Run, BLOG, Run

http://d.hatena.ne.jp/bluescat/

bookmark / 好きな goo BLOG

2004年06月12日 13時06分01秒 | bookmark
 blog 『むだづかいにっき』 で、「あなたの好きなgoo BLOG」 という企画が (今日まで ! )。

 好きな blog を三つ ... ということで、いっしょうけんめい考えましたが、どうしても三つにはしぼれませんでした。

 こんなに、うんうんと悩んでしまうのだし、そもそも、さいしょのひらめきで、「あそことあそことあそこね ♥」 というものがなければ、正直な回答にならないような気がしてしまって、投票するのに気がひけていました。

 そして、記事では、いつもえらっそうな感じなのですが、じつはおそろしいほど小心者ゆえ、「三つの blog」 を選び、それを表明することで、「それ以外の blog 」 を 「排他」 してしまうことになるのでは ... との危惧がありました。

 とりあえず、じぶん用の bookmark として、「好きな goo BLOG」 を記事にしてみることに ... 。

 よく伺うところ、こっそり見ているところ、なんとなく気になるところ ... を書いてみます。

 (これは、少ないほうなのでしょうか? ふつう? 多い ... ?
 もちろん、たまたま私が知らないだけで、すてきな blog が、もっとたくさんあると思います ... )



 以下、順不同 (思いついたままです)




π氏の雑記(PCのジャンキー)

π氏さんの PC やソフト、ネットワークなどに関するお話がたのしい blog.
私は、いちおう(?)、Java や ASP, Perl などで web アプリケーションっていうんでしょうか、web site を構築するのプログラマをやっておりますので、テクニカル系の話題に興味津々なのです。


A → Z : Xserve

個人的には「ヌルヌルアーカイヴ」がお気に入りです。


日々呟く。

気になって、よく拝読しています。
でも ... すみません、「モンコレ」 は、私もなんの略かわかりませんでした ... 。


BLOGはじめますた。

「goo BLOG 調査部」 部長?! さまざまな統計・調査結果が、いつも参考になります。


にゅきログ

気になっています ...


俺様節

読んでいます ...


planetary days,

見ています ...


南無の事件帳

引き込まれています ...


正しい『三十路』の作り方

引き寄せられます ...


二瓶幻想研究所 戦略企画室

一大プロジェクトに注目しています。
(すみません、まだご挨拶にうかがっていないのですが ... )


嘘の吐き方(うそのつきかた)

ことばの錬金師 ... ?


今日の幸せ

日常の切り絵 ... ?


◆書く/読む/喋る/考える◆

ことばの研磨師 ... ?


砂蜥蜴と空鴉

ことばの彫師 ... ?


目指せ!シナリオライター!!

情景の語り部 ... ?


妖精が見える子供

文と世界観がとても好きです。


週末の翼 -RIDE or DIE!-

自転車と、punk rock と、ご家族を愛するパパさん ...


パンク侍、斬られて候

blog 名にひかれて伺うようになった、りえこ様の blog.
私、INU が好きなのです。


Smiley Smile

いろいろ嗜好が重なる部分がある takecafe さんの blog.


柿渋(Antiseptic Solution)

大人の男性の哀愁が ... ?!


はれ ときどき あじあ

アジア料理が好きなので、よく拝読しています。 旅行記や写真もすてきです。


島だより-石垣島生活記-

石垣島にお住まいの geinin1975 さんが綴る、ゆったりとした日々。


高円寺の女

いつもドキドキするのは、まるで、じぶんのことを言われているような気がするから ... ?


暇人工房@goo

お引越しされてしまいましたが ...


★ うむむ。 ★

もけさんの blog. 現在は更新を停止しています。


むだづかいにっき

goo BLOG の父性(? すみません ... 勝手に)、えっけんさんの blog.





 BGM:
 Elvis Costello “My Aim Is True”
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痛む傷み / 自棄酒

2004年06月11日 23時44分18秒 | 五行文
 「ようし、今夜はヤケザケよ ! 」

 なんて、無邪気に言っていたころ、も、あった。 (でも、いまは言わない?)

 ヤケザケは、「自棄酒」 と書く。

 自分を 棄てて 飲む酒の 痛みを知ったからだろうか、

 自分を 棄てて 飲んだあとの 傷みを知ったからだろうか ... ?





 * 今日いただいたコメントへの返信を書いていて、思いついた記事



 BGM:
 David Bowie ‘John, I'm Only Dancing’
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ビッグ・イシュー、その後 /on the Big Beat?

2004年06月11日 17時54分30秒 | 想在
 憶えている方、あまりいらっしゃらないと思うが。

 以前、『Big Issue』 という、路上で手売りする雑誌について書いたことがあった。

 じつは、件の記事をあげた翌日に、その雑誌を買ったのだが、ただ、「買いました」 「読みました」 「良かったです」 と書くのではつまらないかな ... と思っていたので、ねたをあたためていたのだが ... 。

 その号では、George Michael の巻頭インタヴューのほか、Coldplay というイギリスのロックバンドのヴォーカリスト Chris Martin のインタヴュー記事も。
 (この方、たしか Gwyneth Paltrow (グウィネス・パルトロウ) さんのだんなさんですね。)

 そして、そして、以前から気になっていた 『School of Rock』 という映画に主演している Jack Black もインタヴューにこたえていた。
 (じつは、Jack Black は、『High Fidelity』 のときから気になっていた ... )

 けっこうロック/ポップス寄りの雑誌なのだろうか。 などと思いつつ、とりあえず、『School of Rock』 を観てから、その感想にからめて記事を書こうと思っていた。
 (東京では、翌週金曜日までの公開のようなので、今週末のうちに観に行くつもり ... )

 ところが。 ちょっと異変が。

 御茶ノ水駅まえで、『Big Issue』 を売っていたおじさんを、さいきん見かけなくなってしまったのだ。

 梅雨だからだろうか? それとも場所移動? まさか、体調でもこわされている ... ? うーん、気になる。

 いえ、元気でいらっしゃるなら、それでいいのだが。

 考えてみると、梅雨の時期も大変だが、梅雨が明ければ、灼熱の太陽が身を焦がすよな夏がやって来る。 そして、澄みわたるよな秋の日々のあとには、身を切る寒さが心根をも凍らすよな冬が ... 。

 快適に販売活動が行える時期というのは、限られているのかもしれない。 あたりまえのことだが、この商売、けっして容易なことではない、と気がついた。 挫折してしまう人もいるのかもしれない。 仕方のないことかもしれないが、なんだかせつない。

 ああ。 そのうち、どこかで、「『Big Issue』 、最新号です」 とかけ声をかけている あのおじさんに、ばったり出会えたら、うれしいのだが。

 見も知らぬものがひっそりと気にかけている、ということを、知らせる方法があればいいのかな ... 。 trackback を打つみたいに ... ?



 BGM:
 Ray Charles ‘I'm Wonderin' and Wonderin'’
 (こころより、おくやみ申し上げます
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青息吐息

2004年06月10日 21時34分40秒 | 想在
 「青息吐息」 のことを、むかし、「青色吐息」 だと思っていた。 あおいいろの吐息、のことだと。


「青息吐息」
 非常に困ったときや、きわめて苦しいときに出るため息のこと。


 そういう状態のことを指す場合もあるようで、「青息吐息でがんばった」 とか 「青息吐息であったが、たえてみせた」 などと書かれている文章を見かけることもあるが。

 このことば自体、ほんとうは、私にはなじみがない。 いまではあまり使われることがないのだろうか。

 そもそも、「青息吐息」 するほど、顔を青ざめさせて困り果てたり、苦しみぬく、ということが、いまでは、ほとんどなくなってしまったのだろうか?

 そして、「青息吐息」 をつかなくなり、苦しみをくぐりぬけることを知り得なくなってから、キレる若者、というのが増えだしたのだろうか ... ?
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[蝶-3] ほおづえをつかない女

2004年06月10日 17時32分37秒 | 現実と虚構のあいだに
 「ほおづえをつかない女」



 trackback to;
 『砂蜥蜴と空鴉』 - 「♯1 ほおづえついて 」





 午後六時。 まったく、一分のすきもなく身支度を整え終えて、シオリは、「待合席」 に向かい、タバコに一本、火を点けた。

 そして、まだ一組しか席のうまっていない 「店」 のなかをぐるりを見回し、ビロードのカバーがかけられたソファーにゆったりと背をたおしながら、ふかく吸ったけむりを吐いた。 黒服の年配のボーイが、だまってコップに一杯水をくんできた。 「客」 を待っているあいだ、シオリは、水を一杯飲むことにしているのである。 シオリは、塗りたての口紅が落ちないよう、注意しながら、コップに口をつけた。

 待合席には、すでに、短いスカートにピンヒールの靴を履いた女たちが座っていて、それぞれ談話していた。 高価なのに、どこか安っぽい、さまざまな香水の匂いがまじりあって、むせかえるようだった。

 シオリは、じぶんのとなりに座っている、まだごく若い女に向かって、「えっと、なにさんだっけ? ああ、レイラさんだ」 と、低くつぶやくように言った。 声をかけられた女は、そっとシオリの顔をのぞきこんだ。

 「そのスーツ、すてきだけど」 と言って、シオリは、その店でレイラと名乗っている女の シャネルふうのツイード・スーツから足元へと視線を落とした。 「靴が、だいぶ傷んでるね。 いくらいい服着てても、靴がボロだと、だいなしになっちゃうよ。 『羊たちの沈黙』 って観た? スーツは上等なのに、靴がお粗末だって、指摘されてたよね」

 そう言われ、レイラは はずかしそうに口ごもっていた。 シオリは、ふっと笑って、

 「足のサイズ、いくつ? 二十三半なら、あたしの貸してあげる。 ロッカーに入ってるから、好きなの履いていいよ」 と、まるで小さな女の子にでも対するように、なだめすかすような口調で、ゆっくりと言った。 レイラは、じゃあ、貸してください、とこたえるほかはなかった。 シオリは、なにも言わず、じぶんのロッカーの鍵を差し出した。 レイラは、無防備にロッカーの鍵を渡すなんて、と、一瞬ひるんだが、この店の 「ナンバー・ワン」 であるシオリには、万が一のことすらも起こらないという、絶対的な自信があるのだろう、と思い、鍵を受け取って奥の部屋へ向かった。

 シオリは、タバコをもみ消すと、目のまえに置かれたコップの水を一口飲んだ。 そして、真正面に座っているナギサという女に向かって、「ねえ」 と声をかけた。

 「あのね、ここでお客さんを待っているあいだは、足は組まないほうがいいよ。 足組むのが似合うのは、ほんとに脚がきれいで、まっすぐな人だけなんだから。 ここは、お客さんには見えない位置にあるけど、男の人ってね、見てないようで、見てるのよ」

 ナギサは、むっとしたように、〈どこに男がいるのか、まだ一人しか客がいないではないか〉 とでも言いたいかのような顔をしたが、無言で足を正した。

 シオリは、「脚がいちばんきれいに見えるのは、ひざをそろえて、ななめに。 足元はちょっと下げぎみに」 と言って、手本を示した。 なるほど、たしかに、細く、長く見える、と、ナギサは言われた通りに足をそろえた。 そうすると、自然と背筋がぴんと伸びた。

 「そうそう。 姿勢も良くなるでしょ。 姿勢ってのは大事だよ。 姿勢がいいだけでも、印象が変わるからね。 それに、足を組んでるとО脚になるっていうでしょ」 と、シオリはにっこりと笑った。 ナギサもひきつったように笑顔を返した。

 それから、シオリは、次なる標的を見定めるように、ぐるっと周りを見回して、ある女に視線を注いだ。 その女は、テーブルにひじをついてほおづえついて、ぼうぜんともの思いにふけっていた。 昨夜ひさしぶりに会えた男との情事を思い返しているのであった。

 「えっと、なにさんだっけ? ああ、ナオミさんだ。 今日からだよね」 と、シオリに声をかけられると、ナオミは、びくりと身体をふるわせ、にらむようなまなざしでシオリの顔を見た。

 「ここでほおづえつくのは、やめたほうがいいよ。 なんだか、やる気がないみたいじゃない? 家でするぶんにはかまわないけど」 と、シオリがゆっくりそう言うと、はっとしたように、手のひらに乗せられていたあごを上げた。

 「すみません、つい、くせで」

 「うん、わかるよ。 くせって、だれにでもあるよね」 と、シオリは、にこやかに言った。 ナオミはちょっとほっとしたような様子を見せた。 しかし、シオリは、つづけて、

 「『ほおづえが世界に与える影響について』 ってのを考えてるえらい学者さんもいるんだよね」 とつぶやいてから、

 「でもね、ほおづえってね、ほんとにあったの、知ってる? 木でできた、あごのせ。 首が悪い人とかがあごをのせて、本読んだりするときに使ってたのかな。 まえにね、黒姫の小林一茶の生まれた家ってのに行ったとき、あたし、実物見たんだ。 小林一茶って、ほおづえを愛用してたんだって。 あれにあごをのせて、俗世間のこと、浮き世のさだめのことなんかを考えてたのかな、って思うけど。 でもね、ここでは、お客さんのことしか考えちゃだめ。 考えてなくても、考えてるふりをしなきゃ。 ほかの男のこと考えて、もの思いにふけってる姿見たら、お客さん、ひくよ」 と、はっきりとした口調で一気に吐き出した。

 そういわれて、ナオミは泣き出しそうなのをこらえるように、目を開いていた。 しばらく、シオリは、その顔をじっとのぞきこんでいたが、やがて、顔をそむけ、タバコにふたたび火を点けた。

 ひょっとすると、ナオミは店をやめてしまうかもしれない。 けれど、それは仕方のないことだ、と、シオリは思っていた。 シオリのきびしい指摘やら忠告にも負けずに残ったものの多くが、現在、この店で高い位置にいるということを、知っているからだった。

 そして、なぜ、シオリがこの店で 「ナンバー・ワン」 の座を守りつづけているのかを知っている女たちは、だれも、足を組んだり、ほおづえをつかない、ということを、わかっているからだった。

 そのうち、「シオリさん、ご指名入りました ! 」 という声がかかると、シオリは、ゆっくりと立ち上がった。 そして、六時前に店にやってきたカトウという とある会社の専務を接客しているマキという女のほうへ、ちらりと目をやってから、すべるようにじぶんの客のもとへ歩いていった。



 (完)





 関連リンク : 当 blog 内
 「女をきれいにする方法」
 「記憶の男 / 父の味」



 BGM:
 ‘Lady Madonna’
 (The Beatles でも、 Rolling Stones でも、Fats Domino でも。 お好きなバージョンで)
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雨がふると、磯野家では

2004年06月09日 23時09分36秒 | 五行文
 夕刻 雨がふると

 カツオちゃんは 駅まで 波平さんを むかえに行かされていた。

 「フツウ」 のサラリイマンではない父をもつ わたしには それがすこし うらやましく思えた。

 そんなことを ふと 思い出しながら

 雨のなか 駅まで 彼を むかえに行った。



 『サザエさん』

 「サザエさん占いパート2」


 BGM:
 Tom Waits “Rain Dogs”
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ためいき魔

2004年06月09日 17時06分18秒 | 想在
 会社に、

 「ためいき魔」 がいる。

 「あたしはこんなに大変なのに、みんなあたしの苦労をわかってくれてないワ」 とでも言いたいかのように、

 聞こえよがしに大仰なためいきを、一日に、何度も何度もしている人。

 といっても、本人は、意識してやっているわけではなく、つい無意識にやってしまっているだけなのかもしれないけれど。

 周囲の人たちがどう思っているのか、まったく気づいていないところが、かなしい。

 用を足していたりすると、隣りの女性用トイレから、「はあ~ぁあああぁ」 と聞こえてくることもあり、思わず、ぞっとしてしまう。

 こんなところでまで、ためいきをついているのか、と。

 実は、会社に、もうひとり、「ためいき魔」 がいたのだが、彼女は、ある日を境に、ぷっつりとためいきをつかなくなった。

 なにか心境の変化があったのだろうか。 あるいは、もう一人の 「ためいき魔」 を目の当たりにし、はっとわが身をふりかえってみたのだろうか。



 Jewel というシンガー・ソングライターがいるのだが、彼女の書いたもので、‘Pieces of You’ という歌がある。


「あんたが彼女を毛嫌いするのは、じぶんとどこか、似たところがあるからじゃない?」


 人は、ときに、じぶんと似た人間を憎んだり、愛したり、己の鏡としたりして、

 じぶんじしんを、変えてゆくのだろうか。



 (初出: 2004.1.16 再出: 2004.6.9)

 BGM:
 The Broadside Band ‘Sigh No More, Ladies’

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バグですか? goo BLOG さま

2004年06月09日 14時38分26秒 | goo ブログ / blog
 まるで鬼の首でもとったかのように、あらたな不具合 (?) を、責めたてるのはどうか、と思いますが。

 goo BLOG トップ の表示がおかしくなっていますね。

 えっと、[最近投稿された新しい記事] の各記事名リンクの参照先が、すべて、http://blog.goo.ne.jp/ になっています。
 (2004.6.9 PM 14:35 時点)
 (リンクをたどろうとすると、brank ページになってしまいます。 blog 名リンクは大丈夫なようです)

 なにか、トップページに変更を加えようとして、まちがえて別なところにも変更が加えられてしまったのでしょうか。

 また、すぐに修正されるであろうとは思いますが、ちゃっかり記事にしてみたりして ... 。

 機能追加などで、いろいろ大変かと思いますが、ご確認、ご対応、お願いいたします ... 。



 ※証拠ファイルをローカルに保存した (性格わるいなあ ... ワタシ) ので、どこかにアップできるスペースを探しているのですが ...

 ※カテゴリちがいですが、『goo BLOG スタッフブログ』 - 「携帯版ブログのコメント表示機能追加について」 に trackback.
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[蝶-2] 記憶の男 / 父の味

2004年06月08日 23時36分17秒 | 現実と虚構のあいだに
 「記憶の男 / 父の味」

 trackback to;
 『週末の翼 -RIDE or DIE!- 』 - 「カレーライスの男」





 歌舞伎町二丁目。 直治は、わき目もふらず、まっすぐに、通りを突き進んでいた。 新聞紙にくるまれた小さな包みを片手に。 眼前には、ある面影がちらついていた。

 先週末、半年ぶりくらいに、「ある店」 に行ったのだが、そのとき、たまたまじぶんに就いてくれた女の子が、そういった店にはめずらしいタイプだったので、印象に残っていた。

 直治は、じぶんの会社の部下たちに連れられて、たまに 「そういった店」 に行くことはあるのだが、そこにいる女たちとは話が合わないため、たいていはしずかに酒を飲んでいることが多かった。

 いや、直治は決して、話下手であるとか、おしゃべりがきらいなわけではない。 むしろ、話好きだと自覚していた。 じぶんの好きなロックの話に関してなら、いくらでも際限なくしゃべることができる、と。 けれども、「そういった店」 の女たちに、直治の青春時代のロックの話などしても、わかるはずがないし、変人扱いされるだけであろう、ということを身をもって知っているため、沈黙することにしているのである。 話したくもないのに、あたりさわりのない天気やら仕事の話なんかをしなければならないことほど、直治にとって苦痛なことはなかった。

 部下たちへのサービスといったところか、それとも、ふつうのバーで飲むかわり、とでもいうところか、と、あきらめていたが、ここ半年ほど、「そういった店」 からは足が遠のいていた。

 それが、なんのきっかけだろうか。 直治自身、よくわからない。 たまたま新宿で仕事があり、その後、映画を観、そして、ふらふらと歌舞伎町を歩いていて、たまたま 「店」 のことを思い出し、たまたま 「ひさしぶりにちょっと寄ってみようかな」 という気を起こし、足を向けたのだが。

 その日は、じぶんのなかの 「そういった商売の女」 に対する考えをくつがえしてくれるような、頭がいいけれど ひかえめな、やわらかくも 芯の強そうな、清冽とした女の子が就いてくれたため、たのしいひとときを過ごせたのである。

 直治がかたわらに置いていた映画のパンフレットを見て、「この映画、わたしも観に行きたいと思ってるんです。 どうでした?」 とたずねてきた、マキという名の女。

 「ああ、これ」 と、直治は、パンフレットをマキに差し出した。 『スクール・オブ・ロック』 という学校とロックを題材とした映画のものである。

 「すごくおもしろかったですよ。 ジャック・ブラックがいい味出してました。 それから、音楽がとにかくなつかしくてね。 ツェッペリンの 『移民の歌』 が流れたときには、知らずに身体が反応しちゃって ... 」

 「そうなんですか。 おもしろいなら、ぜひ観に行ってみます」

 「でも。 失礼だけど、すごくお若そうに見えるけど ... 」

 「わたしの彼がとてもロック好きなので、いろいろ聴かされているんです。 彼もレッド・ツェッペリンが大好きなんですよ」

 「へえ。 ぼくは、むかしバンドやってたんだけど、ツェッペリンもカバーしたことありますよ。 『天国への階段』」

 「わたしの彼もバンドマンなんですが、やはり 『天国への階段』 を ... 」

 二人は顔を見合わせた。 そして、ふっと笑い合った。

 「ぼくの世代で、バンドをやっていたやつは、みんな 『天国への階段』 をいっしょうけんめいコピーしてたんですよ。 あなたの彼は、ぼくと同じ世代なのかな ... 」 Rolling Stones と同い年 ―― Stones は一九六三年結成 ―― である直治は、なんとはなしにそうつぶやいた。

 「そう、だと思います」 とだけ言って、マキはちょっと目をふせた。

 なんとなく、それ以上は訊くまい、と思い、直治は、話題を変えた。 そうして、およそ二十歳の年齢差を超えて、二人は、さまざまなロック談義に花を咲かせたのだった。

 ―― そのときのたのしさが忘れられず、直治は、また 「店」 に来てしまった。 はたして、今日、マキが出勤しているのか、そして、じぶんのことをおぼえてくれているのか、どきどきしながら、店の戸を開けた。

 店のなかは、まだうす暗かったが、直治に気づくと、十九歳になったばかりのボーイがあわてて取り次いだ。 直治はマキの名を告げ、案内された席にどっかりと腰をおろした。

 少し待って、マキがあらわれた。 少し緊張した面持ちである。 しかし、直治の顔を見ると、にっこりと笑った。

 「カトウ専務。 今日はずいぶん、お早いんですね」

 「うん。 この近くに住んでる姉貴のところへ寄って、その帰りなんだ」

 「そうなんですか ... 」

 と言って、マキは口をつぐんだ。 二人のあいだをある種の緊張が走った。 あのたのしかった夜は、まぼろしだったのだろうか、と、一瞬、直治は不安になった。

 ふと、直治のかたわらにある包みを見て、マキは、「なにかお買い物の帰りですか?」 とたずねた。

 直治は、「ああ、これは」 と、包みを手に取った。 「これは ... 姉貴がつくってくれた、お菓子です。 良かったら、食べますか?」

 マキはよろこんでそれを受け入れた。 甘いものが好きなのである。

 ... そうして、包みをあけながら、直治は、失敗した、と思った。 若い女の子がよろこびそうなこじゃれた菓子ではないからだ。 ひょっとすると、笑われてしまうかも ... とも思ったが、もう言ってしまったものはしょうがない、と、思い切って、テーブルのうえに菓子をひろげた。 包んでいた新聞紙には油がべっとりとしみていた。 中身は、油で揚げたドーナツのような、クッキーのようなもののようだった。

 マキはだまって、その菓子を見つめていたが、「じゃあ、いただきます」 と言って、その得体の知れぬ菓子をつまんだ。 ほかに人のいないホールに、さくりさくりという音がひびいた。 直治は、じっとマキの顔をのぞきこんだ。

 「なんだか」 と、マキは菓子を飲み込んで言った。 「なつかしい味ですね。 素朴な、あったかい味です」

 直治は、ほっとしつつも、「ごめんね。 変なもの、食べさせて」 と、菓子をしまおうとテーブルから引っ込めようとした。 それを、マキはやわらかく制した。「ああ、待ってください。 とってもおいしいですよ。 お姉さまの手づくり、愛情がこもっているんでしょうね」

 「うん ... 。 いや、これは、ぼくの親父が、むかしよくつくってくれた菓子を、姉貴が再現してつくってくれたものなんです」 直治は照れくさそうに言った。

 「お父さまが?」

 「そうなんです。 ぼくが小さかったころ、うちはとても貧しくて、オヤツすらまともにもらえないほどでした。 姉とぼくは、いつも腹をすかして、いらいらして、けんかばかりしていました。 それを見かねた父が、ぼくたちのためにつくってくれたんです。 小麦粉と砂糖と水だけで練って、油で揚げたものなんですがね。 でも、それが、ぼくたちの空腹を癒してくれたんですよ。 この味がわすれられなくてね」 と言って、直治は、菓子をふたたびひろげ、ひとつつまみあげて、眼前にかざした。

 マキは、じっとそのかざされた菓子を見つめていた。

 「ほんとうのこというと、親父がつくってくれたのと、これは、微妙に味がちがうんです。 粉がちがうのか、水がちがうのか、油がちがうのか。 分量がちがうのか。 使い古しの油で揚げていたせいかもしれませんがね」

 「そのときの空腹感が、いまのカトウ専務にはないからか ... 」 と、マキはひとりごとのようにつぶやいた。

 「そうですね。 それもあるかもしれません。 けれど、いまだに食べつづけているんですよ。 再現されたものをね。 ほんとは本人に再現してもらえるといいんだけど」

 「社長、おいそがしそうですものね」

 「うん ... 。 いや。 いまの親父じゃないんですよ」 と、直治は、手にかざしていた菓子を口のなかに放りながら、言った。 マキは小首をかしげるように直治の顔を見た。

 「母親が再婚したんです。 この会社の社長とね。 親父は、死にました」 と、直治は、じぶんの背広のボタン穴に挿された社章を指さした。

 マキは、表情をうしなって、「ごめんなさい」 とひとことだけ言った。 直治はもくもくと菓子を食べつづけた。

 「けど」 マキは、思い切るように、一拍おいて、「お父さまの味は、ずっと専務のこころに残っているんですね」 と言った。 「お姉さまのこころにも。 ずっとずっと、思い出として。 小さいころに培われた味の記憶は、ずっとその人のこころに、残ると言いますものね。 どんなにじぶんが変わってしまったとしても、からだがおぼえているんでしょうね」

 直治は、菓子を水割りで飲み下して、ほっと一息ついた。 「そうですね。 いま、ぼくはこんなふうだけれど、こころはあのときのままなんです」 と、じぶんの着ている、見るからに仕立てのいい背広を茶化すように、肩をすくめてみせた。

 そして、ふいに、「ねえ」 と言って、マキのほうを向き直った。 「なぜ、この商売をしているのかはわからないけれど、もし、あなたが、ずっとこれをつづけていくのであれば、ぼくは、全面的にあなたをバックアップします。 うちの男社員をすべて、あなたに就いてもらうことにしますよ」

 マキは、とつぜんのことで、よくわからず、直治の顔を凝視していたが、やがて、ふっと笑って、「いいえ。 専務」 と言った。 「わたし、この仕事、ずっとやるつもりはないんです。 ちょっと事情があって、お金をためなくちゃいけないんですけど。 目標が達成できたら ... 彼と結婚して、ふたりで、しずかに暮らしていきたいんです」

 直治は、マキのまなざしを探るように見つめかえした。 そして、「そっか。 ふたりで、ロックな家庭を築くんですね」 と、はにかみながら言った。

 マキは、ちょっとほおを赤らめた。 「すみません、せっかくの、ありがたいお申し出ですけど」

 「いや、いいんですよ。 しかし」 と、直治は、ふたたび菓子を口に放りこんだ。 「あなたがこの店にいるかぎり、ぼくはこの店に来ます。 ぼくの話し相手になってください」

 マキは、こころからの笑顔で、「はい」 とこたえた。



 (完)



 BGM:
 George Harrison “All Things Must Pass”



 関連リンク:
 当 blog 内 - 「女をきれいにする方法」
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C ま 2 た

2004年06月08日 16時17分34秒 | 呑食
 ※タイトルは、「しー ま つー た」 → 「しーまった」 → 「しまった」 と変換いただければ、さいわいです。
 (あいかわらず、くだらない だじゃれですみません)



 おひるごはんを食べ終え、いつものように、会社の自動販売機で缶コーヒー - Georgia を買おうと、コイン投入。

 目の端にとびこんでくるのは、コカ・コーラ C2。 ああ。 そういえば、昨日発売だったっけ ... などと考えていたら。

 考えていたら、考えていたら、考えていたら ...

 まちがえて、C2 を買ってしまった !

 ノー !!

 なにか購買誘導電磁波でも放射されているのだろうか ?! (そんなばかな)

 発売日を大々的に予告され、今か今かとジラされ、サブリミナル効果的なものに導かれ、つい手が出てしまったのだろうか。

 ぬぐぐ。 おそるべし ... 。



 # 思ったよりは、ふつうの味に感じました。 (変 ?!)



 trackback to;
 『BLOGはじめますた』 - 「コカ・コーラ C2、まずい」





 BGM:
 Green Day ‘Poprocks & Coke’

 ほかに、"cola" や "coke" のつくタイトルの曲や、歌詞に含むものを、ぐるっと考えてみた。

  The Beatles ‘Come Together’
  The Kinks ‘Lola’
  The Clash ‘Coca Cola’

 ぱっと思いつくものだけでも、これだけある。 きっと、ほかにもたくさんあるにちがいない。
 (The Supremes もコーラの歌をうたっていたような ... )

 「コーラ」 という飲み物のもつ魅力 (魔力?) ゆえの業であろうか ... 。
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