暴派、反共右翼=ムーニー の勢力に対して、何も手を打てないで、ここまでやってきた。

 だから、オバマとしては、プーチンに何一つ強いことを言えない。 このまま行くと、ロシアが、中東アラブ地域(リージョン)でも大きな力を持つようになる、と、イギリスBBCのモスクワ派遣の、如何にも軍事凶暴派で、体制ベッタリの、イギリス女の特派員が、今朝のBBCでも、ロシアを腐(くさ)すだけのコメントをしていた。

 日本の、みっともない安倍政権への屈従集団であるNHKなどは最早(もはや)、まともに世界基準の政治思想の理解や政治分析が出来る人材はいないので、お子様ランチ並の、低レベルの安倍政権への屈従報道をやっているだけだ。自分たちには何の判断力もない。

 以下に長々と載せる、”ウータン”田中宇(たなかウー)氏の世界政治分析が、優れていて、私が、この数日、ずっと観察して分析していたこととほとんど一致しているので、以下に、その「無料、勧誘版」を貼り付けます。

 この中に、トルコ政府(エルドアン政権)が、シリアとイラクにいるクルド人のクルド労働党との戦闘があるので、その分は、いやなのだが、ロシアの戦闘機が、トルコ領内に誤って入ってきたことで、ロシア政府がすかざず謝罪したので、「ロシアは友人だから」と、ロシアの、シリアでのISやアルヌスラ戦線への激しい爆撃に、反対していない。

 ヨーロッパ諸国の指導者たちも、ヨーロッパの集団的自衛集団であるNATO(ネイトー)軍の中にいる、反共右翼の、「ロシアとの戦争も辞さず」という凶暴派を除けば、「ロシアに頑張って欲しい」というのが、本音だ。

 ドイツおよびドイツ国民は、9月15日ぐらいから、降って湧いた、VW(フォルクスワーゲン)社の、排ガス規制逃れの秘密の違法ソフト摘発の件で、アメリカに怒っている。 

 今頃、何だよ、そんな違法ソフトの組み込みなんかを摘発しやがって、ディーゼル車では完璧な排ガス排除は出来ないことは専門家は全員、分かっていたはずだ。と、ドイツ人は、怒っている。これで、ドイツのアメリカ離れが、また加速する。

 アメリカは、ドイツ政府が中国に接近して「一帯一路」とAIIB を推進し、かつ、メルケル首相が、プーチンと北海ルートの天然ガスの供給とかでも合意し、ウクライナの調停(アービトレーション、仲介)でプーチンと密かに話し合っているので、ドイツいじめをやる、と決めたのだ。 

 フォルクスワーゲン社は、180億ドル(2兆円)ぐらいの懲罰金、罰金を、アメリカ政府(司法省)に払うことになるようだ。こうやって、アメリカは、自分の国の財政赤字が、文字通り、火の車 だものだから、外国の大企業を、傷めつけて恐喝(きょうかつ)のような大金の巻き上げを平気でやるようになった。トヨタもひどい目に会った。 

 アメリカの連邦政府の債務上限 20兆ドル=2400兆円の 引き上げの期限が迫っている。ワルのローマ法王フランシスコが米議会で演説したときに、後ろで、「私は辞任する」と突如、ベイナー下院議長が、政府の借金問題で、頭がおかしくなって、泣き出したのが、映像に映ってしまった。9月25日だったか。

 日本の東芝いじめ、東芝の経営危機も、 アメリカが、西室泰三(にしむろたいぞう、元東芝会長)を使って、「金融庁=アメリカの直属機関=が握る社外重役制度」を使って、三井ロスチャイルド系で、能力のある立派な人物である西田厚聰(にしだあつとし。 奥さんはイラン人 )の勢力を追い落とさせるために仕組んだのだ。

 トルコが、「ロシアは大事な友人だ」と言っていることが重要だ。こうなると、アメリカから離れようとしている中東の国々は多い。中東どころか、世界中で、アメリカの凶悪なやり方に嫌気が差している指導者たちが増えている。

 だが、彼らは、政治家だから、どっちつかずが一番。両方の勢力から、猫なで声がかかって、「タダでもらえるものなら、原発でも、高速鉄道(新幹線)でもいただいてしまいましょう」と、「まだまだ貧乏大国」のインドのモディ首相のように上手な立ち回りをしている。 こういう大きな事実を、日本のテレビ、新聞は、絶対に報道しない。

 バカのヌケサクなのだ、日本の、インテリ層や、有識者とか、専門家ぶっているバカたちは。世界基準(ワールド・ヴァリューズ)での大きな真実というものを、知らないのだ。理解する能力がない。アメリカによる戦後70年の洗脳教育というのは恐ろしいものだ。

 以下に、長々と載せる ウータン田中宇(たなかさかい)氏の文を、さらさらと読めるほどの、学力、知識力のある人には、私は何も言うことがない。だが、多くの人は、きっと以下の宇(ウ)ータンの文章は、難しくて、意味が不明だと思う。だから、私、副島隆彦が、分かり易く「今、世界に何が起きているか」 を、「ああ、日本は、本当に貧乏になった」と合わせて書いた。  以下の文をサラサラ読める人は、それでよろしい。その知能を褒(ほ)めてあげます。

 ただし、アメリカの世界覇権国(ヘジェモニック・ステイト)理論や、その他の世界政治の現在の骨格についての田中さかい氏の理解は、私、副島隆彦が、日本では誰よりも早く先駆者として、この30年掛けて築き上げてきたものであるから、そのことだけは、田中氏は、私、副島隆彦に敬意を払うように、ここで、言っておきます。

 それから、私は、「アメリカの覇権が終わったあと、世界は多極化(たきょくか、マルチ・ポーラー)する」理論論は、彦は採っていません。このことも言っておきます。 その他の分析では、田中氏のものとほとんど共有している、と言っていいい。  副島隆彦拝

 

(転載貼り付け始め)

田中宇の国際ニュース解説 無料版 2015年10月7日 http://tanakanews.com/


シリアのアサド大統領はいい人だ。

2019年04月16日 | シリア
2013年 08月 30日

シリアのアサド大統領はいい人だ。

 
全国54万人の毒舌ファンの皆様 おはとうございます。 Tommyです。
副島隆彦先生も、HP上の「重たい掲示板」の中で紹介しております。


無実のシリアを空爆する 
2013年8月28日   田中 宇

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 米国が英仏の賛同を得て、早ければ8月29日にシリアを空爆するという。首都ダマスカスの近郊で、8月21日に化学兵器によって市民が攻撃され多数の死者が出たとされる件について、米政府は「シリア政府軍の仕業に違いない」と断定し、国際的に違法な化学兵器の使用に対して制裁する目的で、シリア沖の地中海にいる米軍艦や、英軍の潜水艦から、トマホークなどのミサイルを発射して、シリア軍の基地などを破壊する予定と報じられている。攻撃対象が多くなる場合、B2ステルスなど、ミサイルより多くの爆弾を落とせる戦闘機を使う予定だという。 (Strike on Syria `As Early as Thursday') 

 攻撃の時期については、9月1日以降との説もある。時期の早晩があるかもしれないが、米政府の高官がマスコミに攻撃を明言しており、言葉だけでなく、いずれ攻撃が行われる可能性が高い。攻撃は2日間行われる予定だ。世論調査では、米国民の9%しか、シリアに対する軍事攻撃を支持していない。 (Obama reportedly considering two-day strike on Syria) 

 取り沙汰されている空爆の理由は「シリア政府軍が化学兵器を使って無実の市民を大量殺害したから」だが、シリア政府軍が化学兵器を使ったという確たる証拠を、米英仏は持っていない。8月21日に市民への化学兵器による攻撃が行われたとされる根拠は、ユーチューブなどに、被害者を撮影したとされる映像が掲載されたり、現場の地域(Ain Tarma、Zamalka、Jobar。いずれも反政府派が強い)の病院に医薬品などを供給している「国境なき医師団」が、現場の病院の医師から、化学兵器の被害を受けたと思われる多数の市民を手当しているとの報告を受けたりしたことだ。 (After Syria chemical allegations, Obama considering limited military strike) 

 しかしこれらの証拠は、化学兵器を使ったのが政府軍であるということの証明になっていない。証拠とされるユーチューブの動画の中には、事件の前日の8月20日にアップロードされたものもあり、ユーチューブのサーバーがある米国とシリアとの時差を考えても、動画が事件前にアップされていたという指摘がある。 (Materials implicating Syrian govt in chemical attack prepared before incident - Russia) (News of chemical weapons attack in Syria published one day before massacre happened) 

 また、アップされた動画を見た英国の科学捜査の研究機関(Cranfield Forensic Institute)の専門家(Stephen Johnson)が、写っている被害者の容態が、化学兵器の被害を受けたにしてはおかしいと思われる点が複数あると指摘している。写っている負傷者は、身体に白い気泡(水ぶくれ?。foaming)ができているが、報じられているような化学兵器の攻撃を受けた場合、気泡はもっと黄色か赤っぽくなるはずで、白い気泡は別の種類の攻撃を受けた症状のように見えるなど、シリア軍が持っている化学兵器が攻撃に使用されたと結論づけるのは早すぎる。専門家はそのように指摘している。 (Expert casts doubt on Syria chemical weapons footage) 

 また、現場の「国境なき医師団」がシリア政府軍の攻撃であると証言したような報道があるが、実のところ医師団は「化学兵器攻撃の可能性が高いが、誰が攻撃してきたかはわからない」と言っている。また、米国の金融界や大企業の献金を受けて活動している同医師団について、戦争で儲けたい米国の勢力の意向を代弁している疑いがあると見る向きもある。 ("Doctors" Behind Syrian Chemical Weapons Claims are Aiding Terrorists) 

 シリアでは今年3月にも化学兵器による攻撃があり、シリア政府や、同政府を支持するロシアなどは「反政府勢力が化学兵器を使った」と主張する一方、反政府派や彼らを支持する米欧などは「政府軍が化学兵器を使った」と主張し、対立してきた。シリア政府軍は化学兵器を持っていることがわかっているが、反政府勢力は持っていないと、当初思われていた。だがその後、シリアに隣接するトルコの当局が、トルコ国内のシリア反政府勢力の拠点で、化学兵器の材料を押収するなど、反政府派による犯行の可能性が高まった。国連は、シリアに専門家の調査団を派遣することを決め、調査団は8月中旬にダマスカスに到着した。その数日後の8月20日、調査団が滞在するダマスカスのホテルから15キロしか離れていない地域で、化学兵器による攻撃が起きたとされている。 (Propaganda Overdrive Suggests Syria War Coming Soon) (悲劇から喜劇への米国の中東支配) (大戦争と和平の岐路に立つ中東) (シリアに化学兵器の濡れ衣をかけて侵攻する?) 

 3月に化学兵器を使ったと疑われているアサド政権が、国連の調査団が到着した直後のタイミングをわざわざ選んで、調査団の滞在場所からすぐ近くで、一般市民を化学兵器で攻撃するとは考えにくい。シリアの内戦は今年に入り、アサドの政府軍が優勢になり、政府軍は、各地の反政府派の拠点を奪還している。しかも政府軍は空軍を持っており、化学兵器でなく通常兵器による空爆の方が、反政府派を効率的に駆逐できる。政府軍が、自分らが優勢な時に、非効率的な化学兵器を使うとは考えにくい。反政府派が、これまでも自分らに有利な偏向報道をしてくれてきた米欧のマスコミが「政府軍の仕業だ」と決めつけてくれるとの見通しで(もしくは米国側から持ちかけられて)、国連調査団の目前で化学兵器を使ったと考える方が納得できる。 (US Sponsored Rebels in Syria have been Defeated. Government Forces are Restoring Peace throughout the Country) 

 事件後、米英マスコミの多くは、政府軍の仕業と決めつけて報道し、化学兵器による死者の数を「60人」「600人」「1400人」などと、競ってつり上げて報道した。 (Chemical weapons use in Damascus: 'only a fool can believe it' - expert) (`Chemical Weapons' media propaganda in US, UK is designed to hide the truth in Syria) 

 事件直後は米国政府(国務省報道官)も「誰が化学兵器を使ったかまだわからない」と慎重姿勢だったが、マスコミはそんなのおかまいなしだった。03年の米軍イラク侵攻の直前、米英マスコミが、実は存在していないだろうと最初からわかっていたイラクの大量破壊兵器の脅威をでっち上げ、競って報じていたのとまったく同じ姿勢だ。イラク戦争の失敗後、米英マスコミは、戦争を起こすプロパガンダ機関になったことを反省し、姿勢をあらためたはずなのに、今回またシリアで、03年と同質の扇動が繰り返されている。 (U.S. says unable to conclusively determine chemical weapons used in Syria) (Remember bogus U.S. excuses for Iraq war before attacking Syria: China's Xinhua) 

 FT紙はご丁寧にも「イラクへの侵攻は、イラクの体制を転換する意図(米英によるおせっかい)で行われたが、シリアへの侵攻は、独裁のアサド政権を倒そうとするシリア人自身の活動を支援する(良い)ものだ。イラクとシリアはまったく意味が違う(イラクは悪い戦争で、シリアは良い戦争だ)」という趣旨の記事を載せている。 (Why Syria is not Iraq) 

 FTの記事は間違いだ。今のシリア反政府勢力の参加者のほとんどは、シリア国民でない。他のアラブ諸国やパキスタン、欧州などから流れてきたアルカイダ系の勢力で、トルコやヨルダンの基地などで米欧軍などから軍事訓練を受け、カタールなどから資金をもらっており、事実上の「傭兵団」だ。外国勢力が傭兵団を使ってシリアに侵攻している。FTなどが妄想している「シリア市民の決起」とはまったく違う。シリアの一般の国民の多くは、長引く内戦にうんざりし、アサド続投で良いから、早く安定が戻ってほしいと考えている。 (Media's Reporting on Syria as Terrible as It Was on Iraq) (`None of insurgents were Syrian') (シリア虐殺の嘘) 

 シリア反政府勢力が良くない存在であることは、米軍のデンプシー参謀長も明確に認めている。デンプシーは「シリアの反政府勢力は過激なアルカイダが多く、彼らを支援して政権をとらせることは、米国の国益にならない」と断言している。マスコミの歪曲はひどい。「ジャーナリズム」の「あるべき姿」は、世界的に(もちろん日本でも)すでに消滅して久しい。今の(もしかすると昔から?)ジャーナリズムは全体として、読者や視聴者に間違った価値観を与え、人類に害悪を与える存在だ。(マスコミは昔から戦争宣伝機関の機能を持っていたが、近年までうまく運用され、悪さが露呈しにくかった。911後、宣伝機能が自滅的に過剰に発露されている) (Gen. Dempsey: Syrian Rebels Won't Be US Allies If They Seize Power) 

 米政府はシリア空爆を決めた後、ケリー国務長官が「シリア政府軍が化学兵器を使ったことは否定しようがない」「それを疑う者は不道徳な陰謀論者だ」と表明し、根拠なしに政府軍犯人説を主張した。しかし他の諸国は、もっと慎重な姿勢だ。 (No Proof, But Kerry Insists Syria Allegations `Undeniable') (John Kerry Delivers Obama's War Declaration Against Syria) 

 フランスの外相は、シリア政府軍の拠点を空爆することを強く支持した。しかし、そこには「もし化学兵器を使ったのがシリア政府軍であるとしたら」という条件がついている。英国の態度も同様だ。イタリアは、国連で化学兵器の使用者が確定しない限り、空爆に参加しないと表明した。ドイツなどもこの線だ。 (`US unclear on Syria chemical arms use') (Italy rules out action in Syria without UN) 

 今年3月に反政府派が化学兵器を使ったと指摘するロシアは「誰が化学兵器を使ったか確定するのが先だ」と言っている。決めつけを表明した米国以外は「もしシリア政府軍が化学兵器を使ったのなら、政府軍の基地を空爆すべきだ(もしくは空爆もやむを得ない)」と言っているが、マスコミは「もし」の部分を意図的に小さく報じ「空爆すべきだ、空爆はやむを得ない」と報じている。 (Syria crisis: Russia and China step up warning over strike) 

 シリアにはちょうど国連の化学兵器調査団がいる。彼らは当然ながら、8月21日の化学兵器使用現場を調査しようとした。しかし現地に向かう途中、反政府派から狙撃され、引き返さざるを得なかった。その後、日を変えて再び現場に向かい、2度目は現場を検証できた。だが、調査結果を持ってダマスカスから米欧に戻ることができないでいる。米国が国連事務総長らに圧力をかけ、調査団のシリアからの帰国を阻止している。この指摘は、米国の元大統領補佐官のポール・クレイグ・ロバーツが発したものだ。以前から彼の指摘は的確で、注目に値する。 (Syria: Another Western War Crime In The Making - Paul Craig Roberts) 

 対照的にFTは「シリアの独裁を倒すために立ち上がろう」と題する、昔の共産党機関誌顔負けの扇動的な題名の記事で「シリア政府が調査団の現地訪問を阻止している」と指摘している。当然ながら、信憑性に疑問がある。 (We must stand up to Syrian tyranny) 

 別の報道で「米英は、早く調査団を現地に訪問させろと言っているが、国連事務局が、治安の問題を理由に、訪問を先延ばしにしている」という指摘もある。これまた疑問だ。国連など国際機関の内部の議論を一般人が検証できないことを良いことに、誰が賛成して誰が反対しているかを逆に書くのは、昔から英国が得意とするプロパガンダ手法だ。 (U.N. Slowing Its Own Chemical Weapons Investigation In Syria) 

 現在の米政府の姿勢は「国連の調査団は来るのが遅すぎた。反政府勢力の証言から、シリア軍の犯行であるのは、すでに間違いない。いまさら調査しても意味がない」というものだ。ケリー米国務長官は「国連の調査は重要だが必須でない。すでに(政府軍が犯人だということで)結論が出ている」と言っている。 (Obama Administration Accepts Rebels' Account on Syria, Prepares for War) (Obama considering limited military strike on Syria) 

 なぜ米国は、国連の調査を妨害するのか。もしケリーが断言するとおり化学兵器使用の犯人がシリア政府軍であるなら、国連調査団をさっさと現地に行かせて米国に帰国させ、国連総会で真相を発表させれば良い。それをせず逆に、調査団の帰国を遅らせ、妨害しているのは米政府自身なのに、アサドが妨害しているんだとマスコミに歪曲報道させている。真相は、化学兵器を使ったのが反政府勢力だということだろう。それが国際的に暴露されると、米英が支援してきた反政府勢力の信用失墜と崩壊が進み、アサド政権が内戦に勝ってしまい、ロシアの言いなりでアサド続投を認知する国際会議をやらねばならなくなる。 (Russia suggests Syria `chemical attack' was `planned provocation' by rebels) (Anti-Syria Western axis coming apart) 

 反政府勢力の犯行を隠すため、米国は国連調査団を帰国させず、彼らが帰ってくる前に空爆を開始し、真相をうやむやにしつつ、シリアの空軍力を壊滅させ、混乱のうちに反政府派を反攻させ、米軍の地上軍派遣をやらずに、アサド政権を倒すまで持っていきたいのだろう。ロイター通信も、そのような筋書きを報じている。米軍は、イラクやアフガンよりひどい占領の泥沼になるシリアへの地上軍侵攻に猛反対している。 (Reuters: US to Strike Syria Before UN Evidence Collected) 

 イラクとアフガンの失敗以来、米英などでは、政界や世論が、シリアやリビアなど中東の紛争地で戦争をすることに反対する傾向が増している。米英政府が、議会でシリアとの戦争の必要性についてきちんと議論すると、空爆ができなくなり、反政府派の悪事が国際的に暴露されていくのを看過せねばならなくなる。だから米英政府は、自国の議会が夏休みの間に、急いで空爆を実施しようとしている。本来、米国も英国も、戦争するには議会の承認が必要だ。 (War on Syria Imminent, US Won't Seek UN or NATO Vote) 

 米国では911事件以来、大統領が「テロリストとの戦い」を開始する権限を持っている。だからオバマは合法的にシリアを空爆できる。しかし英国では、議会の決議を経ずに首相が勝手に戦争を開始できない。特に英国は、03年に米国のイラク侵攻につきあって大失敗して以来、開戦権について議会が厳しくなっている。あと一週間もしたら、英国は議会がシリア空爆を阻止する決議をして、米国と一緒にシリアを空爆できなくなる可能性が高い。だから、米国のオバマより英国のキャメロンの方が、シリア空爆を急いでいる。英国はこの10年ほど、米国に冷たくされ、何より大事だった英米同盟が希薄化している。シリアに濡れ衣をかけて空爆する悪事を米国と一緒にやれば、英米同盟を立て直せるかもしれないと、英政府は考えているのだろう。悪事を一緒にやった者同士は(悪事の悪さが大きいほど、強い)運命共同体だ。 (US, Britain and France Agree to Attack Syria Within Two Weeks) 

 米政府は、国内・国際的な反発を減らすため、空爆によってアサド政権を倒す目的でなく、使用禁止の大量破壊兵器である化学兵器を使った「罰」を与えるのが目的だとしている。だからアサドの大統領官邸やシリア政府の役所などは空爆対象にならないという。だが真の目的は、シリアが100機ほど持っている空軍の戦闘機を、空爆によってできるだけ多く破壊し、反政府軍に対するシリア軍の優勢を壊すことだろう。反政府軍は地上軍だけなので、空軍力がある政府軍に勝てない。政府軍の戦闘機やヘリのほとんどを破壊すれば、内戦は地上軍どうしの戦いになり、政府軍の優位が減る。米英などは最近、シリアの南隣のヨルダンの基地を使って、シリア反政府派を軍事訓練し、シリアに戻すことに力を入れている。 (Obama's Syria options: From a symbolic strike to wiping out Assad's air force) (Report Claims US, Israeli Trained Rebels Moving Toward Damascus) 

 今後、米英仏が本当にシリアを空爆するかどうか注目が必要だ。この戦争には、イランやイスラエル、ヒズボラ、サウジなど、他の勢力も関係している。今回は書ききれなかった、パレスチナ和平交渉との関係もある。それらは次回に、有料記事で書くつもりだ。 

【続く】 

トランプのイラン敵視の効果    田中宇

2019年04月16日 | シリア

トランプのイラン敵視の効果    田中宇

  • 2018.05.30 Wednesday
  • 00:09

 

 

▼ トランプがイランを敵視するほど世界が多極化する


イラン協定離脱後、トランプの米国は、イラン敵視をどんどん強めている。


欧州など国際社会に「米国にはついていけない」と思わせるためだ。
 

 

新たな経済制裁は、欧州企業をも制裁対象としうる。
 

 

EUは、米とイランの対立が激化したら、イランの側に立つことを決めている(国際法上、イランが正しく、米国が違法だから)。


シリアには、米国とイランの両方の軍勢が駐留している。

米国はシリア政府の許可も取らず、撤退要求を無視して駐留する「国際法違反」だ。


イランは、シリア政府から頼まれて軍事顧問団を派遣しており「合法」だ。


真の目的は、イランを標的にしているように見せて、実のところ、米国以外の国際社会(欧州、露中など)を標的にしている。
 

 


喧嘩を売られた国際社会は以前、イラク侵攻のころまで「ご無理ごもっとも」と米国の言いなりになる傾向が強かったが、昨今の米国の衰退加速とトランプの覇権放棄の加速を受け、対米自立を傾向を強めている


ボルトンやポンペオは、それを加速する役回りだ。実際にイランが政権転覆されることはない。


米国の協定離脱は、国際社会がイランを許す方向の動きにつながっている。

そもそもイラン敵視は濡れ衣だったのだから、これは正しい方向だ。


03年に子ブッシュの米国が単独覇権主義を宣言してイラクに侵攻した当時、日本の外交官ら「専門家」たちは「イラク侵攻が濡れ衣に基づく国際法違反であるとしても、もはや大したことでない。

これからの世界で、何が正しいかは、単独覇権国を宣言した、絶対の力を持った米国が決める


米国を非難する国際法や国連など、もはや何の力もない(米国に従属している日本も安泰だ)」と、したり顔で言っていた

 



その後、オバマ時代の米国は、国際法を守る風を装う姿勢に戻ったが、トランプになって再び国際法無視を繰り返し、今回は、国際法の側から反撃され、覇権低下に拍車をかける事態となっている。


もはや「専門家」たちは、この事態をわかりやすく解説することすらできなくなっている。



http://tanakanews.com/180523iran.htm


中東の覇権国になったロシア(1)

2019年04月16日 | シリア


中東の覇権国になったロシア(1)
2018年2月11日   田中 宇
 1月20日、トルコ軍が、南隣のシリアに侵攻した。内戦後のシリア北部に自治区(準独立国)を作ろうとしているクルド人の武装勢力(YPG)を弱め、アフリンとマンビジという2都市から追い出して2都市でのクルド人自治を廃止し、代わりにトルコにいるシリア難民(アラブ系)を移住させるのがトルコの目標だ。シリアのクルド人は、トルコ国境沿いに東西に長く点々と住んでおり、以前から勢力が強かったユーフラテス川の東岸だけでなく、アフリンとマンビジがある西岸にも占領(自治、分離独立)を拡大しようとしている。トルコは、この2都市からクルド人の軍事行政勢力を追い出すことで、シリアにおけるクルドの自治領域をユーフラテス東岸のみに限定しようとしている。 (Is US bailing on Syrian Kurds?)

 シリア内戦は、米国(軍産、サウジ)が、育てたISやアルカイダを使ってアサド政権を倒そうと2011年から始めたが、結局、ロシアやイランに加勢されたアサドがISカイダを倒して終結し、後始末の段階に入っている。米国では、軍産がISカイダを支援してきた一方、非軍産的だったオバマや、反軍産なトランプは、米軍を動かしてISカイダを退治しようとしてきた。 (露呈するISISのインチキさ)

 シリアの総人口の約1割を占めるクルド人は、内戦後の自治(準独立)を勝ち取ろうと、内戦開始後、最初はアサドの政府軍と協力してISカイダと戦い、その後は、オバマやトランプ傘下の米軍に協力してISカイダと戦ってきた。アサド政権は、クルド軍がISカイダと戦っていることを評価し、2012年に、トルコ国境に近いアフリンなど3つの町を、クルド人の自治都市と認定している。その後、最近になってトランプがクルド軍(YPG)に大量の兵器をわたし、クルド人の支配地域が、シリア北西部のイラク国境からトルコ国境までの広い地域に拡大しそうだった。そこに今回、クルドを敵視するトルコがまったをかけた。 (シリアをロシアに任せる米国) (Russia Accuses US Of Carving Out "Alternative Government" In Syria As Mattis Says No Longer Focusing On Terrorism)

 トルコは、シリア内戦の前半、米諜報界やサウジが供給する武器や資金、新兵をISカイダに供給する兵站役を担っていたが、15年にロシアがアサドを支援して参戦し、内戦の形勢が逆転した。これを受けてトルコは16年に親ロシアに転向し、ISカイダを武装解除し、トルコ国境に接するシリア北西部の町イドリブ(アフリンの南隣)に結集させて「生かさず殺さず」で監視する役割に転じた。 (ロシア・トルコ・イラン同盟の形成)

 トルコは、国内(人口の2割)と近隣諸国(シリア、イラク、イラン)のクルド人が結束して分離独立していくことを恐れ、内戦後の自治獲得をめざすシリアのクルドを敵視している。トルコは、ISカイダ支援時代、ISカイダにクルドとの戦いをやらせていた。ロシアが参戦しISカイダが弱まると、こんどはロシアに頼ってクルド潰しを画策した。トルコは昨夏、ロシア側との会合で、トルコ軍をシリアに侵攻させ、クルド人をアフリンなどから追い出すことに関し、ロシアの同意を得ようとした。ロシアは、アサド政権のシリア統治をトルコが了承することを条件に、トルコ軍のアフリンなどへの侵攻を認めた。 (Why is Russia helping Turkey in Afrin?)

 この密約の後、ロシアはまず、アフリンなどをクルドの自治領からアサド政権の統治下に戻すことで、トルコの侵攻を招かずに、トルコがある程度満足する事態を作ろうとした。ロシアはクルド自治政府に、アフリンなどへのシリア政府軍の駐留を認めてアサドと協調してくれないかと要請した。だが、自治獲得の目標に固執するクルド人は、ロシアの要請を拒否した。 (Is US bailing on Syrian Kurds?)

 その後、今年に入って米トランプ政権が、シリアの対イラク国境の警備をクルド軍(が率いる軍勢)に任せる戦略を示唆し始め、1月18日に正式発表された。これは米国が、イラク国境からトルコ国境までのシリアの広範囲でのクルド人の自治(シリアからの事実上の独立)を支持したことを意味する。この手の宣言は本来、アサド政権や、その後見役の露イラン、近隣のトルコやイラクに相談して決めるべきことだ。この米国の独断での内政干渉的な宣言を、アサドや露イランが批判したが、最も怒りをあらわにしたのはトルコだった。トルコは、対米関係やNATOの結束を破壊することをいとわず、シリアに侵攻した。トランプの宣言はトルコにとって、侵攻の口実を作るゴーサインとなった。 (Washington Widens the War in Syria by Provoking Turkey)

 トルコ軍の侵攻を受けたクルド人は窮地に陥った挙句、アサド政権に対し、アサド政府軍のアフリンなどへの駐留を認めるから、トルコ軍を撃退してほしいと泣きついてきた。事実上の自治返上である。現在、トルコ軍はアフリンの中心街を包囲している状態だが、今後、アサド政府軍のアフリン進駐、クルドのアフリンに関する正式な自治返上と引き換えに、トルコ軍は撤退していくと予測される。クルド人の自治地域は、ユーフラテス川の東岸のみに再縮小する。(私が事態を読み解けていない部分があると、違う展開になる)。 (Kurdish-run Afrin region calls on Syrian state to defend border against Turkey) (Kurdish Leaders Implore Assad To Defend Afrin From The Turks)

 シリア上空は、ロシアが制空権を持っている。ロシアがその気になれば、侵攻したトルコ軍を空爆できた。だがロシアは傍観した。ロシアは、トルコの侵攻を容認した。アフリンには、クルド自治政府との連絡役としてロシア軍の顧問団が駐在していたが、トルコ軍の侵攻とともに撤退した。クルド側は、トルコ軍の侵攻に何も反撃せず撤退したロシア軍を批判したが、ロシア側は、クルドが自治に固執してアサド政権との協力を拒んだからこんな結果になったのだと静かに言い返した。アサド政権を支援してきたロシアは、トルコ軍の侵攻によって、それまで自分たちが言っても聞いてもらえなかったアフリンなどでのクルドの自治返上を実現できた。アサドは、ますますロシアに感謝し、喜んでロシアの傀儡になっている。ロシアのシリア支配が盤石になっている。 (Kurdish militia repels Turkish Afrin invasion amid continuing Turkish air blitz) (Russia builds four new air bases in Syria, deploys another 6,000 troops)

 トルコ軍のアフリン侵攻の同日、アフリンの南にあるイドリブでは、シリア政府軍が、空軍基地(滑走路)を、何の抵抗も受けずに占領した。イドリブ周辺は、アレッポなどシリアの北半分で内戦を戦って負け、政府軍側に投降して武装解除されたISカイダの兵士とその家族が集められて住んでいる。トルコが彼らに食糧を支援している。彼らは、再武装して政府軍に反攻する傾向だ。だが今回は、政府軍が滑走路を占領する際、ISカイダ系の抵抗を受けなかった。これはトルコが、抵抗するなとISカイダ側に圧力をかけたからだろう。すでに、ロシアを仲裁役として、トルコとアサドの連携ができている。 (Assad is using Turkey’s Afrin offensive to make gains in Syria) (アレッポ陥落で始まった多極型シリア和平)

 イドリブは、シリア領内だが、以前からトルコの影響下にある。トルコは、クルドが占領してきたアフリンの隣にあるイドリブを取ることで、クルド勢がさらに西進して地中海岸まで占領してしまうのを防いでいる。4か国とも内陸が居住地域であるクルド人は、海に出る経路がとてもほしい。海に出られれば、イラクのクルド地域の石油を地中海から直接輸出できる。(イラクのクルドは昨秋の敗北で、油田がイラク政府に占領されてしまったが) (Turkish and Syrian threats in Afrin put U.S., Russia in a bind) (Turkey Erdogan's plans for Afrin might not sit well with Syria)

 だが今や、トルコの侵攻によって、イドリブとユーフラテス西岸の間にあるアフリンとマンビジがアサド政権の支配下に戻り、クルドの自治がユーフラテス東岸に縮小していく中で、クルドの西進抑止のためにトルコがイドリブを保持している必要もなくなっている。今後トルコがイドリブのISカイダ残党を見捨て、イドリブもアフリンなどと同様、アサド政権の支配地に戻るかもしれない。アサドの支配力の増加は、シリアにおける露イランの勢力の維持強化になる。トルコも、露イラン同盟に入れてもらう傾向だ。プーチン、エルドアン、ロウハニは、前から定期的に話し合いを続けている。トルコの提唱で、近いうちに、シリアの今後を決めていく3人のサミットも開かれる。 (Russia, Turkey and Iran presidents do not rule out meeting over Syria) (Turkey to host Syria summit with Russia and Iran)

 今回のトルコ軍の侵攻は、トランプの米国がクルド人の自治(分離独立)をテコ入れしたために起きた。しかも米国は、NATOの結束を優先し、アフリンに侵攻したトルコを批判しなかった。クルドは、またもや米国にはしごを外され、負け組に落とされた。米国に乗せられていると、クルドはシリア内戦で得たものを失うばかりだ。クルドは、今後のシリアで、ある程度の広さの領域で自治を認められそうだが、それには、従来のように米国と親密にするのでなく、シリアの覇権国となったロシアと親密にせねばならない。自治獲得が何より大事なクルドは今後、米国を見限ってロシアの言うことを聞くだろう。ラッカなど、ユーフラテス川のもっと下流でも、クルド軍は川沿いの地域から砂漠に撤退させられ、川沿いはイラン系軍勢の支援を受けながらアサドの支配地に戻るのでないか。 (Will Washington's Chess Game In Syria Lead To War With NATO Ally Turkey?)

 トランプはシリアで自滅している。私から見ると、これはトランプの覇権放棄の一環であり、意図的なものだ。米軍はその後も、シリア東部のユーフラテス川を渡河中の露アサドイラン系の軍勢を空爆するなど、ロシア側を怒らせる行動を続けている。シリアの覇権を確立したロシアは今後、米軍をシリアから追い出す策略を強化するだろう。 (More on US strike: Russians who laid Euphrates bridge among targets) (Turkey's Offensive In Syria: The US Falls Into A Trap Of Its Own Making)

 米政府中枢では、トランプがシリア空爆に関して過剰に好戦的なことをやりたがり、米軍側(軍産複合体)がそれを嫌がって止めるといった展開になっている。軍産よりも過激に振る舞うことで、軍産の好戦性を抑止する、ネオコン的なトランプの典型的な戦略だ(北朝鮮に関しても同じ構図だ)。 (Mattis Dismisses Fears of Wider War After Massive Syria Strike)

 マティス国防長官は最近、アサド政権が化学兵器(サリンなど)を使ったということで、米国はアサド政権を攻撃してきたが、アサドが化学兵器を使ったという主張に根拠はないのだとあっさり認める発言をした。マティスは、米国が2013年以来ついてきたウソ(濡れ衣)を認めた。マティスは、無根拠性を認めることで、アサドの化学兵器使用を理由にシリアを再び攻撃したがっているトランプを抑止しようとしている。 (US has no evidence of sarin gas used in Syria: Pentagon chief) (米英覇権を自滅させるシリア空爆騒動)

 今回のトルコ軍の侵攻で、シリア北部の内戦後の勢力分布に関する諸勢力間の争いが一段落し、ラッカ周辺も決着すると、あとは対イスラエルが問題のシリア南部が残る。イスラエルとシリア・イラン・ヒズボラの関係も大きく動いているが、これは続編の(2)として書きたい。シリア全体で内戦が終わると、次はアサドと反政府勢力との暫定政権が作られ、新憲法の制定、総選挙の実施を経て、新たな民主的なシリアが誕生する。アサドは、シリアの多数派であるスンニ派でなく、少数派(人口の約1割)であるアラウィ派で、その意味では民主的な選挙に勝てそうもないが、スンニ派が結束して強い対抗馬を出せず分裂したままな場合、アサドが新生シリアの大統領として続投する。ロシアやイランは、アサド続投を望んでいる感じだ。 (Western, Arab states sidestep Assad fate in Syria proposals)


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シリア内戦の終結、イランの台頭、窮するイスラエル

2019年04月16日 | シリア

シリア内戦の終結、イランの台頭、窮するイスラエル
2017年9月18日   田中 宇
 シリア内戦は、終わりかけているのに、報道でそれが知覚しにくい、終わりがあいまいな戦争になっている。15年秋にロシア軍がアサド大統領のシリア政府軍を支援するために参戦して以来、ロシアとイランに軍事支援された政府軍が、IS(イスラム国)やアルカイダなどイスラム過激派(テロリスト)の反政府勢力に勝ち続けてきた。反政府勢力は、米国やサウジアラビア、トルコ、イスラエルなどに軍事支援されているが、露イランに支援された政府軍や、米軍に支援されたクルド軍(YPG)に勝てず、退却し続けている(米国は、表でYPGを支援しつつ、裏で米諜報界がテロリストをも支援している)。 (The West might hardly believe it, but it now seems the Syrian war is ending – and Assad is the victor)

 天王山だったアレッポも昨年末奪還され、ラッカも今夏、事実上奪還された。ISカイダが政府軍と戦い続けているのは、シリアの東部と南部の一部の地域だけになり、残りの地域では退治されたか停戦・武装解除されている。反政府勢力は負け続けているが、裏にいる米国が負けを認めず、諜報界の一部門である米マスコミも反政府勢力の敗北、アサドと露イランの勝利を報じない。そのためシリア内戦は、アサド側が勝って終結した感じが強まっているのに、終わったことになっていない。私はこの2年間に、シリアの内戦終結や「内戦後」について何度も書いている。 (内戦後のシリアを策定するロシア) (シリア内戦がようやく終わる?) (勝ちが見えてきたロシアのシリア進出)

 シリア内戦が、アサド露イラン(とクルド)の勝ちで終わりつつあるのは確かだ。今後テロリスト側が盛り返して政権転覆することはない。敗北の事実を米国側が認めないのは、悔しいからでなく、米国の傘下の勢力のいくつかが、敗北の準備をする時間を必要としているからだろう。シリア各地で政府軍に投降したアルカイダとその家族が、トルコに支援されつつ、トルコ国境近くの町イドリブ周辺に移住しており、それが敗北の準備の一つだ。トルコ自身、自国と接するシリア北部にクルド人自治区ができることに対する抵抗や準備、交渉を必要としている。 (Syrian rebels in talks with U.S. about surrender in Aleppo, evacuation)

 米国にとって、アルカイダやトルコよりもずっと重要な自国傘下の負け組は、イスラエルだ。イスラエルは1967年の中東戦争でゴラン高原をシリアから奪い、現在まで占領している。占領地ゴラン高原の端に、シリアとイスラエルの(事実上の)国境がある。シリア内戦中、イスラエルは、この国境のシリア側にいたアルカイダを支援し続け、自国とシリア政府軍の緩衝地帯として機能させてきた。だが昨年から、イラン傘下の勢力(レバノン出身のヒズボラと、イラク出身の民兵団)が、ロシア軍の軍事支援を受けつつ、イスラエル国境から数キロのところまで進出してきた。これはイスラエルにとって大きな脅威だ。 (The Reason For Netanyahu's Panicked Flight to Russia)

 イランとイスラエルは仇敵どうしだ。米国の外交戦略の立案過程を牛耳るイスラエルは、米国を通じ、米傀儡だったイラクのサダム・フセインをけしかけてイラン・イラク戦争を起こしたり、イランに核開発の濡れ衣をかけて制裁したりしてきた。対抗してイランは、イスラエルの北隣のレバノンの武装勢力ヒズボラや、南隣のガザの武装勢力ハマスなどを軍事支援してきた。2012年に米国の扇動でISカイダがシリア内戦を起こした後、アサド政権から軍事支援を頼まれたイランは、当初から、イスラエルに隣接するシリアとレバノンを、内戦後、イランの影響圏にして、イスラエルに脅威を与えることが内戦参加の目標だった(レバノンは90年代からシリアの影響圏)。 (The True Story Of How War Broke Out In Syria)

 内戦の前半期、イランが加勢してもアサド軍は苦戦し、そのままだとISカイダに政権転覆されそうだった。だがそこで、オバマの米政府が、内戦終結のために露軍がシリアに進出するよう、ロシアのプーチンを説得してくれて、アサドとイランは露軍の支援を得て、見事に挽回できた。露軍は、米諜報界がISカイダ支援する補給路を次々と空爆して壊した。(オバマは、イランに対する核の濡れ衣を解く一方、イスラエルにいろいろ意地悪してくれた、イランの隠れた恩人である)。ロシアと米国に助けられて、イランとアサドはシリア内戦に勝ち、イランは今年初めから、シリア南部のイスラエル隣接地域に傘下の民兵団を展開した。 (ロシアのシリア空爆の意味) (イランとオバマとプーチンの勝利) (Russian Intervention in Syrian War Has Sharply Reduced U.S. Options)

▼イスラエルが中東和平の努力をしなかったので米軍がシリア南部の進駐をやめた感じ

 イラン傘下のヒズボラやイラク民兵団は、昨年末に北部の大都市アレッポをISカイダから奪還する戦いが終わった後、シリア南部のイスラエル近傍に進駐してきた。同地域には、イスラエルが支援するアルカイダ系の反政府勢力が展開しており、それを退治するためにイラン系の勢力が進駐した。イラン系民兵団は、ロシア軍の空爆支援を受けつつ、イスラエルが支援してきたアルカイダを退治し始めた。脅威を感じたイスラエルは、2月以降、シリア南部のイラン系の軍事拠点を空爆し始めた。加えてイスラエルは、ロシア(米露)に対し、シリア南部からイラン系の勢力を追い出してほしいとか、シリア各地に作られている「安全地帯(戦闘禁止区域)」を、イスラエル国境近くのシリア南部にも設けてほしい(イスラエルが支援するアルカイダの壊滅を防ぐため)とか要求し始めた。

 ロシア(米露)は、安全地帯の設置に了承した。だが、安全地帯の停戦状態を監視する役目をイラン系の民兵団に与え、イラン系が「官軍」で、イスラエルが支援するアルカイダが「賊軍」の役回りで安全地帯を作る計画になった。それを聞いたイスラエルは、そんな安全地帯ならいらないと言って、急に反対する側に転じた。この安全地帯構想は、米露が話し合って決めており、イスラエルはロシアだけでなく米国にもしてやられたことになる。 (IS SYRIA BEING PARTITIONED INTO ‘DE-ESCALATION’ SAFE ZONES?)

 安全地帯の構想に頼れないとわかったイスラエルは、シリア南部のヒズボラなどの拠点を空爆す実力行使を続けた。これに対し、ロシアは今年3月、イスラエルに猛烈に抗議し、これ以上、イスラエルがシリアを領空侵犯して空爆を続けるなら、地対空ミサイルをシリアに配備している露軍がイスラエル機を撃墜するかもしれないと警告した。アサド大統領は、イスラエルの領空侵犯に警告を発したロシアに感謝の意を表明した。 (Syrian Envoy: Russia Has Told Israel Freedom to Act in Syrian Airspace Is Over) (Assad: Russia has ‘important role’ in preventing Israel-Syria clash)

 ロシアに頼んでもらちがあかないと考えたイスラエルは、トランプの米国に対し、シリア南部に軍事駐留してくれと頼み始めた。露イランとイスラエル・アルカイダ連合の一触即発の対立現場に入っていくことを危険と考えた米軍は、5月初旬、シリア南部の中でも、イスラエルの近傍でなく、反対側の、イラク・シリア国境の地域(アルタンフ)に、ヨルダンから2千人の軍勢で越境侵入して駐屯した。IS退治が名目だったが、その地域にISはいなかった。 (US, UK, Jordan deploy troops, tanks in southern Syria: Reports)

 米軍が駐屯したシリア・イラク国境の町アルタンフには、イランからイラクを経由してシリア南部に入る道路が通っており、駐屯には、イランの補給路を断つ意図があった。露軍やイランの軍勢は、アサド政権から要請されてシリアに進出したが、アサドを敵視する米軍は、許可を取らず国際法違法の状態で侵攻して駐留した。

 米軍がアルタンフに駐留した時期は、トランプが5月下旬にサウジやイスラエルを歴訪し、イスラエルに中東和平(西岸入植地の凍結・撤退)をやらせる見返りに、サウジとイスラエルが和解してイランを共通の敵とする同盟関係を構築する案を開始した時期と一致している。イスラエルがサウジと和解するために必要な中東和平の推進をする見返りに、トランプが米軍をシリア南部に派兵するという合意があった感じだ。だがその後、中東和平は全く進展していない。イスラエルのネタニヤフ政権は、和平反対の右派勢力に取り囲まれたまま、スキャンダルまで次々と起こされて身動きがとれない。 (よみがえる中東和平) (Criminal Indictments Loom Large for Israeli PM)

 トランプは、中東歴訪から2か月たっても中東和平が進まないため、7月下旬、CIAに対し、シリア反政府組織(アルカイダ)に対する支援を打ち切るよう命じた(CIAは「穏健派の反政府勢力」を支援していることになっていたが、反政府勢力の中に穏健派などおらず、ISかアルカイダしかいない)。シリア南部で、イスラエルのために、アサドやイランの軍勢と戦っていたアルカイダは、CIAから供給されていた武器や資金を絶たれ、戦えなくなった。彼らは、戦線を離脱して、ヨルダンに越境避難するか、トルコが元アルカイダの兵士や家族の面倒を見てくれる北部のイドリブ方面に逃げるか、投降してアサドの政府軍に鞍替えするしかなくなった。 (Trump’s Syria Muddle) (Trump Ends CIA Program Of Funding Terrorists In Syria; Will Things Actually Change?)

 7月から8月末にかけて、米国やサウジアラビアの外交官らが、米サウジの支援を受けていたシリア反政府勢力の代表たちに対し、内戦における敗北を認めてアサド政権と和解するよう、説得して回った。米政府は表向き、アサドを絶対許さない姿勢をとり続けていたが、交渉の現場では、もはやアサド政権を倒せないことを認めていた。 (Pentagon Confirms Its In-House Rebels Defected to the Syrian Army) (US, Saudis urge Syria opposition to accept Assad’s political role: Report)

 8月末には、シリア南部の対イラク国境の町アルタンフに駐留していた米軍が、シリア政府軍とイラン系民兵団に、国境検問所を明け渡した。イランからイラクを通ってシリアに至る幹線道路が再開され、アサド政権とイランやヒズボラが勢いづいた。9月上旬には、アルタンフの米軍が撤収し、ヨルダンに出て行くことが発表された。シリア南部は、米軍が立ち去り、アサドとイランの軍勢が、ロシアの空爆支援を受けながら守っていく地域になった。CIAは、サウジやヨルダン政府と連名で、シリア南部に残っている反政府勢力に対し、ヨルダンに撤収するよう命じた。 (Iraq, Jordan officially reopen vital trade route on border) (US Orders South Syria Rebels to Retreat Into Jordan)

 こうした流れの中、8月末から9月初めにかけて、ロシアや国連、米国の元シリア大使(Robert Ford)、英国の著名な中東ウォッチャー(Robert Fisk)らが相次いで「シリア内戦の終結」「アサドの勝ち、ISカイダの負け」を宣言した。国連のシリア担当特使(Staffan de Mistura)は「反政府派は負けを認めねばならない」と宣言した。 (Syrian Rebels Need to Accept That They Didn’t Win War) (Former Obama Ambassador to Syria: Iran Is in Syria to Stay)

 北部も地中海岸もレバノン国境沿いも戦闘が終わり、反政府派が武装解除されている(東部はデリゾールにISが残っているが、陥落は時間の問題だ)。南部の戦闘終結、米軍撤退は、まさにシリア内戦の終結になっている。米国中心の国際マスコミの多くは、こうしたシリア内戦の新展開を曖昧にしか報じていない。 (Saudi Arabia and Israel Might 'Directly Intervene' in Syrian Conflict)

▼戦争にも和平にもならないイスラエルとイラン

 米軍とその傘下の反政府勢力がシリア南部から撤退した力の空白を、イランとその傘下のヒズボラなどシーア民兵団が、急速に埋めている。イスラエルは、味方をしてくれていた米軍や反政府勢力(アルカイダ)にシリア南部を去られてしまい、その空白を仇敵のイランやヒズボラに埋められ、脅威が急増している。ヒズボラなどイラン系勢力は、ゴラン高原のイスラエル国境から5キロのところまで進駐してきている。ヒズボラは、シリアのためにゴラン高原を武力で奪還すると宣言し、血気盛んだ。 (Israel Held Secret Talks With US, Russia to Object to Syria Ceasefire)

 イスラエルにとっての脅威が急増したのは、米軍を撤退させ、アルカイダ支援を打ち切ったトランプの米国のせいだ。しかし、そもそも米軍が今年5月、シリア南部に駐留したのは、イスラエルが中東和平(西岸入植地撤退)を進めてサウジと結束してイランに対抗する約束で、それを加勢するための米軍の呼応策としてだった。ネタニヤフが入植地を撤退せず、トランプとの約束を反故にしているのだから、米軍がシリア南部から撤退しても、イスラエルは文句を言えない。(イスラエルのメディアは最近、サウジの皇太子が秘密裏にイスラエルを訪問したと報じたが、根拠のないガセネタだろう) (Breaking News of Saudi Crown Prince's "Secret" Visit To Israel Brings Embassy Scramble)

 ネタニヤフは8月末、米国とロシアを訪問し、自国の窮地を何とかしてくれと頼んだが、ほとんど収穫を得られなかった。米国は、トランプ政権中枢からスティーブ・バノンが追放されるなど権力闘争のまっただ中で、上の空の対応しかしてくれなかった。ロシアはイスラエル国境沿いに少数のロシア軍顧問団を派遣することに同意したが、これは兵力引き離しの軍勢でなく、事態を監視するだけだった。イスラエルは徴兵制を強化するなど、有事体制を急いで構築している。9月に入り、ヒズボラを仮想敵とする大規模な軍事演習を行った。9月12日には、イスラエル軍機がシリアに領空侵犯し、ヒズボラの武器庫などを空爆している。シリア軍は、ロシアから買った地対空ミサイル(S200)を撃って対抗した。 (Israel to Simulate War With Hezbollah in Largest Military Exercise in Decades)

 事態は一触即発になっている。イスラエルと、シリア・イラン・ヒズボラが、いつ全面戦争を始めてもおかしくない、と考えられないこともないが、私はそう考えない。戦争にはならないと思っている。その理由は、イスラエルがシリアに戦争を仕掛けたら、強大なロシア軍を相手にすることになるからだ。ロシアは、シリア政府に頼まれてシリアを守っており、イスラエルが攻めてきたら反撃する。ロシアは、シリアに、イスラエル全土をもカバーできるレーダー機能を置いている。イスラエル軍の動きは、すべて事前にロシアに筒抜けだ。これでは戦争できない。今の政治状況から考えて、イスラエルが露イランアサドに戦争を仕掛けたら、米国は中立を保つ。イスラエルは味方を得られず、06年の対ヒズボラ戦争よりもっと悪い条件で停戦せざるを得なくなり、弱体化を露呈してしまう。 (ヒズボラの勝利)

 逆に、イランやヒズボラの方からイスラエルを攻撃する可能性も高くない。今の中東において、パレスチナ人を苦しめるイスラエルは悪者になり、ISカイダを退治したイランやヒズボラは正義の味方になっている。イランやヒズボラは、戦争でなく、この政治的優位を生かした外交的な問題解決を探っているはずだ。

 イランで、シリア進出を担当しているのは、事実上の軍隊である「革命防衛隊」で、彼らは公営企業の運営などイラン国内に巨大な経済利権を持ち、その儲けをシリアやイランでの影響力の構築につぎ込んでいる。最近、革命防衛隊の拡大を快く思わないリベラル傾向のロハニ大統領は、革命防衛隊の腐敗を摘発するかたちで経済利権を削いでいく動きを行なっている。そして、革命防衛隊の最高司令官であるイランの指導者ハメネイ師は、自分より下位にいるロハニ大統領による腐敗摘発の動きを了承している。ハメネイ自身が、防衛隊は大きくなりすぎたと考えているわけだ。これからシリアでイスラエルと戦争する気なら、ハメネイが防衛隊の摘発を了承するはずがない。イランは、イスラエルと戦争しようとしていない。 (Iran cracks down on Revolutionary Guards business network) (Iran cracks down on Revolutionary Guards business network)

 イランとイスラエルは、戦争しそうもないが、和解もしそうでない。しばらくは、にらみ合いが続く。だがその間にも、イランの影響力は拡大し続ける。イスラエルは90年代、バラク首相の時代に、ゴラン高原を返還してシリアと和解することを模索していた。その構想は、00年のアサド父の死去によって潰えたが、ゴラン高原を返還してシリアと和解する利得自体は今も変わっていない。パレスチナ問題とうまく切り離せれば、イスラエルがゴラン高原を返還してシリアやイランと和解することが、長期的にあり得る。


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いまだにシリアでテロ組織を支援する米欧や国連

2019年04月16日 | シリア

 


いまだにシリアでテロ組織を支援する米欧や国連
2018年3月7日   田中 宇
 シリアの首都ダマスカスの東郊外に「東グータ地区」(Eastern Ghouta)がある。この地区は、シリア内戦の早い段階からアルカイダ(ヌスラ戦線)傘下のイスラムテロ組織(Jaysh al-Islam)の支配地だった。彼らは米国やサウジアラビアからの支援を受け、アサド政権がいるダマスカスの市街地に向けて無差別な砲撃を続けてきた。この地区で最近、ロシア軍に支援されたシリア政府軍が、アルカイダと激しい戦いを続けている。米国や英仏の政府代表やマスコミは「アサド軍と露軍が無実の市民を空爆し、国連機関などによる人道支援物資の搬入も阻止している。これは人道上の犯罪だ」と、露シリアを非難している。マスコミも露シリア批判を喧伝している。だが、これらの非難は濡れ衣だ。 (Ghouta Is An Aleppo Redux To Save "Assad Must Go") (Siege of Eastern Ghouta - Wikipedia)

 東グータ地区は、ダマスカスの中心街から5キロほど東にあり、ダマスカスの市街地と、その東側に広がる砂漠との間に位置する。砂漠を百キロあまり東に行くとヨルダンやイラクとの国境で、サウジにも近い。国境地帯(アルタンフ周辺)には、ISが台頭した後の2014年から、米軍の特殊部隊がシリア政府の許可を得ずに基地を作って進駐している。シリアにいるアルカイダやISの兵士(テロリスト)の多くは外国から来ており、ヨルダンからシリアに入り、砂漠を超えて東グータや、ユーフラテス川沿いのラッカに向かう。国境地帯に駐留する米軍は、ISカイダのテロリストたちに武器や物資、移動手段を与える「テロ支援」をしてきた。 (Ending America’s Disastrous Role in Syria byJeffrey D. Sachs) (Al-Tanf (US base) From Wikipedia)

 ロシアがシリア政府軍を加勢するため参戦すると、16年からISカイダが負けて支配地が縮小していった。ラッカなどユーフラテス川沿いを支配していたISや、ホムス周辺を支配していたアルカイダ(ヌスラ)勢力は、露アサドやイラン系、クルドの軍勢などに負け、アルタンフのヨルダン国境地帯に退却した。国境地帯にはルクバン難民キャンプがあり、ISカイダの兵士はそこで米軍に支援されて形勢を立て直し、まだISカイダが強い東グータやシリア南部の戦線に転戦した。 (Russia says Nusra terrorists ‘recovering strength’ in US-controlled zone in S Syria) (Syria Rukban From Wikipedi)

 このように、米軍による支援体制があるため東グータのテロ組織は強く、シリア政府軍は、首都のすぐ脇にあるこの地域をなかなか奪還できなかった。ISカイダが支配していたシリア国内の他の地域が政府軍側に奪還されていくなか、いまや東グータはシリアで最後のISカイダの拠点になっている。 (Russia Warns US To "Stop Playing With Fire" In Syria, Immediately Leave Area It Controls) (Daesh not over, US relocating it: Iran’s Zarif)

 東グータにおいて、アルカイダはダマスカス市街地を砲撃し続け、シリア政府軍はアルカイダの拠点を空爆・砲撃する戦闘が続いてきた。アルカイダは東グータの病院や住宅街に立てこもってそこから政府軍を攻撃し、政府軍が病院や住宅街を攻撃すると、アルカイダの意を受けた地元の「人道団体」(白ヘルメットなど)が「シリア政府軍が病院や住宅街を攻撃して無実の市民を大量殺害した」と喧伝し、米欧マスコミがこれを鵜呑みにして、アルカイダ側の動きを書かず、シリア政府だけが極悪であると報じた。国連はシリア非難決議を出した。 (Al Nusra, White Helmets may be plotting chemical weapons attack in Syria, military warns) (進むシリア平定、ロシア台頭、米国不信)

 白ヘルメット(White Helmets、シリア民間防衛隊)など、シリアの人道団体は、実のところISカイダの傘下なのに「内戦下でアサドの政府軍に攻撃された人々を救援する勇敢な正義の味方の地元市民の団体」であると喧伝され、欧米や日本の軽信的で善良ぶりたい間抜けな市民たちが献金を出してきた。「善良」な彼らは実のところISカイダに献金していた。 (How a Syrian White Helmets Leader Played Western Media) (Syria's White Helmets struggle with budget shortfall)

 また、政府軍の戦闘機が東グータなどでアルカイダの支配地域を空爆した直後、アルカイダがあらかじめ用意してあった化学兵器の物質(塩素やサリン)をその地域に散布し、住民に被害が出る状況を作った上で、被害を受けた住民の動画を撮影してインターネットに流し「政府軍が化学兵器を使った」と喧伝し、米欧マスコミがこれを鵜呑みにして、アルカイダ側の策略を書かず、シリア政府だけが極悪であると報じた。国連はシリア非難決議を出した。こうした「濡れ衣攻撃」は、東グータだけでなく、内戦下のシリア全土で何度も行われてきた。 (シリア虐殺の嘘) (軍産複合体と正攻法で戦うのをやめたトランプのシリア攻撃)

▼シリア内戦での化学兵器使用はすべてISアルカイダのしわざなのにアサドに濡れ衣を着せ続けるマスゴミ

 2013年8月、東グータで化学兵器が使われ、地元住民が死傷した。米政府はすぐに「アサド政権がサリンを使って市民を攻撃した」と発表した。米政府内や議会で、当時のオバマ大統領に対し、シリア政府に対し報復の軍事攻撃をせよという圧力がかかった。マスコミや「専門家」の多くは「アサドの政府軍のしわざ」と断言したが、中には「被害を受けた市民の症状を見ると、政府軍が持っている化学兵器によるものでない」という者もいた。オバマは、シリア政府軍のしわざと断定できないとの態度を途中から取り、やろうとしたシリア空爆を直前でやめた。 (無実のシリアを空爆する) (米英覇権を自滅させるシリア空爆騒動)

 オバマは、米軍による空爆をやめる代わりに、アサド政権と親しいロシアに問題解決を頼んだ。ここから、今に続くロシアによるシリアへの軍事進出の流れが始まっている。米軍は、シリア内戦を解決するふりをして裏でISカイダを支援して内戦をひどくするばかりだったが、ロシア軍は本気でISカイダを空爆し、アサドの政府軍がISカイダを退治するのを助けた。シリアにおいて、米軍は極悪であり、ロシア軍は正義である。 (シリアをロシアに任せる米国)

 オバマからシリア内戦の解決を頼まれたプーチンは、ISカイダを空爆するだけでなく、シリア政府軍が持っていた化学兵器を全て廃棄させた。2013年に東グータで化学兵器を使ったのは政府軍でなくアルカイダだったが、これと別に、シリア政府軍は化学兵器を保有していた。ロシアは、米国や国連も誘い、アサドに化学兵器全廃を了承させ、廃棄作業を完了した。14年以降、シリア政府は化学兵器を保有していない。 (Syria says it has no chemical weapons) (Destruction of Syria's chemical weapons)

 ところがその後も、シリアでは塩素系などの化学兵器が使われ、使われるたびに、地元の白ヘルメットなど(アルカイダ系の)人道団体が「アサドの政府軍のしわざだ」と主張し、米欧などのマスコミはそれを鵜呑みにして「アサドがまた化学兵器で市民を殺戮した」と喧伝し、国連や欧米政府はアサドを非難し、間抜けな欧米日の市民が白ヘルメットや難民支援団体(=アルカイダ支援機関)に献金するという馬鹿げた事態が何年も続いた。アサド政権が化学兵器を全廃したことは無視された。 (Envoy to UN: Syria Cannot Use Chemical Weapons Because It Has None)

 最近では「北朝鮮が2016-17年にシリア政府に化学兵器製造用の資材をひそかに中国企業経由で輸出していた」という非公開の「報告書」も、米英諜報界が国連に提出されている。しかし現実を見ると、シリア政府は米国などがかけてくる化学兵器使用の濡れ衣から逃れるために2013-14年に保有する化学兵器を米露に預けてすべて廃棄してもらっており、その後ひそかに再び化学兵器を作る政治的な利得がまったくない。米国などは、シリア政府がひそかにサリンなどを作っていると主張しているが、濡れ衣であり、確たる根拠がない。無根拠であることは最近、トランプ政権のマティス国防長官やティラーソン国務長官も認めている。シリアは化学兵器の製造などしていない。「北朝鮮がシリアに化学兵器用の資材を中国経由で輸出していた」という話は、北朝鮮、シリア、中国という「米国の敵」たちに濡れ衣を着せるための捏造だろう。 (U.N. Report Links North Korea to Syrian Chemical Weapons) (Mattis Threatens Military Action Over Syria Gas Attack Claims, Then Admits "No Evidence")

 それまで米軍に支援されたISカイダが優勢だったシリア内戦の形勢が逆転し、露軍に支援されたシリア政府軍が優勢になった転換点は、第2の大都市であるアレッポ(東アレッポ)を、政府軍が2016年末に奪還した時だった。このときISカイダ側は、住民を「人間の盾」にして東アレッポに立てこもり、露アサド側が住民が避難できるよう、時間を区切って停戦しつつ脱出路を用意した。だがISカイダ側は、脱出しようとする住民を射撃して脱出を不可能にし、戦況を膠着させた。欧米マスコミはいつものとおり「露アサド軍が住民を射撃して脱出を不可能にした」と事実と正反対を報じた。(今回、東グータで同じことが起きている) (シリアでロシアが猛攻撃)

 米国の差し金で国連が東アレッポに「人道支援物資」を送り込んだが、物資を差し入れると、それは窮しているISカイダに対する軍事補給物資になってしまっていた。そのため露アサド側は物資の搬入を制限した。これまた欧米マスコミは、いつものとおり「露アサドが、市民を救うための人道支援物資の搬入を阻止している」と喧伝した。(今回、東グータで同じことが起きている) (ロシアのシリア空爆の意味)

 これに対し露アサド軍は、ISカイダに猛攻撃を加えつつ、住民だけでなくISカイダの兵士たちもアレッポから脱出して、テロ支援諸国である米トルコが世話をしてくれるイドリブに移動させてやると提案し、ISカイダと裏で交渉した。露アサド軍の攻撃に困窮したISカイダは、最終的にイドリブ移動案に同意し、無数のバスが用意され、ISカイダとその家族がイドリブに移動し、一般市民は無傷な西アレッポに移動した。露アサド側の、この解決方法は「アレッポ方式」と呼ばれるようになった。今回、東グータで同じやり方がとられている。 (アレッポ陥落で始まった多極型シリア和平)

▼米覇権勢力による濡れ衣戦争がひどくなっても全然見えてこない欧米日の人々

 アレッポの奪還後、露アサド軍は、東部のユーフラテス川沿いのIS占領地や、シリア南部のヨルダン・イスラエル国境沿いのアルカイダ占領地を奪還していった。シリアでのISカイダの大きな占領地は、ダマスカス近郊の東グータだけになった。ユーフラテス川沿いから撤退したISは、米軍に助けられつつ、東グータに移動してアルカイダに合流した(2者は本質的に同じ勢力だ)。今年2月、露軍の支援を受けつつ、シリア軍が東グータの奪還戦を開始し、アルカイダへの攻撃を強めた。 (Russian bombers clear the way - 10,000 Syrian soldiers begin large scale offensive in Damascus) (Syria militants in US seeking CIA dollars to ‘confront Iran’s influence’)

 ロシアは、東グータでもアレッポ方式を試みた。アルカイダ側に対し、避難路を作ってやるから戦線を放棄して撤退せよと提案した。ロシアはアルカイダに対し、撤退する先を指定したはずで、それは今回もイドリブなのかもしれないが、どこなのかは報じられていない。米軍から補給を受けたアルカイダは、今のところロシアの提案を拒否し、市民を人質にしたまま、ダマスカス市街地への砲撃を続けている。 (Syria slams Western silence on fatal terrorist attacks against Damascus civilians)

 露アサド軍は、東グータから市民が逃げ出せるよう避難路を用意し、停戦時間帯も設けたが、アルカイダが避難路を狙い撃ちするため市民が逃げ出せない状態だ。これに対し、欧米マスコミはいつものとおり「露アサドが避難路を狙い撃ちするので市民が逃げ出せない」と、歪曲報道につとめている。 (Syria Militants continue shelling humanitarian corridor from Eastern Ghouta — defense official) (Syrian army forces secure humanitarian corridor in Eastern Ghouta)

 国連は、東グータに「人道支援物資」を搬入しようとした。搬入物資の中に、アルカイダの負傷兵の手当に使いうる医療品が含まれていたため、アサド政権はそれらを留め置いた上で搬入を許した。これも「アサド政権は人道支援を妨害している」と喧伝されている。国連人権理事会は、英国の提案で、アサド政権が東グータで人道上の戦争犯罪を犯していると決議したが、これは全くのお門違いだ。むしろ国連人権理事会の方が「テロ支援組織」と化している。 (U.N. rights body to hold debate on Ghouta on Friday at Britain's request) (UN aid convoy suspends mission in Eastern Ghouta amid shelling)

 東グータを奪還すると、アサド政権はシリア国内のテロリストの大きな支配地を全て奪還できたことになり、内戦終結、やり直し選挙、国家再建へとつなげられる。アサド政権は内戦後のやり直し選挙に備え、内外での評判を良くしておきたいはずだ。アサド政権は、東グータでアルカイダとの戦闘と無関係に市民を殺戮するはずがない。 (UN says aid convoy not going to Syria's Ghouta as planned) (UN says Syrian actions in Eastern Ghouta may amount to crimes against humanity)

 東グータでは今回、シリア政府軍機がアルカイダの支配地域を空爆した直後、同じ地域で塩素系の化学兵器の被害に遭う市民が多数出た。これに関して欧米マスコミはいつものとおり「シリア政府軍機がまた化学兵器を使った」とする報道を流した。ロシア軍は諜報活動によって事前に「アルカイダが塩素系の兵器をばらまき、それをシリア政府軍の犯行に見せかける濡れ衣作戦をやりそうだ」と警告を発していた。アルカイダが何度濡れ衣攻撃をやっても、それに(故意に)騙され続けるのが欧米マスコミの極悪さだ。 (Chlorine attack reported in Syria after Russian warning)

 国連安保理では、米英仏が東グータでの停戦を提案した。だが全面停戦するとアルカイダが形勢を立て直してしまう。ロシアは全面停戦に反対し、アルカイダの支配地を停戦から除外する修正案を通したが、ここでも「ロシアは停戦に反対し好戦的だ」と歪曲喧伝されている。真に好戦的なのは、アルカイダをこっそり支援してきた米英仏の側だ。 (Putin Protects Assad Again) (Russia's patience with Ghouta militants not indefinite: Putin)

 東グータでの露アサド側に対する欧米や国連からの非難は、アレッポで行われた濡れ衣・歪曲的な非難と全く同じだ。シリア内戦では、何度も何度も同じ種類の濡れ衣・歪曲が繰り返され、欧米マスコミは性懲りもなく歪曲報道を繰り返し、欧米日の「善良=軽信的」な市民たちは何度も簡単に騙されている。 (Ghouta is an Aleppo Redux to Save “Assad Must Go”)

 だが、最終的にアレッポがシリア政府によって奪還されたように、いずれ東グータからもアルカイダは退却し、シリア内戦は終結に向かう。アサド軍は、東グータでアルカイダに占領された地域の25%を奪還した。今後、この比率が50%、75%、90%と増えていき、シリア最後のISカイダの大きな拠点である東グータが奪還される。 (Militants agree to allow civilians to leave Ghouta: Russia) (Syria government retakes over a quarter of rebel enclave, says monitor)

 濡れ衣・歪曲による戦争は、第2次大戦以降、米英覇権勢力(軍産複合体=深奥国家)が世界支配の手法としてやり続けてきたことだ。冷戦終結まで、その手法は割とうまくいっていた。ベトナム戦争では(未必の故意的に)失敗したが、日独との戦争では大成功した。しかし、90年代のコソボ戦争から未必の故意的な失敗が目立つようになり、01年の911事件、03年のイラク戦争、その後のリビアやシリアでの戦争、イラン核問題など、濡れ衣や歪曲がどんどん露骨になり、「裸の王様」の物語的に、見てみぬふりをするのが困難になってきている。それでも人類は平然と見てみぬふりを続け、濡れ衣や歪曲はさらにひどくなっている。 (歴史を繰り返させる人々)

 この件については、もっと深い分析が必要だ。毎回、報じられていることが濡れ衣・歪曲なのだと説明するだけで延々と書かねばならず、深い分析まで到達できない。濡れ衣・歪曲を指摘する人自体がほとんどいない。それを指摘すると「権威ある専門家」にしてもらえないからだろう。


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イラン石油相が原油価格上昇について、アメリカに警告

2019年04月16日 | シリア
2019年04月15日15時42分
  • ザンゲネ大臣ザンゲネ大臣

イランのザンゲネ石油大臣が世界市場での原油価格の上昇に言及し、アメリカに警告しました。

ザンゲネ大臣は14日日曜、ラジオのインタビューで、イランへの圧力をさらに強化するとしたポンペオ米国務長官の最近の脅迫に関して、「アメリカがイランへの圧力を強化する意向であれば、原油価格市場は想定外の脆弱な状況に陥るだろう」と語りました。

また、「我が国に対するポンペオ長官の脅迫は、石油市場の安定化を狙ったプロパガンダ的な側面がある」とし、「原油は、市場において日々値上がりしている。このことは市場側の懸念を示すものだ」と指摘しました。

さらに、「トランプ米大統領は、イランへの圧力を強化して燃料の値上がりを望むのか、それともアメリカでガソリンを低価格に抑えたいのか、そのどちらかを選ぶべきだ」とし、「今すでに、ベネズエラは問題を抱え、ロシアは制裁を受けている。リビアは政情不安に陥っており、アメリカ産原油の一部の生産は失われ、スーダンも石油の分野ではすでに立場を失っている」と述べました。

アメリカは、昨年11月4日に石油関連の対イラン制裁を再発動しましたが、イタリア、トルコ、日本、中国、韓国、ギリシャ、インド、台湾の8カ国に対しては、半年間の期限付きで禁輸制裁の適用外とすることを余儀なくされています。

 

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イラン外相、「イランのウラン濃縮を禁じる法は存在しない」

2019年04月16日 | シリア
2019年04月15日20時09分
  • ザリーフ外相のツイッターザリーフ外相のツイッター

イランのザリーフ外相が、「NPT・核兵器不拡散条約、イラン核合意、国連安保理決議2231に基づき、イランのウラン濃縮は禁止されていない。それは現在も、2025年も、そしてそれ以降も禁止事項ではない」としました。

IRIB通信によりますと、ザリーフ外相はツイッターで、イラン核合意のヨーロッパ側の調印国に呼びかけ、「核合意に調印した、我がヨーロッパ側の3カ国へ ; “NPT、イラン核合意、国連安保理決議2231に従い、イランのウラン濃縮は禁じられていない。これは、現在も、2025年も、そしてそれ以降も禁止されない。ヨーロッパ側の相手国にとっては、自ら調印し、その遵守を約束した文書を読み直すことが有益であろう」としました。

IAEA国際原子力機関がこれまで14回に渡り、イランは核合意を完全に遵守しているとの表明を続ける中、駐米フランス大使は最近、「イラン核合意成立以降、イランがウラン濃縮を行う正当性はない」と発言しました。

 

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イラン最高指導者、「一部のイスラム諸国の首脳は米とイスラエルの下僕」

2019年04月16日 | シリア
2019年04月15日20時50分
  • ハーメネイー師が国際コーランコンテストの参加者らと会談ハーメネイー師が国際コーランコンテストの参加者らと会談

イランイスラム革命最高指導者のハーメネイー師が15日月曜、国際コーランコンテストの参加者らと会談し、「一部のイスラム諸国の首脳はコーランの指示にそって行動せず、アメリカとシオニスト政権イスラエルの下僕になっている」と非難しました。

ハーメネイー師はこの会談で、「コーランに書かれている内容を実行することは、威信や幸福、進歩、力、団結、世界でも魅力的な生活様式、来世の幸福の下地となる」とし、「一部のイスラム諸国の首脳は、シリアやイエメンでの戦争やイスラム教徒の殺害、対立の下地を作っている」と指摘しました。

ハーメネイー師が国際コーランコンテストの参加者らと会談

 

また、「イスラム共同体や人類が抱える問題の多くは、コーランの教えを実行しないことに原因がある」とし、「今日、神のご加護により、イランでは特に若者をはじめ人々の間でコーランの知識の習得への傾向が日々高まっている。そして、こうした傾向こそは(イラン)イスラム体制の威信や力、幸福の源となるだろう」と語りかけました。

さらに、最も敬虔な人間としての地位にある殉教者に触れ、「我々の殉教者は、イラン国民にたくさんの教訓を与えている。その典型的な例は、大勢の人々が最近の洪水被災地に対する支援のために動いていることだ」と強調しました。

ハーメネイー師が国際コーランコンテストの参加者らと会談

 

ハーメネイー師はまた、イランへの敵対行為にも触れ、「イランイスラム共和制に対する敵対やその度合いは過去より増したように思われる。だが、このような行動は、イランに対する敵の行動の最終手段なのである」と述べました。

そして、「敵がイラン国民に対し、さらに過激な行動をとり、コーランを守り抜くイラン国民に憤慨しようとも、イラン国民は益々強くあり、コーランをさらに頼りとするだろう」と語りました。

ハーメネイー師が国際コーランコンテストの参加者らと会談

 

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