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お正月やお盆に鳥を連れて帰省するときには

2005年12月19日 | 教えて解決!
お正月やお盆に鳥を連れて帰省するときには

 キャリー(移動用の小さなケージ)も用意した。防寒も完璧。いつも食べてるご飯とおもちゃも持ったし、後は、明日の朝、鳥をキャリーに入れて出発するだけ。

■鳥の苦手なこと

 実は、鳥は「初めて」と「いきなり」が大の苦手です。あまりに大きい変化が突然訪れると対処できずに体調を崩してしまったり、問題行動のきっかけになったりすることもあります。しかし、苦手なことでも鳥にそれをやってもらわなければならないこともあります。お正月やお盆の帰省の際の長距離移動もそのひとつかもしれません。長いこと鳥をひとりぼっちにはしておけませんから、一緒に帰ることを計画している方も多いのではないでしょうか。しかし、帰省を経験したことのない鳥にとっては「初めて」「イキナリ」の連続です。「初めて」のキャリーに入る。「いきなり」電車や車で移動。到着したら、「イキナリ」新しい環境です。にぎやかに話が始まります。「初めて」聞く声、「初めて」見る顔、「初めて」見る部屋。鳥の心臓は、ドキドキしっぱなしです。

■苦手なことを楽しく「平気」にしていく方法

 鳥が大きな変化に上手に対処できるよう手助けしてあげましょう。時間をかけて遊びながら一緒にトレーニングすることで、苦手なことも平気になります。鳥にストレスを与えないよう、苦手なことをすべて排除して暮らしていくことはかなり難しいですし、引っ越しや地震で生活ががらりと変わってしまうような回避しようのない大きな変化が起きることだってあるのです。苦手なことも段階を踏んで楽しく遊びながら「得意」にしていくことができます。そのように私たちが手伝ってあげることで、新たな環境の変化にも対処できる、ストレスに強い子に育っていきます。


■ステップアップガイド


1.新しいキャリーに慣らしましょう。普段放鳥しているところに数日間置いておきます。

2.キャリーの側で遊びます。とっておきのごほうびを用意して。まだ中に入れません。よじ登ったり、上で遊んだりできるように数日かけて誘導していきます。

3.キャリーの扉を開けて、中においしそうなごほうびを見えるように入れておきましょう。中に入ったら、ほめてあげましょう。まだ、扉は閉めません。

4.キャリーにはいると良いことが起きる!と学習すると、キャリーに自発的に入るようになります。頭をかいてあげること、おやつ、ナッツやシードなど鳥にとって嬉しい物をキャリーに入ったときだけあげるようにすると、嬉しいこととキャリーが結びついて、キャリーにはいること自体が好きなことになるのです。自発的にはいるようになったら、扉を閉めてみます。そして、すぐに開けます。数日間繰り返しましょう。

5.キャリーの中にいる時間を増やしていきましょう。10秒から始めます。一日に何度か繰り返しても。時間は、一週間くらいかけて徐々にのばしていきましょう。短期間でマスターしようと焦ると、また最初からやり直しになってしまうことも。あくまでも、これは遊びです。焦らないで、ゆっくりと進めていきましょう。

6.キャリーを持ち運んでみます。揺れる感じを経験させます。そっと動かして、キャリーの中の鳥にごほうびをあげます。鳥の様子を観察して、揺れても体のバランスを保っていられるかどうかを確認します。1mから始めて少しずつ距離を伸ばしていきます。

7.キャリーをカバンに入れる予定なら、布を少しずつかけて覆われることにも慣らしましょう。布をキャリーの端にかけることから始めます。半分くらいまでかけられるようになったら、布を使ってイナイイナイバアで遊んでみましょう。ごほうびを忘れずに。

■到着したら

 訪問先で数日過ごすのなら、いつもお家で使っているケージと同じ物を用意すると緊張を少し和らげてあげられるでしょう。トレーニングをしたとはいえ、着いた日はとても疲れています。おいしいごほうびをたくさんあげて、暖かくしてそっとしておいてあげましょう。大好きなあなたがいつも見えるところにケージを置いておくのが一番です。

■クリッカーを使っても

 クリッカートレーニングをしている子なら、クリッカーを使ってやってみましょう。上手にできたら、カチッ→ごほうびです。クリッカートレーニングをしていない子は、上記の通り、上手にできたら、鳥の大好きな物で「そうだよ、それでいいんだよ」を伝えます。

■こんな時間をかけてトレーニングするのは無理です!

 大抵の飼い主さんは、毎日放鳥しています。この毎日の放鳥時間の中の遊びの中に自然にトレーニングを組み込むのがトレーニングを上手にやる秘訣です。リラックスして時間を決めずに遊びながらやってみてください。テレビのコマーシャルの間だっていいのです。毎日できれば理想ですが、できなければ間が開いても大丈夫です。鳥は楽しかったことはよく憶えています。復習から始めればOKです。
 
 「トレーニングの時間を作らないといけない」「きちんとしつけしなくちゃ」「私が頑張らなければ」「しっかり憶えさせなきゃ」という気負いがあると、鳥の良いところを見つけてほめるのが難しくなってしまいがちなのです。実は、私たちが、毎日鳥と過ごす全ての時間がトレーニングタイム。そうしてね、上手にできたね、を鳥にわかるように伝えるだけで鳥はグングン学習していくのです。

■トレーニングが楽しければ続けられる

 徐々に進めていけば鳥はぐんぐんマスターしていきます。その成長ぶりが私たちの喜びとなり「さあ、今日もトレーニングやろうね!」という気にさせるのです。トレーニングがうまくいかないときは、ほめる基準をうーんと下げて鳥ができることから始めて見てください。どうすればいいかがわかれば、鳥は私たちの期待にきっと応えてくれます。

■ステップアップの考え方

 10cmの高さの階段だったら、1000段あってもゆっくり上っていけば必ず目的地にたどり着きます。1mの高さの階段を100段上るのは至難の業。最初のステップだって超えるのは大変で諦めてしまうかもしれません。ステップは小さければ小さいほど上がるのが楽になりますね。ステップアップガイドを参考にあなたの鳥の個性に合わせて楽々上れるステップを作ってあげましょう。うまくいかないときは、鳥に1mの階段を上れというのに匹敵する要求を出していたのかもしれません。もう一度元に戻って小さな階段を作り直してみましょう。