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何をするにもヨタヨタヘロヘロの世代を「ヨタヘロ期」という絶妙のネーミングの考案者、作家の樋口恵子さん(90歳)の記事です。
一番印象的だったのが「高齢者ほどスマホなどのディジタル通信技術の習得を!」というコメントです。確かに老齢化に伴い、リアルに会ってコミュニケーションをとるのは難しくなり、孤立化しやすくなるので、スマホさえあれば声のみならず映像でコミュニケーションがとれますからね。
さらにその先にあるのがメタバースで有名な仮想現実空間(Virtual Reality)のコミュニティに参加することです。つい先日NHKのメタバース特集を見ましたが、ゴーグルをかけてコントローラを持つだけで、仮想現実空間のアバターになりきり、時間と空間と現実を飛び越えてリアルな世界と同じような活動ができるのはとても新鮮でした。高齢者にとっても認知機能を維持するにはぴったりかも知れませんね(^_-)-☆
(以下、朝日の記事より)
日本人の平均寿命は女性87・57歳、男性81・47歳(2021年)。人生100年と言われる時代を生きる高齢者として「初代」を自任するのが、「高齢社会をよくする女性の会」理事長で評論家の樋口恵子さんです。今年5月に卒寿(90歳)を迎えました。なにをするにもヨタヨタヘロヘロの世代を「ヨタヘロ期」と命名。「老いるショック」の現実をユーモアを交えて発信しています。
――これまでは「老いの入り口」「かりそめの老い」で、いまは「本物の老い」がやってきたと語っておられます。80代後半から実感された老いとはどのようなものなのでしょうか。
女性初の国会議員をなさった加藤シヅエ先生(女性運動家、1897~2001)にお話をうかがったとき、「90代になりますと、ふわーっと立っているだけで、ふわーっと転ぶことがあるんですよ」とおっしゃったことがあります。私はそのころ60代でしたから、まったく意味がわかりませんでした。
ところが数カ月前、それを自分で経験したんです。家の玄関に立っていたら、ふわーっと転んで玄関のたたきに顔を打ちつけてしまいました。幸い意識は失いませんでしたが、顔中が青や紫のあざだらけになり、まるでお岩さん。大変な思いをしました。「石や段差につまずいて転ぶのが70代、黙って立っているだけでふわーっと転ぶのが90代」なんです。それが「ヨタヘロ期」でありまして。
親たちの世代から「あなたがこの年にならないとわからないわよ」と言われてきたことが、「これだったんだな」とわかってきました。例えば、米寿(88歳)の少し前から、朝起きても空腹感をなかなか感じないのです。心からの食欲がたちのぼってこない。生命力が非常に低下したという気がいたします。
■長くなった「ヨタヘロ期」、最大の課題は…
――「ヨタヘロ期」は印象的なネーミングです。関連したエッセーの売れ行きも大変好調とうかがいました。
高齢者問題の研究家で友人の春日キスヨさんが、人間の老いについてこんな風に言っています。「ピンピン」している元気な時期の後に「ヨタヨタヘロヘロ」半分自立している時期があり、その後にドタリと倒れて寝たきりになる、と。ちょうど私がヨタヨタヘロヘロになりつつある時期だったので、これだ、と思いました。
みなさんピンピンコロリを願うけれども、長い「ヨタヘロ期」をどう生きるか、覚悟をもって考えていかなければいけないのです。
「ヨタヘロ期」は昔からありました。ただ、かつては本格的な「ヨタヘロ」に入る前に、「ヨタ」ぐらいで「ドタリ」、そして死亡という方が多かったわけです。
世界一の日本の医療制度のおかげもあって、最近では80代90代の「ヨタヘロ期」を生きる人が急激に増え、ネーミングできるほどに課題が顕在化して、関心が高まっているということだと思います。
――女性と男性では違いがあるでしょうか。
厚生労働省が発表している平均寿命と健康寿命の差をみると、男は9年、女は12年。非健康寿命は女のほうが3年も長い。これはゆゆしい問題で、「ヨタヘロ」になる人は圧倒的に女が多いということです。
要介護になる原因をみても、男性は脳卒中や心疾患が目立ちますが、女性は骨折転倒や関節疾患が多くて、男女でかなりの違いがあります。
――「ヨタヘロ期」を生きる高齢者の課題はなんでしょうか。
最大の問題はコミュニケーションです。友人関係はとても大切です。ただ、70代までは友達同士の往来が盛んですが、80代になるとお互いに出歩くのが難しくなってきます。耳が遠くなって電話をしにくくなる人もいれば、手先が動かなくなって手紙を書くのがおっくうになる人もいます。やはり、「ヨタヘロ期」になる前に、ICT(情報通信技術)の活用能力をお互いに身につけておくことが大事だと思うようになりました。
――これからの高齢者はSNSやオンライン会議などのデジタル化に対応しなければいけない、ということでしょうか。
実は昨年、高齢社会をよくする女性の会は方針を転換しました。
それまではデジタル化対応は個々の会員さんにお任せしようということでした。私自身もICTは苦手だったものですから。しかし、高齢化は多様な障害者が増える社会であって、その個性、多様性に対応したコミュニケーションツールが必要です。会としてデジタル化を毛嫌いせずに受け入れ、コミュニケーションの一つのツールとして大切にしよう、と切り替えました。同時に、ICTにふれる機会が少なかった高齢女性を置き去りにしないよう国に求める声明も公表しました。
――「ヨタヘロ期」を生きる同世代をみて、どんなことを感じておられますか。
「ヨタヘロ期」まっただなかの同世代の方々は、本当に社会参加したがっています。例えば介護施設で要介護度が重い方の話し相手になったり、食後の下膳を手伝ったり、たいしたことはできなくてもまだ体は動くから、何かお役に立つことがあれば、という気持ちです。
「微助っ人(びすけっと)」という表現をしている方がいて、よい言葉だなと思いました。「年を経て 我もなりたし 微助っ人」です。
「ヨタヘロ期」には「ヨタヘロ期」なりの生きがいがあります。私がし残した仕事があるとすれば、「ヨタヘロ期」の社会参加を真剣に考えたい。老いたヨタヘロ市民であっても、終末のときまで個人であり市民の一人でありたいと願っています。
――老いや高齢社会の問題を長くご専門とされてきたわけですが、ご自身の終活や将来の介護についてはどのようにお考えでしょうか。
ターミナルケアに関しては、「回復不可能、意識不明の場合、苦痛除去以外の延命治療は辞退致します」と書きつけたカードを、健康保険証と一緒に常に携帯しております。押印して自筆でサインしていますから、かなえていただけるだろうと思っています。
介護や認知症については、くよくよとは考えないことにしております。ある時期から「ケアされ上手」になろうと言ってきました。ケアワーカーの大変な状況も理解したうえで、自分の尊厳と相手の尊厳を尊重しつつ、ケアされる。これはなかなか大変なことです。最終的には情けない姿をお目にかけるかもしれませんが、それは要介護という弱さのゆえですから勘弁してやってください、と先におわびしておきます。
――理事長をなさっている「高齢社会をよくする女性の会」は今年、卒寿の記念として「樋口恵子賞」を創設されました。
樋口恵子賞なんておこがましいのですけれど、次世代へのメッセージのつもりで始めました。すでに今年は締め切っていますが、100件を超す応募があって、驚きました。
――今後の会の運営は。
私たちの会は、集まっちゃしゃべり、しゃべっちゃ元気になりという、出会いと学習の場です。それがコロナで「集まるな外出するな」が続きましたから、会は存立の危機です。
90歳になった私が采配を振るっているのはおかしなことなので、会を継続していくなら運営は若い方にゆだねたいと思っています。会を閉じるなら名誉ある閉じ方を考えたい。本当はもっと早く話し合っておくはずでしたが、コロナに振り回されました。私の責任であります。
――ウクライナで続く戦争に関連して、「老いは平和の所産」と語っておられたのが印象に残っています。
世代論的に言いますと、(いま「ヨタヘロ期」を迎えている)私たち昭和1ケタ生まれ以降は、空襲や引き揚げで亡くなったり、少年兵として犠牲になったりする悲劇はあったけれども、戦場に送られて戦死することは少なく、生き残ることができました。戦後は飢えた思いをしましたが、高度成長の余慶に恵まれ、ある時期からはいっぱい食べて、「ヨタヘロ期」まで生きる生活条件に恵まれました。あの戦争が続いていたら、私たちの多くは死んじゃってましたよ。
平和なくして長寿なし。これは厳然たる事実です。
デジタル機器の操作については多分どこから手を付けて良いかわからないんでしょうね~。
近くに手取り、足取り教えてくれる人がいないとなかなか難しいような気がします。
僕はサークル仲間用にグループラインを作って、同世代の仲間を引っ張り込んでいますが、一度楽しさに目覚めるとハマるようです(^_-)-☆
樋口恵子さんはキャッチフレーズ作りが上亜ですよね^o^
春日キスヨさんの著書持っています。
多くの人が、いかにピンピンコロリするかは考えるが、必ずやってくるヨタヘロ期を考えようとしないと書いています。
筋力アップ参加者の人たちもヨタヘロ期は考えていない人がほとんどですね。
私も折に触れて、シニアこそデジタル機器が必要なんですとお話しするのですが実践しする人はほぼいないですね💦
これからも言い続けますけど^o^
その前にまずは自分たち親が、可能な限り自立して子供に依存しない生活をしないとといけないな~と最近思います。
戦争もそうですが、地球温暖化などたくさんの問題があり、真剣に考えると不安で眠れなくなりそうなので、考えつつ、ごまかして生きています。
なんとか、自分たち夫婦の生きている間は大丈夫かもしれませんが、子供や、孫の為に、できることはしなくてはと思います。