今日のひとネタ

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読書感想文はじめっ!

2012年08月21日 | こんなの考えました

書名:あの日からの膝十字固め 作者:藤原潔司


「あの日からの膝十字固め」を読んで

 

 「こんなに悲しい話があってよいのでしょうか?」というのが最初の感想です。読み進めるうちに、途中からは涙が止まらなくなり、読み終えたときは慟哭の中で無意識に壁に拳を打ち付けていました。この作者の作品はよく読んでおり、「自由への下り坂」「絶望を抱いて暗闇を泳ぐ」など悲しい話が多いのはわかっていましたが、今回読んだ作品はその比ではありませんでした。

 主人公のイチロウは優しい姉たちや可愛い弟とともに病気の母親を助けながら暮らしていました。若い頃に戦争でなくなった父親が残していった小さな畑を家族で耕しながらの生活でしたが、隣接する農家があれこれと理由を付けて彼らの畑を乗っ取って行く様子は、現在の日韓関係、あるいは日中関係、ひいては北方領土問題を連想させようとする作者の意図ではないかと思います。そのためにイチロウは成人してからは一貫して「日本も核武装をするべきだ」という意見を持つのですが、「力がなければ家族を守れない」という思いを強く持つキッカケになった出来事は様々あります。実は借金が多くあった彼の母は帝国金融の社長から返済を強く求められますが、病気で寝たきりの彼女にはその能力はなく矛先は当然イチロウの姉たちへ。「どうや、姉ちゃんたち。おうちのためにちょこっと肉体労働してもらおうやないか」というセリフには激しい怒りを感じました。

 その後、イチロウは鶏の鳴き真似が上手いことから「お笑い芸人にしてやる」という芸能プロダクションの社長と称する人物の言葉を信じて東京に出て行くことになるのですが、その言葉は真っ赤なウソで実は養鶏場から逃げ出した鶏を捕まえるためのおとりとして酷使されるという仕事でした。そのウソが発覚したときに極寒の津軽海峡を彼が泳いで渡る様子にまず涙が止まらなくなりました。

 結局イチロウは優しい姉たちのため、病気の母のため、可愛い弟たちのため、幼なじみで彼の子供を身ごもったソーランアレマのために、国際インターナショナル柔道アソシエーションが主催するワールドグランプリに出場することになります。しかし、彼は元々スポーツというとけん玉しか経験がなかったので、この設定はちょっと無理があるのではないかと思いました。はたして、実際の試合では反則すれすれの技をしかけてくる相手を次々となぎ倒したものの、決勝では禁じ手の膝十字固めを使ってしまい優勝はできませんでした。

 この作品で作者が訴えようとしているのは「努力すれば報われるのは本当だ。しかしその努力は並大抵のものではいけない。世の中のすべてのものを許す気がなければ生きられない。」というものだと思います。

 何よりも、私がイチロウの立場になったとしたら、彼のように頑張れるだろうかというのを強く疑問に感じました。何よりも私は泳げないし、けん玉もできないし。そういう投げかけもこの作者からされているように感じました。

 今は泣くだけ泣いたらすっきりした感じがします。この作者の次回作も期待しつつ、私もイチロウのように強く生きたいと思いました。終わり。

 


 

 

 と、いうことで夏休みの宿題の定番である読書感想文にチャレンジしました。ただし、書名も作者もでっちあげ。存在しない架空の本を読んだことにして感想文を書いたわけです。字数は1250字くらいなので、原稿用紙だと4枚目に入るくらいですが、宿題っていうとこれくらいの分量でいいのでしょうか? ちなみに「よーいドン」で書き始めて約17分で書き上げました。小学校の授業では「あんまりあらすじばかり書くのはいかん」と言われてましたので、今回の内容だと×でしょう。なお、最初を「」で始めるのは「くらたま」こと倉田真由美が「これで書き出すと賞が貰える」と書いてたので試した次第。

 課題図書で書かねばならない場合はこの技は使えませんが、本は読んでないがどうしても感想文は出さねばならないという場合は一時しのぎで使えるかもしれませんね。ただしパソコンで書いて17分なので、鉛筆で原稿用紙に書くとその何倍かはかかるでしょう。

 読書感想文の対策というと「最初と最後だけ読んで書く」「あとがきを見て書く」「あらすじだけ調べて書く」「どうでもいいことをとにかく書き連ねて字数を稼ぐ」などありますが、宿題の目的としては感想文を書くよりも本を読むことが重要な気がしました。なので、今回のような技はいけません。よい子のみんなは真似しないように。とはいえ、中学の同級生で実際にこの技を使った奴がいたんですよね。結局どうなったのかは知らんけど。