ルソーの「エミール」という本(フランスで1762年に出版された教育論)を読んでいるんですが、大学の教育原理の授業で出てくるので目にはしてたんですが、ちゃんと読んでなかった。・・・今読むと、「そうそう!」がいっぱい。
まだ、初めの方なんですが、10歳くらいまでのまだ理性が充分でない、理性に訴えることが難しい子どもにどう躾(教育)をするか、ということが、「そうだったのか!」でした。
大人が理性的であることはもちろんですが、いくら言葉で説明しようと諭そうと、その言葉も意味も理解できなければ意味がない。こちら(大人)の意図と受け取る側(子ども)の理解が違う場合もよくある。理解能力もだけど、言葉というのはそもそも完全なものではないから。
かといって、感情に訴える、叱ったり脅したりすれば意味がわからず怯えるか、反発するか、子どもがその(悪)感情を学んでしまって泣いたり怒ったり怒鳴ったりして大人に”命令”するようになる。言うなりになって甘やかせば、”王様”になって周りを支配しようとするようになる。
ルソーは、小さい子どもには命令したり、叱っても怒ってもダメ。大人は一切感情的になってはダメだし、(大人の)理屈を言ってもダメ。そして、ワガママ(無理なこと、迷惑をかけること)に一切従ったり聞いたりしてはダメだと言います。
どうするかというと、「因果法則」を”経験”させるのです。”自然”に学ぶ。気づかせる。
ワガママを言っても誰も相手してくれない。叫んでも暴れても自分が困るだけ(子どもには壊れても汚してもいい安い物を与えておく。壊れたら自分も困る)。
別に、怒られたりいやな罰を受けたりするわけではないから、大人に対して反発することは成り立たない。大人は穏やかに(あるいは気の毒そうに)見守っている。または見ない知らない。ワガママをやめればいつものように優しい穏やかな日常が戻る。
無理な、よくない行為をやめれば、自分も楽になるし、周りの人とも仲良くできる。反対に、よい行為をすればほめられたり、喜びがある。
こうやって、時間をかけて、大人は余計なことをせず見守り、安全な環境に配慮さえしていればいいのです。(小さいケガは経験のうち)
大人の都合で子どものやりたいことを押さえつけてしまうことにも反対しています。子どもには子どものうちにしておかなければいけないことがある。子どもは天真爛漫、体を使って明るくのびのびと、いっぱい遊ぶ。遊びながら学ぶ。能力を伸ばしていく。
こういう配慮は赤ちゃんの頃から日常化して、なるべくいつも穏やかに過ごせるようにすること。反発や不満が大きくならないように、大人は安心できるいつも穏やかで信頼できる人であるように。
言葉や感情で教える、押しつけるのではなく、経験から学ばせる。感情的な大人からは離すこと。(感情的な人を見てしまったら、「あの人は病気なんだよ。気の毒だね」と教えると、感情に訴えることはなくなる。)
人工的で感情的な都会ではなく、自然がいっぱいの田舎で自然に学ぶことを勧めています。手足や視覚触覚などの感覚器官をまず育てることが読書などからの知識より大事。優先される。(五感てけっこういい加減だから、しっかり育てないとね)
「因果法則を学ぶ」ということが、「理性を学ぶ」ということなんだと思います。
怒りなどの感情を学ばないように(感情に支配されないように)することです。
まあ、今の社会システムの中、教育システムの中では実践することはなかなか難しいでしょうけど。一人の子どもをずうっと見る家庭教師の立場だし。でも、本来教育というのはこうあるべきだと思います。家庭教育が大事ってことです。現代の教育の問題を考えるときにも参考になります。
で、動物(ペット、momo)のしつけも同じです。遊びのつもりで、調子に乗って噛んだり吠えたり、しちゃいけないことをやり始めたら、さっと遊びをやめてmomoに背を向けたり、部屋を出て行きます。momoは「?」となり、寂しくなります。しばらくして、落ち着いたところでまた楽しく遊んでやります。繰り返すうちにしなくなります。
叱らなくても、したらよくないとわかる、したくない、できなくなるんです。柱をガジガジとか、拾い食いとかも、できないようにしたくなくなるように(苦みをつけるとか)人間が対策すればいいだけ。いかに自然に気づかせるかということ。そうすれば怒ることは皆無。
してほしいことは、偶然できたときに合図と一緒におやつをあげるなり、喜んであげるなりすると、繰り返すうちに合図でできるようになる。かなり根気はいるけどね。
怒ったら負け、なんですね。よい関係を崩さないこと。
これ、理性に訴えることができない大人にも有効?
ぼくにも有効?
これから、エミールがどのように成長するのか楽しみです。
大人がなんとか大人になって子どもを育てないと、と思うのです。
大人が因果法則を知らないとむずかしいでしょうね。
少子化っていうけど、”子ども”が多い・・・^^;
これって、大人側がむつかしい。
まずはルソーの「エミール」を学ばなければいけない。
社会でこの本の名前は聞いたことがありますが、内容を聞くことはなかったです。
内容まで入り込んでこんな教えがあったなと自分の子供に教えることができたなら良かったのにと思います。