バードトレーニング

行動分析学の理論に基づく鳥のトレーニングやしつけのサイト。

噛みついたときの対処法について

2009年09月30日 | Q&A
Q:噛み癖の矯正をしています。訓練中に噛みつかれても、手を引かずに口に押し込むようにすると聞きましたが、痛くて手を引いてしまいます。血が出るほどきつく噛みつくので、いまでは鳥がクチバシをこちらにむけると怖くてつい手を引いてしまいます。

A:噛みつかれないような状況を作ってトレーニングを!

冷静に口の中に押し戻して手を放させることができるのは、柔らかく噛みつく「甘噛み」の時くらいだと思います。

そもそも訓練中に「噛みつかれる」ことが前提になっているトレーニング方法は、「鳥にわざわざ噛む行動をしやすくする状況」を作りあげているのかもしれません。

 命令に従わないのは、飼い主さんを舐めていたり、順位を下に見ているのではありません。命令と行動が結びつかないか、しても良いことがないからしない、または、それをすると嫌なことが起こるからしないのです。

 大切なのは、行動の後にごほうびでちゃんと「良くできたね!」「上手だったね!」とほめてあげること。そうすることで、鳥は差しだした手に喜んで乗るようになります。「おいで~!」と手を差し出すと「ハーイ、なあに~?」とでも言わんばかりにウキウキしながら(まるでスキップでもするかのように)であなたに近づいて手に乗るようになるでしょう。もう、それは本当に可愛らしくほめずにはいられません。

うまくいかずにお互いに辛いトレーニングは、悪循環にはまっているのだと思います。噛み癖を「矯正」するのではなく、「こうしてね」を教えてあげるようにするとうまくいきます。トレーニングは「強制」でも「矯正」でもなく、鳥が人と幸せに「共生」するのための学習の場です。トレーニングがあなたと鳥との楽しい時間になりますように。


生後一年くらいの子をお迎えしました。

2009年05月25日 | Q&A
Q:生後1年ぐらいの子をホームセンター内のペットショップでお迎えしました。
毛引き・噛み癖。呼び鳴きがありますので、その改善にクリッカートレーニングを始めたいと思います。お迎え2ヶ月になり噛み癖は軽く噛む程度になりましたが、まだ手が恐いのか手には乗ってくれません。肩にはのるんですが・・・。先が長い子なので 仲良く暮らしていきたい為トレーニングに挑戦してみたいです。
A:呼び鳴きも噛み癖も「学習」の結果なので、その子にとって咬まなくて良い環境、呼ばなくて良い環境を作ってあげれば、むやみやたらに咬むこともひっきりなしに鳴くことも必ずしなくなります。軽く咬む程度になってきたとのこと。上手に距離を縮めておられるのだなと思いますし、環境の変化に敏感な賢い子なのかなとも思います。

一日に食べるご飯の量を一週間程量ったら、ご飯をご飯の入れ物に入れてしまわずに取り分けて、ご飯の1/3以上を飼い主さんの手から渡すようにしてみてください。また、特に好きなものがあったら、それは餌箱の中に入れずに必ず飼い主さんの手から渡してください。その時に注意するポイントは、「して欲しいこと」に近い行動だと思ったときにごほうびを渡すことです。静かに遊んでいるとき、噛まないで手に乗ったときなどにごほうびです。鳴きやんで欲しいから餌をあげて黙らせるというのは、逆効果です。お勤めなどしていて、難しければ土曜日と日曜日だけでもOKです。

 ホームセンター出身の子で、一年くらいそこで暮らしたとなると、ケージの中での暮らしが長かったので手に乗る経験もほとんどなかったのかもしれませんね。手に乗ると良いことがあると言うことを徐々に教えてあげましょう。また、繰り返し練習することで学習することができます。ターゲットスティックを使ってみるのも良いと思います。

ただし、鳥は、意思表示に咬んだり鳴いたりすることを使う動物ですから、咬んだり鳴いて呼ぶことをゼロにすることはできません。咬んだり鳴いたりすることを我慢させるのではなく、しないですむような心地よい環境を作ってあげられると良いですね。

呼び鳴きに関してですが、ホームセンター出身とのことですから、今までいつも人がいて、館内放送やBGM、他の動物の鳴き声、人の会話の声などがひっきりなしに聞こえてきた環境にいたと思われます。もしかしたら、お家の環境が静かすぎるのかもしれません。うるさすぎるのもストレスですが、静かすぎるのも落ち着かないのです。日中静かなときには、ラジオや教育テレビなどを小さなボリュームでBGMとして流しておくと落ち着くかもしれません。



手の平に乗るのが嫌い

2009年04月29日 | Q&A
Q:今ちょうど生後半年くらいです。頑張ってもっと仲良くなりたいです。肩や腕・膝は好きなのですが、手のひらに乗るのが嫌いで困っています。なので、ゲージから出すのも一苦労です。クリッカートレーニングが手嫌い克服の良いきっかけになってくれたらいいです。

A:怖がっているのにケージの中に手を入れて手に慣らそうとするのは「×」。かなり慣れた子でも、ケージの中にニョキッと手を入れられることを嫌う子は多いです。嫌がっているのなら、ケージに手を入れて無理に慣らそうとせずにケージの中はいつでも安心できる場にしておいてあげてくださいね。

ケージから出すのも一苦労なのは、手が嫌いで手に乗らないからなのか、外に出たくないので手に乗らないの二つの理由が考えられます。

手が嫌いなのなら、手に乗ると良いことがあるというのを教えてあげたら、手が好きになります。そして、手はいつも良いことと一緒に現れるようにすれば、いつでも手に乗るようになります。なかなか難しいかもしれませんけれど、「嫌なことをしない」というのが鳥との関係で大切です。まずは、ケージの外から手渡しでごほうびをあげることから始めて見たらよいと思います。苦手なことを「克服」すると考えると、「いやなことを我慢できたらごほうび」と我慢を強いてしまいがちですから、そうならないように楽しく遊びながらできるように、少しずつ進めてくださいね。、

外に出ても肩や腕、膝から全く離れないのであれば、外に出て不安になり、安全な飼い主さんから離れたくないと思っているのかもしれませんね。お外に出たときにクリッカートレーニングなどで遊んで楽しい経験を増やすことで外が好きになると思います。



カキカキするコツは?

2009年04月29日 | Q&A
Q:うちのインコは、カキカキが嫌いです。カキカキでコミュニケーションを取る方法を教えてください。
A:手が恐くてカキカキを避けている子は、まず、手からごほうびをあげて手を好きになってもらいましょう。

 手が恐くなくて、カキカキを避ける子の場合は、鳥が痒い時にカキカキしてあげるのがポイント。鳥が「痒い!」と思ったとき、例えば片足で頭をカシカシ書いているときにそーっと指を伸ばしてその場所をそっと掻いてあげましょう。私たちも、肩が凝っているときにもんでもらうと極楽ですが、そうでないときに肩をもまれても気持ちよくないですよね。それとおなじです。


叱っても言うことを聞かない

2008年10月13日 | Q&A
Q:「コラ!」「ダメ!」「イケナイ!」という言葉で叱ると一瞬やめ
てこちらを見るので、叱られてるのは理解していると思うのですが、すぐにまた悪さをするのはどうしてなのでしょうか。
A:禁止の言葉を大きな声で言っているのなら、それはもしかするとびっくりしているのかもしれません。また、それほど大きな声でないのなら、音がした方に振り向いただけかもしれません。これらは、生まれながらに備わった反応です。鳥と同じく私たちにもあります。

 私たちは、「コラ!」「ダメ!」「イケナイ!」という言葉を理解しているので、鳥の反応を禁止の言葉によって反応をやめているように解釈してしまいますが、実は鳥は音に対して生まれながらに備わった反応をしているに過ぎなかったのです。「叱られた」とは思っていなかったので、同じことを何度も繰り返します。

試しに使っている禁止の言葉と同じ音数の言葉を同じ音量で試してください。「ウニ!」「タコ!」「カワウソ!」などの言葉でも、鳥はイタズラを一瞬やめるでしょう。このちょっとした実験でも言葉の意味を理解してやめているのではないということがわかると思います。

長期的に見て効果がないにもかかわらず、私たちがこうした禁止の言葉を繰り返し使ってしまうのは、一瞬でも鳥がしている「私たちが好まない」行動をやめるので、それに「はまって」しまうのです。

しつけは叱ることと思ってしまうと悪循環にはまりやすく、行動の法則を知らないと、この悪循環に気がつかず抜け出すことができません。

行動の後に何が起こっているかに意識することが大切です。そして、叱られるような環境を作らない、して欲しい行動を教えることに力を注いだ方が、鳥がよい行動を学習しやすくなります。