筋書きのないドラマ、筋書きのあるドラマ

ロッテ戦を中心に、野球を好き勝手な視点から見るブログ

何度でも見たい映画その1 「フリーウィリー」

2008-12-08 22:02:56 | 映画タ~ハ行

私の中では「名作とは筋書きがわかっているのに何度見ても面白い映画」という基準がある。それは小説でもマンガでもドラマでも、スポーツの試合でもそう。

面白いものは結果がわかっていても、そこに至るまでの過程だとか、キャラクターの面白さだとか、名シーンだとか、何度でも楽しめるのだ。

「フリーウィリー」(1993年)もその一つ。

母親に捨てられたジェシーは、人の同情を誘って金をまきあげたり、デリバリーの食べ物を横取りしたりする悪ガキ。引き取られた里親にはなつこうとしないが、水族館で出会ったシャチのウィリーと心が通い合い、ジェシーは次第に変わっていく

きらびやかな海、シャチのダイナミックな動きや美しさ。それも見所だけれど、この映画はセリフもストーリーも役者さん達も全てがいいと思う。

セリフについて言えば、施設の職員がジェシーの警察沙汰を怒るシーン。下手な台本なら「大変だったんだぞ」としかならないセリフが「電話嫌いのこのオレが45分も掛け合ったんだ」とユーモアがある。他にも、スプレーで落書きをしたジェシーに、水族館の館長が「君の作品は愛されているが、ものには潮時がある。創作力を逆に使うときが来た」と、「消せ」なんかよりもはるかに素敵なセリフで命令する。

ストーリーでは、里親の難しさが丁寧に描かれている。大人を信じないジェシーはどんなに好意的に接しても反抗したり自分にこもってしまい、里親のグレンはなかなか打ち解けられない。ついには施設に返してしまおうとまで言う。でも、そんなジェシーは自分はつかまっても友達は売らないし、欲しい物は頭を使って手に入れる逞しさがあり、さらにママが迎えが来ると頑なに信じているあたり、悪ガキであっても憎めない。こういうところ、同じ里親を扱った最近の朝ドラに、少し見習って欲しかったと思う。

そんな心を閉ざしたジェシーが、シャチという友達を得てから柔らかくなっていくのがとても心地いい。どうしても里親を信じ切れなかった彼が、困ったときに最後の最後に助けを求めたのは彼ら。グレン達がそれに見事に応えることで、信頼関係が生まれるところは何度見ても嬉しくなる。

そしてジェシー役のジェイソン・ジェームズ・リクターくんがとても達者だ。ハリウッドの子役って本当に上手い。で、里親のグレン役はマイケル・マドセン……この人、「スピーシーズ」の人だったのね。あのお掃除屋=殺し屋さんとはかなり違ったので、どっかで見たことあると思いつつ、思い出せずにいたのだけど。渋くてステキです

1995年「フリーウィリー2」、1997年「フリーウィリー3」と続き、ジェシーくんはどんどん成長してカッコいい青年になってゆきます。

くたびれた気持ちを洗いたいな、と思ったときには、映像的にもストーリー的にもぜひ一見の映画です。