バッハと音楽についての道草日記

~気になる音楽、ドラマ、書籍、雑誌等についての雑記帳~

ジェニファー・ラッシュのアルバムMovin’

2024-07-02 15:24:59 | 音楽

たまたま店頭に売れ残っていた、ジェニファー・ラッシュのアルバムMovin’(LPレコード)(1985、CBS)を買ってみました。一応新品でした。

彼女のことは何も知らず、単にアルバムの彼女の写真が恰好良く、デザインも良かったので、思わず手に取ってしましました。

買ってからネットで調べると、ジェニファー・ラッシュは、アメリカのポップス、ロック歌手で、1980年代にヨーロッパ(特にドイツ)で成功し、「The Power of Love」など、いくつかのシングルで成功を収めているようです。YouTubeでも色々出ています。

深い太い声で歌唱力もありながら、しっとりと落ち着いたところもあり、気持ちよく聴けました。ちょっとホイットニーヒューストンを彷彿しました。BGMにも適しているようにも感じます。このアルバムには、全て3-4分位の比較的短い曲で、大ヒット曲はありませんが、「Destiny」、「Ave Maria」、「Hero of a Fool」は良い曲と思いました。

特に「Hero of a Fool」は素敵な曲で何回も聴いてしまいました。英語の歌詞が十分に理解できないのが残念なのですが、別れた恋人への想いを繊細に深く綴っているように思いました。Hero of a Fool(愚か者のヒーロー)とは自分のことを指しているのでしょうか。誰か分かる人がいらっしゃったら是非教えて下さい。

彼女の声は、深海のブルーを彷彿させる素晴らしい歌手と思いました。


マライア・キャリーのミュージック・ボックス30周年記念

2024-06-28 19:45:21 | 音楽

マライア・キャリーのミュージック・ボックス30周年記念 (完全生産限定盤) (3CD+DVD) (1993年ライヴ映像付4枚組) を買ってみました。

疲れた夜には、「The ones」をいつも聴きたくなってしまいます。週に1回は聴いている感じです。彼女の曲は、懐かしさと共にいつも新鮮さを感じます。元気も出てきます。「Hero」や「One Sweet Day」は歌詞まで覚えてしまいました。

彼女以降、スタンダードナンバーを沢山出せる人はなかなか出ません。テイラースウィフトやマイリーサイラスもそうですが、それなりに楽しく、魅力的ですが、最近の曲は私小説的な感じで、「HERO」のような普遍的なテーマでは作曲できていないように思います。アメリカンポップスも政治と同じように内向きになってきているのでしょうか?

このCDボックスは保存版として持っておきたいです。

 


宇多田ヒカルの「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION」

2024-06-26 12:04:47 | 音楽

宇多田ヒカル「HIKARU UTADA SCIENCE FICTION」(ESCL5928-9)(SONY MUSIC)を聴いてみました。

今までLPレコードしか持っていなかったので、彼女のCDは今回初めて買いました。

SCIENCE FICTIONというタイトルの意味が良く理解できなかったのですが、彼女の音楽を一言で表現しているように思います。

「in the room」の歌詞に「夢も現実も目を閉じれば同じ」というのがありますが、私はこのフレーズがとても好きです。

夢と現実、生と死の間を彷徨する魂の不安定な状態を、量子学的にいう電子雲のように表現されています。彼女の独特な声(ある成書<1>によると尺八と同様の非整数次倍音の高周波成分を多く含んでいるようです)が、アコースティックな音とエレクトリックな音が絶妙に混在したドビュッシーも顔負けの和声(理論的に解明したいと思っているのですが..)に彩られ、宇宙的な世界へと誘う稀有な音楽を形成しています。

高周波成分を出しやすい母音が多い日本語の歌詞だからこそ、より心に染み入るのではないかと思います。彼女自身が、英語より日本語の楽曲を作っているのは、意識的なのか、無意識的なのかを本人に是非聞いて見たいところです。何かで彼女自身が、「生活ではほとんど英語を話しているのに、楽曲では日本語が殆どなのはどうなのかな。もう少し英語を入れようか。」と、どこかに書いていたように思います。でも子音が多い欧米の言語のみの楽曲ではこのような雰囲気は決して生まれないと思います。CDよりLPレコードで聴いた方が遥かに感動的で、今回買ったCDの音が物足りなく感じたのはこれと関係しているかも知れません。

予約しているLPが楽しみです。

<1>中村明一著:『倍音』(春秋社、2010年)


インベンション&シンフォニア

2024-06-03 23:01:12 | 音楽
 
福田ひかりさんのインベンション&シンフォニア(KCD-2096)(ピアノ:ベヒシュタイン)を聴いてみました。
今までグールドのインベンションを参考に自分でも練習していたので、何気なく購入しました。
ゴロっと横になって聞き始めたのですが、聴き慣れている曲なのに何にか今まで聞いたことがないような錯覚に落ちてしまうような感覚に襲われ、思わずこれがインベンションなのか飛び起きてCDジャケットを確認した程でした。そこで初めて不等分平均律で弾かれたことを知りました。
とにかく新鮮で、音がクリアで、響きが美しい。言葉では表せない感覚でした。このCDが大きな話題にならないのが不思議です(私が知らないだけで話題になっているのかも知れません)。
私が聞いているオーディオはハイエンドではない普通のオーディオなのですが、ハイエンドで聴いて見たくなりますし、ハイレゾ音源にすればさぞ美しいのではないかと思います。
このCDでインベンションの新たな美しさを大発見しました。また、不等分平均律についてもっと知りたくなりました。これから私のインベンションのスタンダードになりそうです。
 
 
 
 

無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ(ファウスト版)

2011-11-27 20:51:58 | 音楽

Scan10010 harmonia mundiから発売されている「J・S・バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ」(HMC-902059)を聴いてみました。演奏は、ヴァイオリン:イザベル・ファウスト(録音:2009.9、テルデックス・スタジオ、ベルリン)です。
ジャケットも素敵で、ヴァイオリンの弓が弓道の矢のように見えて、服装、背景も和風の雰囲気が漂っています。
彼女は1972年、ドイツ生まれで、1987年にレオポルド・モーツァルト・コンクールで優勝し、1993年にパガニーニ国際ヴァイオリンコンクールで優勝しています。2004年からベルリン芸術大学、ヴァイオリン専攻科の教授をつとめています。
彼女の無伴奏を聞いていると、自然にすぅーっと曲に入り込んでいき、思わず聴き入ってしまっている自分に気が付きます。増田良介氏の解説にあるように、パルティータを本来の舞曲としての性格を重視し、早めのテンポで軽快に弾いています。従来のシャコンヌは重々しく厳格に弾いているディスクが多いのですが、シャコンヌは元々は三拍子の緩やかな舞曲という形式の名前です。彼女ほどシャコンヌを三拍子という舞曲の律動性を意識している演奏は他にはないようです。また、彼女はハーモニーとポリフォニーを把握し、それを聴こえるようにすることを大事にしているようですが、まさしくそれを実践しているように思います。
ファウストの演奏は、本来の舞曲の性格を取り戻した、自然で軽快で居心地が良く、何度聴きたくなる気持ちのいい演奏です。他の演奏家にはない新たな無伴奏へのアプローチで、無伴奏の奥深さがまた再認識できました。個人的には今までの無伴奏のディスクの中ではベストと思います。


無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ(全曲)(イブラギモヴァ版)

2011-11-10 21:10:49 | 音楽

Scan10009 Hyperionから発売されている「バッハ:無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ(全曲)」(CDA-67691/2)を聴いてみました。演奏は、ヴァイオリン:アリーナ・イブラギモヴァ(録音:2008.12~2009.2、ヘンリー・ウッド・ホール、ロンドン)です。レコード芸術準特選です。
イブラギモヴァという名前はなかなか覚えにくいのですが、写真から見て、彼女の風貌は一匹狼的で、孤高の謎めいた女性といった感じです。ジャケットの感じも無伴奏の雰囲気に合っており、思わず買ってみようと思わせる装丁です。
彼女は1985年、ロシア生まれで、グネーシン音楽院(モスクワ)を経て、メニューイン音楽学校(イギリス)、王立音楽院(ロンドン)で研鑽を積んでいます。バロック・バイオリンも学んでいるようですが、古典派、ロマン派、近現代音楽など、幅広いレパートリーを持っているようです。
このディスクは、モダン・ヴァイオリンでピリオド奏法のセオリーで演奏しているようです。ピリオド奏法とはヴィブラートをなるべく控えることのようですが、バイオリンの演奏法についてはよく分かりません。昨年1月のレコ芸(矢澤孝樹著)では、「彼女のヴィブラートへの禁欲ぶりは、近年モダン化傾向にあるピリオド楽器奏者たちより、いっそう徹底している。」、「彼女は"ノン・ヴィブラートの歌"というかつてない世界を私たちの前にくり広げている。」と評されています。
聴き始めて最初の印象は、冬の寒い大地の澄みきった空間の中に繊細でやや悲しげな感じがするものの、引き締まった音が情感豊かに響いている、といった感じです。ハーンの無伴奏が前面に音を押し出した分かり易い演奏であるのとは対照的に感じます。堅苦しくなく自然な演奏のように思いますが、やや線が細く聞き手からやや距離があるように感じるところがあります。素人的にはもう少し距離感が近い方が迫力がでるのではないかと思います。
イブラギモヴァの演奏は、派手でなく気負いのないストイックな演奏で、澄みきった引き締まった音の中に豊かな叙情を湛えており、聞き手を惹きつけます。今までの演奏にはない、新たな無伴奏へのアプローチと思いました


ギター演奏によるバッハ作品集

2011-11-03 20:40:08 | 音楽

Scan10005 MEISTER MUSICから、「シャコンヌ~J・S・バッハ作品集~」(MM-2101)が発売されています。演奏は、ギター:福田進一(録音:2011.2.1-2、神奈川)です。レコード芸術特選版にもなっています。収録曲は、①シャコンヌニ短調、②組曲ト長調(原曲:無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調BWV1009)、③組曲二長調(原曲:無伴奏チェロ組曲第6番 二長調 BWV1012)の3曲です。
福田進一さんは1955年大阪生まれで、12歳より故斎藤達也氏に師事、21歳で渡欧しています。1981年パリ国際ギター・コンクールで優勝し、その後、日本を代表する名手として活躍しています。
今までギターにはあまり思い入れがなく、バッハの作品のギター演奏はあまり多く聴いていませんでした。このディスクも軽い気持ちで何となく店頭で買ってみて聞き始めましたが、これが凄かったです!。思わず何回もリピートして聴き入ってしまいました!。
言葉で表現するのは難しいのですが、ギターの柔らかい繊細な音色により、これらの組曲の魅力が最大限に引き出されていると感じました。チェロで聴く原曲より遥かに魅力的であり、後で無伴奏チェロ組曲を聴きなおしてみて、また改めてこの曲の美しさを実感できました。
福田進一さんのギターによる編曲・演奏はバッハ自身さえも気付かなかった組曲の魅力を引き出しているのではないかと感じさせるほど素晴らしいと思いました


バッハのピアノ協奏曲(シュタットフェルト版)

2011-10-30 13:00:03 | 音楽

Scan10004 SONYから、「J・S・バッハ:ピアノ協奏曲 BWV1054、1058、1055」(SICC-1468)が発売されています。演奏は、ピアノ:マルティン・シュタットフェルト、ミュンヘン・フィルハーモニー室内管弦楽団、音楽監督:ロレンツ・ナストゥリカ=ヘルシュコヴィッチ(録音:2011.4.19-22)です。ちょうど、前回紹介したバーラミ/シャイーのディスクと同時期に発売されたのでとても興味深く聞き比べました。
シュタットフェルトは1980年ドイツ生まれで、9歳でコンサート・デビューし、13歳でフランクフルト大学でレフ・ナトチェニーに師事しています。2002年にライプチッヒでの国際バッハ・コンクールで優勝し、同コンクールで優勝した初のドイツ人として注目を集めました。
シュタットフェルトの演奏は切れ味が良く若々しく、バッハの演奏として新鮮な風を感じました。弦楽器の切れ味も良く、ピアノとの掛け合いが生き生きとしています。ただ、いつも気になるのがSONYの録音で、もわっとした残響音というか、音一つ一つがスカッとしない点です。レコード芸術の録音評を今回初めて見たのですが、これを「自然な余韻」、「柔らかい響き」と評していますが、これは好みの問題でしょうか。ちなみに、このディスクの最後には、「8つの小前奏曲とフーガ(BWV553-560)」が収録されています。これらの曲は現在では、大バッハ作ではなく、子供の誰かか、弟子の作品と考えられているオルガン曲です。この演奏は音が澄んでいて、生き生きとして、とても心地良い演奏です。こちらの方がいいかも.....。
バーラミ/シャイー版と比べて、どちらも数回以上聴いてみました。最初はシュタットフェルトの方が新鮮でいいなと思っていましたが、何回か聞いていくにつれて、バーラミ版の方が熟考された演奏で、味があるように思えてきました


バッハのピアノ協奏曲(バーラミ版)

2011-10-29 22:21:29 | 音楽

Scan10003 DECCAから、「J・S・バッハ:ピアノ協奏曲 BWV1052-1056」(UCCD-1301)が発売されています。演奏は、ピアノ:ラミン・バーラミ、ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団、指揮:リッカルド・シャイーです。
ラミン・バーラミのピアノは初めてこのCDで聴きました。彼は1976年、イランのテヘラン生まれで、イラン革命の時に父親が亡くなり、5歳の時に母親、兄弟と共にイタリアに移住しています。ミラノの国立ジュゼッペ・ヴェルディ音楽院でピアノを学んだあと、シュツットガルト音楽大学でヴォルフガング・ブローザーに師事しています。1998年にイタリアでデビュー・リサイタルを開いて大成功を収め、その後、ドイツ、イタリアを中心に活動を続けているようです。現在、バッハの鍵盤楽器のための作品演奏においてもっとも注目されているピアニストの一人です。
このCDで、彼の演奏は指先まで神経が行き届いた繊細な印象を受けました。グールドを彷彿とさせるところもあります。管弦楽団との呼吸も凄くあっているように思います。彼の際立った個性というものは感じないのですが、バッハの意図しているものを慎重に考え、探索しているような、とても敬虔な演奏に感じます。ただ、もう少し弾けてもいいかなぁと思いました。
ピエラルキッレ・ヂルフィーニの解説(訳:長谷川勝英)では、バーラミはペダルの使用をほとんど避けて、弦楽器もヴィブラートを付けていないようです。これは、オリジナル楽器を用いないオーケストラによる古い時代の音楽の響きを探求するための"第三の道”のようです。また、バッハはストップウォッチを手にしたように、第1番の協奏曲から第5番の協奏曲にかけて演奏時間が次第に短縮されてゆくように作曲したようです。第1番ニ短調の20分から始まり、最終的に第5番ヘ短調のわずかに9分になっています。この5曲の精神的中心が、ちょうど真ん中にある第3番二長調(BWV1054)のアダージョ楽章で、最も深く崇高な部分であると指摘しています。これを読んで、「なるほど!」と思いました


管弦楽組曲集~若き王子のための~(原典版)

2011-10-08 20:08:53 | 音楽

Scan1 AVIEから、「管弦楽組曲集~若き王子のための~」(AV2171)のCDが出ています。演奏は、アンサンブル・ソネリーで、ヴァイオリン&ディレクター:モニカ・ハジェット、オーボエ:ゴンサロ・ルイス(録音:2007年9月21日~25日、セント・サイラス教会、ロンドン)です。第3番(BWV.1068)、第4番(BWV.1069)、は原典版で、トランペットとティンパニー抜きの演奏です。どちらもとても魅力的で、思わず引き込まれてしまいます。私の好みとしてはバッハの曲にあまりトランペットは似合わないように思います。どちらも特に序曲(Ouveture)は素晴らしく、これこそバッハだっ!と思ってしまいました。心躍るような感覚はブランデンブルク協奏曲第3番を彷彿とさせます。トランペットとティンパニーを、第3番では次男のC.P.E.バッハが、第4番ではバッハ自身がカンタータ(BWV.110)の作曲の時に付け加えています。第2番は、ゴンサロ・ルイスによるオーボエ版(世界初録音)です。このCDは何回も聴いてしまいました


久しぶりにブログ更新です!

2011-09-19 21:30:20 | 音楽

人生は色々な事が起きるもので、ここ1年間はブログ更新がなかなか出来ない状況でした。音楽は毎日それなりに聴いていたのですが、これといった新譜が出ないのが残念です。
最近、感動したのが、マツヤマ楽器に行ってきたことです。新しくリニューアルオープンされていて、2000万円以上のスタンイウェイピアノが置いてあります。一目みて欲しいと思ってしまいました。でも置き場所が.....、とりあえず将来の夢として置いといて、うまく弾けるように頑張ろうと思ってしまいました。音楽に興味のある人もない人も、是非このピアノは必見です。スタッフも暖かく素晴らしく、お部屋も落ちついており、また行きたくなるお店です


ハープ演奏による「ゴルドベルグ変奏曲」

2009-05-04 22:56:06 | 音楽

Scan10003 ユニバーサルから、「J.S.バッハ:ゴルドベルグ変奏曲」(UCCG-1459)(ハープ:カトリン・フィンチ)(録音:2008年3月、カーディフ)が発売されていました。ハープによるこの曲は聴いたことがなかったのですぐに聴いてみました。ハープに詳しくないからかも知れませんが、単にこの曲をハープで演奏しただけとういう印象で、インパクトに欠け、ハープでしか表現できない何か新しい価値も感じられません。 彼女によれば、この演奏に当たって、グールドの演奏を聞いてみたようですが、ハープはやはりバロックの演奏には合わないように感じました。個人的にはハープのように音が長く響いて残るのは、特にバッハには向かないように思います


ユリア・フィッシャーのバッハ・ヴァイオリン協奏曲

2009-04-29 22:01:26 | 音楽

Scan10001 毎日、ヘンデルのオペラでは、ちょっと重たいので、気分転換で軽めのバッハが聞きたくなりました。DECCAから、「J・S・バッハ:ヴァイオリン協奏曲集」(UCCD-1235)(ヴァイオリン:ユリア・フィッシャー、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)(録音:2008年6月、ロンドン)が出ていました。カバー写真の魅惑的な微笑みにも魅せられてしまい、思わず買ってしまいました。
諏訪内晶子さんやムターさんの演奏と同じ延長線上にある、基本的には女性らしい演奏と思います。ヒラリ-・ハーンさんの踊るような、また弾けるような楽しさに若干欠けるのが残念ですが、バランスのとれた繊細な美しい演奏です。録音は通奏低音領域も良く聞き取れて、空間の広がりも感じさせますが、ロマン派的な雰囲気で、反響音がやや大きく、シャープさがややないように思います。これは個人的な好みの問題ですが、バッハの録音としては、もう少し乾燥した(?)、あまり手を入れていないクリアな録音がいいかなぁと思います。
ユリア・フィッシャーは、1983年のミュンヘン生まれで、3歳でピアノを初め、すぐにヴァイオリンに転向し、11歳でユーディ・メニューイン国際ヴァイオリン・コンクールに優勝しています。彼女はピアノの才能も抜群のようで、3回もピアノ・コンクールで優勝し、2008年にはピアニストとしてもデビューしています。
とにかく、バッハのヴァイオリン協奏曲は、理屈ぬきに楽しく聞けて、心が躍るような演奏が一番と思います。この点で、女性ヴァイオリニストの中ではハーンが一番と思いますが、このフィッシャーのヴァイオリン協奏曲も楽しく聞けました


L.アンダーソン管弦楽作品集

2009-01-03 21:18:22 | 音楽

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2008年(昨年)は、アンダーソン生誕100周年で、NAXOSから管弦楽作品集が出版されました。全5巻まで出ていますが、多分これで終了でしょうか。一応、全部揃えて、聴いてみました。今回は良く知られている作品以外にも、世界初録音の曲も多く収録されており、非常に興味深く聞きました。出版されておらず、遺族から楽譜が提供された曲もあるようです。
古き良きアメリカ的なイメージがあり、理屈抜きで楽しく聞けます。友人や、恋人へのプレゼント用にも向いているのではと思います。ピアノ協奏曲はとても面白く、ラフマニノフとガーシュインとジョン・ウイリアムズがミックスされているような感じです。また、ミュージカルもとても楽しいです。いかにもアンダーソンの世界で、バロック音楽をいつも聞いていると、こういう曲もたまには聞いてみるのも良いなぁ~と思ってしまいます


グールドの映像

2009-01-02 22:41:22 | 音楽

Scan10379 年末年始もボチボチ音楽を聞きながら仕事をしています。今回は、「ザ・グレン・グールド・コレクション」(6DVD-BOX)(SONY:SIBC 116~121)を店頭で見つけて、おもわず衝動買いしてしまいました。以前より、グールドの映像がまだかまだかと首を長くして待っていました。ざっと見た感じでは、バッハの演奏に関しては収録時間が短くて、ちょっと物足りない感じですが、このBOXの最後に、中学1年の時に見た、グールドによるベートーベンのピアノ協奏曲「皇帝」の映像(1970年2月、トロント交響楽団)を見つけたのが収穫でした。中1の時以来、彼の強烈な個性が脳裏に残っていて、この映像をずーっと探していたので、やっと手に入ったという感じで、特に感激しました。この収録がミケランジェリの代役で(彼が理由もなく急にキャンセルしたようです)、急遽決まったことがこのDVDを見て初めて分かりました。メニューインとの対話の場面も見所です。やはり、グールドの演奏への集中と音楽への陶酔は、見るものを感動させます。彼の独り言と指揮をするようなジェスチャーは、これがないとかえって物足りなくさえ思います