旧・鮎の塩焼キングのブログ

80年代を「あの頃」として懐かしむブログでしたが、子を亡くした悲しみから立ち直ろうとするおじさんのブログに変わりました。

風邪ひいて寝んね

2025-02-02 22:29:00 | 日記

一昨日の金曜日に弟とこの先のことを話し合いました。


兄のこと。

母のこと。


弟と喫茶店で2時間半も2人きりで話し込んだのはこれが初めて。


小さな頃は仲が良かったのですが、高校生あたりから私の傍若無人な振る舞いに耐えかねた弟が離れていき、長らく微妙な距離感で生きてきた兄弟でした。


そうはいっても家族の危機に手と手を繋ぎ協力できるのが、血の繋がりってやつですね!


そんな感じで、実家を支える苦労を吐き出し、お互いの家庭の状況やら、お互いの陰キャ感を確認し合いながらの話し合いはなかなかに充実したものでした。


そして、その代償が「風邪」!!

またまたひきましたよ。喉が痛すぎる。

というわけで、昨日は風の前兆に怯えながら、結構アクティブに動き回っていたのですが、今日はダウンしました。


昨日までの元気な私。

結婚祝いと長男の成人祝いと次男(故人ではありますが)と三男の誕生日祝いと三男の合格祝いをごちゃ混ぜにした、パーチーでございます。でも、もうこの時は喉がダメな感じでした。


今日は朝起きたら、喉も頭も激痛でござる。


妻との買い物もキャンセル。

三男と約束した「お父しゃん油そば」もキャンセル。


ただただ寝て、悪夢にうなされた1日でした。


悪夢その1

亡くなった父が訳のわからないサンダルを買ってきて、旧実家に銀杏の葉っぱをばら撒き、歩き回る夢。父は必死にそのサンダルの良さをアピールしていましたが、私には皆目理解できませんでした。


悪夢その2

山田邦子とガチ喧嘩!職場の先輩という設定で山田邦子が登場。相談したらメチャクチャにディスり出したので、理詰めで追い詰めていくという夢。別に山田邦子は好きでも嫌いでもないのになぁ。


悪夢その3

職場の集会でトラブルに巻き込まれる。嫌な時に指名される私。何とか周囲を抱き込み、誤魔化し通す私。我ながら見事に窮地を脱する。ありがとう、周りにいた顧客の皆様。


寝た気はしませんでしたが、これでだいぶ元気になりました!


『ハテナの交竜奇譚』第4話中編を書き上げたのが今日唯一の功績でしょうか。明日から推敲に入ります。


そんなこんなで土日が終わり、また明日からお仕事と母と兄の世話が始まるとです。


あーあ、家庭生活が新たなフェイズに入ろうとしている。疲れの取れない鮎の塩焼キングでございました。


ではでは、また明日ー!



冒険小説 ハテナの交竜奇譚 第2話その5 『ダンジョン・アタック前編』 〜《ウォーグ》の洞穴〜

2025-02-01 08:20:00 | 小説

亡き次男に捧げる冒険小説です。


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〇五

 耳がプルプルと震えながら後ろ向きに折り畳まれ、尻尾がドリルのように小刻みに回る。取り乱したヴァッロから滲み出る愛くるしさに、ハーラとナーレはいつの間にか骨抜きになっていた。ただ一人テーリだけがヴァッロの小動物的な愛嬌に耐え、詰問を続けた。

「『チッチ様』の狙いはなんだ?言えヴァッロ!吐いて仕舞えば、オデは僕たちの役に立つんだぜ?」

オロオロとあたりを見回すヴァッロ。突然、ヴァッロの身体を抑える腕が生えてきた。テーリたちがギョッとしてよく見ると、金色の小さな塊がヴァッロの隣に座っていた。三人とも初めて出会う人種であった。《オートノーム》、機械仕掛けの《小人》であった。



【第2話 〇六に続く】

次回更新 令和7年2月3日月曜日


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食堂で不意に起こった夫婦喧嘩に首を突っ込むおかしな二人組。ことを荒立てなければ良いのだが。



冒険小説 ハテナの交竜奇譚 第2話その4 『ダンジョン・アタック前編』 〜《ウォーグ》の洞穴〜

2025-01-30 15:20:00 | 小説
亡き次男に捧げる冒険小説です。

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〇四

 間近で見るヴァッロの体付きは《コボルド》にしては筋骨隆々としていた。卑しい生まれのいわゆる「邪悪な」《コボルド》は小さい頃から酷使されるため満身創痍で痩せ細っているものだ。また、学問に触れることもないから人前で流暢に共通語を話すこともできない。だが目の前にいる《コボルド》は違った。逞しい腕、俺という一人称が訛っているが、あとは流暢な共通語を話す。そして何よりも美しく澄んだどんぐり眼。テーリたち義兄弟の知る《コボルド》とは一線を画す、歴戦の冒険者然とした《コボルド》がいるのだ。姿の見えない主人「チッチ様」からヴァッロと呼ばれていた不思議な男は、形容し難い愛嬌をもっていた。

 「ハマニャッ!!」

ヴァッロはにこやかに挨拶らしい声をかけてきた。


「は…はまにゃ?」

三人は聞きなれない言葉に目を点にした。

「ん?ああ、すまないーね。オデのお里の言葉でね、『やあ』とか『最高』とかのさ、いろいろな感情の昂りを表すときに使う感嘆詞なのよ。ハマニャッ!また会えて、最高!ってことなのーよ。」

ところどころイントネーションがおかしなところがあるがその喋りは完璧な共通語である。ハーラは先ほどの一言でヴァッロの行った「親切」に気づき、不承不承ながらも礼を述べた。

「お前が連れて来てくれたのか。烈弩馬龍は僕の古い友だ。心から礼を言う。ただな…なんなんだよお前は?なんで僕らを付け回すんだ。」

ハーラは儀礼的に頭を下げたが、警戒心を隠そうとはしなかった。どんなに可愛い顔をしていて、気を利かせてくれても所詮は《コボルド》。何が狙いなのかと、ヴァッロの企みを探っていた。

「オデはただお前らの役に立ちたいだけだよ。」

ニコニコしながら平然と言ってのける。

「だから、その理由はなんなんだよ?」

テーリが語気を荒らげた。飄々としたヴァッロの態度がテーリの気に触る。

「オデが誰を気にかけようと、それはオデの勝手でしょー?」

この小生意気な物言いがテーリの癇に触るのだ。テーリはヴァッロを問い詰める為の「とっておき」を繰り出した。

「『チッチ様』のご命令か?」

嫌味ったらしく、口元を粘らせるように、わざとゆっくり質した。

「チッチ、チッチ、ちがうーよ!ちがうーよ!チッチ様は関係ないし、チッチ様のことなんて知らない人だーよ。」

さっきまでの余裕な態度はどこへやら、ヴァッロの目が途端に泳ぎ出す。言葉が詰まり、意味の通らない言葉遣いになってしまった。自分でもおかしい発言だと気付き、ヴァッロは手にしたパイを口に放り込むと、咀嚼を始め黙(だんま)りを決め込んでしまった。


【第2話 〇五に続く】

次回更新 令和7年2月1日土曜日 


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問い詰められたヴァッロ。どうするヴァッロ!


冒険小説 ハテナの交竜奇譚 第2話その3 『ダンジョン・アタック前編』 〜《ウォーグ》の洞穴〜

2025-01-28 13:33:00 | 小説
亡き次男に捧げる冒険小説です。

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〇三

 おいおいと泣きじゃくるハーラ。話にならないのでテーリに話しかけた。

「置き去りにしたはずの愛馬レッドバロンが宿屋に繋がれていたんだとさ。奇跡だー!って号泣してるよ。」

やれやれというふうにテーリが首を振る。何をそんなに不機嫌なのかとナーレが問うと、テーリが口を開く前にハーラが口を挟んだ。

「違う!烈弩馬龍(れつどばろん)だっ!烈しい弩級の馬をも龍(ロン)をも超える存在なんだよ!もっと尊べよ!」

「なんか知らんけど、僕の発音や敬意のなさが気に入らないんだとさ。」

ナーレは心配して損したと、ぶつけた頭をさすりながら宿屋に戻った。

「貴族ってのはどうしてああも大袈裟で、芝居がかった物言いなんだろうね。人騒がせも甚だしい。」

 テーリやハーラと同じように、実はナーレも夢を見ていた。義兄弟なんて大仰な契約を結んだものだから、朝目覚めたら気恥ずかしさでモジモジしあう三人。よろしく頼むぜ兄貴、なんて軽口を叩きつつ照れ笑いをするナーレ。窓から差し込む旭を三人で眩しげに眺める。さあ冒険が始まるぞ、という高揚感に満たされた朝。そんな夢だった。

 現実は悪夢にうなされる次男分を慰め、長男分が取り乱して部屋を飛び出すのを追いかけるだけの格好のつかない朝だった。義兄弟の契りってどうやったら破棄できるのかな?などと不謹慎なことを考えながら、空いているテーブルについた。

「随分騒々しいお仲間さんだね。飯はどうする?」

《リザードフォーク》の男がぶっきらぼうに尋ねて来た。この宿屋の主人だ。煌びやかな鱗が眩しく傷一つない。危険な道を避けて真っ当に歩んできた証である。ああ、ここは東マータだったな、とナーレは改めて自分のいる地域を確かめていた。東マータには《リザードフォーク》や《トートル》のような《鎧う人》に属する人種が多かった。ナーレの故郷の南マータは交易に携わる《獣人》が多かった。地域差ってやつは面白いもんだ。ナーレはハーラのことを忘れて、宿屋の主人の顔をまじまじと見つめていた。

「やめろよ、坊主。まだお天道様が上ったばっかりだ。そんな目で見るない。」


見初められたと勘違いしたリザードフォークが顔を赤らめた。思わぬリアクションにナーレはげんなりとして、

「んなことはいいから、三人分、一番安い飯をちょうだいな。それと冷たいミルクを一つ。」

と朝飯を注文した。

「ミルク追加!」

「僕もだ…うぅ、奇跡に感謝…。」

タイミングよくテーリと引きずられたハーラが席に着いた。

「面倒臭い兄貴分だな。」

テーリがナーレに同意を求める。

「本当に。」

テー兄も義兄弟を嫌になってるんだろうなと自分と重ねながら、ナーレは深々と頷き無言で朝食が運ばれるのを待った。

 エントランスを兼ねる食堂、仕切りのない一階部分は相当な広さであった。机の間をのそのそと動き回る《トートル》の女給仕。急かしてもいいことはないな、とテーリは食堂を見渡した。奥に一組の老夫婦が座っている。朝食を摂りにきたのだろう。薄いパイ生地にジャムや練り物を塗って、黙々と食べていた。時折夫の口元を拭いている。甲斐甲斐しい奥さんだと感心しつつ、視線を隣のテーブルに移した。老夫婦と自分たち「義兄弟」以外の唯一の客。流し見るつもりが、視線が釘付けになった。ハーラとナーレも同じ相手を見て、あっと声を上げた。

「オデ(おれ)、お前たちの役に立ったな!」

《サンダー渓谷》の谷底で出会った《コボルド》がのほほんとした表情で、パイを頬張っていた。


【第2話 〇四に続く】

次回更新 令和7年1月30日木曜日


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妙に馴れ馴れしくて親切な《コボルド》。警戒する義兄弟がかまをかけると…。



冒険小説 ハテナの交竜奇譚 第2話その2 『ダンジョン・アタック前編』 〜《ウォーグ》の洞穴〜

2025-01-26 08:06:00 | 小説

亡き次男に捧げる冒険小説です。


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〇二

 ハーラは夢を見ていた。《年降る緑色竜》から逃げる為、馬で駆けていく夢だ。馬で…馬…。馬!《ゴール橋》の欄干に愛馬を繋いだままだったことを思い出す。すかさず飛び起き、ハーラは全力で叫ぶのだった。

「れつどばろーん!」

愛馬の名を叫ぶハーラ。事情を知る由もないテーリとナーレは目をパチクリさせている。

「レ、レツドバロン…とは?」

ナーレが恐る恐る尋ねると、ハーラはそれを無視してベッドから飛び出した。目にも止まらない速さで甲冑のアタッチメントを閉じていく。カチャカチャンと小気味良い金属音が響き、ハーラは武装をあっという間に終えた。


 ハーラは一言残して部屋を飛び出ていった。

「れつどばろんを迎えにいってくる。すぐ帰る。」

直後、稲妻が目の前に落ちたかのような轟音が響いた。ハーラが階段を転がり落ちた音だった。あ痛たたたたた、とハーラのか細い声が聞こえ、すぐにまたバタバタと走る音がした。

「ナーレ、ハー兄を追うぞ!」

慌ててテーリは革鎧に袖を通した。着古した馴染みの革鎧を手際よく締め上げると、テーリはハーラの後を追った。ナーレは装飾の多い派手な衣装を頭から被ったが慌てていた為、頭をどこから出していいかわからなくなり《僧兵》とは思えない無様な転け方をした。

 テーリから遅れること数分、やっとナーレは宿屋を出ることができた。今から追いつけるのかと不安げに遠くを見やる。遥か彼方には何も見えなかったが、視界の片隅にうごめくものがあった。視線を移すとすぐ目の前で白馬に抱きつくハーラと、うんざりした顔のテーリの姿があった。慌てることもなかったな、とナーレは頭を掻いた。


【第2話 〇三に続く】

次回更新 令和7年1月28日火曜日


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ハーラのから騒ぎに付き合わされたテーリとナーレ。宿屋に戻って朝食を摂ろうとした時、意外な人物と再会を果たす。