リオでのオリンピックを4年後に控え、開催までにブラジルに詳しくなっておこうという企画です。たかがサンバ されどサンバ 知ってりゃあなたの周りに輪ができる…ってどっかで聞いたような。ま、ブラジルといえばサンバ、そのサンバの人気歌手について知っておけばちょっとはでかい顔ができるだろうと。ということで、元々顔がでかい人は読む必要がありません(?)。
私がサンバのCDで所有しているのは写真の1枚だけですが、これは1997年に東芝EMIから発売された「A Gema do Samba」(サンバ~珠玉の魂)というアルバム。これは現在廃盤ですが、中古市場ではなんと3800円ほどで取引されています。なかなか微妙な位置づけですね。
収録曲とアーティストは
1. ミネイラ(ミナス女)(ジョアン・ノゲイラ)
2. アンゴラの混血娘(クララ・ヌネス)
3. バンバの出来事(ノッソ・サンバ)
4. 私のドラマ(ホベルト・ヒベイロ)
5. マリニェイロ・ソー(クレメンチーナ・ヂ・ジェズス)
6. 砂の物語(クララ・ヌネス)
7. ブラジルの水彩画(サンバ・ブラジル)(ノッソ・サンバ)
8. 王様のご命令(ジョアン・ノゲイラ)
9. アクレヂタール(ボベルト・ヒベイロ)
10. リベルダーヂ(自由)(ホベルト・ヒベイロ)
11. ア・トゥア・シーナ(クレメンチーナ・ヂ・ジェズス)
12. 伝統と信仰の殿堂(ノッソ・サンバ)
13. 三つのルーツの歌(クララ・ヌネス)
14. バラを理解して(ジョアン・ノゲイラ)
15. ココロコー(クレメンチーナ・ヂ・ジェズス&ホベルト・ヒベイロ)
16. 海岸線(クレメンチーナ・ヂ・ジェズス)
17. エウ・エイン・ホーザ!(ジョアン・ノゲイラ)
18. マドゥレイラの星(ホベルト・ヒベイロ)
19. ナサゥン(わが愛するブラジル)(クララ・ヌネス)
20. 私はポルテーラ(ジョアン・ノゲイラ)
21. 大通りのポルテーラ(愛するポルテーラ)(クララ・ヌネス)
など。解説によると「今まで輸入盤でしか聴くことの出来なかった、ホベルト・ヒベイロ、ジョアン・ノゲイラといった70~80年代にリオのサンバシーンを騒がせた人気アーティストを紹介するばかりでなく、サンバ誕生前のアフリカ伝来のフォルクローレを母から受け継ぎ、全サンビスタから敬愛された大物歌手クレメンチーヌ・ヂ・ジェズスの、超貴重なデビュー録音も聴くことが出来る。また、リオの限定された地域からなかなか飛び出すことが出来なかったサンバという音楽を、アルシオーネ、ベッチ・カルバーリョとともに、ブラジル全土はもとより、ワールドワイドなポップスシーンへ送り出した立役者、クララ・ヌネスの代表的なヒット曲を網羅。」というもの。
私がこれを買ったのはクララ・ヌネスの「三つのルーツの歌」が目当てでこれは最高です。先日のロンドンオリンピックの閉会式でサンバが演奏された際にもこの曲が聞こえてきました。サンバの代表曲の一つなのでしょう。
日本に来日するブラジルの歌手はみんなサンバの女王と言われますが、「この人は本当に本物」と言われて来日したのがこのクララ・ヌネス。昭和57年でしたが、当時テレビの音楽番組にも出演してたので見たことあります。当然「すげー迫力!」と思ってそれ以来注目していたのですが、なんとその翌年に40歳の若さで亡くなってしまいました。たしか手術中の麻酔ミスが原因ではなかったでしょうか。Wikipediaで調べてもこの人のことが出てこないので、このCDによる解説を引用しましょう。
クララ・ヌネスは「66年のファーストアルバムを録音するが、実際には72年に発表したアルバムから注目を集め、以降この世を去る直前まで、女性サンバ歌手のリーダー的存在だった。サンバばかりなく、バイーアをはじめブラジル各地のフォルクローレを歌い、大衆歌手のスターとして人気があった。海外公演も多く、特に82年、彼女の来日公演からサンバを聴き始めた日本のファンも多い。亡き後も、一流アーティストたちとのデュエットアルバムが話題を呼ぶなど人気は衰えない」だそうです。が、amazonで検索してみてもこの人のオリジナルアルバムってほとんど出てこないんですよね。ガッカリします。
「三つのルーツの歌」は別の邦題が「褐色のサンバ」とかになってますが、この三つのルーツとはアフリカ、ヨーロッパ、先住インディアを含めた混血民族のことを歌ってるのでしょう。歌詞の和訳を一部紹介すると「インディオの戦士が囚われの身となり 牢獄で歌った時から黒人たちは抵抗の歌を響かせてきた 逃亡奴隷たちの王国 キロンボ・ドス・マーレスで 身を縛る鎖を断ち切るため 彼らは叛乱者として闘った だが それも無益に終わる 平和は戦争に 戦争は平和に そしてこの国の人々が歌う時には 苦悩を歌うようになった」など。どーです、そこのあなた。聞いてみたくなったでしょう? 白い蝶のサンバとかてんとう虫のサンバでサンバを極めた気になってる人は是非自己批判していただきたいものだと。(って、そんな奴いねーよ)
まずはオリンピックの便乗商売でもなんでもいいですから、とにかくサンバのCDがあれこれ買えるように盛り上がることを期待します。ミルトンバナナトリオのアルバムも再発してもらえるといいのですけど。