公教会の必要 『公教要理教案』

『公教要理教案』天主堂出版、1924年

公教会の必要　

〇　イエズス・キリスト様は何のため、公教会を御建てになりましたか？
△　みおしえを、万国万代の人に伝えて、救霊を得させるが為です。だから、イエズス・キリスト様のみ教えを知るには、公教会に行って学ばねばならぬのですね。ところで、プロテスタント（新教）側の人は、これに反対なさるんです。イエズス・キリスト様の教えは、ことごとく聖書に記載してある。謹んで聖書を読みさえすれば、信ずべき教えも、守るべき戒めもチャンとわかる。いまさら、教会なんかに行って教えていただく必要はないものだ、そうおっしゃるのです。

〇　実際、そういうものなのでしょうか？
△　違います。なるほど、信ずべき教えも、守るべき戒めも、たいていは聖書に記載してあります。

〇　しかし、子どもや、無学文盲な人は、どうしてその聖書を読めるでしょうか。たとえ、聖書を読むは読んでも、その意味を間違いなく悟ることが誰にでもできますでしょうか。聖書は死んだ文字で、人間は生きたものです。勝手に聖書の解釈を下し、甲が「そうだ」というところを、乙が「いや、違う」と打ち消すこともできませんか？
△　できます。

〇　できるどころではありません。現に、プロテスタント側の人等は、毎日聖書をお読みになるが、それでもその信ずるところは、１０人が１０人、１００人が１００人、違っているのです。してみると、聖書だけあっても、みおしえを間違いなく万国万代まで伝えるのに足りるでしょうか。
△　決して足りません。

〇　固より足りませんね。だから、イエズス・キリスト様は、生きた人間を教えるために生きた公教会（カトリック教会）を御建てになりました。弟子の中から１２使徒を選び、
これを公教会の柱と定め、聖ペトロをその礎と建てられました。
「汝ら往って万民に伝えよ」（マタイ２８の１９）
とは、彼らに命じ給うたが、
「聖書を読ませよ」とはおっしゃいませんでした。
「教会に聴かない者は異邦人も同様に見なせ」（マタイ１０の１７）
とはおっしゃったが、
「聖書を読まない者を何とかせよ」
と、おっしゃったことはありません。してみると、イエズス・キリスト様のおしえは、何によって万国万代にまで伝わるべきものだと思わねばなりませんか。
△　公教会によって、万国万代にまで伝わるはずだと思います。

〇　もし、公教会がないならば、イエズス・キリスト様のみおしえも、どんなに誤り伝えられるかわからぬ。してみると、御贖いの御恵みをかたじけなくし、救霊を全うするのに、公教会は、必要欠くべからざるものであります。



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