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聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人 18

2018-09-30 19:34:06 | 聖ドミニコ・サヴィオ
『聖ドミニコ・サヴィオ - 小さな巨人』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ、18

 いよいよ家に帰る日が来ました。ドン・ボスコは、念をおすように、願いをこめてくりかえします、

「ねえ、ドミニコ、きっとだよ、家に帰ったら、かならずなおって、またここに帰ってくるんだよ」

 でも、涙にうるむ先生の顔を見あげて、少年はいいます、「いいえ、ドン・ボスコ先生、もう帰ってこれません。あなたとお話しできるのは、きょうが最後です。だから教えてください、わたしは神さまのために何ができるでしょうか?」

ドン・ボスコは、もう胸がいっばいです。

「ドミニコ、きみのその苦しみを、みんな神さまにささげなさい。神さまを喜ばせるいちばんよいおくりものですよ」

 1857年3月1日、迎えに来た父の馬車から、ドミニコの細い手がお別れをしています。

「みなさん、さようなら。きっと天国で会いましょう!」家族も医者も、あらんかぎりの手をつくします。病室はまるで戦場のよう!なおしたいみんなの必死の思いと努力が、見えない火花をたらしています。でも、ますます病気は重くなってきました。

「おとうさん、最後の聖体拝領をさせて!」家に帰って一週目にドミニコがいいました。

「とんでもない。おまえは死んではならんぞ、絶対に生きぬくのだ!」

 父は、ききいれません。

 少年は、たのんで、たのんで、やっと村の主任司祭がやってきました。

 今はもう最後の告白をすませたのです。心になんの不安もありません。ご聖体をいただくと、ドミニコの心は、いいようのない慰めにみたされました。


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