なかなか言い得て妙なタイトルだと思いませんか?
東京都鍼灸師会8月度学術講習会の二番目の演題は
「鍼灸治療とリスク管理」でした。
タイトルは講師の先生自らが医療過誤の被告の立場に
なったときに弁護士の先生から贈られた言葉で、その道の
プロの言葉だけに重みがありますよね。
正直、講演後は治療をするのが恐くなりました。
ある保険会社の事例ですが女性モデルの顔面の内出血
で限度額の5,000万円を払ったそうです。
限度額ですから実態はそれに鍼灸師が上乗せして
払っているらしいです。破産しそうですよね!
医療行為にミスは許されませんが、医療行為は人が
行うものであり、人はミスをするという事実を良く
認識し、常に自分の身を守る備えを忘れないことが
必要です。
具体例を示すと円皮鍼の場合、メーカーが責任を持つのは
良く消毒した皮膚面に貼り、24時間以内にはがすこと、と
なっています。ですからリスク管理上は我々も患者さんには
こういう指導をしていないと後で化膿した場合は、すべて
鍼灸師の責任になってしまいます。
更にはセイリンの鍼はパルス通電に対する保証はされていない
というのも驚きです。結局、そういう事実を知っているかどうか
でリスクは全然変わってきますよね。
現在セイリンは通電用鍼を開発中とのことですが、我々は
現実的な対応として三番以上の鍼を単回使用で用いるという
のがガイドラインのようです。
また不幸にも事故の加害者になってしまったら、下記の対応を
とって下さい。
①まず相手の言い分を良く聞いて、メモにとる。
②自分の非を簡単に認めない。
③病院を紹介する。ただし、治療代を全額支払うというような
具体的な提案をしないこと
④保険に加入していることを言わない。(←金額をふっかけて
くる人がいるらしい)
出来れば被告にはなりたくないですね。