皆様こんにちは。(会場からも「こんにちは!」の応答)
ただ今ご紹介いただきました、横田めぐみの弟の横田拓也と申します。
ほんとにいつも北朝鮮による日本人拉致問題に関しまして、本当に暖かいご支援と応援をいただきますことありがとうございます。
また、ちょっと時期がほんとに遅くなりましたが、先月の末にですね。
首相官邸前というか、横で実施しました、私たちの家族・兄弟を取り戻すために行った座り込みに関しまして。
本当に三日間暑い中、平日も含めて多くの方々にご参加いただきましたことをですね。
重ねてお礼申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
既に、私の家族他の案件に関しましては、皆様ご承知いただいていることかと思いますが。
私の所も若干もう一度ご紹介したいと思います。
私の姉、横田めぐみは1977年11月にですね、中学1年生です。
下校途中に拉致されたわけです。
警察犬が嗅覚を失ったのは、本当にもう自宅からすぐ近くの所ですから。
あともう少しで帰れたはずのところで、何者かによって待ち伏せをされて、拉致をされてしまったというわけです。
先程特定失踪者問題調査会の真鍋さんの方から、9歳の女性の方の事例もありましたが、9歳にしても13歳にしても本当にまだ子供です。
まだ少女なんですね。
私たちが、自分たちが男性であれ女性であれ、13歳の頃、もう一度ちょっと思い浮かべて欲しいんです。
本当に明るく、楽しい毎日だったはずですね?
こんなクラブで楽しんでみたいとか、こんな友だちと、どこどこ遊びに行ってみたいとか。
こんな勉強してみたい、こんな高校に進学したい、大学に行きたい、こんな仕事をしてみたい。
いろんな夢があったはずです。
自己実現の夢ももっと持っていたと思います。
しかし、そういった夢が一方的に遮断されてしまって、美しい日本から連れ去られて、楽しい家族の許から連れ去られたわけであります。
これは、私のめぐみだけではなくて、家族会にいる全員がそうですし。
先程ご紹介があった、政府が認定してる・してないだけの違いがあってもですね、特定失踪者の方々、ご家族の皆さん。
等しくそういう悲しみと辛さを背負わされていると、いったわけであります。
で、引き裂かれた拉致というものは、ほんとにもう釈迦に説法でございますが、改めて申し上げますと、単なる一人の男が、偶発的に行った誘拐事件のようなレベルではないんですね。
国家の指令によって、独裁者の指示によって、直接的な指令によって行われた国家テロなんですよ。
私たちはもう、一週間・二週間前にまた大きな大規模な同時テロ、テレビ画面を通じて知ったわけです。ほとんど、これ一緒なんですね。
事態の現象こそ違いますけれども、もう、組織ぐるみでされてるわけなんです。
そのテロの話ですとか、先程脱北者のお話の方にもありましたけど、日本はまあこんな有り様ですが。
アメリカにおいては、ほんとに積極的にこの問題に取り組もうとしております。
新聞でも既にご承知いただいてるかと思いますが。
アメリカの下院本会議では、7月11日に北朝鮮による日本人・韓国人の拉致及び被害者を拘束し続けていることを非難して、拉致問題解決なくしてテロ支援国家から外してはならない、ということを改めて採択してるわけです。
そして脱北者を強制的に退去させている中国への非難もそこに含まれているわけであります。
その採択というのは、362対1で、いわばすべてがこの採択に賛成されているわけなんですね。
で、ポイントは、当事者のアメリカではないんですね。
日本人が当事国であって、韓国も日本以上に拉致されている。
他国のことを彼ら(=アメリカ)がこういって、こうした形で採択をしているということがポイントなんですね。
本来であれば、こういった動きというのは、日本政府が先頭を切ってしなくてはならないはずなんです。
私はいろんな場でお話しする機会をいただいておりますけども、こうして私たちにできることは、皆様方にお訴えすることしかできません。
私たちの辛い思いを、一言でも多くお伝えすることしかできない。
これは、みんな一緒なんですね。
ですから家族であるから、兄弟であるから、前面に立って闘うしかない。
これは当たり前のことだと思っておりますけども。
これは国家間の戦争行為のようなものですから、テロ行為に向かって闘っている以上は、国が先頭切ってやらなくてはいけないことなんですよ。
そういう意味では、日本政府、小泉総理は、本当にいつも他人事のようにこの問題を受け流している。
聞き流しているというこの事実は、本当に淋しい限りなわけであります。
私たちは、先程申し上げた座り込みの時も、30度を越す真夏日の中で。
私はまだ、真夏の炎天下の中でも座って耐えられますけど、本当に高齢の方々がいらっしゃるわけなんですね。
ほんっとに辛いんですよ、これ。
これ、想像以上に辛い、暑い。
その中でも、皆さん方がいろんな飲み物とか、アイスクリームとか、保冷剤とか持ってきてくださって。
「頑張ってよ」というお声をかけていただいて。
倒れないで「ありがとうございます」ということで、何とか3日間を凌げたというのが、事実です。
多分、私たちが叫んでいた声というのは、首相官邸の中に少しなりとは、聞こえていたんだとは思います。
しかし、小泉さんは、私たちの前の道路を通らないで、避けるかのように、車を、車列を通っていったということですね。
別に私たち、絶対会ってくれともいう権限もないし、資格もないかもしれませんが。
国家が本来やるべきことを、私たちが代わってやっているのに、そこに対して何の反応も示さない、ということが、本当に不思議でならないわけであります。
そして私たちの座り込みというものは、以前にも何回かやっているわけですが。
先月やった座り込みとこれまでの座り込みとの違いというのは、2002年より前には、北朝鮮も日本政府も拉致事件が拉致疑惑であって。
それは家族会、あなた方が勝手に言ってるのではないか?と、いうこともあったし。
もしくはマスコミの方々も多くを取り上げてくださらなかった、という事実もありました。
そういう点で私たちの座り込みというのは、あまり採り上げてくださらなかったわけなんですが。
しかし2002年以降は、あの独裁者(金正日)が、自らの口で拉致を認めたんですよ。
犯罪者が誰で、被害者が誰かというのは、明らかな事実なんです。
わかっているんです。
残されている者が誰か、というのもわかっているんですよ。
それなのに日本政府は、一貫して毅然とした態度を取らないで、圧力はダメです、と。
対話なんです、と。
言って、その対話の一つさえもできていないというのが実態なわけです。
挙句の果てには、松木さんの所もそうですけれども、私の所にも遺骨と称するものを提供してきて、調べてみたらまったく別人のものであると、いうことです。
アメリカの高官の話を言葉として借りると、「およそ文明の社会を超えた行為」ですよね。
人がやることかどうか?ってことです。
そこまでして彼らは、何を守りたいのか?ということが疑問ですし。
ここまでバカにされているのに、日本政府は、もしくは小泉総理は「ふざけるな!」ということを、一声、一言言えないのか?ということが疑問でなりません。
これは、今日の配られてるチラシのヘッドラインがですね、「拉致被害者とその家族の人権を考える会」と書かれてご案内されてるわけですが、これは、単に私たち家族の問題じゃないんです。
小泉さん個人の問題でもないんです。
日本の総理大臣という威厳と威信のかかった問題であるし、日本国の主権がかかってる問題なんです。
そこを履き違えてほしくないわけなんですね。
このままこれだけ、30年も40年も前から(主権を)侵され続けているのに、一言も抗議をしない。
こういった姿勢というのは、日本政府はこの問題に対して何の疑問も持っていないんですよ、という誤ったメッセージを送ってしまいかねないということを、私たち国民は怒っているわけなんです。
実際にこういった日本政府の、曖昧で躊躇している姿勢に対して。
およそ8割か7割弱の方々が、怒りと疑問を持って、国家の、国民の意思で法律を成立させた経済制裁法。
外為法だとか、特定船舶入港禁止法というものがあるのにも関わらず、それを賛同してくださってる多くの方がいらっしゃるのに、小泉さんだけが首を縦に振らないわけなんですね。
これ、民主主義の流れとしては、まったくおかしい話なわけなんですね。
これだけ被害者が、私たちが、本当に先程の話にもありましたように、高齢の方々が疲れて足を引きずって、全国飛び回って、国民の皆様の多くの方々が賛成してくださっているのに。
それに対して本来は民主主義ですから、声を受けなくてはならないのにも関わらず、小泉さんは他人事のように、「ああ、そうですねぇ」と涼しい顔をしているわけなんですね。
こんなことがあっては、いけないわけなんです。
小泉さんご自身がバカにされるのは、私の知ったことではありませんけども、日本の総理がバカにされてるんだ、ということをご本人も気づいて欲しいですし。
一番先頭を切って、自国民を守らなくてはならないという使命を、小泉総理にはほんとに感じてほしいと思います。
おかげさまで、皆様方のお力添えによってですね。
この問題は全面的に解決はされてはいないものの、5人の方々とそのご家族が、日本に帰ってくることができたわけであります。
先程真鍋さんのお話の中にも、あの(特定失踪者問題調査会の)大きなポスターの中で、いろんな日本人管理課の課長みたいな話も出てきましたが。
もしかしかすると、帰ってきた5人の方々がどこかでそういった方々をご覧になってるケースがあるかもしれませんですね。
私はそれがご存じかどうかわかりませんけど、先程市川さんのお話にもありましたように。
安明進さんが当時金正日政治軍事大学の中で市川さんを目撃されたといったような安さんのお話もあるわけなんですね。
ぜひですね、ここは力を取り合ってですね、安さんと5人の方々が会ってもらって、情報を補完しあっていく。
そうでないとこの問題は解決しないんじゃないか、と思います。
いろんな事情があるのかどうか、私にはわかりませんけれども、やっぱり知っている者同士がですね。
手を取り合って仲間同士で力を合わせて、この問題で一丸になって対処していくという姿勢を、みんなでムードを作っていく必要があるんではないかな、というふうに思います。
家族会の言うことは、もう一貫してほぼ一緒になりますが。
この北朝鮮問題というのが、拉致問題だけではないということは、もう明白な事実なわけであります。
6者協議でもやってる核の問題もありますし。
先程お話にも出たように偽札の問題・麻薬・大量破壊兵器の拡散の問題、もういろんな問題があるわけなんですね。
先程のような(北朝鮮)国内での人権弾圧の問題もあるわけであります。
ミサイルの問題でいうと、数年前に私たちの上空を飛び越えた弾道ミサイルの問題もあるわけですし。
この北朝鮮問題というのは、ここにいる私たちだけに課せられた問題ではないということを、私たちは強く再認識していく必要があると思います。
彼らの横暴、というか独断で(発射)ボタンに手が押されればですね。
10分後には、この日本のどこかにミサイルが飛んで来るっていう現実を、私たちは再認識して、彼らの暴挙は許さないんだということ。
そして拉致問題が解決していないということはですね。
今現在ですよ、いまこの時点で日本のどこかで、私たちの友人やご家族が拉致されている可能性は否めないということを、私たちは認識していく必要があると思います。
そういう意味では、私たちは、当事者であるだけなんで、強いことは言えませんが。
やっぱり他人事ではなくて、私たちだけのことではなくて、みんなのこととして、我が事としてですね。
この問題を捉えて、絶対に許してはならないんだ、ということを北朝鮮に訴え続けていくこと。
それと日本政府に早く、あなた方が自らの意思を以って動いてほしいと。
そして北朝鮮に対して、「返せ!」と「一人も残さないで返してくるまで、私たちは許さないんだ!」ということを口にして欲しい、ということを声を出して言ってほしいと思います。
実際に、北朝鮮は6者協議の場でもありますように、核の脅威をちらつかせておりまして、安全保障上ほんとに脅威な存在なわけです。
でも、冷静に考えてみてください。
日朝平壌宣言(吹き出しかけながら)と言われたですね。
どうでもいいような内容にしてもですね。
それが、仮に通ってるわけですよね?
これは、明らかに今の国際的な状況からいって、全然もう意味を為していないんじゃないか、というのはみんなわかっているわけですよね。