Hot Wave Festival

　タイトルを見て「おっ！」と思う人は高校時代にバンド活動もしくは音楽をやっていたに違いない。

　手元にあるビデオテープを整理していたら高校時代に録った「ホット・ウェーブ９５」のテープが出て来た。
　「ホット・ウェーブ」とは高校生の音楽フェスティバルで音楽の甲子園と呼ばれていたイベントだ。地方大会を勝ち抜いたバンド（もしくは個人）が横浜で行われる決勝大会で優勝を競うという大会になっている。大会運営を高校生自身で行っていたのもこのイベントの特筆すべきところだろう。

　当時ギターを弾いていたもののバンド活動とは縁のなかったオレは「こんなのに出る奴はダサイよ」などと思いながらも、羨ましい気持ちと周りに楽器をやっている友達がほとんどいなかったので自分のギターテクニックレベルが同世代と比べてどんなものなのかというのに非常に興味があり繰り返し何度も見たものだ。

　改めて見てみるとロック、ポップ、ビジュアル、ロカビリー、語り弾きと様々なジャンルを混ぜることによってイベントを盛り上げようとする大会運営側の気配りが感じられた。（当時は「なんでこんなバンドが出れるの？」と思ったものだがバランスをとっていたのね）

　ちなみに９５年大会の優勝者は「アプローズ」という盲学校の生徒達で組まれたバンドだった。盲学校のバンドが優勝というと政治的な匂いを感じるものだがこのバンド本当にうまかった。曲がキャッチーだったというのもあるだろう。中でもヴォーカルのヤツのギタープレイは圧巻だった。他のバンドがこれでもかと自分の持っている全テクニックを見せつけようとする中、曲の流れに合った簡潔なソロを流麗にこなした。センスある流れるようなプレイ故にスゴさが伝わりにくかったのかこの大会のベストギタリスト賞は別のバンドのギター受賞した。（こいつも上手かったがテクニックてんこ盛りのつまらんソロだった）

　盲学校のバンドが優勝したからか毎年恒例なのかは知らないが後日このバンドを追った特別番組が放送された。そのときにギターの彼の自宅を訪問する風景があったのだが、なんと「Mr.BIG」のCDに合わせてギターソロの練習をしているではないか！しかもそのプレイはCDと寸分違わぬプレイだった。（少なくとも当時のオレにはそう見えた）
　「Mr.BIG」のギターと言えば当時キッズに絶大な人気を誇っていた超絶テクギタリストポール・ギルバートだ。そのポールをコピーしていたと言えば彼のスゴさが分かるだろう。

　この話には後日談があり、数年後友達とドライブをしていたらラジオから「アプローズ」の曲が流れてきた。バンド名は変わっていたが曲は間違いなく彼らのものだった。そうかプロになったのね。

　ビデオ整理のはずが結局全て見てしまいえらく時間を食ってしまった……片付けをしていると必ずこういったものに出くわすよね。今回オレは「ホット・ウェーブ９５」で足止めを食らったが君のとっての「ホット・ウェーブ」は？