グレン・グールド(1932-1982)の新しいDVDがやっと出ました。キングレコードからで『グレン・グールド ロシアの旅』というタイトルです(KIBM-1026)。解説者の宮澤淳一氏によれば、2002年9月24日(グールドの誕生日の前日)にCBC(カナダ放送協会)で放映され、2003年3月、第21回モントリオール国際芸術映画祭グランプリ受賞をとった作品だそうです。1957年5月(グールドが24歳の時)、当時のソビエト連邦に訪問したときの経緯と足跡をたどったドキュメンタリーである。モスクワとレニングラードで4回ずつ、計8回のコンサートを行っている。
残念なのは、このDVDではグールドが実際に演奏している映像はごく僅かで、カット的に挿入されているだけで、その時の演奏旅行に携わった人々の証言が主な内容となっている。その中にはアシュケナージやロストロポーヴィチらも出演している。この映像を見ると、グールドのロシア人に及ぼした影響の大きさが手に取るようにわかります。特にバッハの演奏は新鮮で強烈な印象を与えたようである。それらの証言のなかでグールドの演奏を、“彫刻を作るような演奏”、“音の画家、詩人”、“誰にもまねできない天才”といった形容が出ているが、まさしく《空間の中から神の音を削りだすような演奏》といえよう。でも、もう少し長くグールドの演奏している映像が欲しいところです。まだまだ秘蔵で公開できないのかな~、あ~残念!。