その日は暑かった。いくつか電車を乗り継いで上野へ。公園口を出てひたすら行列の最後尾へ。とりあえず並んだことにほっとする。飲物は持っているが口にすることはなく、途中トイレへ。列に戻り日陰から日向へ出たその時、一瞬めまいがした。ふと気づくとここはどこだ? さっきの場所ではない。確かに並んだ場所に戻ったのに、列の最後尾に戻っている! おかしい、どこで間違えたのだろう? チケットはちゃんと持っている。水分補給を、と拡声器が言っている。そうか、飲まなかったのがいけなかったのか。いや、帽子は装備しているが、日傘を借りなかったのがいけなかったのか? よし、今度は大丈夫。やっと建物に近づいた。しかし敷地に入った瞬間、めまいが。また、列の最後尾からやり直しだ。そうだ、うちわを手に入れよう。……今度もだめだった。係員からヒントはもらえないのか? 攻略まで何回繰り返せばいいのだろう? そう、この若冲展の行列というゲームをクリアしない限り、絵を見るどころか美術館に入ることもできないのだ!
ツイッターで若冲展の行列にちなんだSFが流行ってるらしいので、ちょっと書いてみた。読んでないので、もし誰かの2番煎じだったら申し訳ない。
5月19日木曜日、見たかった若冲展に行ってきた。いつ行こうかとずっと悩んでいたが、終了日が近づいてくるしチケットは手に入れたので、サイトで見た入室まで300分の文字にめげそうになるが決心した。朝早く行くつもりが結局9時少し前。とにかく一目散にわき目もふらず行列の最後尾を目指す。行列がどんなふうに並んでいるのか、先頭がどこなのかもわからず、ただ前の人についていく。先に一人が並んでいて、もう一人がチケットを買って列に合流する、という人が多い。まあしょうがないかとも思うが、100人それをやられると200人になるんだな、2人ならいいけど、5人だったら…とふっと気が遠くなる。ずっと立ち止まっているわけではなくある程度待てば少しずつ進むので、時間的には長いがそれほど待たされた感はない。係員が貸し出し用日傘を持って回ったり、2か所(いや3か所だったかな?)テントの中にうちわ配布や給水所が設けられたりしていた。マラソンかっ! 42.195㎞はないと思うが、3時間の長丁場。やはり必要だろう。上野公園内、木々も多い。半分以上日陰だった気がする。そこを歩くのは気持ちいい。とにかくぐるぐると歩いて建物が目の前に。やっと入れそうな雰囲気になり、あと少しだと思ったが、そう簡単には入れてくれない。そこからの30分が長かった。あまりの行列の長さにチケットや並ぶのをあきらめて図録だけ求める人も多かった。
中に入ってからも、絵を全体くまなく見るため間近に見るために並ぶ。音声ガイドを借りるのも並ぶ。すいてるところから見てくれと言われても、結局それを見るために戻ってくると、さっきより混んでたりする。どうすりゃいいんだ! ガラスもあり、間が開いているので最前列で見ても、絹本の質感がわからない。拡大したパネルがあったが、そっちのほうがよくみえた。筆致はよくわかる。羽根の1枚1枚、花びらの1枚1枚、草の先、触覚の先、やはりすごすぎて何もいえない。細かいけど大胆。大胆だけど細かい。きっちりした絵の中に、少しおかしみのある絵も。三十六歌仙や果蔬涅槃図、好きだな。
みんな疲れて椅子やベンチは満杯。おなかはすくし、疲れて座りたかったけど。美術館を出たのは3時少し前。それでもまだ長い行列が…。この時間に並ぼうとする元気と根性のある人たちだ。みんな閉館時間までに入れるのかな。のもので少し休憩して、帰った。もっと早く帰れると思ったのに1日がかりだったなー あー疲れた。
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