アメリカ
2019年4月16日 (火)
トランプはなぜイラン革命防衛隊軍団を外国テロ組織に指定したのか?
2019年4月8日
Moon of Alabama
ベネズエラでのクーデター策謀失敗の後、トランプ政権はもう一つの狂った計画に着手した:
ワシントンが公式に他国の軍にテロ集団というレッテルを初めて貼る行為として、イランのエリート革命近衛連隊軍団を、アメリカは外国テロ集団に指定する予定だと三人のアメリカ当局者がロイターに述べた。
ホワイトハウスは指定だけ発表した(まだリンクはない)。
イスラム革命防衛隊軍団IRGCはイラン軍の一部だ。シャーに仕えた正規イラン軍によるクーデターから国を守るため、1979年の革命後、イランで設立された。
平和時には約125,000人の兵士で、IRGCはイラン正規軍のわずか約3分の1の規模だ。それは地上軍、海軍と航空宇宙支部に類似した構造だ。IRCGは外交政策に関係する二つの追加の小部隊がある。一つはイラン中距離ミサイルを管理するミサイル部隊だ。もう一つは外国での特殊作戦に備えて訓練された兵士約4,000人の旅団規模のアル・クッズ部隊だ。
戦時のIRGCの規模は平和時の規模のおよそ三倍だ。イラン軍同様に、要員は専門家、徴集兵と補充兵で構成されている。国内保安のために招集できる地元の民兵、志願兵のバシージ部隊もIRGCに属している。IRGCと強いつながりがある、いくつかの基金や公益信託(ボニャド)がある。彼らは営利企業を所有しているが、利益はIRGC退役者や死亡した兵士の未亡人や孤児に分配されている。
既に2007年、アメリカ財務省は「テロ支援」のかどでアル・クッズ部隊を指定している。財務省はIRGCに関係するいくつかの事業も制裁した。IRCG丸ごとを指定して、何が達成するつもりなのか、全く不明だ。それは象徴的な動きでもあり得るし、一部が憶測しているように、対イラン戦争に向かう措置でもあり得る。
元国務次官で主要イラン交渉者だったウェンディー・シャーマンはアメリカ軍に対する影響を懸念している。
「これがなぜ我々の利益になるか理解するのは困難なので、人は大統領が対立の根拠を探していると思うかもしれない」とハーバードのケネディ・スクールのパブリック・リーダーシップ・センター所長のシャーマンは述べた。「IRGCは既に完全に制裁されており、このエスカレーションは地域の我々の兵隊を絶対に危険にさらす。」
モハマド・アル・シャバニは追加の理由を挙げている。
モハマド・アリ・シャバニ @ mashabani - 2019年4月8日 utc14時36分
スレッド。札付き連中がトランプを#IRGCを外国テロ組織に指定するよう駆り立てたのだ。なぜか?
- トランプの取り引き本能を拘束する
- 次期アメリカ大統領をイランに関し封じ込める(民主党がJCPOA再加入を言っている)
- レバノン/イラクに、イラン/アメリカいずれかを選ぶよう強要する
- ヨーロッパに、どんなわずかな支援活動も更に削減するよう強いる
- イランを挑発して、JCPOAをやめさせる
- そして、理想的には、軍事対決を始めさせる
パット・ラング大佐は同様に、この動きは戦争を引き起こす試みだと推測している。
テロに対する武力行使権限AUMFは、かすかにでもテロリストで敵だと見なすことが可能なあらゆる武装集団を攻撃するため至る所で狩猟許可証として利用されている。対テロAUMFは、アメリカ法の下で、このような攻撃を合法的にする。
武力行使権限(AUMF)は9/11攻撃後に成立した法律で、大統領は下記が可能になる。
9月11日の攻撃を「計画し、認可し、行ったか助けた」か、その人物や集団を匿った人々だと彼が決定した人々に対し、あらゆる「必要で適切な武力」を行使すること。
2017年10月の演説でトランプ大統領はアルカイダを支援し、匿ったと言ってイランを非難した。
イランの代理人が、後にケニアとタンザニアのアルカイダによるアメリカ大使館爆撃に関与し、2年後に224人を殺し、4,000人以上の人々を負傷させた作戦隊員を訓練した。
イラン政権は、9/11攻撃後、オサマ・ビンラディンの息子を含めテロリスト幹部を匿った。イラクとアフガニスタンで、イランに支援された集団が何百人ものアメリカ軍人を殺した。
トランプのイラン非難は、インチキだ。イランはケニアの爆発に何も関係していなかった。アメリカのアフガニスタン侵攻後、アルカイダ指導部の一部家族がイランに逃げた。彼らは自宅軟禁され、イランに対するアルカイダ作戦を防ぐための人質にされた。
けれども事実は重要ではあるまい。「外国テロリスト」としてのIRGC指定は、少なくともアメリカ法の下では、おそらく武力行使権限AUMFを適切なものにするだろう。
パット・ラングはこう続ける。
125000人の兵士がいる海軍と空軍と陸軍を擁するIRGCを公式に「テロリスト」と指定すれば、どこであれ、起こりうるいかなる状況であれ、アメリカ軍が、彼らを見つけ次第、IRGCとその人々への攻撃が合法的になる。それは宣戦布告だ。
ネオコンの阿呆連中(ポンペオ、ボルトン、ハンナなど)はこの宣戦布告へのイランの反応は、自分たちの意志への服従だと考えるだろうが、私見では、それは極めてありそうにない。私見では、IRGCが新しい現実を受け入れ、アメリカとの戦争に備える方が可能性が高い。
イランとその軍は長い間アメリカとの戦争に備えてきた。イラン軍が変更することは何も無いだろう。
最初にイランがとるだろう、おそらく単なる報復的措置は、アメリカ軍をテロ組織と指定することだ。
「もし革命近衛連隊がアメリカのテロ集団リストに載せられたら、我々は要注意テロ組織リストで、ダーイシュ(イスラム国)の隣にアメリカ軍を載せる」と議会国家安全保障委員会のハシュマトラ・ファラハトピシェ委員長がツイッターで言った。
アメリカが戦いに引き込もうとした時、これまでイランは常に抑制を示してきた。アメリカとイスラエルがイラン部隊を攻撃した時でさえ、シリアとイラクのアメリカ軍には手を触れなかった。トランプの最近の挑発にも、イランは軍事的に対応するまい。
IRGCのテロ集団指定と、それに対抗するアメリカ軍のテロ集団指定には微妙な法律上の影響があり得る。意図せずにペルシャ湾のイラン海域に入って捕らえられたアメリカ海軍艦船水兵はテロリストとして扱われるのだろうか? アメリカ旅行を望む元IRGC徴集兵はビザを受け取るのだろうか?
もしアメリカが外国でIRGC軍隊を攻撃すれば、イランはイラクのアル=ハシド・アル=シャービ民兵のような外国代理軍に、外国でアメリカ軍を攻撃するよう求めて対応するだろう。
もしアメリカがイラン国境内でIRGC軍隊を攻撃すれば、全て帳消しになる。中東にはイラン・ミサイルが到達可能な多数の米軍基地と施設があるのだ。
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2019年4月15日 (月)
シリコンバレーと「戦争通信兵器」
1944年のウエスタン・エレクトリック社広告が、グーグルとフェースブックについて我々に教えてくれること
2019年4月2日
Yasha Levine's Influence Ops
最近、ニューヨーク公立図書館の記録文書保管所で調査していた際、アメリカの古い電話独占企業ウエスタン・エレクトリック社の1944年のパンフレットに偶然出くわした。それは「勝利のための回線」という題名の見栄えの良い巧みに作られた40ページの本で、もっぱら一つのことを説明している。アメリカ政府が戦争し、勝利するのを助けた同社電気通信技術のあらゆる手段の称賛だ。
パンフレットは歴史的文書だが、それを良く見て、「ウエスタン・エレクトリック社」を、例えば「Facebook」や「グーグル」や「アマゾン」に置き換えれば、実際、シリコンバレー独占の現在の実態を正確に把握できるのだ。アメリカ帝国の民営化された延長。
ドット・コム・ブーム以来、シリコンバレーは、アメリカ地政学や国家安全保障上の利益には全く無関心で、全く無関係な、世界の頂点にある新種のグローバル企業-中立プラットホームとして、自身を世界に売りこんでいる。大衆はそれを信じた。シリコンバレーの人々さえそれを信じた。それは政治色が薄い新しい企業の国際主義の夜明けだった。それはすべて、国籍や言語にかかわらず、人々を結びつけ、力を与えるユートピア技術革命だった。本当に、シリコンバレーは「国」を時代遅れにするはずだった。
もちろん、これは常に見え透いたごまかしだった。
そして、おそらくロシアゲートと、インターネットで広まる情報によってロシアがアメリカ民主主義を攻撃したと言うばかばかしい主流の考え方からもたらされた良いことの一つは、もう誰もこのシリコンバレーのグローバルな夢想的理想を信じていないことだ。
ロシアゲートは私の著書「サーベイランス・バレー」の主題で私が何年も言ってきたこと、つまりアメリカ・インターネット企業は抽象的なグローバル・プラットホームではなく、アメリカ地政学的権力の民営化された手段」だということをシリコンバレーが公的に認めるよう強いたのだ。
それは今公然のことになっている。グーグルCEOサンダー・ピチャイさえ、それを認めており、ドナルド・トランプがそれを世界に明らかにしている。
@グーグル社長、@SundarPichaiと会ったばかりだが、彼は非常に良くやっている。 中国軍でなく、米軍にもっぱら尽力すると彼は断固として語った。
ドナルド・J・トランプ(@realDonaldTrump) 2019年3月27日
この頃は、業界の企業ユートピア国際主義は、これまで目立たずにいた政策にずっと近いものに次第に置き換えられつつある。愛国心と軍国主義政治だ。
アメリカ政界とマスコミは彼らと歩調を合わせ、この変化を引き起こしているのだ。
民主党、共和党、外交官、諜報関係者、ジャーナリストやあらゆるシンクタンクの連中は今完全に意見が一致している。インターネットは規制の必要がある危険な兵器なのだ。国家安全保障体制下で規制しなければ余りに危険だ。
さほど昔ではないが、ダイアン・ファインスタイン上院議員が「ロシア」にインターネットを反米兵器に変えるのを許したと、グーグルやフェースブックやツイッターの弁護士をひどく叱った。「我々は激変について話をしているのだ。我々は、自ら大統領選挙に関与する高度な知識と能力を持った主要な外国大国で、あなた方にこの責任があるという話をしているのだ。あなた方が、このプラットホームを作ったのだから、あなた方がそれに対し何かすべき当事者だ。」そして彼女はこうして恫喝で追い打ちをかけた。シリコンバレーが自発的に解決を見いだすか、政府がそうするかどちらかだ。
あるいは「スレート誌」の国家安全保障担当フレッド・カプランはこういっている。
開放性は、表現考えの自由なやり取りや反体制意見を可能にするが、このシステムやその中の皆全員を、犯罪者やテロリストや、この場合、外国スパイや宣伝者の餌食にする可能性がある。連中全員が匿名に隠れている。このシステムに若干の規制を課す頃合いかもしれない。
あまりにも自由で、我々を「ロシア人」から守ってはくれないので、インターネットを検閲するというのは、アメリカ政治において、今日容認できるエリートの意見だ。
そしてシリコンバレーは、まさにそれをしたのだ。
軍需契約の獲得に加えて、彼らは地政学手段にふさわしく、彼らのプラットホームの不透明な自己規制や取り締まりを始めたのだ。彼らは諜報機関との協力を強化し、今やあらゆる種類のいかがわしい国家安全保障シンクタンクやニュー・ノレッジや大西洋協議会やドイツのマーシャルファンドのような団体と提携している。彼らは、検閲し、彼らのプラットホームを「加減する」今日の政治情勢で、「ロシア人」を追跡することと、を意味するアメリカ「国家安全保障」を防衛して、ことアメリカ大企業と軍の権力を妨害する声沈黙させること. それにはアメリカの反ファシスト団体も含まれる。
フェースブックが、軍の大西洋協議会シンクタンクの支援を得て、いかにして二つの反ファシスト団体をロシアによる影響作戦の一環と認定し、潰したかがここにある。
フェースブックは民主主義を守ったことで喝采された。https://t.co/mez7DWNjJB
- Yasha Levine(@yashalevine) 2018年8月7日
現在我々はそういう状態にあるのだ。
状況の流れからして、ウエスタン・エレクトリック社が「勝利の回線」で示したような誇り高い軍国主義に益々満たされた広報資料を、Facebookやグーグルが、発表するのが遠い先でないのはかなり明白だ。彼らはそうすべきだ。それがするべき正直なことのはずだ。
今日、勝利の絶頂の中、ウエスタン・エレクトリック社の男女は、彼らの最も偉大な業務、我々の戦士が戦闘で勝利するのを支援し、アメリカ人の生命を救うのを助け、重要な国内通信網の維持を支援して、戦争用の通信兵器、無線、レーダー、交換台、電話や電線などの製造に携わっています。本書は、ウエスタン・エレクトリック社がそれにより、この戦争での勝利に寄与したものをご説明するものです。
ウエスタン・エレクトリック社長 クラレンス・G・スティル。
これをご覧願いたい。
「通信は、一番重要な軍事手段の一つ」
「通信は、一番重要な軍事手段の一つ」で、「通信」を「インターネット」に置き換えれば、基本的にグーグルやアマゾンやフェースブックを手に入れることになる。
「電話は戦争の基本的通信兵器」
1970年代にARPANET構築を監督した元ARPA長官スティーヴン・J・ルカシクにインタビューした際、彼は私に軍の指揮統制システムの意味を説明してくれた。「指揮は、あなたが私が言った通りにすることを意味する。統制は、私があなたがそうするのを望まないことをしないことを意味する。」 人は電話がなければ、そのいずれもできない! 今、人はインターネットなしでは、それのいずれもできないのだ。
「軍事通信がどのように機能するか」
これが実際、全て無線と電話通信次第なのだが、国防総省が一つの戦闘部隊としてまとめるのに現在使っているのは、安全なインターネット・チャートだ。このチャートを見れば、軍がなぜ第二次世界大戦後間もなく、デジタル・ネットワーク開発し始めたか、インターネットがなぜ最終的に構築され、実装されたかが理解できる。ほかにどうやって、複雑な現代の戦闘部隊を運営できるだろう?
「ケーブルは極めて重要な戦争通信の運搬人」
今それはインターネット主要幹線と人工衛星だ。
「戦争通信の神経中枢、交換台」
これがインターネット以前のルーターの姿だ。上半身裸の二人の新兵がケーブル操っている。
「空中、陸上、海上での無線」
5G技術導入で、アメリカが中国と戦っている理由をほのめかしている。
Yasha Levineは、「Surveillance Valley: The Secret Military History of the Internet(サベイランス・バレー: インターネットの秘密軍事史)」著者。
記事原文のurl:https://yasha.substack.com/p/american-tech-giants-and-their-communication
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