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「ブタがいた教室」 子供達が学んだものは。

2008-12-17 18:11:29 | 映画タ~ハ行

最近、職場の若手にこう感じる中堅が多いらしい。「答えを教えてくれるのを待ってるだけ」「ちょっとは自分で考えろ」と。

この映画は、子供達が考えに考える物語。

6年生の担任教師が、4月にクラスでブタを飼うことを提案する。「食べる」ことを前提として。Pちゃんと名付け、一心に世話をし、かわいがり、仲良くなる子供達。だが卒業までにPちゃんを食べるかどうかを決めなければならず、クラスで大議論が始まる

(以下、多少ネタバレしています)

世話をして一緒に遊んでいるうちに、愛嬌あるPちゃんを心から大切に思うようになる子供達。それはそれぞれが描く小学生らしい絵の中に、どれもこれも愛らしく表現されているブタの姿から真っ直ぐに伝わってくる。

だからこそ「食べる」なんて出来ない、残酷。そう言う子供達ばかりかと思ったら、下級生に引き継ぐのは自分達の責任を放り出すことではないか、とか、「食べる」=「殺す」ではなく「引き継ぐ」ということなのだ、という意見も出る。ブタを育てたことで「いのち」だけではなく「責任」「食」ということまで考えが及ぶようになる子供達に、頼もしさを感じた。

子供達はPちゃんが大好きだからこそ必死で考え、つたない言葉でも何とか自分の思いをみなに伝えようとする。反対の意見の者と衝突しながらも、正解のない問と真剣に向かい合うのだ。

子供達のその必死な姿に、思わず涙腺が緩んだ。自分が大切だと思うことなら6年生の子供だってこんなに一生懸命考える。議論もする。必死で答えを探そうとする。

「考えない」人が増えたのは、小さい頃から大人にいつも答えを用意されていてすぐにそこへ導かれてしまったから、というのも理由の一つなのではないか。この映画を見てそう思った。

こんな授業を、私も受けてみたかった。私は自分の意見を言うのが下手だし、議論も大の苦手、考えも浅はか。こんなことを経験していたら、ひどく苦しい思いをしたことも間違いないけれど、もう少し違った大人になれていたかもと思う。

ただ、今の教育現場でこれをやるのは大変でしょう。実話が基になっているというけれど、先生によほどの情熱と覚悟と強さ、そして周りの理解者がなくては出来ないと思う。教師側にとっては答えを与える方がよっぽど楽なのに、この先生はじっと待った。しんどかったと思います。

ともあれ、とても面白かった。お子さん、保護者の方、学校の先生。そしてそうでない方々にも。お勧めの一作です。

妻夫木くん、先生役がはまるような大人になったね