バードトレーニング

行動分析学の理論に基づく鳥のトレーニングやしつけのサイト。

鳥さんにオムツ・おしめ・ハーネスを着けるときには

2009年10月02日 | 教えて解決!
★鳥さん用のオムツ(おしめ)・フライトスーツ・ハーネスの装着について

 お散歩に連れ出すことができる、屋内での放鳥時の糞の始末が楽になる、装着したときのかわいらしさなどから最近人気の鳥のオムツですが、着けるときには鳥さんが楽しんで着けられるよう工夫してあげて下さい。
 オムツを着けるメリットは様々ありますが、鳥さんがそれを着けることで私たちと楽しく過ごすことができるというメリットがデメリットを上回ったら使うとよいと思います。デメリットとしては、そもそも体のまわりに何かがまとわりつくのは鳥にとって好ましい刺激ではありませんから、そのまま着付けるととても嫌がります。オムツやおしめの形状によっては、つけると毛繕いがしにくくなったり、できなくなったりしてストレスになる可能性があります。また、鳥類はほ乳類と呼吸器官の作りが異なるので、胴を締めつけるような形状のものは、呼吸がしにくくなったり、場合によっては呼吸ができなくなり、死に至る場合もあります。服を着ることに慣れていない鳥を慣らすには時間がかかりますし、着けていることを気にしてオムツをかじりつづけたり、毛繕いを過剰にするようになることもあります。鳥さん自身のメリットがデメリットを上回り、嫌がらないよう上手に慣らしながら装着できるようにしてあげたなら、鳥さんはおしめやフライトスーツ、ハーネスが好きになるでしょう。オムツを着けた鳥さんの姿は可愛らしいものですが、鳥のためにならない、または自分には上手にトレーニングすることが難しいと思ったらやめる勇気も必要です。

なお、オムツやフライトスーツ、ハーネスは、人が見ていないときに使うと思わぬ事故に繋がることがあります。人が見ているときだけ使うようにしてください。

★鳥にオムツ、フライトスーツ、ハーネスを着せる前にやってみること

オムツやフライトスーツ、ハーネスを着けると決めたら、楽しく遊びながら徐々に慣らしていくという方法をおすすめします。そのうち慣れると思って無理矢理着せることを繰り返して、鳥に嫌な思いをさせたり、我慢させるのではなく、鳥が楽しんでできるようにする方法があります。教本として「インコのしつけ教室」を利用しています。オムツの付け方そのものについては書いておりませんが、やり方は同じです。

1.まずどの形が目的に合っていて、
 鳥の負担になりにくいか考えてみましょう。

 お散歩にリードを着けて使う
  サロペット型(商品名:フライトスーツ)
  ハーネス

 お部屋で放鳥するときにフンをキャッチする
  サロペット型(インコ・アヒル・ニワトリ)
  マスク利用(ニワトリ)
    …人間用のマスクのヒモを肩にかける
  ビニール袋利用(アヒル)
    …ビニール袋をしっぽにかぶせてゴムで止める

 キャリーで移動するときの汚れ対策に
  ビニール袋利用(アヒル)

2.人形を使って装着する練習をする

本物のオムツ、フライトスーツ、ハーネスを素早く装着できるように、人形を使って練習してみましょう。生きている鳥を使って装着の練習をしてはいけません。
また、装着するときにどのように鳥に触れるか、どの部分触るかなどをチェックしましょう。
装着するのが大変そうだったら、着せやすく改良するのもよいでしょう。

3.装着前のトレーニングをしましょう

実際に鳥に着せる前に、必要なトレーニングをしましょう。

体をつかむことが必要ですか?→保定の練習をしましょう(シェイピング)
翼を持って通して着せますか?→翼を人間が持っても平気になるように練習しましょう(シェイピング)
頭を通して着せますか? →輪になったものを布で作り、頭が通せるように練習しましょう(シェイピング)

また、タオルで包まれる練習もしておくと布と仲良くなれます。いずれの場合もシェイピングで無理なく楽しく進めましょう。

※シェイピングとは、徐々に形を作っていく方法です。
詳しくは、「インコのしつけ教室」50ページと71ページをご覧下さい

4.ダミーで練習しましょう
装着する形に似せてダミーを作り、体に載せたり、頭をくぐらせたりして練習しましょう。サロペット型を最終目標にしているのなら、首に巻くスカーフを作って練習したり、エプロン型のものを作って練習するとよいでしょう。最初は覆う部分を小さくして、段々広くしていくとよいでしょう。色も同じ方が慣れやすいと思います。しっぽに装着するタイプならば、ビニール袋のガサガサ音に慣らしたり、ビニールをしっぽに当てたり、ビニール袋にアヒルのサイズにあわせたゴムを通したシュシュを作って(くれぐれも締めつけないように!)つけたりして練習してみましょう。

★鳥にオムツ、フライトスーツ、ハーネスを着せる

体のあちこちを触っても嫌がらない、タオルや布をかけたり、包んでも動じず、むしろ楽しんでいる様子が見られるようになったら、フライトスーツを装着してみましょう。この時もシェイピングで行ってください。練習してきたダミーとは全く違うものと見なして嫌がる子もいます。その時は、いきなり着せずに近くにおいて見慣れるところから始めましょう。焦らずに進めていきましょう。

オムツ、フライトスーツ、ハーネスを着けたら、胴回り、肩紐のきつさなどをチェックして、体に合っているか、窮屈でないかをよく確認してください。また、オムツを着けてもいつものように活発に動き、歩けているかどうか確認して下さい。じっとして動かないのはサイズが合っていない、重い、装着をストレスに感じているなどのサインです。必死になって囓ったり、脱いだりするのは、まだ慣れていない証拠ですから、平気なところまで戻ってトレーニングをやり直しましょう。

着付けができたら、最初は短時間で脱がせて下さい(脱がせるときもシェイピングです)。徐々に時間を延ばしていきましょう。
また、オムツやフライトスーツ、ハーネスを着ているときに楽しいことが起こるようにしてください。ごほうびを上手に使いましょう。

★お散歩に連れて行く場合には
フライトスーツ、ハーネスを着せる練習とは別に、外の環境に慣らす練習をしましょう。キャリーに入ることに慣らし、家の中を回ることに慣らし、外に出ることに慣らします。これもシェイピングで行って下さい。

■オムツやフライトスーツ、ハーネスを鳥さんが楽しみながら着られるようにするには、このような手順を踏んでいくとよいと思います。この他に、うまくいったアイディアなどありましたらanimal_station@yahoo.co.jp(青木愛弓)まで是非お寄せ下さい。また、うまくいかないときもお気軽にご相談下さい。

なお、アヒルのビニール利用のオムツについてはロビさんより情報をいただきました。ありがとうございました。


関連する記事
保定の練習をしよう
「インコはフライトスーツやハーネスが大嫌い、ワンコはリードとハーネスが大好き」の理由。


こんな方法もあると紹介していただくのは大歓迎です。紹介する時には、元の文章が読めるように「バードトレーニング」の名前とURLを必ず入れて下さい。


本サイトを引用する際にご利用ください:
バードトレーニング, 鳥さんにオムツ・おしめ・ハーネスを着けるときには.http://love.ap.teacup.com/bird/145.html

引用先を明記しないで、このサイトの文章や内容の大部分をそのままコピーしたり、少し文章を変更したり、または要約して他のブログやサイト、書籍等で紹介するのはご遠慮下さい。情報の一部だけを取りだして説明するのは、一見うまく説明できているように見えても、著者である私が意図していることが伝わらずに問題行動をひどくしたり、飼い主さんと鳥との関係を壊してしまうこともあります。引用のルールを守ってご利用下さい。どうぞよろしくお願いします。