超巨大台風が、その前兆の雹や津波に始まり、首都圏を直撃する。その中で、地下に閉じこめられた元ハイパーレスキュー隊の男が数人の周囲の人々と共に生き抜き、252=生存者ありのサインを送り続けて見事救助を呼び寄せる
(以下、少々ネタバレあり)
う~ん。期待通り……というところでしょうか 先週、映画に先駆けてエピソード0と称してSPドラマをやっていたけれど、それを見た限りはまあこんなもんかな、と予想はあったわけで。
ドラマでは、人命救助に命を賭けない隊員を弱虫となじる主人公が、チームの大切さを実感していく成長物語だった。でもその中で、二次災害を回避する時など要救助者を見捨てなくてはならないこともある、という厳しさを、主人公が理解していったようには見えなかった。
映画もそうだった。内野聖陽は、隊長というポストにありながら、二次災害や隊員の安全より「自分の家族」と思っているように見えた。むしろ、レスキューを辞めて今はただのサラリーマンである伊藤英明の方に人命救助の精神が貫かれていた感じ。だから、ただひたすらに伊藤英明がカッコいい映画だった。
閉じこめられた数人は、みなそれぞれ事情がある者同士がぶつかりながらも協力していく、というお約束な感じであまり目新しくない。引っかき回す役回りの山田孝之もあの中では自分勝手のようだが、ハリウッドのパニックものを見慣れているせいか、おとなしい感じがした。アメリカ作だともっと自分のエゴ丸出しになる。むしろ外にいて、「娘を助けて」と義理の兄にわめくだけの桜井幸子の方がそれは顕著だった。
そして、一番ガッカリしたのはラスト。救助を待つ人々がまだまだいるはずの大変な災害の、しかも一刻を争う現場で、「パパ」と叫ぶ子供に大勢のレスキュー隊員が全員(!)手を止めて見とれている。怪我人の伊藤英明が逆に隊員を背負って歩いていくのを、誰一人代わろうとしないでただ見ている。「ホワイトアウト」のときにもあったこのパターン 一気にリアリティが消滅するので、勘弁して欲しかった。
ただ、突然の異常事態にパニックを起こす群衆のすさまじさは迫力があった。大変な勢いで逃げまどう集団の流れに巻き込まれたが最後、自分の行きたい方向になどとても行けない圧力がすごく怖かった。
パニックものの好きな人、伊藤英明さんのファン。観に行くならこのどちらかの人がいいと思います。
(おまけ)座った席が悪く、通路を隔てたお隣にシルバー料金で来られたらしきご夫婦。そのオッサンが、ここぞというときに「死んだんだな」とか「あれで手術するんだ」とか予想をおっしゃる しゃべり続けなら注意もできようが、ポイントごとだけなので難しく、結局最後までその調子。ああうるさい、と思いつつ、その予想は全てハズレだったので、ちょっとだけ溜飲が下がったのでした。