ポーラ美術館開館20周年記念展『モネからリヒターへ 新収蔵作品を中心に』をポーラ美術館で観てきました。
感想を備忘録として書きます。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【展覧会構成】
第1部 鈴木常司が収集したコレクションと、これをさらに拡充する新収蔵作品
第2部 従来のコレクションには含まれていない、近代と現代を結ぶ作家たちの作品
第1章 光のなかの女たち マネ、ルノワールからモリゾ、レジェまで
第2章 水の風景、きらめく光 ブーダン、モネからド・スタール、ミッチェルまで
第3章 揺らぐ静物 セザンヌからニコルソンまで
第4章 放たれた光彩 マティスとフォーヴィスム
第5章 内なる光 大正期の洋画
第6章 日本のフォーヴ 里見勝蔵と佐伯祐三
第7章 レオナール・フジタ 乳白色の輝き
第8章 松本竣介 都市へのまなざし
第9章 坂本繁二郎 月の光に魅せられて
第10章 戦後日本の抽象
第11章 物質性の探求
第12章 色彩と抽象
第13章 アニッシュ・カプーア 空間と知覚
第14章 ハマスホイとリヒター 絵画と窓、そして光
第15章 中林忠良 闇をてらす光
第16章 杉本博司 光の色彩
第17章 三島喜美代 時代を表現する
第18章 ケリス・ウィン・エヴァンス 光の彫刻
第19章 スーザン・フィリップス 輝きの断片
第20章 ロニ・ホーン 光を宿して
【感想】
大作がど~ん!というような感じではなく、サロンでゆったりと楽しむような展覧会。
ベルト・モリゾ「ベランダにて」
幼い娘の日常を描いた作品。愛らしくほっとする気分になる。
不思議と正面、右、左と視点を変えて観ると、また違った印象になる。個人的には右からが好き♡
ピエール・オーギュスト・ルノワール「レースの帽子の少女」
巨匠ルノワールらしい少女像。自分が女性だからか、昔から裸婦より少女のほうが好き♡
この作品はモニュメントにもなっている。画像は下の【画像】に貼っておく。
ウジェーヌ・ブーダン「海洋の帆船」
32.6×46.3㎝という小さいサイズの作品。その中にさらに小さく、波立つ海に浮かぶ帆船が描かれている。
海、帆船といえば、 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー をすぐに思い出すが、こちらはターナーよりも柔らかい感じを受ける。
二コラ・ド・スタール「オンフルール」
港町オンフルールの風景をパレットナイフで、画面を横に区切るように描いている。抽象的なのに港や海、暗い空がはっきりと認識できる。暗い画面は哀愁を感じる。この雰囲気は好きだ♡
クロード・モネ「睡蓮」
モネの睡蓮はどれも美しく好き♡
画面に近寄って観ると、絵筆でささっと色をのせているみたいなのに、ひいて観るとまごうことなく池の水面と睡蓮なのだ。
ポール・セザンヌ「ラム酒の瓶のある静物」
つるん~とした立体感のない果物(多分、洋梨)、左に傾いたラム酒の瓶。テーブルのパースもおかしいのに、じっと観てしまう。セザンヌには不思議な魅力がある。
パブロ・ピカソ「新聞とグラスとタバコの箱」
レトロなポスターのような画面構成と色合い。色のトーンといい、簡略化されたものの形といい、とても好き♡
ピカソにはこんな作品もあるのだな。
アンリ・マティス「リュート」
一目でマティスとわかる作品。真っ赤な大きな柄の壁紙と敷物。黒の輪郭、ざっと塗った色。
美しいのかどうか?と問われれば、返答が難しいところ。でも、観ていて不快にはならず、むしろ元気になる楽しい作品。
モーリス・ド・ヴラマンク「雪」
冬の雪景色はこんなどんよりとした鉛色の空だ。建物の色と形、冬枯れの街路樹の形がよい感じ。
レオナール・フジタ(藤田嗣治)「ベッドの上の裸婦と犬」
ほぼモノクロに近い色しか使っていないような、日本画を思わせる作品。裸婦の肌が美しい。
松本竣介「風景」
薄暗い画面に工場などの建物、荷車、人、犬がひっそりと佇んでいる。都会の荒涼とした心象風景のようだ。
坂本繁二郎「月」
夜空だが明るく優しい画面。満月にかかる雲が月光環という虹色を作り出している。近くの雲にも飛び火して彩雲に。
画家は本当に月をよく観察して、愛でているのだな…。
難波田龍起「生命体の集合」
画面いっぱいに碧が広がり、黒や白の絵具がたらしてある。動きがあって躍動感あふれる作品。碧色がとても美しい♡
猪熊弦一郎「風景 KP」
画面を濃い青で塗りつぶし、横にストライプ状の黒い帯が走る。黒い帯は貨物列車が連なっているように観えたが、都市の道路かもしれない。
黒で描いた画面を濃い青で塗りつぶした後、テープでびっ!と真一文字に剥がしたような作品。おもしろい♪
中西夏之「洗濯バサミは攪拌行動を主張する」
半立体作品。カンバスに無数のアルミ製洗濯バサミを取り付けてある。
観ていると不安な気持ちにさせられる作品。
ヴィルヘルム・ハマスホイ「陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地」
画面全体が漆喰のような色合い。静かで穏やかな画面なのに、どこか不思議な印象を受ける。窓から差しこむ光が床に落とす影が美しい。
【余談】
早めの夏休み旅行に箱根に出かけた。ちょうど、ポーラ美術館で開館20周年記念展を開催中だったので、ホテルのチェックインまでゆっくりと鑑賞してきた。
ポーラ美術館はとても綺麗でおちついた雰囲気。会場は天井があまり高くなく、暗い室内はサロンのようでよい感じ♪
以前に、大光コレクションを鑑賞したときも、同じような印象を受けたことを思い出した。収蔵者の好みが強く反映されるからなのだろうか?
📷マークのついている展示のみ撮影可。スマホでしっかりと撮ってきたよ~♪
それにしても絵画作品が撮影可なうえ、多数あったのには驚いた。太っ腹!
展示を撮影した画像は多いのと、展示室内は暗くピントが甘いものもあるので、全部は載せないことに。展示室外のものはいくつか載せておく。
先日、東京都美術館で観てきた、『美の巨匠展』に展示されていた画家もちらほらと見受けられた。印象派だから重なるね、モネとかモリゾとか。
【画像】
三島喜美代「Comic Book 03 (03-1) (03-2) 」「Newspapers P-17」「Box Sunkist-17」「Work 17-C」
ヘンリー・ムーア「《坐る女》のための習作」
ケリス・ウィン・エヴァンス「照明用ガス…(眼科医の証人による)」
この作品は右側から観ると、フェルナン・レジェ「鏡を持つ女性」。
左側から観ると、ピエール・オーギュスト・ルノワール「レースの帽子の少女」。
チケット 大人1800円。
フロア案内。
パンフレット。
公式図録 3000円。
展覧会の鑑賞後には、屋外に設けられた広大な「森の遊歩道」をミラーレスカメラ片手に散策。雨もあがり、しっとりと気持ちがよく♪
樹々の緑に囲まれ、野鳥がさえずり、そこかしこにアート作品が置かれているて、岩場には小川も流れている。
とても素敵な空間♡ いつまでもぼ~っとしていられる。
野外彫刻。樹木の間にど~んと! インパクト大。
「森の遊歩道」マップ。
敷地はびっくりするくらい広大! 坂道も多いので歩きやすい服装と靴を推奨。雨あがりは特に、枕木の歩道が滑りやすいので注意が必要。
展覧会の鑑賞前に美術館内のレストラン アレイでランチ♪
ランチセット2500円。どれも美味しく、食後のコーヒーは香り高く♪
野菜スープとサラダ。
鶏の香草パン粉焼き、パンは2種類・バター付き。
コーヒー。
【リンク】
公式サイトはこちら。