バッハと音楽についての道草日記

~気になる音楽、ドラマ、書籍、雑誌等についての雑記帳~

マグダレナ・コジェナーの「ヘンデルのアリア」

2009-04-30 23:09:09 | ヘンデル

Scan10001 Archivから出ている、『「ああ、わが心よ!」-ヘンデル・アリア集』(UCCA-1077)(メゾ・ソプラノ:マグダレナ・コジェナー、アンドレーア・マルコン指揮、ヴェニス・バロック・オーケストラ)(録音:2006年3月、トブラッハ)を聴いてみました。以前、DVDで彼女の歌う姿を見て衝撃をうけてから、お気に入りの歌手の一人になっています。ヘンデルを歌っているとは知らず、このCDを見つけて、やったー、といった感じで即買いました。カバー写真もうまく撮れており、彼女にしては珍しくやや悩ましげな表情が魅力的です。
彼女の迫真の歌唱は、鬼気迫るものがあり、いつも感動させられます。あまりにも感情が入りすぎて息が詰まって(窒息?)、血圧も上がるのではないかと、つい心配してしまう位です。このCDも、細微に至るまで神経を研ぎ澄ました、隙が無く、かつ圧倒的な表現力はすばらしいと思いました。完璧と言えるほどの歌唱力ですが、あまりにも感情が入りすぎて、ちょっと苦しげな息使いが聞こえるのが、ヘンデルの曲によってはやや重苦しく感じることもありますが、これが彼女の特徴で、魅力的な所でもあります。かの有名な歌劇《リナルド》の「私を泣くがままにさせて」を聴いても、彼女の特徴が良く出ています。ドゥ・ニースの天心爛漫な明るい歌声を聴いた後にすぐに聞き比べると、大袈裟ですがまったく違った曲にさえ聞こえます。
ヘンデルのオペラは、歌手や演奏の仕方によって、魅力が全然違ってくると言われていますが、コジェナーの歌を聴くとそのことを実感します。彼女の次の新譜のCDを期待しています


ユリア・フィッシャーのバッハ・ヴァイオリン協奏曲

2009-04-29 22:01:26 | 音楽

Scan10001 毎日、ヘンデルのオペラでは、ちょっと重たいので、気分転換で軽めのバッハが聞きたくなりました。DECCAから、「J・S・バッハ:ヴァイオリン協奏曲集」(UCCD-1235)(ヴァイオリン:ユリア・フィッシャー、アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)(録音:2008年6月、ロンドン)が出ていました。カバー写真の魅惑的な微笑みにも魅せられてしまい、思わず買ってしまいました。
諏訪内晶子さんやムターさんの演奏と同じ延長線上にある、基本的には女性らしい演奏と思います。ヒラリ-・ハーンさんの踊るような、また弾けるような楽しさに若干欠けるのが残念ですが、バランスのとれた繊細な美しい演奏です。録音は通奏低音領域も良く聞き取れて、空間の広がりも感じさせますが、ロマン派的な雰囲気で、反響音がやや大きく、シャープさがややないように思います。これは個人的な好みの問題ですが、バッハの録音としては、もう少し乾燥した(?)、あまり手を入れていないクリアな録音がいいかなぁと思います。
ユリア・フィッシャーは、1983年のミュンヘン生まれで、3歳でピアノを初め、すぐにヴァイオリンに転向し、11歳でユーディ・メニューイン国際ヴァイオリン・コンクールに優勝しています。彼女はピアノの才能も抜群のようで、3回もピアノ・コンクールで優勝し、2008年にはピアニストとしてもデビューしています。
とにかく、バッハのヴァイオリン協奏曲は、理屈ぬきに楽しく聞けて、心が躍るような演奏が一番と思います。この点で、女性ヴァイオリニストの中ではハーンが一番と思いますが、このフィッシャーのヴァイオリン協奏曲も楽しく聞けました


へンデルの「フロリダンテ」

2009-04-23 20:55:52 | ヘンデル

Scan1_6Archivから出ている、「ヘンデル:歌劇《フロリダンテ》全曲」(HMV 14)(UCCA:1074/6)(アラン・カーティス指揮、イル・コンプレッソ・バロッコ)(録音:2005年9月、トゥスカニア)を以前からぼちぼち聴いています。
この曲の成立の経緯については、三澤寿喜氏による詳しい解説があり、とても勉強になります。以下、抜粋させて頂きます。
1720年代はロンドンにおけるイタリア・オペラ活動の最盛期で、貴族達により1719年にオペラ企業「ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック」が設立され、ロンドンのヘイマーケット国王劇場において、1720年から1729年まで計9回のオペラ・シーズンがあり、487回の公演を行っています。ヘンデルは、その間の実質上の音楽監督として、14の新作オペラを作曲しており、自らの指揮で約240回もの公演を行っています。
この歌劇《フロリダンテ》は、ロイヤル・アカデミーの第3シーズン(1721/22年)用の新作オペラで、1721年11月28日に完成し、同年12月9日に初演されています。台本はパオロ・アントニオ・ロッリで、1696年にヴェネチアで上演された、フランチェスコ・シルヴァーニの『勝利のコンスタンツァ』に基づいている(舞台はノルウェーからペルシャに移されている)。ヘンデルは、エルミーラ役にはソプラノのドゥラスタンティを(彼女とはヘンデルは青年時代にローマで音楽活動を共にしている)、ロッサーネ役(アルト)にはロビンソンを予定して作曲していたようですが、1721年10月半ばにイタリアに一時帰国していたドゥラスタンティが病気になり、急遽、ロビンソン(アルト)をエルミーラ役に、二流ソプラノ歌手のサルヴァイをロッサーネに起用することになった。このように、ソプラノとアルトが入れ替わった為、ロッリは歌詞の一部を書き換え、ヘンデルも作曲済みの部分に改訂を加えたようである。三澤氏の解説によると、この急な役の変更には、ロイヤル・アカデミーの理事であるピーターバラ伯爵の力が働いたとされている(ロビンソンは伯爵の愛人でもあり、翌年には結婚している)。
《フロリダンテ》は初演の後、3回のオペラ・シーズンで再演され、4つの異なる完成稿があるが、エルミーラ役をソプラノで想定して作曲したオリジナルが理想であるとの考えで、A.カーティスとH.D.クラウゼンが緻密な校訂作業によりエルミーラ役を本来のソプラノに戻し、オリジナル草稿を復元した。これがこのCDである。
この《フロリダンテ》は典型的なオペラ・セリアの伝統に拠っていますが、退屈な所が無く、魅力的なアリアが散りばめられており、ヘンデルらしい劇的な作品です


ダニエル・ドゥ・ニースの「ヘンデルのアリア」

2009-04-21 22:47:45 | ヘンデル
  • Scan10396 今年は、ヘンデルを中心に聞いています。毎日聞いて、生活の一部になってくると、以前には単調に聞こえていた彼のオペラが、段々と彫りの深い、魅力的で楽しい作品に聞こえてきます。ヘンデルは、やはりオラトリオよりオペラのほうに本領を発揮しているように思います。
    DECCAから、ダニエル・ドゥ・ニース(ソプラノ)の「スウィート・ディーヴァ~ヘンデル・アリアス」(UCCD:9453)(指揮:ウィリアム・クリスティ、レザール・フロリサン)(録音:2007年5月、パリ、レバノン・ノートルダム教会)が出ています。ちなみに、ディーヴァ(ディーバ 【diva】)とはオペラのプリマドンナで、日本語では「歌姫」に相当します。
    彼女は、オペラ「ジュリアス・シーザー」のクレオパトラ役の急な代役で大成功を収めたました。2005年のグラインドボーン・フェスティバルで、彼女が25歳の時です。伊熊よし子氏による解説によりますと、ダニエルは、スリランカとオランダの血を引き、オーストラリア生まれで、ロサンゼルス育ったようです。6歳頃からダンス、ピアノを習い、8歳から声楽のレッスンを開始し、その後、家族とともにロサンゼルスに移住しています。13歳でタングルウッド音楽祭に最年少の歌手として参加し、ロサンゼルスのローカル・テレビのティーンエイジャーのためのアート・ショーケース番組で毎週司会を務め、エミー賞に輝いています。15歳でロサンゼルスでオペラの主役を演じ、プロ・デビューしています。彼女は、グルック、モンテヴェルディ、ヘンデル、ラモー、モーツァルトなどのオペラを得意としているようです。
    今回のCDは彼女のデビューCDであり、グラインドボーン・フェスティバルで大きな成功を得たときに歌ったヘンデルの作品のみで選曲されています。指揮もその時と同じウィリアム・クリスティです。ヘンデルの魅力満載です。
    彼女はエチゾチックな風貌で、とても魅力的で、DVDで「ジュリアス・シーザー」の舞台を見て、すぐにファンになってしまいました。誰でもこの舞台を観れば、彼女とヘンデルのオペラの虜になってしまうのではないでしょうか。「難破した船が嵐から」の場面は、現代風の振り付けも相俟って、彼女の魅力も十分に引き出されており、圧巻です。彼女のはちきれるようなプリプリとした魅力は、ヘンデルのオペラに新しい風を吹き込み、現代のミュージカルを見ているようでした。このCDも何回も聴いてみましたが、どの曲も何回聞いても元気が出ます。彼女ほどヘンデルを魅力的に演じる歌手はいないのではないでしょうか?。お気に入りの1枚になりました。まだ、荒削りでパワーで押している印象もあるのですが、インタビューの映像を見ていると、彼女は元々非常に明るく、考え方も前向きで、しかもお茶目な可愛い性格のように思います。この彼女生来の性格が彼女の歌の魅力の源泉のように思います。
    彼女の登場により、私のヘンデルへの思いをさらに強くさせてくれました。今後の彼女の活躍が楽しみです

ヘンデルの命日

2009-04-14 22:37:06 | ヘンデル

今日、4月14日(土曜日)(1759年)はヘンデルが亡くなった日です。この日は私にとっても記念すべき日(独立記念日)なので、感慨深いものがあります。ヘンデルは亡くなる近くまで精力的に音楽活動をしていたようで、3月30日、4月4日、4月6日にそれぞれ「メサイア」を3回演奏し、4月6日の最後の演奏会から帰宅して、そのまま病床に伏したようです。
1752年8月に脳卒中に罹り、視力が低下し、同年11月に眼の手術を受け、一時的に視力は回復したものの、1753年1月には殆ど視力を失ったようです。視力を失った原因についてはよく分からないのですが、バッハの目の手術もした、いかさま眼科医のせいなのか、また、脳卒中によるものなのか(後頭葉の脳梗塞か?、この為ならしかたがないかな...)、また、体格が良さそうなので(メタボ体質)、糖尿病からきた網膜症や白内障、緑内障などの合併症のためなのか、色々勝手に想像してみるのですが、今の医学なら簡単に治療できたことを考えると残念無念です。文献で確認しているわけではないのですが、伝記から推測すると、私の考えでは、脳卒中を以前から繰り返していること、視力を失ってからも6年間は音楽活動が可能であったこと、晩年には徐々に体力が落ちていること、肖像画では肥満傾向があることなどから考えて、元々、糖尿病、高血圧などの生活習慣病があり、徐々に脳血管障害が進行し、脳卒中を繰り返し、糖尿病による網膜症も併発し、最終的には脱水、低栄養状態になり、感染症も併発し、亡くなったのではないかと推測しています。
とにかく、病気になり、失明してからもヘンデルの音楽活動に対する情熱は衰えず、圧倒されるものがあります。
偉大なるヘンデルに黙とう.....


ペニンシュラ東京

2009-04-12 22:01:36 | 旅行記

年度末は忙しくてやっとブログ更新です。
週末に東京に出張に行ってきました。以前から泊まってみたかったペニンシュラ東京に宿泊しました。2007年秋に開業したと聞いています。デラックスルームなので、あまり高級な部屋ではありませんが、54平方mという広い部屋は快適です。リッツ・カールトンと比較してしまうのですが、部屋のランクにもよりますが、リッツと比較して、部屋が広く、天井もやや高いように思え、家具類もそれほど高級ではないものの、照明、テレビ等色々な工夫がされていて(ラジオも聞けます)、快適な空間です。リッツと違って、ビル全体がホテルというのもいいですね。立地条件も、東京駅からも徒歩ですぐに行けますし、銀座にも散歩感覚で出かける事が出来て非常に便利です。ただ、クラブ・ラウンジが無いのが難点でしょうか。スタッフの対応も、柔らかく、庶民的な感じがして好感が持てます。

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ホテルのエントランスと外観です。 
 

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ロビーの写真です。左から、オブジェ(巨大な竹細工で、真ん中の丸いのが地球で、上に弓上に乗っかっているのが竜を意味しているようです)、2,3番目はロビーの食堂、右端はフロントから右に入った所にあるエレベーターホールです。


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お部屋の雰囲気は、広くて、荷物も十分に置けるスペースがあり、快適です。通常サイズの傘まで、2本も備えてあるのは驚きでした。


21_033 21_035 左の操作パネルと電話機は、手を近づけると自動的にライティングされる、かなり凝ったものです。これ以外にも、照明等のスイッチ関係にはかなり趣向を凝らしており、トイレ、バスルームには非常ボタンもありました。リッツにはなかった、ラジオ、オーディオ関係が聞けるのも良いです。欲を言えば、パイオニア製のプラズマテレビのスイッチに対する反応性が遅いのが改善点でしょうか。



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お風呂場も、広く、シャワールーム、トイレはガラス戸付で別にあり、お風呂に入りながらアクオスが見れます。入浴しながら、テレビも見やすく、音もよく、コントロールパネルも使いやすく、お風呂場環境(?)は非常に快適です。


21_036 地下1階にある、和食のつる屋は雰囲気もよく、会席もリーゾナブルな値段で、お変わりも可能で、おいしく頂きました。約100年前に創業した京都の老舗だそうです。現在は三代目の女将で、ペニンシュラに店舗を構えるまえには全日空ホテルの最上階にあったようです。


ペニンシュラ東京は、一言で言えば、高級感と庶民感がうまくミックスした感じで、部屋も広く、使い勝手がよく、値段もリッツ・カールトンに比べると比較的安く、立地条件も良く、ビジネスにはいいなあ、と思いました。今後も、東京駅周辺では、帝国ホテルをやめて、ペニンシュラにしようと考えているのですが、また、いいホテルを探索しようと思っています。シャングリ・ラはどうでしょうか?。検討中です