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蔵馬ウケネタ、日常のことなど思った事を綴る。

離れても、想いは止められず

2019年05月31日 22時36分59秒 | 蔵馬受けblog内小説
久しぶりに
田村ゆかりさんの曲を聴いていたので、蔵馬受け小説を書いてみました。
ちょっと時間がないので短く、ブログ向けに。

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トスンと、蔵馬の身体がベッドに沈んだ。投げ出したと言うよりも‥沈んだと言って良い、その動き。
黒髪が散らばって、蔵馬はうつむけに身体を沈ませた。
…疲れた…
魔界に来てから会議詰めだ、こんな風に知力が試される状況になるとは、正直思っていなかった。
もっと駆け引きめいた、腹の探り合いだけで会話が終わると思っていたけれど。
黄泉はしっかりと、軍事国家と言って良いほどのものを作ろうとしていて…頭を使う毎日が、嫌なわけでは
ないけれど、本当に疲れている。
人間の会社生活には慣れていたつもりだったのに…駄目だなと、ため息はシーツに吸い込まれて消えた。

分かっている。
心が、重くて身体がだるい、この何も満たされない感じ…理由は分かっている。
満たされないから、仕事だけをして心が空っぽになっている。
大きな瞳を閉じて、蔵馬は小さく声を出した。
飛影、その人の名を呼べば、来るような気がして。

こんな風に離れてしまう前は…じゃれあいのように、下らない会話でも、飛影の言葉があるだけで
幸せだったと思う。魔界と人間界が、こんな風になるなんて思わなかった。傷ついた自分を見て、
怒る飛影が…その怒りに満ちた声が嬉しかった。

だから、今飛影の声が聞きたい。

今、誰にも会いたくない。

どんな人にも、触れられたくはない。心の…足りないものを、誰かに探られたくはない。
永久に会えない…それさえも分からない。
幽助を苦しめたくない。そのために自分は、この国を、ただの暴走国家にはしないと誓っている。
心の奥で…幽助にも飛影にも、そう誓った。
ただ会えないだけではなくて…これからどうなるかの、未来が見えない。
苦しさに蔵馬は胸をかき抱いた。
それでもこの心の奥に根付いた飛影への…離せないは、ずっと残る。
信じられる言葉を、魔界に来る前の飛影に貰っている。

「お前に、次に会うまでに強くなる」

強くなる…その意味を、きっと蔵馬だけが知っている。
強くなる。心も、力も全て、全てをひっくるめて、飛影はそう言ったのだ。

うるさいと、怒った武術会での飛影も、初めて会ったときの燃える瞳も、
すべてが甘い思い出だ。そしてそれを遠いものにはしたくない…。
思い出を、未来に繋げるために今自分はここにいるのだから。

「飛影」

もう一度、蔵馬はその名を呼んだ。


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時々、黄泉の国に居た頃の蔵馬について考えることがあります。

ちょっと、田村ゆかりさん曲を聴いていて浮かんだので
つくってみました。

田村ゆかりさんの、「雨音はモノクローム」という曲です。
コメント
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